新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の14年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

貧血と症状について(患者さん用):動機、息切れ、めまいなどに関して

2017-04-23 13:25:45 | 医学系

こんにちは

 

これから少し、患者さん向け「症状シリーズ」みたいなものを書いてみようかと思っています。

 

これは次に書く予定の本とは関係ないのですが、少し自分の考えをまとめるのにも使用しております。と同時に、人に役立つようにするならば「症状」ごとに少しblogに書いてみるのが良いかなと思ったので、このようなものを書いております。

 

最初は「貧血」に関してです。基本的に貧血の症状、それが起きる理屈そう言ったものを書いていきたいと思います。

 

貧血とは?

最初に「貧血とは何か」という話ですが、貧血は「赤血球が不足して、酸素運搬能力が低下した状態」になります。

 

酸素を体に取り込むのは「肺」の役目ですので、肺が悪くなると「赤血球があっても、酸素が足りなく」なります。当たり前と言えば当たり前です。

 

酸素を製品と考えて、肺が工場だと思ってください。酸素生産工場(本当は取り込むんですけど)である肺から酸素を運搬し、各家庭(身体中の細胞)から出たゴミ(二酸化炭素)を肺にある処理工場に運ぶ(ダンプカーみたいなもの)。それが赤血球の主な役割です。

 

この酸素や二酸化炭素を運ぶのは「ヘモグロビン」と言われる赤血球内にある物質が担当します。そのため、貧血の定義は「ヘモグロビン値」によります。

あえて、値を書かなかったのは「正常値」を下回れば貧血なんですが測定する機械によって異なることと、血液疾患における貧血の定義が少し異なるので数値は書きませんでした。

診断についてはこちら(笑

血液内科ただいま診断中!
クリエーター情報なし
中外医学社

 

ただ、機械によって異なることを前提に書きますと、男性はHb<13g/dl、女性<12g/dlくらいではないかと思います。

 

貧血の症状はなぜ生じる?

さて、貧血の症状の有名なところは「めまい」「動悸」「息切れ」などだと思います。

これらはなぜ生じるのでしょうか?

 

ヘモグロビンが少ないから・・・・

 

と、書いたら怒られますので、一つ一つ理屈を書いていきます。

 

順番が変わりますが、最初に動悸から。肺から取り込まれた酸素が各細胞に届けられるには十分な「赤血球(ヘモグロビン)」が必要になります。肺で100の酸素が取り込まれ、今までは100の赤血球が運搬していたところ、様々な理由があり50になったとします。

 

そうするとどう対応したら良いでしょうか?

 

体は2つの方法をとります。

1つ目は100の酸素ではなくて、もう少し利用を減らします。80でいいよ〜という感じにします。そうすると貧血でも十分運搬できるではないか・・・となります。

2つ目は心臓が頑張っちゃいます。心臓は今までは1分あたり70回で動いていたけど、頑張って100回にしちゃおうかな・・・と思います。

 

心臓が頑張ると脈拍が上がり、動悸を感じたりします。

 

息切れを感じる理由はもっと単純で、酸素の運搬能力が低下しています。上のようなメカニズムで、うまく調整をしていますので、「余裕」がほとんどありません。そうすると階段を上るくらいの簡単な作業、運動で息切れしてしまいます。

 

日頃の運動不足というのもある人がいるかもしれませんが、今までは感じていなかったのにこの程度のこと(階段上り下り、軽いジョギング)で息切れするなんて・・・としたら要注意です。

 

笑い話ではないのですが、マラソンの練習に急についていけなくなった・・・と言っていた方が急性白血病だったことがありました。ちなみに主訴が嘔気(カルシウムが上がっていました。危なかった)だったので、このマラソンの練習の話は採血をして診断のめどが立った後に聞いた話です(汗

 

めまいに関しては「立ちくらみ」のような「ふわっ」としためまいは「脳への血流不足」「脳への酸素不足」「脳への糖分不足」によります。貧血のめまいは「酸素」を最も使う「脳」が酸素不足を感じて起きる「めまい」になります。

 

これが貧血でよく起きる3つの症状の原因になります。

 

他の症状

さて、貧血の原因によって他の症状がいろいろあります。

 

例えば鉄欠乏性貧血では異食症が有名です。氷などを無性に食べたくなったりします。ちなみに鉄欠乏性貧血は若年女性が中心です。20歳から49歳までの女性の20%は鉄欠乏性貧血と言われています。

貧血(鉄欠乏性貧血)の患者さんに対する説明(患者さん向け)

 

他にたまにあるのですが「ビタミンB12欠乏性貧血」などもあります。

胃切除後や胃の内因子と言われるビタミンB12を吸収するときに使われる物質が何らかの理由で出なくなった時に起きます。LDHと呼ばれる値が正常値の10倍くらいに上がる他、神経の材料でもあるため神経系の症状が出ます。

30%の患者さんにしびれなどの症状が出る他、ご飯が美味しくなくなったとか、まっすぐ立てない(Romberg徴候)などがでます。白髪が増えるとも言います。ちなみに年齢は60歳以上に多いとされています。

 

再生不良性貧血と言われる「白血球」や「血小板」も減るようなものはそれに伴う感染症(熱が出るなど)や出血があります。

僕の再生不良性貧血の説明(患者さん向け)

 

他に骨髄異形成症候群では白血球や血小板が減る症状以外にも、様々な症状が出ることがあります。異常な白血球などがそいつら自体が発熱(腫瘍熱)したり、肺などに入って行ったり(器質化肺炎)、肺で除去するべきものを除去できなくなったり(肺胞蛋白症)・・・。

骨髄異形成症候群の説明(患者さん向き)

 

当然、急性白血病や貧血を伴うことの多い、他の腫瘍性疾患もあります。

 

さて、今まで書いてきた病気は主に「赤血球が作れなくなる病気」ですが、他に壊される病気もあります。まぁ、出血もありますが・・・赤血球が体内で壊される病気を「溶血性貧血」と言います。

 

溶血性貧血は体の中で赤血球が壊される病気です。壊された赤血球の残骸は回収しきれない場合、腎臓に悪さをします。その結果、腎臓の機能が低下します。他に尿の色が濃くなる(ビリルビン尿:どちらかというと茶色に近い色)があります。

溶血性貧血の話(患者さん向け)

 

医師は貧血の症状に加えて、どんなものがあるか、年齢は何歳か・・・など様々な状況から「診断」を推測し、確定します。

 

貧血がらみで参考になれば幸いです。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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6 コメント

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そういえば (女王様)
2017-04-25 04:55:23
だるいのは肝臓か腎臓か と悶々としてましたが。
そういや赤血球もヘモグロビンも下がっていたからだー! とハッとしたところです。
ヘモグロビンが9.5
以前動物病院で ヘマトクリットも貧血の指標だ と言われていて、これが30。
道理で 息切れやしんどいワケです。
気持ち悪かったのも これが一因かも知れない。

グリベック開始したときは もっとひどかったんですよ。
ヘモグロビンは8台だったし、ヘマトクリットは28しかなくて階段や坂が上がれなくて。
夏だからこんなにかったるいのかな?としか感じていなかったんですが 周囲から口々に「顔色悪いよ」「唇に血の気がないね」って心配されてました。
あまりにも息切れするので 喘息が出たかと思ったくらいです。
ヘモグロビン低いと サチュエーションも落ちるんですよね?

貧血でつらいのに AMPは600とかから下がってくれなくて。反応が遅いタイプらしく絶望的になったものでした。
この病気、薬治療しないほうが元気なんですよね(笑)。
今思えば、多少のぼせがあったり、猛烈な寝汗かいたり‥。
年齢的に いよいよ更年期かなー と落ち込んでいたものです。

グリベックの酷い貧血のとき、市中病院の医師が
エリスロポエチンを注射する手段もあるけど、ドーピングでアウトになるよ? と。
……。
もちろん冗談ですが(面白い主治医でした) つい「それはマズイですねー」と答えてしまった私。
鉄も葉酸も充分足りてるし、様子見になりましたが。
結局グリベックを減らし なんやかんやで今に至り、タシグナを休んだ最近のほうが使用中より貧血になっているのが不思議です。

こういう貧血は、意外にフラフラ~ の立ちくらみはないものなんですね。
船酔いのほうがずっと フラフラくらくら 文字通りの冷たい冷や汗タラタラでした。
「吐くなら海へ!!」と怒鳴られ いわゆる撒き餌を‥。
私の撒き餌のおかげで 隣り合わせたオジサンにイサキが来ましたよ。

5月になったら早々に 血液外来があります。
投薬再開です。 タシグナ1錠からにするかスプリセル最低量にするか 。
少しでも肝臓腎臓に負担が少ない薬を考えてくれているみたいですが、これがなかなか。
ないですねぇ。
逆にいえば 肝機能が落ちて代謝出来ずに体内に残っていて、だから休薬しても維持できてたのかも?

連休は静かに読書、です。
藤沢周平は「たそがれ清兵衛」とか キムタクが全盲の役をやった「武士の一分」なんかを書いた方です。
庶民や下級武士の悲哀や歓びを描くような やわらかな時代小説ですよ。 一度お試しを。

追記
アンフェタ先生の本がなかなか見つからず、作家名から検索していったら「失楽園」にたどり着いてしまいました(汗)。
あの方も札幌医大の医師だったようですから 強ちズレてはいない‥かな。
貧血の原因も色々 (アンフェタミン)
2017-04-29 08:57:33
>女王様さん
おはようございます。コメントありがとうございます。

確かに貧血が進めば息切れ、動悸などの症状が出ます。それに伴い嘔気も出るかもしれません。
ただ、サチュレーション(SpO2)は高くなりやすいです。これは酸素化の指標で肺の状況を示します。肺から酸素が100来て、赤血球が90だったら酸素は赤血球に対して過剰です。ということで、貧血が進むとSpO2は上がりやすいです。

SpO2は赤血球あたり、どの程度酸素が結合しているかを示す数値ですので・・・。

女性は貧血が進む原因は色々ありますので、一概には言えません。ただ、腎機能も悪化しているならばエリスロポエチン投与は検討になりますし(貧血のレベルに比較して、エリスロポエチンが出ているかどうか)、血液の病気もありますので。

藤沢周平さん、本屋で探してみますね。

また、コメントいただければと存じます。
勉強になります (女王様)
2017-05-01 19:39:22
てっきり 酸素を運ぶのがヘモグロビンだから 血中酸素は減るものだとばかり。
息切れも それ故だと思っていました。
人間の体は不思議ですね。

貧血=低血圧 みたいな思い込みがありましたが、現状 高血圧なのに貧血状態で「?」って感じです。
ついCMLの悪化につなげてしまいますけれど あれこれ調べていくと腎臓の高血圧もあるし、腎性貧血 というのもあるんですね。
アムロジピンにレニベース5を足しても 160/100もある。
頑張って塩分をとらないようにし、軟水をたくさん飲んでいるのにこれ以上どうしろと。

やっと少し肝機能が戻ってきてくれたのに クレアチニンは上がってゆく。
思うようにいきませんねー なかなか。

連休谷間の火曜日は 腎臓内科の外来です。
行ったところで薬をどうするかしかないし、肝臓を考慮すると選択肢も少ないので 医療費が嵩むだけな気もしますが‥。
高額医療証って 各病院はわかっていましたが 科も別計算なんですね。 同じ市中病院で 腎内科、呼吸器科。整形外科… 合算なら適用なのに! とちょっとガッカリです。

アテロームは 薬で散らせないから取っちゃおう! とサクッとえぐり取られました(泣)。
袋も切り取ったので ちょっとした手術です。
抗生剤や鎮痛剤の投与もできないので、自分で毎日消毒してガーゼ交換するよう言われてきました。

ポンコツは連休もなく通院です。
お金と時間を工面した甲斐があれば いいなぁ と願うばかりです
うまく検査や処方を統一できないかと (アンフェタミン)
2017-05-02 22:11:19
>女王様さん
こんばんは、コメントありがとうございます。

血中の酸素濃度はPaO2と言ってまた別の指標になります。SpO2はそれを推測するものになります。

腎臓や高血圧の話を伺うと、中々難しい状況だと思います。もちろん、透析患者さんのCMLの患者さんもいましたし、治療はいかようにもできると思っています。逆に透析まで行ってしまうと如何様にもなる感じで、クレアチニンが1.5~2.5くらいというのは非常に気を使うと思います。

診療科ごとでは高額療養費にならなくても、薬や検査をどこかの診療科で統一して出してしまえば、対応できそうな気がしますが、そういう話は出ない感じでしょうか?

お身体をお大事になさってください

また、コメントいただければと存じます
溶血性貧血の酵素異常の者です (ねずこ)
2017-07-27 23:38:44
はじめまして、こちらに失礼します。
私は先天性溶血性貧血の酵素異常の20代女性患者です。ヘモグロビンは常に7〜8ですが、そんなにしんどいと感じたことはありません。
ところで、今は治療法がないので半年に一度大学病院に通っているのですが、主治医に妊娠出産について聞いても、産科と連携が取れていないためか返事が返ってきません。果たして溶血性貧血の酵素異常の患者に妊娠出産の事例などはあるのでしょうか?重症度にもよるのかもしれませんが、このまま年月が経ち諦めるのも腑に落ちずコメントさせていただきました。個人的なコメントで申し訳ありません。
個人的なコメントでOKですよ〜 (アンフェタミン)
2017-07-28 06:26:14
>ねずこさん
おはようございます。コメントありがとうございます。

先天性溶血性貧血で酵素異常ということですが、ピルビン酸キナーゼ欠損症でよろしいでしょうか?もう一つ日本で多いもの(G6PD欠損症)がありますが、こちらは普通男性なので。

いずれにせよ、妊娠・出産は普通にできるはずです。遺伝されていくのは妊娠・出産が可能だからです。
実際に症状がないので診断されないまま妊娠・出産されている方もいると思います。

ただ、おっしゃられているように重症度によっても変わると思いますし、新生児期の対応もあると思いますので、主治医の先生とよく相談されてください(小児血液ですよね?)。

先天性溶血性貧血は血液内科よりは小児血液で見ていることが多いです。大人になっても。僕も数人の患者さんしか、診療したことはないので、実際の患者さんを例にした細かい説明は難しいです。

また、コメントいただければと存じます。

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