フレンチ・アメリカン日和

アメリカ在住、フランス人の夫を持つ日本人(女・30代)です。日々のことを綴っていきたいと思います。

新しい仕事に乾杯!!

2005-02-26 08:09:29 | 仕事のこと
ヒマだ、ヒマだと喜んでいたこの1週間ですが、またそろそろ仕事が立て込み始めました。来週は40ページ弱の翻訳の締め切りと、丸2日間のミーティングの予定が入りました。でもこの1週間は何だか思いがけないお休みみたいで、本当に嬉しかった!!

来週の仕事は、ずーっとくすぶっていた新規契約がやっとのことで成立して、その絡みでの初仕事というエキサイティングなもの。この契約は、プロジェクト毎のいわゆるスポット受注ではなく、月々お給料のような形である程度まとまった額の報酬を頂きながら継続して仕事をする、という長期契約に繋がるもので、コンサルタントとしては願ってもいない理想的な形態です。いわゆる「リテイナー制」と呼ばれる形態ですが、私は過去数年間、この「リテイナー制」を取ってくれる顧客を最低でも3社獲得するという目標を掲げ、奔走してきました。そしてめでたく今回、遂に3社目獲得!!!感謝感激です。これからはスポットの翻訳やイベント・会議のお手伝いなどの受注は大幅に減らしつつ、「リテイナー制」を取ってくれるありがたいお客様向けの仕事をさらに充実していくつもりです。

それにしても仕事が入って嬉しいという感覚って、正直、会社員時代にはありえなかった感覚ですよ。昔は同じお給料がもらえるなら(勿論残業代の差は出るにしても)仕事がヒマならヒマなほど嬉しかったもの。「忙しいのが嬉しい」というのは、少なくとも私個人にとっては、やはり自営業ならではの新鮮な感覚です。(ちなみに会社員でもし「忙しいのが嬉しい」という方がいらしたら、私、本当に尊敬してしまう。)

とにかく私を支えてくれている家族、友人、知人、そしてこのBlogを暖かく見守って下さっている皆様に感謝!!今夜は我が家はシャンペンで乾杯です。皆様もよろしかったらお好きな飲み物で今日はお祝いしてください:)私のために、と言うより、単に美味しいお酒を飲む口実って、あればあるほど嬉しくないですか???

カテゴリー分けしました!

2005-02-25 07:31:30 | 日々のこと
今日はヒマに任せて、遅まきながら本Blogのカテゴリー分けなどしてみました。「レシピ・お料理関連」「日々のこと」「うちのフランス人」など、話題別に分けましたので、私のBlogに途中から遊びに来てくださっている方々も、過去Logにアクセスしやすくなったのではないか、と思いますので、是非覗いてくださいね。なにげに人気のある「うちのフランス人」。。。やはりキャラクターが強烈だからでしょうかね???ちなみに「うちのフランス人」はあくまでも固有名詞であり、世の中の全てのおフランス出身の方々がこんなだとは思わないで下さいまし。世の中にはきっと、ベルサイユ城を背景に大輪のバラを背負いまくったオスカル様や(オスカルは女性だっつーの)アンドレのよーなフランス男性がいるに違いない。。。きっと。。。。

話は変わりますが、北カリフォルニアでは今日で雨の降らない日が3日目ですが、コバルト・ブルーの雲ひとつない晴れ間は最初の日のみ、あとはどよーんとした今にも泣き出しそうな曇天が続いています。そして、私は昨日から日本の花粉症と同様の症状に苛まれ、昨日は午後いっぱいで一人でティッシュ・ボックスを空にしてしまいました。。。地元紙には一応毎日花粉指数なるものが掲載されているけれど、確かにTree(木)の花粉指数は連日「High」を記録。たまに雨が降らないと、ここぞとばかり様々な木が花粉を飛ばしまくるのでしょうか。(ちなみにこちらへ越してきたばかりの頃、花粉指数の存在など知らず、毎日地元の新聞に「Tree: High」 「Grass: Low」などと書いてあるのを見て、「木が高いのは当たり前、草が低いのは当たり前、今さら新聞で何言ってんだ、コラ!!」と一人で突っ込んでいた、大ボケの私。背の高さの話じゃないっつーの。。。)

日本では今年のスギ花粉の飛散量は、例年の20倍だか30倍だかと聞いていますが、本当にそんなに酷いですか???花粉症の皆様、どうぞお大事にお過ごしくださいませ。



スージーの足

2005-02-24 09:12:35 | うちのフランス人
我が家の近くに、飲茶のなかなか美味しい大衆的な中華料理の店がオープンしました!うちのフランス人が、久々に飲茶を食べたいというので、昼間に待ち合わせて一緒に食べることに。飲茶と言えばこれまでうちから車で30分くらい離れた中華スーパーの近所の飲茶屋まで行かなければならず、且つお味のほどはまあまあ、という程度だったので、この中華料理の店の存在はとても嬉しい!

中に入ると12時半を過ぎているというのに、お店ががらがら。意外だなぁと思いながら注文を始めると、そのうち、がやがやどやどや、15分も経過する頃にはほぼ満員御礼状態。たまたまその近辺の人の昼食の時間が遅かっただけなのかもしれないけれど、私たちには何故かこういうことが頻繁にある。ワイナリーでもレストランでもスーパーでも、平日でも休日でも、入った時はがらがらなのに、5分か10分経つか経たないかのうちにがやがや、どやどや、あっという間に満員御礼。自意識の強いうちのフランス人などは、「皆、僕達の後をついて回って、同じことをしたがるんだよね。et moi, et moi, et moi(「私も、私も、私も」)ってさ!」などと言っていますが、これはどういう現象なのでしょうね???

とにかく一足先に到着していた我々は、さっさと餃子やシューマイ、スペアリブの黒豆ソース、海老入りクレープなどの小皿を注文。そして、うちのフランス人の大好物の鶏の足の蒸し物。。。そう、「スージーの足」です!!結構「そのもの!!」って感じで原型を留めまくっている蒸し物ですが、豚足なども大好物のうちのフランス人は、手と口の周りをべたべたにしながら、濃厚なソースと共にとろとろと柔らかく蒸しあがった鶏の足の指をしゃぶって食べるのが何よりも好き。私も嫌いではないけれど、先日不覚にも直視してしまったスージーの足の記憶が生々しく、他にも好物があることもあって、今日は彼が一人で食べていました。でもどれもこれもアメリカの飲茶屋にしては、なかなか美味しい!!

色々なお皿があらかた空になり、最後の鶏の足をしゃぶり終わったうちのフランス人が、べとべとになった両手をしげしげと眺めながらおもむろに言いました。「さて、と。。。トイレにも行きたいし、ちょうどいいから手も洗うんだけど、する前に手を洗うべきか、した後に手を洗うべきか、それが問題だ。キミはどっちが効率的だと思う?」
せっかく美味しい食事の余韻に浸っていたのに、何と言うくだらない発言で、素敵な気分を台無しにしてくれるんでしょうね、全く。思わず冷たく無視したら、そそくさと立ち上がって席を外し、戻ってきたと思ったら誇らしげに宣言。「解決法が聞きたい?勿論、前にも後にも洗うんだよ!!!」
当たり前だーーーーーーーーーーー!!!!!

なんか、こんなヤツに食べられちゃって、スージーも浮かばれないなぁ。。。でも飲茶は本当に美味しかったです:)

雨のち晴れ

2005-02-23 03:57:38 | ちょっと真面目な考察
日本から帰ってきた翌々日あたりから降り始め、休みなしに降り続いていた雨が今日、10日ぶりくらいで綺麗に上がりました。朝起きて、ブラインドを開けた途端、真っ直ぐに目の中に飛び込んできたコバルト・ブルーの空!!やっぱりいいお天気というのはいいですねぇ。思わずはだしのままベランダに出て、深呼吸。北カリフォルニアの冬に雨はつきものと言うものの、今年の冬の雨量は例年の冬の2倍を越えています。土砂崩れなどの災害の続く南カリフォルニアでは、4倍に達しそうな勢い。砂漠気候のカリフォルニアでは、人間の健康のためにも作物のためにも雨は欠かせないけれど、こう極端に降り続くとちょっとかなわない。

一方で、この1週間、私は仕事がほとんどない状態。先週末は、ここ半年かあるいは9ヶ月くらいぶりで初めて全く仕事をしないで済んだ週末でした!!この仕事を立ち上げたばかりの頃は、そういう日が数日でも続くと不安で落ち着かなかったものですが、今ではこういう仕事の波にも慣れました。そもそも昨年の12月頃から丸3ヶ月間、全く休みなしの忙しい日々が続いたので、理論上、今後3ヶ月はヒマでもそれなりにバランスが取れるというもの。もっとも今週末からぼつぼつまた仕事が入り始めていますので、3ヶ月もヒマなんてことは、あり得ないでしょうね。そう考えると、身の回りの何事もまるでお天気のようなもの。どんなに終わりなく降り続くように見える雨にも必ず終わりはあり、永遠に全く切れ目ない仕事というのもそうはない。たまには「災害か?!!」と思うような緊急事態もあるけれど、必死に対処しているうちにまた何とか日々のリズムが戻ってきて。。。そう考えると、忙しい時もヒマな時も必要以上に落ち込んだりストレスを溜めたりグチったりし過ぎずに、飄々とエレガントに日々を過ごしていきたい。

もっとも新聞を見ると、この晴れ間も明日まででまた明後日から雨がずーっと降り続くのだそうな。仕方ないなぁ。。。今日、明日中に家中の窓を開け放って、掃除機だけでもかけておくか。。。

アメリカの女性

2005-02-22 04:04:42 | ちょっと真面目な考察
最近、日本でも女性の生き方とか幸せ云々の話があちこちで聞かれ、日本にたまに帰国した折にもセルフ・ヘルプ系の本の氾濫に驚いてしまうのですが、アメリカでも女性の生き方や幸せ論というのはとても大きな関心ごとです。そもそも元祖セルフ・ヘルプ系の本は、大概アメリカが発信源ですものね。

我々夫婦は移民が多いカリフォルニアという土地柄や、フランス人と日本人というカップルのせいもあって、いわゆる生粋のアメリカ人とのおつきあいがそう多いわけではないのですが、仕事で接するアメリカ人女性を見ていて、なかなか大変そうだと思います。あまり幸せそうな顔をしていない、というか。そもそもアメリカ人の女性は、特に我々の世代や少し上の世代は、「人生には限界がある」というふうには育てられていないのだと思う。それこそ親も学校も社会も、「女性だってなりたければ、重役にだって社長にだってなれる!億万長者にもなれる!欲しいものはがんばれば何だって手に入る!!」みたいな、いわゆるアメリカン・ドリーム的な発想を吹き込まれて育っているので、それはそれで素晴らしいことだとは思うのだけれど、だから彼女達が「幸せだ」と感じるためのハードルがとても高いように思います。日本人女性の私などは、それがいいことか悪いことかは別にして、「建て前上は男女平等の社会とはいえ、そうは言ってもねぇ」みたいな意識が必ずどこかにあり、それが人生における可能性を阻んでいるのだと言われてしまえば返す言葉がないけれど、ある意味「足るを知る」、ということにも繋がっている、という気もしています。例えば仕事で思う通りにならないことがあっても「でも、家庭が幸せだからいいや」、子供がいなくても「でも仕事も家庭も両立できて充実しているから、恵まれているし、幸せだ。人生、そう何でもかんでも手に入るわけでもないし」みたいに、自分との折り合いを付けるのが比較的容易にできる。そしてこの自分との折り合いというのが、「そんなのは逃げだ。あと少しがんばれば何でも手に入るのに」みたいな人から見れば、向上心や上昇思考の欠如であり、怠慢に見えるのかもしれないけれど、少なくとも私は自分に余計なプレッシャーをかけ過ぎてきりきり舞いをすることがとても少なくて済んでいます。

アメリカの女性と話してみると、優秀な人になればなるほど「素晴らしい妻であり、完璧な母であり、成功したキャリア・ウーマンである」という三位一体のスーパーウーマン像にがんじがらめになっていて、「そんなにがんばらなくても、ちょっとリラックスしたら?」とぽんぽんと背中を叩いてあげたくなるような人がたくさんいます。そして勿論、そんなにたくさんの役割を完璧にこなすことはとても難しいので、きりきり舞いしていて、見ているこちらの方が辛くなってくる。そして、一人できりきり舞いしているうちはまだいいとしても、それが家族に対する過酷な要求となって現れてくると、これはもう大変だと思う。自分と同じくらいか、あるいはもっと忙しい旦那さんに、「何が何でもきっちり半分半分」の家事や子育ての分担を強く要求したり、「ママがこんなにがんばっているのだから、あなたもちゃんとしてママのがんばりに応えて頂戴」みたいに子供へのプレッシャーがとても強くなったり。。。あるいは仕事も家庭も過渡期で、傍から見ていると今この瞬間はそれで手一杯に思えるとのに、同時に子供まで欲しがってあちこち奔走したり、それにMBA取得プログラムまで加えたりして。。。自分の欲しいものにプライオリティーを付けて、何かを先送りしたり、自分に折り合いをつけて何かを諦めたり、という発想がそもそも彼女達には殆どないようです。勿論、全部できるならそれに越したことはないのでしょうが、でもあまりにも非現実的な期待を抱きすぎてそれで家庭が崩壊してしまったり、精神科に駆け込んでしまったりしたら、もともこもないと思うんだけど。

日本の現代女性も、果たしてそういう「高いハードル」を抱えつつあるのでしょうか?それとも、「がんばればがんばっただけのことがある」と思いづらい現在の日本社会に嫌気がさして、「今が楽しければいいや」的な流れになっていくのでしょうか?最近は日本の若者の動向などにすっかり疎くなってしまっているので何とも言えないのですが、どちらの国でも、女性はそれぞれに自分の人生に悩みながら、手探りで生きているようです。っていうか、勿論どちらの国の男性も、なのでしょうが。。。でも「男の幸せとは何か」みたいな本って、日本はおろかアメリカにもあまりなさそうですよ???どうしてなんでしょうね???

スージーとキャサリン

2005-02-19 02:36:24 | レシピ・お料理関連
一昨日、久々に頭と足付きの鶏を買ってしまいました。。。ここ2-3ヶ月ほど中国四千年の悠久の時が流れる中華スーパーで肉を買っていなかったので、うっかり気を許したのが間違いのもとだった。ロースト用の丸ごとの若鶏を特価で買い、機嫌よく帰宅。ローストする前にスパイスをもみ込んでおこうとパックを開け、鶏を持ち上げた瞬間に。。。見えないようにパックの下にぴしっと隠されていた頭と足がダラーン。。。「うぎゃーーーーーーー!!!」
響き渡る私の悲鳴、駆けつけるうちのフランス人。頭と足はうちのフランス人に切ってもらい、処分してもらえるにしても、やっぱりちらとでも見たくなかった。哀しげにしっかり閉じた瞼、半開きのクチバシ。。。ローストは美味しくできましたが、食欲は3割がた減ってしまった私です。

昨日、私たち夫婦の大親友のアメリカ人の女性と3人でちょっと飲みに行く機会があり、私は思わず彼女に鶏のことをグチっていた。こういう話題は、アメリカ人の場合は相手を選ばないとものすごい野蛮人か動物虐待者だと思われるので注意が必要だけれど、彼女とはつきあいが長いし、彼女自身もヨーロッパでの生活の経験が長いので(ヨーロッパの肉屋ではあらゆる食材がほとんどオカシラ付きで並んでいます)大丈夫。「何だよ、頭とか足ぐらいでさ!どうせ人間は生きている動物を殺さなきゃ食って行けないんだから、そういうことから目をそらすなよ!!」などともっともらしい説教を垂れるうちのフランス人の前で、彼女はげらげら笑いながら、「きっとその鶏の名前はスージーって名前だったのよ!!でもねえ、私も美味しいものを食べるのは大好きだけど、やっぱり出来るなら食べる前に材料とお知り合いになるのは避けたいわ!!」と言いました。「でもさ、ヨーロッパでちょっと気取ったレストランなんかに行くと、例えば「スズキの塩焼き」とか「ロブスターの塩茹で」とか頼むと、給仕長がわざわざ「これでございます」みたいに料理前のまだ生きている材料を見せに来る時があるじゃない。魚とか海老ならともかく、「子牛肉」とか「子羊」であれをやられたらすごーく嫌だよね。あり得ないけど」と私。すると彼女は盛大に噴き出して、何年か前にご主人とイギリスで高級レストランに行った時の話をしてくれました。何でも「本日のお勧め」のロブスターの塩茹でを頼んだら、やっぱり給仕長が生きたままの2匹のロブスターを調理前に誇らしげに見せに来た。人一倍同情心の厚い彼女の旦那さまはほとんど見られないでいたら、何とそのロブスターがいきなり片方のハサミで旦那様のジャケットの袖口をはっし!!と掴んだのだそうです。旦那様は、もうパニック。「駄目だ、このロブスターは、キャサリンって名前で、ボクに今、必死で命乞いをしているんだ!!見てくれ、目まで合っちゃったよ!!!ああああ、ボクはこの子をもう食べられない、今晩はステーキを食べることにする!!」と言って、本当に注文をステーキに変えてしまったんだそうです。ちなみに彼女の方はとても美味しくキャサリンでない方のロブスターを食べ、他のテーブルにロブスターが運ばれてくる度に、「ねえねえ、あれってキャサリンかな!!」「ねえねえ、あれがキャサリンじゃない??」と言って旦那様を苛めていたんだとか。

はああああ、人間ってつくづく罪深い生き物ですねぇ。ごめんね、スージーとキャサリン。

命がけのベアルネーズ

2005-02-18 03:29:21 | レシピ・お料理関連
この間の週末のことなんですが、うちのフランス人が突然、「駄目だ、今日は何としても絶対にベアルネーズ・ソースが食べたい!!食べられなければ死んでしまう!!!」と叫びました。

ベアルネーズ・ソース。。。知る人ぞ知る、典型的なフランス料理のソースの一つ。白ワインとレモンジュースでエシャロットとタラゴンというハーブの微塵切りを濃く煮詰めたものと、一箱(半ポンド)分の溶かしバターを、湯銭にしたボールの中に落とした卵黄の中に少しづつ入れて泡だて器で混ぜ、マヨネーズ状に仕立てた、恐るべきコレステロールとカロリーの塊。私自身はベアルネーズ・ソースよりも彼が作るアイオリ・ソース(卵黄にニンニク1-2かけの微塵切り、塩、コショウを入れてオリーブ油を加えてマヨネーズ状にしたもの)の方が軽くて好きなのですが、「死んでしまう!!」とまで言われたら賛成するしかないではないですか。

このソースは、トルヌド・ベアルネーズと言って、フランスでは円形で厚みのある小さなヒレ肉のステーキ(日本でも時々気取った洋食屋で「トルネード・ステーキ」なんて呼んでいますね)に添えて食べるのが一般的のようです。でもフランスでは、このソースが比較的何にでも合うと言って、肉料理に限らずオマール海老に添えたり、平目のワイン蒸しに添えたりもするよう。我が家では、やはりカロリーとコレステロールが気になるので、あっさり焼いたオヒョウの切り身に添えることにしました。このオヒョウというのは、アメリカではとても好まれる高級魚で、レストランで頼むと一人前30ドルくらい、スーパーで買っても1ポンド15ドルはする高価な食材です。日本人の私の感覚からすれば多少大味だけれど、ステーキのような厚みと食べ応えのある白身魚の切り身なんてそうあるものではないので(何と言っても座布団のような大きさと厚みの魚ですから)うちのフランス人の好物ということもあり、たまに買います。

うちのフランス人が張り切って「自分が作る!!」と台所に立ったものの、最初のベアルネーズの試みは見事に失敗!湯銭の火が強すぎて、卵黄がいり卵状になってしまい、ほとんど泣きそうな顔をしていました。これで「ベアルネーズが食べられない」となって、自殺でもされたら困るので、仕方なく手を貸すことにしました。入り卵と溶かしバターが完全に分離している状態のものを漉し、卵黄をもう一度割って、漉したバター液を再利用して、再度挑戦。湯銭のボールは湯の中に入れっぱなしにしないで、出したり入れたりしながら泡だて器で混ぜるといいとアドバイスしました。そして、何とかそれらしきものが完成。お味もなかなかのもの!でも私が魚を焼くためにちょっと目を離した隙に、漉し取って捨てるつもりだった入り卵とエシャロットのカスをうちのフランス人が、ソースの中に全部入れて混ぜてしまっていた!!!「だって、美味しいものの塊なんだから、これを捨てたらバチ当たるよ」ですって。。。それはそうかもしれないけれど、バター一箱と卵黄2個入りのベアルネーズ。。。コレステロールを考えるとめまいがしそう。まあ、毎日食べるわけでなし、いいか。。。うちのフランス人は「ベアルネーズが食べられなければ死んでしまう!!」なんて言うけど、私はカロリーとコレステロールを考えるだけで脳溢血で死にそうです。

というわけで、一騒動ありましたが、焼き上がりにフライパンに白ワインを入れ、フタをして少し蒸すようにして仕上げたオヒョウの切り身にベアルネーズを添え、長いまま茹でたアスパラガス数本を切り身の上に飾って、完成!!彩りにトマトの薄切りも添えました。

お味は大変結構。うちのフランス人は、涙を流すほどの喜びようでした。そして最近では、友達との電話で
「美味しいベアルネーズが作れるようになったんだ!!いつでもボクが作るから、遊びに来てよね!!!」と吹聴しまくっている始末。おいおい、本当に次からは自分で作れるんだろうな!!!いり卵の前のあの今にも自殺しそうな泣きべそがおをお客さんが来る度に見せられたんじゃ、かなわないわ。しかもあのカロリー。。。やはりベアルネーズは命がけです。

許せないレシピ

2005-02-17 06:13:05 | レシピ・お料理関連
北カリフォルニアに引っ越してきたての頃、朝から晩まで料理番組ばかり放送しているテレビのチャンネル「Food Network」で、日本では見たこともない食材を使ったりこの世のものとは思えない巨大な肉の塊をローストしたりするような異国情緒の溢れるレシピに目を丸くしつつ、それでもほっとする番組の一つに、アメリカ系中国人のシェフの「East Meets West」という番組がありました。ごま油や醤油、あるいはお米などの身近な材料を使いながら、やはり日本では珍しいひねりを効かせた料理の数々、そしてなかなか好青年ぽいシェフの風采もあって、お気に入りの番組だったのですが、ある日の彼のレシピを見て以来、一気に見る気をなくしてしまいました。

それというのは。。。

1)ご飯を炊く。
2)ココナッツ・ミルクと砂糖を入れ、汁気がなくなるまで煮込む。
3)最後にシナモンと薄切りのアーモンド、粉砂糖をふりかけて出来上がり。

これを見た瞬間、「私のご飯に何てことをするんだ!!!」という怒りと共に、「思えば遠くへ来たもんだ。。。」的な、何だか心の底からは決してわかりあえない人々が暮らす土地に来てしまった、みたいな絶望にも似た望郷の念がそれこそ津波のように一気に押し寄せてきたのを思い出します。

以来4年近い歳月が経過し、今では料理番組ごときでアイデンティティーの危機を覚えるほどのショックは受けないまでも、やはり時々「ゆ、許せん!!!」というようなレシピに遭遇することがあります。
例えば、先日目にしたのは「トロピカル・ライス」。アンズやレーズン、パイナップルなどのドライ・フルーツを細かく刻んで砂糖をまぶしたものを一袋用意します。これを炊き上がったばかりのホカホカのご飯に混ぜ、鮭のマヨネーズ風味のグリルに添える、というもの。思わずテレビを見ていて、ソファーからずり落ちました。

オリエンタル・チキン・サラダというのもすごかったなー。照り焼きソースをかけてチキンを焼くところまではよいけれども、それを茹でたラーメンの麺、洗っただけの生のもやし、ブロッコリー、カリフラワーの上に盛り付けて、しょうが醤油にごま油を混ぜたドレッシングをかけ、ごまを散らす、というものでした。生のもやしなんて土臭いし、茹でもしないブロッコリーやカリフラワーなんて。。。それに茹でただけで味付けもしていないラーメンの麺がベースっていうのもなー。。。これがアジアでの典型的なチキン・サラダだと思われたらすごく嫌だと思いました。

招かれたとあるパーティーで、カッパ巻(そうです、あのキュウリの入ったのり巻)にフルーツのジャムが載ったものを出されたこともあります。照明をほのかに落とした会場で、ブルーベリー・ジャムはキャビア、ラズベリー・ジャムは梅肉ソースに見えていたので、食べた時のあのショックは忘れられません。涙ぐみながら飲み込むのが精一杯、白ワインとも赤ワインとも合わなかったあの味。。。ちなみに果たしてワサビが入っていたかどうかについては、記憶が全く消し飛んでいます。

うちのフランス人が、手負いの熊かと思うようなすごい叫び声を上げたレシピは、そのまま厚切りにしてさっとフライパンで両面を焼いて、中は半生で食べたらさぞ美味しかろうと思われるとびきり上等のフォアグラの塊と白身魚、帆立貝、玉ねぎなどをフード・プロセッサで一気に攪拌し、容器に入れて蒸し器で蒸した料理でした。わなわなと震える指で画面を指しつつ、彼の眼には涙が滲んでいた。。。

ものは試し、食わず嫌いは損とわかっていても、どうしても試したくないレシピというのが、世の中には存在するものです。

ミラー・ビールのコマーシャル

2005-02-16 02:57:20 | 日々のこと
皆様、こんにちは!
お陰様で無事にカリフォルニアに帰ってきていますが、過去数週間の日本での仕事の記憶は凄まじく、半ば呆けたように暮らしております。ぼちぼち残務処理などもあるので、そう壊れてもいられない筈なのですが、うちのフランス人からは「もうこのモグラはそろそろ駄目だな、こりゃ」などと言われております。

ところで先日、夕食の後にうちのフランス人と一緒にぼけーっと見るともなく見ていたとあるコマーシャルを御紹介します。これはMillerというアメリカのブランドのビールのコマーシャルだったのですが、(ちなみにうちのフランス人は、バドワイザーやクアーズ、ミラーなどのアメリカ産のビールを総じて"P○○ Beer"と馬鹿にしてはばからない。日本でも水っぽいビールを「ショ○○ビール」などと男性が下品な言い方をしますね??言葉の下品さに怒るよりも「ほほー、英語でも全く同じ言い方をするんだぁ。。。」と思わず感心してしまうあたり、既に終わっている私。。。)設定はスカイ・ダイビングのレッスン中、空を飛んでいる飛行機の中です。教官の号令と共に次々と生徒がパラシュートを背負って飛行機から空中へ飛び降りて行く中、びびりまくっている生徒が一人。
教官:「飛べ!!行け!!」
生徒1:「だ、駄目だ、出来ません!」
教官:「ほら!好物のミラー・ビール、6本パックだ!!(それを飛行機の扉から外へ投げて)これを追って飛べ!!今だ!!」
生徒1:「うっ、や、やっぱり出来ません!!」
すると、パイロットが操縦席から走り出てきて、飛び降りてしまう。しかもパラシュートも付けずに。。。
操縦席は無人のまま飛びつづける飛行機。無言で顔を見合わせる教官と生徒。。。

これには私もうちのフランス人も思わずお腹を抱えて笑い転げてしまいました。くだらなさを考えるとあんなにウケてしまったのも不覚なんですが。。。でも、こういう直球のコマーシャル、日本ではあまり見かけなくなりましたよね。

天職・適職の見つけ方(2)

2005-02-10 10:17:57 | 仕事のこと
皆様、仕事がどたばたで更新も間遠になっているというのに、コメントを残して頂いて、感謝感激でございます。今日で仕事が一段落しますので、今週末よりカリフォルニアからまたマメに更新させていただきたいと思います。見捨てずに頂いて、本当にありがとうございます。

ところで前回の続きですが、「天職・適職の見つけ方について」。これはあくまでも私のやり方なんですが、私は以前の自分の仕事に行き詰まりが出てきた時に、「やりたくないことリスト」というのを作ってみることにしました。例えば当時の私は職場の人間関係にとても苦労していたので、「毎日毎日本当に合わない人と顔をあわせて仕事をしなければならないこと」というのもリストに入っていましたし、満員電車の長距離通勤が苦痛で、それもリストに入っていました。その他に、「頻繁過ぎる海外出張」とか「自分でコントロール出来ない勤務時間」というのもありました。その他、色々とあったわけなんですが、それらを総合していくと、逆説的に、ではそれらの要因がない、あるいは要因が少なければ少ないほど、どんどん理想の仕事に近づいていく、という図式が見えてきたのです。

例えば、「毎日毎日本当に合わない人と顔をあわせて仕事をしなければならないこと」が嫌なら、「必ずしも組織の一員として仕事をしなくてもよい→では、フリーランスとして独立してみるのはどうか」「満員電車の長距離通勤が苦痛→在宅中心ならよい」「頻繁過ぎる海外出張は嫌→たまにならよい」「自分でコントロール出来ない勤務時間→コントロールできる範囲であれば、仕事そのものは長時間でも苦にならない」というように、自分の中で折り合いがつく範囲が見えてくるんです。そしてこれが一番大事なことなんですが、この「やりたくないことリスト」というのは、「仕事は我慢賃である」という大前提に立って、ではお金の対価としてどこまでが我慢できて、どこからが我慢不可能なのか、という自分なりの視点を必ず持つことです。でないと、「あれも嫌、これも嫌」の単なるわがままリストになってしまいますから。「○○は我慢できるけれど、XXは例えお金をもらっても嫌だ」という基準でリストを作っていくこと。そうすると、自分自身の向き不向きというのがわかってくるものなんです。例えばAさんは、「私は人間関係には耐久性があるけれども、来月の収入のことを考えて一喜一憂するのは絶対に嫌だ」と考えるのであれば、不安定なフリーランスという職業を絶対に選ぶべきではありません。「私は長距離通勤にはまだ耐えられるけれども、他人と接するのが好きで、自宅に閉じこもったまま、1週間かそこら他人と顔を合わせることもほとんどないままに一人で仕事をしっぱなし、というのは考えられない」と思う人には在宅勤務は向きません。「少々やりがいなどの面で疑問は感じるけれども、現在の9時5時という勤務時間には満足していて、これ以上仕事に自分の時間を取られることは絶対に嫌だ」と思う人は、転職すべきではないでしょう。このような建設的な「やりたくないことリスト」を作って、どのような点が改善すれば、あるいは守られれば自分は仕事をしながらハッピーと言えるようになるのか、を考えていくと、とても現実的かつ客観的に今の自分と仕事との関係、そして次に取るべき(あるいは取るべきでない)ステップというのが見えてくると思います。

「もっとクリエイティブな仕事をしたい」「私でなければ出来ない仕事を」「あれがしたい」「これがしたい」という考え方をしたくなる気持ちもわかります。でもそう考えるのは、きっと仕事を始めて10年後、あるいは15年後でも遅くない。それまでに、目の前に与えられたことを精一杯自分なりに一生懸命にこなしつつ、自分に出来ること、出来ないことを謙虚に見つめていく姿勢。それが究極的に自分の天職・適職に近づく早道だと思います。私は、今の自分の仕事は、心の底から天職であり、適職だと思う。「今の仕事が好きですか?」と聞かれれば、答えは間違いなくイエス。「今の仕事は、楽しいですか?」と問われれば、「うーん、楽しいと言うと語弊があるけれども。。。許されるなら永遠にハワイのビーチで一日中マイタイをすすってダラダラしていたいけど。。。でもこの仕事をやっててよかった、と思う瞬間は確かにあるし、仕事はきついけれど苦痛ではないし、まあ耐えられないと思うようなことなしに自分に向いていることをさせていただいて、報酬ももらえているのから、本当にラッキーだと思って深く感謝していますよ!!」という答えになるでしょうか。だって仕事って所詮、そんなものじゃないですか??少なくとも私はそれでとても満足でハッピーだと思っています。