
半世紀前、映画がカラーになりアメリカ映画だけでなく海外からの作品が輸入され、土曜になれば映画館で新作を鑑賞するのが慣わしになっていた。50〜60年代の頃であろうか。その映画の主役の一人がドリス・デイであった。美人でキュートなのであるが、よくよく観るとソバカスだらけで、それまでのスーパー・スターとはイメージが違っていたのだが何故か惹かれ続けたものである。
皮膚がんで亡くなったという音楽プロデューサーであったテリーという息子さんへの追悼盤ともいえる一枚を聞くことが出来た。どうも80年代の録音が多いということであるが、懐かしい歌唱を聴かせてもらえた。ハスキーボイスに微妙にビブラートがかかった懐かしいあの歌声である。モチロン、彼女は現在でも健在であり、87歳にして動物愛護の仕事に力を注いでいるという。
ジャズ・バンド、レス・ブラウン楽団の専属歌手として、「センティメンタル・ジャーニー」が、大ヒットしたのが、彼女ならではのキャラクターで世界的な名声を得る切っ掛けを作ったといえるのじゃないか。DIVAと呼ぶには、彼女自身から一笑されるような気がしてならない気安さこそ彼女の魅力であろう。そんな歌い手としての成功のあと、映画の世界での大成功になるのである。
その映画の中でも歌い続けて、歌う女優としての存在こそ、多くのフアンに慕われるラウンドを作ったのである。どうも、私自身、彼女の映画というとロック・ハドソンの顔が浮かんでくるのであるが、彼と彼女とは3本の映画しか共演していない。どうしてだろう。まあ、どちらにしても映画の中で歌った歌とか関連のあるナンバーがスタンダード化している歌い手であるが。
「アゲイン」「上海」「シークレット・ラブ」「ケ・セラ・セラ」などなど、お馴染みの旋律が浮かんでくる。しかし、人間の人生なんて、喜怒哀楽の煮込みであるということが、彼女の私生活を振り返ってもスポットライトが当たり続けていた訳ではないことが分かる。4度の結婚そして離婚。息子の死。涙に縁のないように見える彼女なのに、どん底の悲しみを乗り越えてきたということが分かる。









