社会統計学の伝統とその継承

社会統計学の論文の要約を掲載します。

高木秀玄「物価指数算式の原型をめぐって」『関西大学経済論集』14巻5号, 1964年12月

2016-10-16 11:53:55 | 9.物価指数論
高木秀玄「物価指数算式の原型をめぐって」『関西大学経済論集』14巻5号, 1964年12月(『物価指数論史』[高木秀玄先生著作刊行会], 1994年)

 この論文では冒頭で, ラフリンの著作『貨幣の原理』がとりあげられ, そこでヴォーアンの指数研究(1675年)が最もふるいと紹介されているとの記述が引用されている。あわせてビショップ・フリートウッドの研究(1440年ー80年, 1707年の物価の研究)の紹介があり, シュンペーターはサウアベック, ニューマーチが貨幣の購買力の測定に役立つ算式を編み出したとある。また, 高木は, 実際に意味のある物価指数が始まったのは1860年代からというケインズの見解に賛意をしめしている。

 本稿は, 物価指数式の原型, すなわち加重算術指数算式がM.W.ドロービッシュの1871年の論文によって示されたことを明らかにしたものである。ドロービッシュに先だってジェヴォンス, ラスパイレスによって, その頃の物価騰貴の原因が論じられ, 価格変動を測る計算式の開発が進められていた。ジェヴォンスは, 価格変動を測る計算式を幾何平均でとらえようとし, ラスパイレスの単純算術平均法に反駁をくわえた。ラスパイレスは, カルリ指数を援用し, 商品の価格を「比率」で示し, ジェヴォンスの幾何平均法が適切でないと指摘した。もっとも, ジェヴォンスにとっても, ラスパイレスにとっても, 当時は物価変動の計測を幾何平均法によるか, 算術平均法によるかという指数算式の問題は派生的, 副次的問題であった。

 この派生的, 副次的問題であった指数算式の問題に焦点をしぼって論じたのが, ドロービッシュである。ドロービッシュはジェヴォンスの幾何平均法を酷評し, ラスパイレスの算術平均法を無意味な計算と否定し, 加重算術平均による指数算式を提唱した。

 高木はさらに当該論文で, このようなドロービッシュ提唱の算式が物価指数論史のなかで果たした役割を高く評価し, さらにその指数算式が数学者コーシーの代数解析を基礎としていたことを論証している。
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