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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

選抜出場校  こんなこと思い出しました 2017(その10) 最終回

2017年02月22日 | 高校野球

思いつくまま、気の向くままの連載記事も最終回。
『21世紀枠校編』です。

甲子園には縁遠い、取り組みのすぐれた学校を選抜する21世紀枠。
それだけに、甲子園での各校の思い出は、
ほとんどないのが実情です。
それだけ『まだ見ぬ学校』の戦いぶりが楽しみでもあります。

各校の思い出はそこそこに、21世紀枠校の思い出も少し。

 



≪選抜出場校 思い出編10≫



21世紀枠  不来方(東北・岩手)     初出場
                               夏出場なし  

21世紀枠の一つめは、不来方高校。さすがに地名が読めないということはありませんでしたが(高校野球に絡めて、昔から地理が好きなので・・)、この学校が『高校野球』の話題に上がったのは、昨秋が初めて。『何やら10人の部員のチームが、快進撃をしているらしい』というトピックスでした。その時から、『たぶんこの学校は、21世紀枠で選ばれるな』とは思っていたところですので、昨年の釜石に続いて、岩手の高校野球界は沸き上がっていることでしょう。
ところで、この不来方、10人の部員ということで話題になっていますが、ワタシが『少人数の部員で活躍した』ということで印象に残っているチームとしては、なんといっても昭和49年の『イレブン池田【11人】』そして51年の『24の瞳・中村【12人】』が上がります。いずれも四国の本当に過疎地のようなところから出場を勝ち取った学校。当時池田こそ夏の出場が1回ありましたが、中村は春夏通じての初出場。選抜では両校ともに初出場でした。両チームはとてもよく似ていたチームで、『しっかりしたエースを立てて失点を食い止め、攻めてはバントを絡めてチャンスを確実に生かす』という戦い方でした。池田には山本投手、中村には山沖投手と、当時『四国屈指』と言われる投手がしっかりとマウンドを守っていました。そしてはかったように、両校ともに開幕試合を引き当てて、そこで勝利したことから勢いが加速していきました。2回戦は組み合わせ上シードとなっていた学校を破り(当時出場校が30校だったため、2校はシードで2回戦から登場)、準々決勝で『最大の難敵』と当たるというところまでそっくり。池田は延長で倉敷工を、中村は強豪の天理を下しました。そして決勝では、総合力で勝負する近畿勢(池田は報徳学園、中村は箕島)に敗れて準優勝。そして、『準優勝になったがゆえに』敗者の美学を持ち、美しい涙にくれたこの両校に対する世間の目は、いっそう優しいものになっていった……ということなんです。3年とおかずに、図らずも同じような経緯をたどって『全国の決勝』という舞台までたどり着いた両校なんですが、その後の歩みは全く違ったものになりました。
決勝で敗れたことに全く満足せず、強豪への道を模索していた池田は、蔦監督に率いられて『やまびこ打線』で一時代を築いていきます。そこから蔦監督が引退するまでの十数年の間に、優勝3回、準優勝1回などまさに輝かしい歴史を刻んでいきました。一方の中村は、その後今回の選抜21世紀枠での出場まで、一度も甲子園の土を踏めずにいます。その両者のコントラスト、鮮やかすぎて言葉もありません。
一方隠れてはいるものの、この両校よりもさらに少ない、10人という部員で甲子園出場を果たした学校もあります。それが87年の和歌山・大成高校。この学校、当時の和歌山ではなかなかの強さを誇っていた学校で、82年の選抜にも出場していた学校でした。なぜ87年のチームが部員10人しかいなかったのかはわかりませんが、10人で臨む甲子園ということで、なかなか話題になりました。初戦で敗れ去ってしまいましたが、さわやかな一陣の風を起こして甲子園を去ったという記憶があります。
いずれにしても、『選抜でしかありえない』とも思えるこの、部員不足の学校の甲子園出場。不来方高校も、どうか故障、ケガなどには気を付けて、みんなで”聖地”甲子園のグラウンドを踏みしめ、力いっぱい戦ってほしいと思います。





21世紀枠   多治見(東海・岐阜)      初出場
                               夏出場なし

この多治見高校も、高校野球のチームとしては情報がほとんど皆無です。毎年21世紀枠では『文武両道校』といういわゆる”枠”設定がされていますが、そこに今回、全国の中で最もあてはまった学校だったということでしょう。手元の資料を見ると、岐阜県の秋季大会で優勝していますので、力は持っているチームと思われます。一方気になるデータとしては、県大会優勝後、練習試合も含めて12連敗で昨年のシーズンを終わっているということです。冬場の練習でチーム力がどのくらい上がっているのか、期待と不安がないまぜというところでしょうか。
21世紀枠は、一般的には『出ることに意義あり』的な見方がされていますが、ワタシはやはり、出るからにはしゃにむに勝利を目指してほしいと思っています。かつてはこの21世紀枠で甲子園に出場した、あるいは甲子園出場はならなかったものの地区の代表に選ばれた・・・・・・・・そんなことを契機に、一気に実力をつけたチームがいくつもあります。この機会をとらえて、今度は一般枠で選ばれる、あるいは夏の予選を勝ち抜いて甲子園を勝ち取る・・・・そんな力にしてほしいと思っています。



21世紀枠   中村(四国・高知)    2回目(40年ぶり)
                             夏出場なし  甲子園成績 4勝1敗 準優勝1回 

中村高校・・・・・ワタシにとっても、古い高校野球ファンにとっても、本当に特別な響きを持った学校です。≪日本最後の清流≫と言われる四万十川の流域から、はるばるやってきたこの学校は、たった一度の甲子園の舞台で、わずか12人の部員数で暴れまくり、準優勝まで駆け上がっていきました。エースの山沖を中心として、みんながニコニコと笑顔を絶やさなかったチームは、全国の高校野球ファンに忘れられない思い出を作った、と言っても過言ではないでしょう。同じく11人の部員で決勝まで進出した池田高校は、その後すっかり強くなり高校野球の盟主とまで言われたので、高校野球ファンのイメージは、池田といえば『やまびこ打線』とか『最強池田』とか、『イレブン池田』よりもそちらの方にシフトしてしまいます。しかし『たった1回の晴れ舞台』だった中村高校は、中村といえば『24の瞳』として、今でも語られている存在ですね。
その40年前の選抜。開幕戦で戸畑高校を一蹴した中村の2回戦の相手は長崎の海星。海星といえば、前年の夏、あの”サッシ―”酒井投手を擁して4強まで進出。甲子園の話題をさらったチームでした。その海星には、この新チームにも後に阪神で活躍する平田選手がいました。中村を応援していたワタシは、『やっぱり分が悪いかなあ』と思っていたものですが、ふたを開けてびっくり。あっという間に打線がつながって、エラーなども絡んだと記憶していますが、序盤で一気に得点を重ねて快勝。『お~中村、強いなあ』と思わせてくれました。そして天理との準々決勝。その頃の天理は、まだ全国制覇こそ成し遂げていなかったものの、とにかく大型選手をそろえた強打のチームというイメージでした。この大会でも主砲に鈴木康友(元巨人)を据えて、2回戦では前年夏の優勝校である桜美林を全く寄せ付けず一蹴。その力を見せつけていました。そして確か、この試合は≪選抜1000試合目≫かなんかの記念試合で、試合前にはアドバルーンみたいなものを上げた・・・・なんて記憶もあります。試合はまさかの展開で、中村がじりじりと中盤から試合を支配して、逆転してからは山沖の右腕が冴えわたりました。190センチ(ワタシの記憶が定かなら)の長身から投げ下ろす山沖の剛球に、さしもの鈴木らをそろえる天理の打線も、完全に振り遅れてしまって攻撃の形を作れませんでした。(この頃の天理は、こういう試合展開で敗れることが多かったですね。大型チームならではのもろさを内包しているチームで、それゆえに間い大会優勝候補に挙がりながらも、頂点までたどり着くのに、時間がかかりました。)
この準決勝で天理を破ったことで、『中村強し』というのが広まって、優勝争いも混とんとした・・・・という状況になりました。8強の時点までは、『天理、早実、智弁が一歩リード。箕島が僅差で追う展開。』ぐらいの感じで予想されていましたが、中村高校については、優勝争いの中には、中村のなの字も出ていなかったのをよく記憶しています(新聞記事ですが)。それを読んで、中村をすでに”熱烈応援”していたワタシはとても悔しかったので、よく覚えています。しかしこの準々決勝で、天理も早実も討ち死に。勝ち進んだ準決勝では、山口哲司を擁して大型チームの智弁も箕島の軍門に下り、『優勝候補総崩れ』という展開となって、中村高校は決勝に進出しました。相手の箕島は『最強』の名をほしいままにするちょっと前の段階でしたので、『ワタシは中村高校にも十分チャンスはある』と踏んでいました。しかしながら、やはり12人で戦ってきた悲しさか、エース山沖をはじめとして、ナインはこの決勝戦では明らかに疲れが出た状態での試合となってしまい、結局は一方的に押し込まれる展開で0-3と敗れてしまいました。ワタシは、『山沖が天理戦のようなピッチングだったら、十分に勝てたのに』と悔しがっていた記憶があります。この年の箕島については、最後までなんだかあまり強さを感じていなかったもので。
そんな当時の記憶を、書いているとたくさん思い出しますね。中村高校については、4回も校歌を歌うシーンがありましたので、その校歌も当時は完ぺきに記憶していました。

♪雲映す、四万十の青・・・・・・・

で始まる校歌、試しに歌ってみたら、今でもそらで歌えました。(自分でもびっくりです)

さあ、中村高校が、40年ぶりに甲子園の土を踏みます。
近年、ずっと甲子園で会えなかった、ワタシの大好きな学校、次々この春の選抜に、帰還してきています。
土佐高校が帰ってきて、池田高校が帰ってきて、
そして今年、中村高校も帰ってきます。

おかえり~~~~

大きな声で叫んでしまいたい衝動に駆られている、ワタシです。

あ~高校野球ファンやっていて、よかった~。





ということで、10回にわたって、
あ~だこ~だと言ってきた連載、終わりにします。
今年も書いちまった~~~
なんて思っているところです。

選抜までようやくあと1か月。
今年は果たしてどんな大会になるのか。
高松商のように、華麗なる復活を遂げる学校が現れるのか?

はたまた、智弁学園のように、
長年の悲願達成の瞬間が見られるのか?

それとも、清宮を中心にキラ星たちが、
額面通りの大活躍を見せるのか?

同じ都府県での決勝対決が見られるのか?
興味のネタは、尽きることがありませんね。

3月に入って、WBCを見ている間に、
今年は選抜も近づいてくるって寸法ですね。

野球好きにとっちゃあ、たまらない3月になりますねえ。

しばらくしたら、今年の選抜の予想も書きますので、
また見てください。それでは。

(おわり)


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