日々妄想

最近活動してないのでGNOの看板取り下げます・・・

モノクロ ~HY~

2008年08月19日 | 音を探して
君を想うと胸が締め付けられて、息も出来ぬほどに苦しくて
張り裂けそうで叫びたくても、俺にそれは出来なくて
誰かに苦しい思いを伝えたくても、そうする事も出来なくて
笑顔を見せていても、心の中で苦悶して・・・

この思いが届くのならば、毎日でも届けたいのに

君が好きです!!



今日もいつもの時間、いつもの店のいつもの席で、
いつものようにコーヒーを飲む君。

やはりいつもの時間、いつもの道を、いつものように通りすぎるだけの俺。

もちろん君には気がついていたさ

ただ俺に勇気が無いだけ

時間だけが虚しく経過していく



仕事で疲れた頭を癒すためといつものバーへと立ち寄る。
いつも1杯だけのつもりが、ついつい長居をしてしまう。

いつまでも現実という名の色が付かないモノクロな妄想話を仲間と話すのが楽しいせいだ。

いつものように、扉を開き、マスターに挨拶し、カウンターに座るといつもと違う出来事が・・

君が居る!

不意な偶然に喜びを隠せない僕の顔に気がついた常連客がどうしたんだと不適に笑う。
なんでも無いと頭を振りながらさりげなく視線は君へ。

常連客と談笑しながらすでに一時間。
君は待ち人風にドアが開く度に振り返り溜め息。

つられて俺もふぅ。

待ち人は友達?それとも…

さらに一時間が経過し、いまだ現れる気配は無い君の待ち人。
ちらちらと彼女を目で追う僕に気付いたのかマスターが彼女に近付きなにやら話しかけ、こちらを指さす。

さっきまでとはうって変わった笑顔を携え君が近付いてくる。

胸は高鳴り、なんと声をかけたものかとうつむいてていると

「はじめまして」

と爽やかな声。

しどろもどろになりながら、こちらこそと顔をあげ君の目を見る。

「あれ?いつもカフェの前を通る人?」

これは驚き!君が俺を知ってたなんて。

何を話して良いのか分からず天気やテレビの話をしてお茶を濁す俺
聞きたかった事が二つあったのに、どうして俺はこうも話し下手なんだろう?
自分がもどかしい。

「もうこんな時間ですね」

時計に目を落とし、ちらりとドア仰ぎ見る君。

「待ち人?」

「いいえ、癖なんです」

「癖?」

「習慣みたいなものかな?」


やっと一つ聞き出すチャンス到来。


しかし…


「もう遅いですしまた今度機会が在ったら」

意味深な笑みを残して帰ってしまった。
結局、名前も聞けずじまい。

マスターによると、ここで待ち合わせ中に彼氏が交通事故に遭い帰らぬ人になったとの事。
この店に居ると、勢いよくドアを開け、ごめんごめんと彼が現れる錯覚におちいるんだとか。
もしかすると、あのカフェも彼との想い出の場所なのだろうか。


翌朝またいつもの場所に君が居る。

いつもと違うのは君が微笑み手を振ってくれる事。
自分勝手に悩んでいても始まらない。

もう、モノクロ番組のように知らない、遠い世界の登場人物ではなくなった君


今日こそ君に告白するぞ、君をカラーな世界に連れ出してやる!



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