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お店の閉店時間

ネットでニュースを見ていたら、ベルリンで日曜日に店が営業することを、カトリック・プロテスタント両教会が提訴したという記事をみつけました。東京にいると 「え?」 と思ってしまいますが、私がいたころのドイツでは、お店は日曜日に営業してはいけないことになっていました。町を歩いているのは観光客か散歩する人くらい。

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私がドイツにいた90年代までは、ドイツの店は平日は18:30まで (毎週木曜は20:00まで)、土曜日は14:00まで (第1土曜のみ18:00まで)、日曜・祝日は休み。これは法律で定められていました (閉店法)。

よくよく想像してみてください、平日、毎日18:30にお店が全部閉まってしまうんですよ。そのうえ、当時のドイツにはコンビニもないし、ジュースの販売機もないし、通販もありませんでした。当時私は学生でしたが、もし働いていたら大変だったろうな〜。でもその分、夜は看板などの余分な明かりがなく、暗くて静かです。一日の騒がしさが静まって、個人の時間や家族との時間を楽しんでから就寝できます。テレビはどの家にもあるわけではなく、あったところでチャンネルは2〜3つくらいしかなかったし。家庭用パソコンなんて一部の人しか持っていない、どころか知られてもいないくらいなものでした。本を読むかひたすら語るか、ってところでしたねー。自分だけでなく、よそのお家も町も村も森も、みんな眠りました。車もほとんど走ってないし、人影などまばらもいいとこ。ほんとうですよー!

土曜日は寝坊などしていたら大変です。食いはぐれてしまう・・・。すぐに町に出て、一週間分の買い物をしてお昼には家に戻ってきます。日曜はもちろんどこもかしこも休息、車を洗ったり、庭の芝生を刈ったりしても怒られます。神の安息日に労働をしてはいけないのです。全国みんな休んでいます。

東京で育った私には、始めこれはとても不便なように感じましたが、一方でなぜかとても安心でき、眠りがとても深かったです。生理的なものというか、なんというか。人間の自然なリズム、自然な一日の呼吸にかなっているような気がしました。(ついでにいうと、現地で暮らしていたときは、病気にもなりませんでした。お腹をこわすことも、カゼをひくこともまれでした)。東京は24時間眠らないですよね。自分は寝ていても誰かは起きて動いています。これは意識にのぼりにくいですが、ものすごくストレスになっています。

ところが、この10数年のあいだに、この法律が少しずつ緩和されてきました。ちょうど私がドイツを出た頃なので、実際には空気の変化を体験していないのですが、かなり人々の生活が変わってきたようです。まず平日は毎日20:00までに営業してよいことになりました。土曜日は毎週16:00まで可。これなら便利にもなるし、といって今までの生活の呼吸の基盤は大きくは変わらないし、良さそうです。

でもその後は、土曜日も20:00までになりました。そしてベルリンなどでは、ついに24時間営業のところも部分的に認められるようになり、さらには日曜日営業も年に数回のみ可能になってきたそうです。これは何かが破壊されてしまうペースだと思いました。好きなときに欲望のままに行動できるようになり、熟慮する、いったん考えてから行動する、ということがなくなります。ほんとうは買わなくても良いもの、やりくりすれば必要ないもの、という、自分で考えたり分別を持ったりする機会がどんどん失われかねません。それではよろこびや感謝という、それがあったほうがもっと豊かになる人間らしい機会までなくなっていきます。(東京の都心では残念ながらすでにこうですね。...orz...)。

ドイツの、あの人間の体調にあった生活は、不便でも他の国のサービスより遅れていても豊かで人間らしくて、満足して一日を終えることができたんですよ。なので、帰国後ずっと、東京に住んでいる今でも、私は次々とモノを買い換えるというスタイルにはなりません。(でも実家の家族など、なかなか理解してくれませんよ。貧乏扱いされてしまいます。彼らは家具すら使い捨てという感覚に陥りかけているので。 orz...)。

便利は歓迎だけれども、便利=良いことではない、新しいもの=良いものではない、などと感じる感覚が、ドイツ人にはしっかりとあったのに、いつかはあれも消えていってしまうのかなあ・・・

この閉店法は、消費者ではなくて小売店の労働者の権利を守るために制定されたものです。労働者が長時間労働させられ、自分を見失ったり家族と過ごす時間を奪われないように、保護することが目的でした。それと、日曜日に人々が教会に行くことを妨げられないようにするため・・・

夜はどこの家も家族でやすらぐ、日曜日は国ごと休息、これがどんなにほっとすることだったか!もちろん夜遅くまで営業できないことは、ドイツ経済の停滞を起こしてもいました。宅配便やコンビニのある国とは、どうやってもいろいろな違いが出てきますよね。でもやっぱり、この教会の提訴が通ったほうが良い気がするな〜と思えてしまうのでした。

コメント ( 10 ) | Trackback ( 1 )
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コメント
 
 
 
お休み (あるまんど)
2007-11-23 08:50:04
あむさん、おはようございます。
私がいたころの、ウィーンもそうでした。
土曜日は半日、日曜日はお休みが当たり前のお店。
ウィーン中心にある百貨店も休みでした。
レストランも日曜日に開いているのは一件くらいしか知らなかったです。
一番驚いたのは、お店の「お昼休み」
八百屋さんとか商品そのままで
(シャッターを閉めるわけでもなく)
お昼の2時間は閉店していました。
良く略奪されないな〜っと思っていました。

外国にいる緊張感から病気をしないのかと思っていましたが、思えば、一週間に一度、しっかり休んでいたのですね。
日曜日にピアノを弾いて、隣のFrauに注意されたことがあります。「日曜日はお休みです!」って。
 
 
 
そういえば (樅の木)
2007-11-23 16:49:17
そうでしたね!
Langer Donnerstag、長い木曜日って言ってましたね。わたしも渡独当初は、事前知識があったにもかかわらず面食らいましたが、なれてくるとあれで十分暮らしていけるものでしたね。便利にしようと思えば出来るのに、敢えてしんさいと言うのは内側が豊かな証拠なのかも知れません。
わたしは、クルマに乗っていましたから、日曜日にガソリン・スタンドでビール等を買ったりしてましたけど…… (-.-;)
 
 
 
あるまんどさん (あむ)
2007-11-23 20:54:46
こんばんは!
ウィーンもでしたか〜。町の中心のデパートなどもですよね、そうそう・・・。とくに大型店がしまっていると、静かになりますね。ミュンヘンも、レストランも薬局も、1軒くらいはやってるところもありました。

お昼休みの様子は、ウィーンっ子のほう大胆ですね〜!!八百屋さん、お店あけたまま昼休みですか!!ドイツはだいたいの店が、シャッターは上げてあってもドアのカギは閉まってました。

あるまんどさんも外国で元気だったクチですか!私もです。体調がすごくよくて、体が元気なのが我ながらよく感じられて、驚いたくらいでした。頭もよく回転したのですが、日本に帰ってきたらとたんに働かなくなってしまったな〜・・・(笑)。日曜日はピアノの練習もダメなんですか!受験生も勉強しないんだろうな〜。やっぱりヨーロッパって好きだわ〜
 
 
 
樅の木さん (あむ)
2007-11-23 21:08:55
樅の木さんの頃もでしたか〜。私はレンガー・ザムスタークが楽しみでした〜。あと、Adventのころはクリスマス市が立つので毎週16:00までやってました。
事前知識があっても面くらいますねー!あの不便さ兼豊かさ、よかったな〜。ほんと、あんなペースで、あれだけのモノで、充分回るんですよね!あれは生理的にも精神的にも健全でよかった〜。便利なもの、ぜいたくなものにいつでも手は届くのにつかまない(ブランド名を知らない人も結構いたし)。あれは「すばらしいっ」って感動してしまいましたわ〜。
ガソリン・スタンド、じつは私も同じことをやりました(笑)。あとは大きな都市の中央駅ですか。村になると全滅でしたが〜
 
 
 
Unknown (ありちゅん)
2007-11-23 23:34:31
私は働いていたので、買い物がタイヘンでした〜。しかも日系企業だったので、ほかのドイツ人みたいに
5時にさっさと会社を出ることができない…。だから土曜日に買いだめしていました。ピンチになると駅にまで買いにいったりして。でも、あむさんが書いていらっしゃるように、不思議と慣れますよね。日曜日に用があって日本の実家に電話をしたところ、母が不在だったので電話に出た父に「お母さんは?」と聞いたところ、「マル●ツまで買い物に行った」との返事。「え?日曜日にマ●エツ?」と驚いたものでした〜〜〜
 
 
 
ありちゅんさん (あむ)
2007-11-24 22:41:21
わあ、現地でvollでStelleがあったのですね!(そういえばそうでした、義理チョキの記事ありましたものね)。やっぱり日系企業だと退社しにくいんですね。私は学生でしたけど、土曜日のなかでもレンガー土曜日はほんとに貴重でした・・・。駅は、地下も地上も、以前より充実してきましたよ。日本の雑貨屋さんみたいなものまで結構あります。
それにしても、あれだけ不便なのに、うまく毎日が過ごせてうれしかったな〜。私も帰国後、また別の意味でいろいろとオドロキの連続を体験しました〜
 
 
 
日曜日、しっかり休みたいです・・・ (nona)
2007-11-30 11:38:19
ドイツの暮らしぶりは本当に素敵ですね。日本でも日曜日や夜間に国をあげて休んだら素敵だろうな・・と憧れてしまいます。
6働いて1休むというリズムは1週間だけでなく、(夏休みを52日とすると)1年、一生など、人間の様々なサイクルにも当てはまっているような気がします。
便利とかゴージャスといった物質的な豊かさの誘惑に負けた時、損なわれた「本当の豊かさ」をさらに物で補おうと悪循環に陥らず、「本当の豊かさ」の大切さに気づけるとよいのですが。
便利すぎると考えて行動する機会が失われる、ということを、私も時々感じます。
今と違ってお正月にすべての店が閉まっていた頃、年末の買出しは真剣でわくわくしましたし、学生の時、洗濯機のない長期合宿でやった「たらいで足踏み洗濯」など、不便さへの対処もけっこう楽しいものなのですけどね。
 
 
 
nonaさん (あむ)
2007-11-30 21:52:19
こんばんは。
そうなんです、国をあげて休んでいる感覚って、ものすごく大きく作用するんです。ほ〜っとして休めますよ。外も静か、近所の道には、散歩をする家族くらいしかいません。動きと休みのリズムのバランスを取り続けられる社会・土地にいると、心も身体も頭も自然と健康を維持できるように感じました。周期って、あちこちに見られておもしろいですね。なんだって、一様は良くないですよね。

便利さも享受すべきですが、便利はしょせん便利、豊かさとイコールというわけではない、というところが落とし穴ですね。このごろの人は、思考は早いけど、便利な思考をするでしょう?あれも便利なだけ!豊かではないし、自分を失っているのに気付いてなくてて、コワイですね!

そうそう、年末の休みの感じ、あれです!あれが毎週あるんですよー。台風で停電したときのローソクとかもワクワクしました!足踏み洗濯、楽しそうですね。体全体を使って、仲間とやるってところも良いんでしょうね!
 
 
 
Unknown (おくら)
2007-12-04 00:04:00
 便利すぎる生活の中にいて、かえって忙しいという感じがします。なくても何とかしたり、我慢するの
が苦手というか・・。そしていつまでこの便利さが続けられるのだろうかと考えた時、豊さ、便利さもちょっとしたことで崩れていくもろいものに思えます。
 ヨーロッパのお家って、食糧倉庫があって小麦粉やらザウアークラウトやらジャガイモが備蓄してあるって聞いたことがあるんですけど。
 日曜日、深〜い眠りから目覚めてこない上の娘を起こすべきか、起こさぬべきか〜。日本にいながらドイツのような深い休息を味わえるのも今だけかしら。
 
 
 
 
おくらさん (あむ)
2007-12-04 18:18:40
「かえって忙しい」、私も実感します。あいた時間を作り出しても、なんとなく消費してしまったり、次のことを繰り上げて始めてしまったり。ぼんやりすると、あっというまに便利さに人間らしさをとられてしまいます
食料倉庫、ありますよー。酢漬けの瓶詰めや、夏に作ったジャム、麻袋に入った野菜、ケース(1ダース)のジュースやミネラルウォーターなどがゴロゴロしてます。冬は雪が深いので、車があるとは行っても、買いだめしておいたほうがラクなのです。土日は休みだったし。
日曜日の起床は、考えてしまうところですね。それでなくても今は子供も学校で抱えるストレスも多いでしょうし・・・。でもやっぱりよく休むことは大切、と感じてしまいます(自分が年だからかも・・・)。
 
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