社会統計学の伝統とその継承

社会統計学の論文の要約を掲載します。

高木秀玄「物価指数論史の一局面-再びM.W.Drobischの理論を中心にして-」『関西大学経済論集』14巻4・5・6合併号, 1966年2月

2016-10-16 11:55:12 | 9.物価指数論
高木秀玄「物価指数論史の一局面-再びM.W.Drobischの理論を中心にして-」『関西大学経済論集』14巻4・5・6合併号, 1966年2月(『物価指数論史』[高木秀玄先生著作刊行会], 1994年)

 表題は「物価指数論史の一局面」であり, 内容はドロービッシュとラスパイレスとの論争の紹介が主であるが, この論争をつうじてラスパイレスが自身の単純算術平均式を反省し, 加重平均法の理論的必要性を認め, そのことがさらにパーシェ式の登場(ラスパイレス批判にくわえドロービッシュの加重平均も批判)の契機となったことを示しているという点で, 「物価指数論史の『重要な』一局面」を解明していることになる。ドロービッシュがラスパイレスとジェヴォンスの単純指数法の「仮構性」を克服するために, 加重指数を提唱したという事実は, この解明で, いっそう際立って示されることになる。

 ドロービッシュに自らの単純算術平均法について批判を受けたラスパイレスは, あらたな改良式を提示した。しかし, それはドロービッシュが開発した算式の変形式にすぎなかった。この時点でのラスパイレスの難点は, 彼が加重平均法の可能性にまで到達しながら, 単純平均法と加重平均法を使った具体的計算結果を比較し, その差がほとんどないことをもって, 指数算式の正確性を追求する道を閉ざしたことである。

 すなわち, ラスパイレスはその改良式によって, 当時のハンブルク市の「取引相場新報」からの「取引相場表」と同市の「商業便覧」の価格資料を統計資料として, 指数計算を行い, その結果がドロービッシュ式によった場合と大きな差がないと判断した(上記資料でD式では7.1%, 単純算術式では9.65%)。高木はここにラスパイレスの便宜主義をみ, 統計学者としてのあるまじき姿に疑問を呈している。

 この論文で高木はさらに, ドロービッシュによるラスパイレスへの反駁を紹介している。すなわち, ドロービッシュはラスパイレスの「改良式」を批判的に検討し, それが経済取引の実態を必ずしも反映していないこと, したがってその算式によっては, 指数計算の目的である物価変動, また貨幣価値変動の測定ができないことを明らかにした。
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