本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

エヴォリューション【映画】

2016年12月08日 | 【映画】


@シネマカリテ

あらすじ読んで、気になったので、
レイトショーで鑑賞。
平日夜、という状況も相まってかはさておき、
睡魔との戦いでした。

私は何とか凌ぎましたが、
劇場内では、何人かが睡魔に負けている声が聞こえました・・・。
でもこれは仕方ない気がするなあ。

「解釈が人によって分かれる」と
監督が何かでコメントしていますが
確かにその通りだと思います。
そういうわけで、ネタバレせずに書くのが難しいので
これから観に行く予定の人は、読まない方がいいかも。

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住民は少年と女性だけの島で、
10歳のニコラ(マックス・ブレバン)は、母親と2人で生活している。
全ての少年が不可思議な医療を施されていることなど、
島での日常に違和感を覚えるようになった彼は
夜中に家を出て行く母親の後をつける。
海辺に向かった母親が、
ほかの女性たちと始めたある行為を目にするニコラ。
それを機に、彼は思いも寄らなかった
おぞましい事態にのみ込まれ……。
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evolution【名】
1.《生物》〔ダーウィンの〕進化論
2.《生物》〔変異と淘汰による〕進化
3.〔技術や制度などの〕進化、漸次的な発達
4.《物理》〔熱や気体などの〕放出、発生
5.《数学》〔冪根の解を求める〕開法、開方◆【参考】involution
6.《軍事》〔部隊などの〕展開、演習
7.〔ダンサーなどの〕所定の動作、動きのパターン



キャッチコピーは、『美しい、地獄』。
うんうん、なるほど。

通常、天国に近い描き方をされる美しい海が、
本作では、終始不気味で、不快な存在感を放っています。
その不穏さが観客の不安を煽る雰囲気・映像作りは
監督の手腕によるものだと思います。

美少年と、表情のない美女しかいない、
離島という閉鎖空間で、一体何が起きているのか。


主人公の少年・ニコラは、
こういう世界観の中に存在している割には感覚がマトモで
好奇心旺盛が故に、だいぶ危険を冒すし、
何だったら、ほとんどダメな状態にまで陥りますが、
心を通わせた女性のおかげで、九死に一生、島を脱出します。

そこで流れついた先が、
『ユートピア』か『ディストピア』か、
それは、観客自身の解釈によるところ。

ちなみに私は、「どこへ行っても地獄感が半端ないぜ・・・」と
割と絶望的なバッドエンドと捉えました。


さて。
具体的にネタバレますよ。いいですか。



この島の美女たちは、人間"のような何か"であり、
美少年達は、"新しい人間(生物というべきか?)"を
創り出すための実験に使われています。

その創り方が、異常も異常で。

具体的記述はちょっとはばかられますが、
多くのレビューでは、『妊娠』と書かれていますね。
そうです、少年の体内で、新しい生命体を育て
これを取り出すわけです。


どうですか、気持ち悪くなってきたでしょう。


個人的には、『妊娠』というより『培養』という印象でしたが
正直、映像の気持ち悪さは、文字の比ではありません。


・・・しかしまあ、閉鎖空間ではロクなことが起こらないわー。


あとね、説明不足で、ちょっと不親切。

何でも説明すりゃいい訳じゃないですけど、
「秘密を教えてあげる」と言われたら、
ニコラだけじゃなく、観客も期待するに決まってるのに
確信のセリフは何も言わないし、
見せられた写真も、全っ然、意味わかんないし‼‼

フラストレーション溜まる一方でした。


唯一。
キスで酸素を補給しながら海中を泳ぐ2人の姿は
ああ、これを撮りたかったのね、と思えるくらい
他では見たことのない美しい映像ではありました。
一見の価値は、あり。



タイトルの『evolution=進化』は
生命体の進化を表しているのでしょうが、
その是非は、人類には、判断できない。

"深い"けど、
"不快"さが邪魔して話が入ってこない、
というのが私の正直な感想ではありますが、
それ相応の、重いテーマは込められている作品だとは思います。

テーマとか、不穏さは嫌いじゃないんだけど
それ以上に、好きじゃない類の描写が受け容れられなかったので、
個人的には、あまり好ましくは無かったし
恐らく、人には薦めません。

興味がある人だけ、覚悟してどうぞ。



さて、余談ですが。

この監督の他作品知らなかったので、
wikipedia先生に聞いてみたところ、こう書かれてました。


『配偶者:ギャスパー・ノエ』


・・・・・。
今年一番の、"腑に落ちた"感。


作風、というか、悪趣味(一応褒めてます。)具合が
余りにも共通していて、一人で爆笑。

ギャスパー・ノエの嫁が撮った映画、と言われれば、
この上なくしっくりくる作品です。

それを踏まえて、劇場へ。

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