それは主題をあるいは存在を廃墟化する
廃墟、それは見るにまかせながら
全体については全く何も示さない
骨ばった眼窩の穴のように
あいたあの記憶
すなわち、廃墟が全体についてはまったく
何も示さないがゆえにという理由の意味と
全体について何も示さないことを目指してという目的のの意味が。
鏡の中の自分は、自分を恐怖にし自分で
自分を陥れる
それは主題をあるいは存在を廃墟化する
廃墟、それは見るにまかせながら
全体については全く何も示さない
骨ばった眼窩の穴のように
あいたあの記憶
すなわち、廃墟が全体についてはまったく
何も示さないがゆえにという理由の意味と
全体について何も示さないことを目指してという目的のの意味が。
鏡の中の自分は、自分を恐怖にし自分で
自分を陥れる
春風、夜風にも
不快感を確かめる執拗に
私は、吐気
そう、この悪循環に浸っていれば
いいのよ、わたしに穏やかさは
要らない。
さり気なさより、あざとさ。
彼は骨折を一週間放置
痛みに、紛らわせた君の感傷に
失笑し
表現形は異なりながら
あぁ君の分わたしが
理屈に合わないことを思う
夜逃げにしては
片付いているのだけど
ゴミ袋沢山
私より大きい
ひっそりそこにいる私
隠れているのかしら
懐かしく思うのは
わたしが存在する前の時刻
思い出は、ちょっと勘弁
ここの所の癖、腕を絞る癖
駈血帯の感触だわ
針を刺される記憶は
常に心地よいの
失敗されるのが
愉しみだった
針の痕は消える
感触は残っているのよ
実験台になっていた時期も
一人ヘイチャラ
しかし、血、という単語が
使えなかったのは
何故。
今日はあなたに会いたくなかった
と彼に伝える
―そういうときの方がいいものです
早過ぎる春のコート
疑うことを止したわけではないのに
自明なことだと知ったかぶりしたわけでも
ないのに、奇妙な安定
1匹から一人への転換
強く否定する気持ち
出鱈目さ加減を
試す朝、しかし
時間通りに起床
年相応は相応しくないのが
私だったのです。
馴染まない、のよ
どうでもよさは微増
そうなのよ、私は惑星じゃなくて
まだ軌道の観測も終了していない彗星
惑星様に互いに引力や反発をしながらも
恒星の系をなしていない、斜め星
彗星未然かもしれない、隕石。
星になれない、燃え尽きる隕石
どこに墜落するのかしら
墜落自体はむしろ愉しみで
この無間な時空を漂うのに
時折、飽いて
衛星のふりをする
そう、無邪気に、無責任に全幅の
信頼や不審を押し付けられても
わたしは現象だから
限局された場でのことしか
ない、し、ちょっと虚勢を張っては
発熱したり、吐気が。
舞台裏はいつだってテンテコマイ。
仮面の数すら調わない
外見が女っぽい私
追いついていない性徴
たやすく声を声を掛けられ
それは多分、しつこさが
気がないから
自立なんてしたくないし
孤立はしていたいから
あぁ私は日陰の女で在りたい
―女性は生き難いですね
お人形でいさせて
贅沢なお人形で
いつか付き合っていた年配の方に
くどく訊いたものだ
「子どもだと思っているでしょ」
一人前の女性だよ、君は
今になって判る
ホテルに入ったら私は
まっすぐ洗面所で歯を磨いた
その間に彼はわたしの荷物を
片付ける、彼のために綺麗になったのに
そのことでますます生きにくくなったの
それ程親しくもないさよならは
何てすらすらとことばが紡げることか
そう、気を付けてね
寒くなりそうだから
傘はもちましたか
だが居なくなるひとに
笑顔がみせられるのだから
私には小さなさよならなの
惰性で、或いはしがらみで
止むを得ず続く関係に
拒絶、それに限りなく近いもの
冷たい雨の朝
出掛ける
ダウンが脱げやしない
ロッカーの中のカーディガンを着込み
白衣を取り替える
土曜はひと気が薄く
静かな時間
奇妙な習癖を持つ小鳥と話す
一段、落ちついた所で
隣りの怒声
アンプルが上手く吸えない
半分しか引かれない
粘度の高い液体
ねぇ、自転車とライオンと
どっちが強いの
―それは難しい質問ね
寒いとわたしは眠くなる
この冬
気が付いた