贋作 千夜一夜物語

ささいなこと、まぶしいこと、そして時のうつろいなどの夜中閑話
わたしが紡ぐ小さな記憶、物語

『廃墟への傾倒』

2007年01月26日 08時48分43秒 | 覚書き

 

 

   それは主題をあるいは存在を廃墟化する
   廃墟、それは見るにまかせながら

   全体については全く何も示さない
   骨ばった眼窩の穴のように
   あいたあの記憶

   すなわち、廃墟が全体についてはまったく
   何も示さないがゆえにという理由の意味と

   全体について何も示さないことを目指してという目的のの意味が。

 

   鏡の中の自分は、自分を恐怖にし自分で
   自分を陥れる

 

 

 

 


2007年01月23日 23時19分42秒 | me

 

 

 

春風、夜風にも
不快感を確かめる執拗に
私は、吐気

 

そう、この悪循環に浸っていれば
いいのよ、わたしに穏やかさは
要らない。

 

さり気なさより、あざとさ。

彼は骨折を一週間放置
痛みに、紛らわせた君の感傷に
失笑し

 

表現形は異なりながら
あぁ君の分わたしが
理屈に合わないことを思う

 

 

 


夜逃げ

2007年01月22日 20時04分44秒 | me

 

 

夜逃げにしては
片付いているのだけど
ゴミ袋沢山
私より大きい

ひっそりそこにいる私
隠れているのかしら

 

懐かしく思うのは
わたしが存在する前の時刻

 

思い出は、ちょっと勘弁

 

 

 


2007年01月19日 18時41分53秒 | 戯言

 

 

ここの所の癖、腕を絞る癖
駈血帯の感触だわ
針を刺される記憶は
常に心地よいの

 

失敗されるのが
愉しみだった

針の痕は消える
感触は残っているのよ
実験台になっていた時期も
一人ヘイチャラ

しかし、血、という単語が
使えなかったのは
何故。

 

今日はあなたに会いたくなかった
と彼に伝える
―そういうときの方がいいものです

 

早過ぎる春のコート

 

 

 

 

 



『自明性の喪失』

2007年01月18日 08時17分47秒 | me

 

 

疑うことを止したわけではないのに
自明なことだと知ったかぶりしたわけでも
ないのに、奇妙な安定

 

1匹から一人への転換
強く否定する気持ち
出鱈目さ加減を
試す朝、しかし
時間通りに起床

 

年相応は相応しくないのが
私だったのです。

馴染まない、のよ
どうでもよさは微増

 

 

 


彗星

2007年01月13日 22時32分16秒 | me

 

 

そうなのよ、私は惑星じゃなくて
まだ軌道の観測も終了していない彗星

惑星様に互いに引力や反発をしながらも
恒星の系をなしていない、斜め星

 

彗星未然かもしれない、隕石。
星になれない、燃え尽きる隕石
どこに墜落するのかしら

 

墜落自体はむしろ愉しみで
この無間な時空を漂うのに
時折、飽いて
衛星のふりをする

 

 

 

 


限局

2007年01月13日 09時12分37秒 | me

 

  そう、無邪気に、無責任に全幅の
  信頼や不審を押し付けられても

  わたしは現象だから
  限局された場でのことしか
  ない、し、ちょっと虚勢を張っては
  発熱したり、吐気が。

 

  舞台裏はいつだってテンテコマイ。
  仮面の数すら調わない

 

 

 


fake

2007年01月10日 20時17分44秒 | me

 

 

外見が女っぽい私
追いついていない性徴
たやすく声を声を掛けられ
それは多分、しつこさが
気がないから

 

自立なんてしたくないし
孤立はしていたいから
あぁ私は日陰の女で在りたい

 

―女性は生き難いですね
お人形でいさせて
贅沢なお人形で

 

いつか付き合っていた年配の方に
くどく訊いたものだ
「子どもだと思っているでしょ」
一人前の女性だよ、君は

 

今になって判る
ホテルに入ったら私は
まっすぐ洗面所で歯を磨いた

その間に彼はわたしの荷物を
片付ける、彼のために綺麗になったのに
そのことでますます生きにくくなったの

 

 



さよならをいうとき

2007年01月08日 18時16分30秒 | 閑話

 

 

 

  それ程親しくもないさよならは
  何てすらすらとことばが紡げることか

 

  そう、気を付けてね
  寒くなりそうだから
  傘はもちましたか


  だが居なくなるひとに
  笑顔がみせられるのだから
  私には小さなさよならなの

  

  惰性で、或いはしがらみで
  止むを得ず続く関係に
  拒絶、それに限りなく近いもの

 

 

 


冷気

2007年01月06日 18時23分31秒 | me

 

 

 

冷たい雨の朝
出掛ける


ダウンが脱げやしない
ロッカーの中のカーディガンを着込み
白衣を取り替える


土曜はひと気が薄く
静かな時間
奇妙な習癖を持つ小鳥と話す

 

一段、落ちついた所で
隣りの怒声
アンプルが上手く吸えない
半分しか引かれない
粘度の高い液体

 

ねぇ、自転車とライオンと
どっちが強いの
―それは難しい質問ね

 

寒いとわたしは眠くなる
この冬
気が付いた