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あげくの果てのカノン【マンガ】

2016年11月22日 | 【マンガ】


本屋の平積みが気になって、1巻をジャケ買いしたものの
読まずに忘れていた頃に2巻が発売。
色んなところで話題作として紹介されており、
流石に読まないのもどうかと思い、今更ながら読みました。

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地上のパティスリーで働く高月かのんは、
高校時代の片思い相手・境先輩と偶然? 再会。
相変わらず優しくてかっこいい先輩から、
誕生日を祝ってほしいといわれるも、
嬉しさとともに戸惑いを覚える。
だって先輩は、わたしだけのものじゃないから――。
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1つの物語の中に混在する
SFと、ラブコメと、ドロドロ、という要素が
一見かみ合わなそうに見えて、きちんと纏まっています。

疑問符が多い物語ではありますが、
読み進めるうちに少しずつ世界観が明かされていくストーリー運びは
非常に上手いと思います。
1巻の終わり方は、「アイアムアヒーロー」的な、気になる締め方。
いやー、2巻買っといて、良かったです。


最初の方だけ、絵がちょっと不安定ですが、
読み手に不穏な気持ちを抱かせたまま、
最後まで読ませる、そして次へつなげる求心力があると思います。
構図とかモノローグも上手。


ただまあ、三十路過ぎの私には
そのエネルギーが残っていないせいか、
はたまた、不倫という題材のせいか、
終始、共感できない話だなあ、と思いながら読みました。笑


各所で紹介されているコピーは
「メンヘラ女子に共感の嵐!!!」みたいなのが多いのだけど、
なるほど、私はメンヘラではないということか。


冒頭から暴走する、主人公・かのんの恋心。

23歳だとしたら幼いとは思うけど、
『拗らせている』という形容詞をここまで体現している主人公は珍しい。

良く言えば、一途、純粋、無垢。
悪く言えば・・・何だろうなあ。頭おかしい、は言い過ぎか(笑)。

既婚者である先輩に高校時代から片思いするも、
自意識が過剰に低すぎるからか、
脳内妄想の域を出ず、相対峙してもテンパりまくりで、
いやはや体力使う恋だなと。
恋愛の醍醐味、と言ってしまえばそうなんだろうけどね。

メンヘラな感情表現描写もさることながら、
1巻の終わりから2巻にかけて
どんどん見た目が可愛くなっていくのは、物語展開ともリンクしていて、
作者の表現力が見事だと思います。
(もちろん、画力の向上もあるだろうけど。)


そして、お相手の先輩。

飄々として、チャラい、というのが第一印象ですが、
読み進めていくうちに、その原因が分かるようになっています。

一応ネタバレなので控えますが。
私はキライですけどね、こういう人。
なので彼にも、少しばかり同情はするも共感は一切なし。


しかしながら。

1巻は、ほぼかのんと先輩の話ですが、
2巻に入り、更に明かされる別の主要人物の内面。
私はこちらの方が好きで。

これはネタバレではないので書きますが、
先輩の奥さんと、かのんの弟君。(特に奥さん。)
2人には結構共感できて、行く末が気になるから、
この先も読んでみようかなと思ったくらいです。

でも、もしかしたらこれも狙いなのかしら。
主役2人の恋路が、
どうにもこうにもならなそうに見えるので、
彼らの破局、からの展開を引っ張るための役回りなのか・・・。
というのは穿った見方かもしれないけれど。


ともあれ、この"非共感"の物語が
どう決着するのかは気になるので、
長くならない程度に追いかけようと思います。

正直、面白い作品ではありますが、
何とも形容し難い、胸糞悪さは感じるので、
人を選ぶ作品だとは思います。

気になる人は是非。

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