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けもフレの流行は一過性か?

2017年04月18日 | アニメ、ドラマ
2017年度の「けものフレンズ」のブームを経験して一つ思った事が
これは決して一過性の流行では無いという点である

TV放映時、大勢の人がこの作品の事を「たまたま流行ったイロモノ」だと考えており
アニメの放送終了と同時に尻すぼみになって、やがて忘れ去られるだろうと言われていた

だが今の皆がそうだと思っていないように、自分もそうだとは思っていない
この作品は間違いなく、高い評価をされて然るべき内容だからこそ流行ったのであるし
このブームは単なる話題性による物ではなくポケモンブームの再来だと確信しているからだ


★けものフレンズとポケットモンスターの比較

▼スタッフが創りたい物を作った作品
この二つは、商業作品としては特異な性質を持っている
普通、作品というのは金銭を得る目的で企画されるが、両者は「創る」事を目的に生み出されている

けものフレンズは、商業主義の下で作品が使い捨てられる風潮に疑問を呈し
100年後にも通用するIPというビジネス的な目標はあった物の、余り金銭の事は考えないで自由に創られた作品である

ポケモンもまた、高い販売本数を目標に製作されていた事実はあるが
金儲けをする事よりも「創りたいものを作ってやる」という気概を持って製作された作品だ

つまり、両者は金儲けの為に我々の目の前にぶら下げられた「エサ」ではなく
「俺たちはこういう物を創りたいんだ!」という情熱を持って創られ、我々に提示された物なのだ

別に前者が悪いとは言わない。そういうアプローチでも娯楽は娯楽だし、顧客が楽しめていればそれでも全然構わないだろう
しかしスタッフが自由に作った結果売れたという部分は、両者のブームを考察する上では無視できない要素である

○爆発的な流行の理由は「中身が良い」から
ポケモンは初動が遅く、初期出荷の23万本が掃けるのにも一週間を要していた
だが発売から半年も経たない内に、増産すれば作った分だけ売れるという異様な挙動を見せるようになり、最終的には2000万本も売れたゲームとなった
けものフレンズもまた、アプリ版のリリースから数年が経過しており、アニメも当初は余り人気を見せてはいなかった物の
2話、3話と放送されるにつれて徐々に根強いファンを獲得していき、4話の放送数日後から爆発的に話題となって、その地位を獲得した作品である

両者は共に、広報の力で顧客にエサを食わせている商法とは違い、顧客の側から美味しいエサを見つけて喰らい付いている事例であり
つまり、両者の流行は中身が良いから評価をされた物であって、前述の「創りたい物を好き勝手に作った」に帰結している
どちらとも、口コミが評判を呼んで、万人にその良さが広く知れ渡ったケースである


▼新しい概念を提示した作品
「ポケモン」は、ポケモンと呼ばれるモンスター群の概念を生み出した。そして「けもフレ」はフレンズという概念を提示している
それを言ったらドラクエにだって「魔物」という区分があるし、MOTHERにも宇宙人や、凶暴化した野生動物なんて概念があるのだが
ポケモンやフレンズの概念は「敵」とか「生き物」のような単純な物ではなく、明確な方向性や、色濃い世界観を伴うものでありオリジナリティが強い
もっと言うと、どちらも昔から「あったようで無かった」物を作り出しており、古いのだけれども真新しさがあるのが特徴的である

○生き物の生態をキチンと描写している
二つとも、生き物から姿や名前などの上辺だけを剽窃しているのではなく、製作陣がマニアックな知識を持った上で、愛情を持ってキャラクター化している
例えばポケモンの場合、社長の田尻が昆虫マニアなのは周知の事実だが、スタッフもまた田尻から外国の毛虫の羽化のビデオを見せられたりしており
図鑑というアイテムを通して、ポケモン一匹ずつに、まるで本当に存在するかのような細かな生態描写が行われているのが、ファンから高く評価をされている

ゴースの毒ガスはインド象を2秒で倒れさせ、ポニータのジャンプは東京タワーも飛び越す事が出来る
ニョロモの渦巻きは内臓が透けて見えているもので、アーボックの腹の模様は地域によって様々な変異がある
サンダースは感情が高ぶり易く、怒ると全身の毛を逆立たせミサイルのように発射をし
体毛で電気を増幅させて雷を落としたり、空気中のマイナスイオンを取り込んで1万ボルトの電撃を口から吐き出す事が出来る
ベトベターは月からのX線を受けて海底のヘドロがモンスター化した物で、サイホーンは頭は悪いが体が頑丈で、高層ビルも体当たりで粉々にする

――等々、実在の動物を彷彿とさせる物から、怪獣映画のようなフィクションまで、多種多様な生態が描かれている
ルージュラの図鑑説明なんて、渋谷のガングロギャルを茶化したものである

そして、けものフレンズもまた、アニメーションを通じて動物の細かな習性、特徴を描写したり
「オグロプレーリードッグ」や「アルパカ・スリ」など細かな種類まで特定している事柄などから、スタッフの動物愛を伺える作品である
コツメカワウソが小石を使ってお手玉したり、ハシビロコウが頑として動かずに相手を見つめ続けたりなど
アニメを見た後に原作となった実在の動物について知ると「本当にこんな感じなんだ!」と余計に楽しめる内容となっている

耳や尻尾など、適当にそれっぽい要素をゴチャゴチャとくっ付けて「これは○○です」と主張しているのではなく
キチンと実在する動物からの落とし込みがなされており、だからこそ生まれてきたキャラクターには存在感があるし
世界観には深みがあって、まるでそこにフレンズ達が本当に生きているような感じまでもが伝わってくる


これらの諸要素は、両者が金儲けの為に粗製乱造された物ではなく
「創りたい物を作った」中身がある作品だからこそ得られた特徴であるよう思える
だからこそ両者は口コミによってブームになったのだろうし、流行によって然るべき評価を得た作品なのである


▼朝三暮四を排除した営業戦略
けものフレンズのスタッフが金儲けに余り興味を示してこなかった事は、ネットで読めるインタビューにて堂々と語られているが
ポケモンに関しても、目先の金儲けに目を眩ませてコンテンツを自ら潰すような真似はせずに、キチンと著作権の管理をした上で
石原氏が実際に一つ一つの商品を手に取って、それがポケモンの関連商品である意義を持っているのか審査をして
目先の金儲けに直結するかよりも、長期の視点から見てブランドの育成に貢献するかを最優先事項として、あの何万点もの関連商品に許可を下していた
これと逆の行為をしてしまったのが某タマゴ型の育成ゲームなのであるが、そのブームが何ヶ月で収束したかを考えると、あれは余りにも不幸な事例であった

○メディアミックスありきのコンテンツではない
「ポケモンが流行ったのはメディアミックスが理由ではない」と、ポケモンブーム当時、石原氏が明言している
けものフレンズもまた、最初にあったのはIP(知的財産権)であって、メディアミックスはそこから派生した物に過ぎない
両者は商業的な戦略によって成功したのではないし、戦略的に製作されたコンテンツでもなく、密かに芽吹いた種から大きく花開いたケースなのだ


▼コンテンツに拡張性がある
けものフレンズは原作が「動物」であり、動物の数だけキャラクターを作れ、物語も「ちほー」の数だけ作る事が出来る
ポケモンも言わずもがな、やはり生き物等をモチーフとして際限なくキャラクターを増やした上で、新たな「地方」を舞台に新作を出し続けられる

また、ポケモンは閉じていない作品として、初代の頃から様々な媒体で商業展開をしてきた
交換を主体として、人々の体験の数だけドラマを生み出せるポケモンというゲームは、遊んで終わりではない非使い捨てのコンテンツである
そして、けものフレンズもまた、非使い捨てのコンテンツである。最初に世に出たのはアプリ版であるが、ゲームが原作という訳ではなく
アニメを見て漫画を買って、アニメ版のアンソロジーを買ったらCDやグッズも買って、そうして「実際に動物園に行ってみる」という行為までもが出来る
けものフレンズが切っ掛けで動物に興味を持ったり、その逆もまた然りな訳だ。けもフレは閉じていないコンテンツで、ポケモンに極めて似通った性質を持っている

○現実と非現実の壁をぶち壊している作品である
ポケモンは導入からしてメタ的な演出が行われている。初代では「GBの世界」という単語が作中で用いられており、図鑑の説明などからも
現実世界に似ているが、それとは違っている、現実とリンクをした世界である事が伺える内容となっている
そしてポケモンは、虫取りの擬似体験と、交換という行為を通じて、作中の体験をリアルの体験へと置き換える事が可能な仕組みになっている
ポケモンというゲームでは、リアルの行為がゲームの遊びの一部となっており、現実と非現実の狭間を破壊するような手法が用いられている

けものフレンズでも、上述したようにアニメを見て動物園に行ったり、動物に興味があるからアニメを見てみたりといった遊びが出来る作品である
知っている動物がアニメ等ではどう扱われているのかを楽しんだり、アニメ等に出てきたキャラクターの原作を見て楽しむ行為は
現実と非現実の壁が壊されている事例であり、けもフレはポケモンと同じように「閉じていない」作品だと言えるだろう

ちょっと話が逸れるが、例えばミッ○ーマウスにしろ、ピンク○ンサーにしろ、何かしらの動物をモチーフにしたキャラクターが登場するアニメを見て
モデルとなった動物に強い興味関心を抱いたり、或いは逆に動物からアニメに入って楽しみを得られるような作品が過去にあっただろうか?
作中のキャラクター象を実際の動物に押し付けて期待した末に、空想と現実の食い違いに落胆して、無責任に飼った動物を捨てるケースなら山ほどあったが
けもフレのように「これが本物の○○かー」となるケースは他に無い稀有な事例であるよう思える。まさに現実と非現実の壁が綺麗に破壊されている証拠である

▼ケモナー向けに需要がある
この話はやめておこう。業と闇が深すぎる


▼優しさが特徴的な作品である
ポケモンは子供が「大人」として認められている作品である
ある日、権威ある博士から一匹の生き物を任せられて、ポケモン達から信頼される事で旅を続けていく
他のトレーナーから「子供のくせに」と馬鹿にされる事があっても、実力さえあれば見直して貰える
社会の荒波に揉まれながらも、主人公は他人の優しさによって成長を遂げられて、一人の人間として成長していくのである

けものフレンズもまた「一人一人に得意な事がある」と、万人が絶対的に肯定される世界観の作品である
バスを直す話でもフレンズの仲間は嫌な顔一つせずに、笑顔で車両の運搬作業に協力してくれる
皆が互いを認め合う事によって、違った個性を持っている数々の動物達が、同じ「フレンズ」として仲良く暮らしている
この世界においてフレンズ達が魅力的なのは、相手の全てを無条件に受け入れられる「優しさ」があっての物である
一話の段階ですら、例を挙げたら枚挙に暇がないくらいに、けものフレンズはあらゆる存在に対して「優しい」作品である

○人間賛歌のロードムービーである
ポケモンもけものフレンズも、旅を通じて出会いと別れを繰り返す事で成長をする物語である
色々な人達から優しさを受け取り、優しさを糧として成長する事で恩返しとし、人生を歩む作品なのだ
ポケモンがスタンドバイミーであるのに対して、けものフレンズは最果てを目指す放浪記である違いはあるが
定住型か移動型かの違いでしかなく、本質的にはどちらも旅を通じて成長をする、人間賛歌の物語である


▼監督、社長が個性派である
たつき監督は超人的な仕事っぷりで知られている
仕事がCGで趣味もCG、金を貰わなくてもCGを弄っていて、息抜きに12.1話を「自主制作」で投稿してしまうという謎の超人であるが
ポケモンの田尻社長もまた、24時間仕事をして12時間眠るという鬼のような生活を、初代ポケモン製作時に行っており
言わずもがな、ゲーマー向けのミニコミ誌ゲームフリークの創刊者であり、深い知識を持った根っからのゲームマニアとして知られている

また、たつき監督が廃墟趣味を持っているのは明白で、けものフレンズの各所に廃墟要素が散りばめられているのはファンなら百も承知だが
実は田尻氏もまた廃墟が好きだそうで、子供の頃に市営プールの廃墟に忍び込んでザリガニ釣りをしたり、防空壕跡で昆虫採集をしていたのを始まりに
大人になってからも廃墟巡りを趣味として、作品を創る上で過去と向き合う目的で、色々な廃墟を訪問していたそうである
けものフレンズといったら廃墟であるが、実はポケモンもグレンの研究所や無人発電所など、退廃的な要素が魅力の作品なのである

他、たつき氏も田尻氏も優秀な人間を自然に引き寄せるカリスマ性を持っていて、どちらも同人活動を発端としてプロへと移行した人物である
当人達がどう思っているかは知らないが、どちらもファンサービスが好きな性格なようで、思わぬサプライズで多くのファンを喜ばせる行為を多々している

○少人数で進行したプロジェクトである
けものフレンズは、たったの10人で製作されたアニメである
そして、ポケモンも酷い時には数人、会社の合併でスタッフを増員した後でも十数名で作り切った作品だ

けものフレンズは作品公開時にはアプリも漫画も終了状態であり、割と難儀をしていたようであるが
ポケモンも製作開始から発売までに7年弱(中断期間あり)かかっており、何度も開発中止に追い込まれかけた難産の作品であった
そんな状況から作品を大成功へと導けた、監督社長は間違いなく豪腕の持ち主であり、まさにカリスマといっても過言ではないだろう


★作品に魅力があるからこそ、ファンが着いて来ている
「中身がある作品だ」と最初の方に書いたが、これこそがブームの正体であり
けものフレンズの人気がポケモンのように、一過性では終わらずに100年後でも続いているであろうという論拠である

みんな、流行っているから作品を知れたけれども、流行っていたから飛びついた訳では決してなく
噂を聞いてどれどれと作品をチェックしてみたら「これ好き!」となって、コンテンツを追いかけるようになっているのだ
数ヵ月後には熱が冷めて、もう別の作品に移ってしまっているのかというと、決してそんな事はないだろうし
製作側からすると色々と舵取りが難しかったりもするだろうけれど、多分、数年後でも我々は普通に「すごーい!」とか言っていると思われる

キャラクターが豊富なので続編もスタッフのモチベーション次第で作れそうだし
新しい世代で話を作れるなど拡張性が際限ない作品なので、これで終わりってのは絶対に無い
原作の動物が居て、それを元にした魅力的なキャラクター群がある以上、けものフレンズはいつまでも廃れる事なく愛され続ける事だろう
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