大胆不敵に行きたい雑記

好きなゲームとかアニメの「個人的な」感想が多め。
書き殴った記事が多いので、指摘とか貰えたら適時訂正していきます

映画感想 「少女は自転車にのって」 2012年 サウジアラビア

2016年10月29日 | 映画の感想
原題:ワジダ

映画館の設置が法的に禁止されているイスラム教国のサウジで初めて作られた長編映画。
女性監督による、女性の自由確立を啓蒙した作品。


★概要
女性が肌を露出する事すら禁止されたサウジで
主人公のワダジはスニーカーとジーンズを愛用し
社会的な風潮を無視して自転車に乗りたがる。


▼感想
イスラム教を否定するのではなく、変化を促している。
女性が自転車を乗り回すのを否定しているのは、熱心な信徒である校長だけで
自転車を売っていた雑貨屋の店主や、ラストシーンの町人等は、皆ワジダを微笑ましく見守っている。

「部族が違うから」と投票を拒否していた母親だが
父親はラジオの演説を聞いて気に入り、支援に回るようになる。
これも旧習を捨て去って、新しい生き方をしようという提案である。

ワジダのコーラン暗誦も、母と子の絆を描くのに用いられているし
それらが監督の意図なのか、宗教的な圧力の回避策かまでは知らないが
この作品は、イスラム教を肯定した上で変化を促した内容となっている。

ハリウッド映画の影響で、一般的に中東の褐色の連中は
野蛮でマヌケな馬鹿で、変な宗教を信仰している未開の蛮族だと認識されているが
この映画を観ると、その間違った認識が綺麗にひっくり返る点がユニーク。

コンピューターゲームだってするし音楽も聴く。案外に我々と変わらない普通の人間。
野蛮で変な宗教だと思われているイスラム教も、実は文化と密着した美しい宗教だったりする。
単なる批判に始終しているのではなく、その良さを紹介した上で不都合を訴えている点が高評価。

母親と父親は恋愛結婚であるが、ワジダを出産した際に体にダメージを受けて、次の子供を産めなくなってしまい
(多分)嫡男が生まれないからという理由で、姑が二番目の妻を用意しているという話が出てくる。
家系図にワダジの名前が無い話や、性差を意識しない子世代の振る舞いと相まって、世代を越えた変化への期待が込められている。

その変化を望んだ気持ちに、少女が自転車に乗るという動詞を重ね合わせているのが絶妙であるよう感じた。
母親が結婚式に参列しない事に決めたのは、古いしきたりを捨て去って、新しい道を歩もうというメッセージであるし
ドレスを買う金で自転車を買う展開や、最後の真っ直ぐな道を爽快に進んでいくヒロインの姿は、監督が望んでいるサウジの未来なのだろう。

「自分達はこうありたい」という気持ちを、見事に映像に乗せる事に成功している、価値のある作品だという感想。


外野からあーだこーだ言うなら、当事者からの主張として是非とも観ておくべき映画。
将来的には、中東の教科書に名前が載る事になるかも知れない、隠れた大作である。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 久々にシーバス釣ってきた。 ... | トップ | 映画感想 プレデター 1987年 ... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の感想」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。