メジャーリーグ、プロ野球。
ポストシーズンが盛り上がる間、
高校野球界でも【熱い戦い】が繰り広げられました。
春の選抜につながる秋の陣、
今週の関東大会を最後に、
各地区の戦いが終わりを告げました。
夏の新チーム結成後の初めての公式戦。
【新人戦】の色合いが濃い大会なので、
まだまだ各チームとも荒さが目立ち、
これから冬場のトレーニングを経て夏まで、
どのように成長していくのか、
注目して見ていきたいと思っています。
さて、
北海道・東北は10月初旬に、
それから順次11月第1週まで、
秋の大会の総括をしていきたいと思います。
【北海道】《選抜枠・1》
優勝 北照
準優勝 札幌南
北照が久々に制覇。
甲子園をぐっと引き寄せました。
思えば駒大苫小牧の全盛時代。
これを破ろうと毎年毎年素晴らしいチームを作ってきたのが、
北照でした。
いつもあと一歩のところまで追い詰めるものの、
ついにその壁を破れなかったチーム。
満を持して、来年の選抜に登場です。
投攻守にまとまったチームで、
明治神宮大会での初戦、帝京戦が楽しみです。
準優勝の札幌南は、
道内有数の進学校。
素晴らしい快進撃ですが、
あと一歩甲子園には届かずでした。
21世紀枠で選ばれる可能性もあります。
【東北】《選抜枠・2》
優勝 秋田商
準優勝 盛岡大付
選抜枠は例年通り2.
間違いなく秋田商と盛岡大付の両チームで決まりでしょう。
秋田商は、
佐藤を擁して選抜ベスト8まで駆け上がった時以来の選抜を、
ほぼ確定しました。
このチームも投手力を中心とした守りのチーム。
東北大会4試合でわずか1失点と、
強豪揃う他校をほぼ完璧に抑えました。
明治神宮大会での活躍が楽しみです。
盛岡大付属も、
複数の投手力で相手を抑え込んでいく、
バランスの取れたチーム。
ベスト4で敗れた、
本荘(秋田)聖愛(青森)は、
準決勝での戦いぶりは見事だったが、
選抜の目はまずないと見るのが妥当だろう。
【関東・東京】《選抜枠・6》
『関東』
優勝 東海大相模
準優勝 花咲徳栄
ベスト4 前橋工
東海大望洋
ベスト8 桐蔭学園
浦和学院
市船橋
千葉商大付
優勝の東海大相模は、
レベルの低かった関東大会の中では、
唯一『全国で戦える』戦力を誇る。
Max149キロを誇るエース一二三は、
安定感では昨年の慶応・白村以上との評価もある。
打線のレベルも高く、
久々の全国制覇が視界に入っている戦力だ。
準優勝の花咲徳栄は、
五明・松本・山口と3枚の投手陣を持ち、
埼玉2位ながら決勝に進出。
2度目の選抜を手中に収めた。
この上位2校に、
ベスト4進出の東海大望洋・前橋工の2校を加えた4校は、
ほぼ選抜出場確定といえる。
『東京』
優勝 帝京
準優勝 東海大菅生
ベスト4 日大三
都立日野
優勝の帝京が戦力的に一歩抜けていた。
エース伊藤を軸にした強力投手陣と、
破壊力のある打線は選抜でも優勝候補に挙げられる戦力だろう。
難しいのは、2番手だ。
準優勝は東海大菅生だが、
決勝で帝京に13-1で敗れたのは痛恨だ。
試合内容も問われる選抜の選考だけに、
残念ながら圏外に去ってしまったという認識だ。
そうなると浮上してくるのが、
準決勝敗退ながら、
帝京とそん色ない戦力を持ち、
優勝候補の早実にコールド勝ちした日大三だ。
打線の破壊力は東京屈指。
さて、
面白いのがもう一方のベスト4、都立日野だ。
実力的にも申し分なかったため、
接戦となった東海大菅生戦を何とか取りたかったところ。
さあ、
選抜での関東・東京枠は6.
今のところ、
関東の4強と帝京は当確。
最後のイスを、
桐蔭学園と日大三が争う図式だろう。
この場合、
明治神宮大会が大きい大会となる。
順当にいけばベスト4で東海大相模vs帝京の対戦が濃厚。
この両チームの勝った方の地区が、
6番目のイスを射止めそうだ。
もし東海大相模が勝てば桐蔭学園が、
帝京が勝てば日大三が選考を優位に進めることだろう。
そして、
この勝者が決勝でも勝ち『明治神宮枠』をゲットすれば、
晴れて桐蔭・日大三の両チームに朗報が届くはずだ。
【東海・北信越】《選抜枠・5》
『東海』
優勝 大垣日大
準優勝 中京大中京
ベスト4 三重
中京
夏は優勝校を出した東海地区。
その夏の選手権優勝、中京大中京が、
さらにグレードアップする可能性を秘めて3年連続の選抜出場だ。
森本-磯部のバッテリーは、
他を圧倒する可能性を秘めた大型バッテリー。
その中京大中京を破って東海を制したのが、大垣日大。
エース葛西の安定感が抜群だった。
準優勝して以来の3年ぶりの春。
三番手は、
戦力の整う三重が有力。
『北信越』
優勝 高岡商
準優勝 敦賀気比
ベスト4 佐久長聖
福井工大福井
粘り強い戦いの高岡商が優勝。
投手陣も2枚を擁し、
監督お得意の硬軟取り混ぜた攻撃で突き放す。
守備の安定度も地区の中では指折り。
安定感のある戦いで、
ベスト8の壁突破を狙う。
準優勝は敦賀気比。
夏の戦力から大黒柱の山田投手が抜けたが、
かえって打力を中心にチーム力は上がった印象だ。
三番手は、準決勝敗退の福井工大福井か佐久長聖だが、
地域性からやや佐久長聖が有利か。
東海と北信越の代表争いでは、
実績面から見て、やや東海が優勢か。
5校目を射止めるのは、
ズバリ三重高校と見た。
【近畿】(選抜枠・6)
優勝 神戸国際大付
準優勝 大阪桐蔭
ベスト4 立命館宇治
神港学園
ベスト8 智弁和歌山
育英
天理
福知山成美
近畿では、
序盤戦で苦戦を強いられたものの、
力が抜けていると見られた神戸国際大付が順当に近畿NO1の座を射止めた。
近畿優勝ということは、
当然選抜でも有力校のひとつと見られるが、
岡本投手の出来がよければ、
有力な優勝候補と見て間違いはない。
準優勝の大阪桐蔭は、
これから冬場を越えてくると楽しみになってくるチームだ。
相変わらず戦力の厚みは他校の追随を許さない。
投手陣ではエース福本のみならず、
1年生の中野が台頭。
打線の振りの鋭さは文句なく近畿NO1だ。
ベスト4の2校は、
共にコールド負けの準決勝の戦いぶりに疑問は残ったが、
まず間違いなく選出されるだろう。
立命館宇治は、智弁和歌山・東海大仰星の両強豪を破った戦いぶりは見事。
名将・卯瀧監督に率いられ、
強豪ぞろいの京都を制した力は本物。
もう1校の神港学園は、
県大会3位だったために、
選抜のためにはこの近畿大会でベスト4がノルマだったが、
見事にそれをクリアして、
選抜に大きく近づいた。
しかし、
残念だったのは同県対決だった神戸国際大付戦でのコールド負け。
印象を悪くしてしまったのは否めないが、
まず【逆転で選抜切符を逃す】ということにはならないだろう。
難しいのは、
いつも議論を呼ぶ5・6校目だ。
今年の場合、
5校目は天理で決まりだろう。
実績、戦力面からも申し分のない成績で、
選出は間違いのないところ。
同一県から3校の選出はないとの取り決めがあるため、
ベスト8進出校の中から育英は選出されない事がほぼ決まり。
残りの智弁和歌山、福知山成美の両校から、
1校が選ばれる事が有力視されている。
私見ではあるが、
そこに1回戦敗退ではあるものの、
優勝した神戸国際大付属を最終回まで追い詰めた北大津を加えても、
という気がするのではあるが・・・・・。
たぶん◎智弁和歌山 ○福知山成美 △北大津
ということになるような感じだ。
【中国・四国】《選抜枠・5》
『中国』
優勝 開星
準優勝 関西
ベスト4 石見智翠館
広陵
優勝は開星。
昨年も選抜で優勝候補の慶応を破るなど、
ここ数年間戦力は充実の一途をたどっている。
そろそろ全国での実績も欲しい、
というのが野々村監督の偽らざる本音ではなかろうか。
夏の選手権では、
ライバルの立正大湘南が8強に進出と、先を越された格好だ。
今年のチームにかける意気込みはすさまじいものがある。
もうチームの中でも外でも、
甲子園に出るだけでは納得はしないだろう。
狙いを上位においているのは、
明らかだ。
準優勝は、
4年ぶりとなる関西。
一本立ちを狙った2番手・水原投手を立てた決勝こそ敗れたが、
エース堅田を立てた試合はまったく落とす心配もなく、
安定した戦いぶりが際立っていた。
選抜でも有力校のひとつに数えられる戦力を有したチームだ。
準決勝敗退チームの中では、
広陵が一歩リードか。
有利といわれた開星戦でまさかの敗退。
一度は諦めた選抜だが、
状況としては有利な材料が並び、
諦めるには早すぎる感じだ。
打線の破壊力は地区屈指。
一昨年の選手権準優勝チームよりも、
「現時点では上」という評価があるのもうなづける。
『四国』
優勝 今治西
準優勝 高知
ベスト4 岡豊
済美
中国地区に比較して、
今年の四国は『いまひとつ』との評価がある。
しかし、
優勝・準優勝の両校が力を持っているのは確かだ。
優勝の今治西は、
4年連続の春の選抜出場となる。
秋の新チームの作り方が、
実にうまいチームだ。
今年のチームも、
これまで同様突出した選手が引っ張るチームではなく、
全員野球で粘り強く戦う、という野球だ。
準優勝の高知も、
近年進境著しいチームだ。
明徳義塾に押されっ放しだった4年前ぐらいまでとは立場が一変、
常に明徳の先を行くチームになった。
高知中で、
中学野球から全国を知る選手たちがそのまま進学し、
チームの根幹をなすという育成法は、
ここ数年で一気に花開いた感じだ。
今年のチームも、
エース筒井が安定感抜群の投球を見せる。
県大会では準決勝の岡豊戦で延長13回を0封し、
翌日の決勝・明徳戦でも好投。
完全に自信をつけた格好だ。
さて、
中国地区の3位と争うこの地区の5枠め。
どう見ても分が悪い、のは否めない状況だ。
ベスト4には、
岡豊・済美の両校が残ったが、
両校共に戦力に決め手を欠く上、
県大会ではいずれも三位校。
比較で見た場合、
中国地区に5番目の枠をさらわれてしまいそうだ。
【九州】《選抜枠・4》
優勝 嘉手納
準優勝 宮崎工
ベスト4 興南
自由が丘
九州地区は今年も無風地帯。
ベスト4進出校が、
その通りに選抜の切符をつかみそうだ。
大会での最も大きなサプライズは、
なんといっても初出場・嘉手納の驚きのVだ。
誰もが予想し得なかった快挙だ。
九州大会への初出場。
沖縄県大会では、
やや恵まれた組み合わせで決勝まで進出してきたものの、
決勝では興南・島袋に手も足も出ず完敗。
九州大会でも、
初戦の相手が強豪・日南学園。
この状況だけ見たら、
【1回戦敗退】と誰もが思うはずだろう。
しかし、
九州大会に入ってから一皮も二皮もむけたチームは、
初戦に日南学園を破ってから、
波に乗った。
沖縄ではかつて、
八重山商工が、宜野座がそうだったように。
エース池原の毎試合の好投。
勝負どころで【不思議と】タイムリーが出る打線。
破綻しない守備・・・・・。
優勝にふさわしいチームに大変身して、
堂々九州No1として選抜にお目見えする。
準優勝の宮崎工、
このチームもサプライズだ。
九州大会で破ったチームがものすごい。
鹿児島実、福岡工大城東、興南。
いずれおとらぬ強豪チーム。
これらを破ったこの宮崎工、
どんなチームだかぜんぜん情報がありません。
だからこそ、
その興味はMaxまで膨らんでいます。
そして、
強豪の興南は島袋をはじめとし、
今年春夏の甲子園メンバーがずらりと揃います。
甲子園でも有力な優勝候補に挙がるはず。
今年の春夏、
両方とも初戦で敗退したその悔しさを、
選抜で晴らしにいきます。
もう一校もフレッシュなチームが登場。
自由が丘です。
元々の校名は八幡西。
初の甲子園になります。
投手力のいいチームという感じです。
【明治神宮大会】展望
この各地の優勝チームが集って、
11月14日から、
明治神宮大会が行われます。
文字通り、
秋の日本一を決する大会です。
秋のチームの仕上がり具合を見るにはうってつけの大会ですが、
いまひとつ盛り上がりに欠けるのも事実。
しかし、
この大会の優勝校のいる地区に、
【明治神宮枠】として出場枠が与えられるため、
地区大会でボーダーライン上にいるチームにとっては、
まんじりともしない毎日になりそうです。
関東・東京は優勝し枠が増えれば、すんなりと代表校が決まりそうな雰囲気です。
近畿・九州などでは、もし一枠増えれば思いもよらない学校が選出される可能性が大です。
九州・四国も然り。
やはりこの大会も連戦ということになりますので、
ピッチャーが1枚のところは苦しい。
そして、
組み合わせの妙がかなりあると思います。
はっきり言うと、
各校ともあまり無理をして勝ちにはいかないでしょう。
とするならば、
1回戦から出場のチームには厳しいということも言えます。
初戦から登場の4チーム、
秋田商・高岡商・神戸国際大付・今治西は、
多少厳しさが伴う大会になるでしょう。
いずれにしても、
秋の時点での力を図る上では格好の大会です、
注目してみていきましょう。
選抜の選考は1月最終週になります。
それまで、
長い長い時間に感じますが、
来てみればあっという間。
しっかりと鍛えて、
実りの春を迎えるチームは、
果たしてどこの学校でしょうか。