フレンチ・アメリカン日和

アメリカ在住、フランス人の夫を持つ日本人(女・30代)です。日々のことを綴っていきたいと思います。

我が家の会話:マクロ及びミクロ的な視点による分析

2005-08-12 02:26:46 | 異文化あれこれ
我が家は皆様もご存知の通り、フランス人と日本人のカップルで、アメリカに在住しているので、よく、「お宅の夫婦は、何語で会話しているんですか?」と聞かれることがあります。私が「70%英語、29%フランス語、1%日本語という感じでしょうか。」と答えると、「ほほー」とそれで納得してくれる人もいれば、「ええっ?!その比率って具体的にどんなんですか?」とさらに突っ込まれる場合もあります。

その比率というのは、そうですね、マクロ的には、言葉というのは非常にある意味、運動、というか反射神経的な要素があるので(だから一度学んだ言語は使わないと錆付きますが、使い始めるとまた自転車を乗るようにスムーズに蘇ってくるわけです)、どちらがまず何語で会話を始めるか、というのがその瞬間の会話の主言語を決めるわけです。私からはほとんど英語で会話を始めますが、10回に3-4回弱くらいは、練習したい、というような殊勝な心がけをもってフランス語で会話を切り出すことがある。うちのフランス人も10回のうち4-5回くらいは、自分で独り言をフランス語で言っているか、自分の頭の中でフランス語で何かを考えていて、その延長でフランス語で私に話し掛けたり、ということがある。そしてそれがいつまで続くかというと、当然私がフランス語の会話に蹴っつまづくまで、となるので、それはまさに始まった瞬間からもはや時間の問題であり、せいぜいトータルで3割弱ぐらいという計算になるのであった。

そしてミクロ的にはですね、単発の会話に複数の言語が混在している場合も入ります。
例えば私が「Samui(寒い!!」と叫んだ時に、うちのフランス人が、「Non、samui pas!(これは意味は若干違うけれども、フランス語では"Non, ca mouille pas"と同じ発音で、それなりに意味が通っているのがおかしい)」と答える、というようなものです。ちなみにうちのフランス人の使う日本語というのは、
フランス人:「(英語又はフランス語で)今日、○○が食べたい!!」
私:「えー、だってXXが買ってあるから今晩はXXだよ!」
フランス人:「(日本語で)オクサン、ソコヲナントカ!!」
というレベルのものだ。一体どこで覚えるんだか。
それから、私が「今晩何を食べたい?"what do you want pour diner ce soir?"」
などと仏英ぐっちゃにして聞く場合もあったりして。うちのフランス人も慣れっこなので、そういう場合、「Oh, I am in a mood for du poisson aujourd'hui(今日は魚料理の気分だ」なんて返事して寄越したりして。

要はかっこつけて「70%英語、29%フランス語、1%日本語という感じでしょうか。」なんて答えないで、「ええ?ああ、我が家の会話はぐっちゃぐちゃで、傍で聞いていると何が何だかよくわからないんでしょうが、お互いに通じてはいます。」というのが恐らく正解なんでしょうね。

似て非なるもの

2005-04-13 11:02:42 | 異文化あれこれ
今週は出張中で、打ち合わせの大嵐です。通訳は本業ではないのですが、日本人とアメリカ人が同席する打ち合わせでは、どうしても通訳的な役割が回ってきます。下手をすると会議中に、私が双方向の通訳で一番たくさんしゃべっているということにもなりかねませんので、とても疲れます。今日も打ち合わせが終わったあとに、クライアントから「お疲れ様。助かりました、ありがとう」というねぎらいの言葉をもらい、それなりにまあ期待された役割は果たせたか、とほっとしていたら、クライアントが一言。
「ところで、韓国にも一緒に行ってくれませんか?韓国語話せますよね」
「いやー、大変申し訳ないんですが、韓国語は全く話せないんです」
「あ、そうなの?顔、似てるのにさ」

そういう問題か?
ってゆーか、全然違うよ!!!

Mahaloの本当の意味

2004-12-22 04:00:30 | 異文化あれこれ
クリスマスが近づいていて、それなりにうきうきはしているものの、一つしきりに残念なことがあります。というのは、クリスマスの直前の一週間を私とフランス人はハワイで過ごしたくて、土壇場まで色々と画策していたのであった。。。そもそも昔波乗りをしていたうちのフランス人は、毎年この時期にオアフで行われるサーフィン・コンテストを、どうしても観戦したくて仕方がないのです。加えて今年は、大学時代の友人のA子ちゃんがこの時期、一家でワイキキに滞在しているということもあり、私は是非「ハワイで再会ー!」なんてことを実現したかったのです。でも結局、私とうちのフランス人の仕事のスケジュールを色々とあわせてみたところ、年末までは2泊くらいしかスケジュールがひねり出せない。さすがにカリフォルニアからは片道4時間前後の「国内旅行」とはいえ、2泊でハワイなんて、そんな温泉旅行のようなスケジュールはきつすぎます。結局やむなく断念となりました。今ごろA子ちゃん一家は椰子の木の木陰で、マイタイなどすすりながら、眩しい日差しの下の海を眺めているのね。。。わぁぁぁー、バタバタバタ(と、ひとしきり暴れる)

ところで先日遊びにきた親戚の男の子は、そろそろ結婚3年目になろうとするのですが、先日奥さんと二人でマウイ島に行ってきたそうです。マウイはそれはそれは綺麗で感動したそうですが、運悪くレストランや飛行機で何度か納得のいかないサービスにあたってしまった。例えばレストランでは、チキンがひどく焦げていて、飲み物やサイド・ディッシュの注文を何度も間違えられた挙句に、料金は満額、チップまで請求され、頭にきたとのこと。飛行機では、ファーストクラスのお客さんから搭乗するのはいつものこととしても、乗務員が何を勘違いしたのか、「まずはファーストクラスのお客様からご搭乗頂き、シャンパンと軽い前菜でくつろいで頂きます。その次にビジネスクラスのお客様。同じくシャンパンの後、エコノミークラスの皆様をご案内致しますが、エコノミーの皆様は、お乗りになる際に、既にご搭乗済みのファーストクラス、ビジネス・クラスのお客様のお邪魔にならないように、お静かにお願い致します」みたいなことを言ったらしい。彼いわく、「それで最後にとってつけたように、みんな顔だけはにこやかに”Mahalo(ハワイの言葉でありがとう)!!”って言いさえすれば許されると思ってさ。オレは、真剣に"Mahalo"の意味は"Go ○uck yourself(大変下品な言葉ですが、まあ意味は「何でも勝手にさらしやがれ、こっちの知ったことか」みたいな感じですかね)"だと思ったね!だから勿論オレも同じように連発してやったんだ。ちゃんと文句を言った後に、大声で"Ma!!ha!!lo!!"ってね!!」と言ったので、皆で大笑いしました。

それ以来、旅行代理店やホテルのコマーシャルなどで、もっともらしく気取った「Mahalo」と言う言葉をきくにつけ、大笑いするようになってしまった私とうちのフランス人。返す返すも残念だなぁ、この新しい知識と共に、ハワイに行って実際に"Mahalo"の応酬を見聞きしたら、さぞおかしかっただろうに!!!

A子ちゃん、どうか私たちの分も素晴らしいバケーションをお過ごしください。

クリスマスの飾りつけ―通りすがりの家編

2004-12-21 03:08:59 | 異文化あれこれ
この週末は、クリスマスを目前に、知り合いを招んだり招ばれたりとばたばた過ぎてしまいました。でもいよいよ今週末がクリスマスですね!仕事もクリスマス休暇直前の駆け込み需要で、忙しい週になりそうです。

ところで今週末は夜に出かけて帰ってくることが続いたので、普段はあまり出歩かない私は、御近所ではない離れた家々のクリスマスの飾り付けをあちこち見ることができて、とても楽しかったです。クリスマスの飾りつけというのは、やはり日が暮れてからでないとその真価を発揮しません。昼間に通り過ぎても気付かなかったり、あるいは変にみすぼらしかったりするものです。それにしても、明けていようが暮れていようが、ちょっと私の美意識的に受け付けない飾り付けもたくさんあったなぁ。。。以下にその例を挙げてみます。

<趣味の悪い飾り付けワースト10>
1)芝生に寝ているように据えられた等身大のサンタ人形。
私の目には、サンタの衣装を着た行き倒れのように見えました。しかも11月末の感謝祭後からきっと設置してあるのでしょう。ご丁寧に衣装が薄汚れていて、行き倒れ感倍増です。

2)屋根の上に同じく寝ているように据えられた等身大のサンタ人形。
これも煙突にたどりつく前に力尽きて行き倒れてしまったように見えます。しかも今にも屋根から
ずり落ちそうな倒れ方です。何でそんな設置をするんだろう?!しかもうつぶせで?!!!
(でも仰向けも嫌かも。。。)

3)出窓から吊り下げられた等身大のサンタ人形
まるで首吊り死体です。やめてください。

4)かばサンタ人形
サンタ人形の中身が、動物のカバです。全くもって意味不明。

5)サンタのぼり
5月の巨大な鯉のぼりを想像していただきたいんですが、これをバンザイした数メートルの人型に切って袋に縫い合わせ、サンタの絵をつけたと思ってください。そしてこれをサンタが立つように屋根の上に縦に設置し、下からファンで風を送っているようなのですが、勿論上空には横殴りの風も絶えず吹いているわけで。。。結果は、「屋根よーりー高ーい、のたうちまわるサンタ―♪」
気持ち悪すぎます。

6)ミニサンタの大群
50センチくらいのミニサンタの人形が何十個も家の周りを取り巻いている。しかもその顔はまるで全員「子泣きジジイ」。せめてサンリオ系のかわいい顔にできないものか。

7)ノゾキサンタ
これは恐らく家の中の人が眺めて楽しむものなんでしょうが、窓の中を覗くように貼り付けられた等身大のへっぴり腰のサンタ人形。。。これこれ、道行く人々にお尻を向けっぱなしで失礼であろう!手鏡を持ってないだけまあいいか。。。

8)車庫前のコンクリの床に張られた巨大なサンタシール
これって、毎朝毎晩、サンタを車で轢いているってことですか?!!!ば、ばち当たりな。。。!!!

9)自動車の天井を抱えるようによつん這いに設置されたサンタ人形
別に本物だとは思いませんが、高速を走っていてびっくりするので、止めてほしいものです。

10)ベイブサンタ
アダルトショップの飾り付けだと思うんですが、サンタの帽子をかぶり、白いファーのトリミングのある
赤いミニスカートにトップレスで店の入り口脇に立っているベイブ(可愛い子ちゃん)の蝋人形。別にセクハラだとか野暮なめくじらを立てる意味でなく、うちのフランス人を始めとする男性ドライバーが決まって「おおっ?!」と急ブレーキをかけるのがひたすら危なくてしょうがないので、せめて店内に設置するとかしてもらえないものか、と。見た目にも寒寒しそうですしね。。。

日本での飾りつけは、どんな感じですか?それにしても少なくとも「飾り付け」と言うだけあって「飾る」のが目的なんですから、美しくエレガントに飾っていただきたいと思うのは、私だけなんでしょうか。。。

狂乱のクリスマス・ショッピング

2004-12-14 03:49:17 | 異文化あれこれ
米国のクリスマス商戦のものすごさときたら、もしかしたら日本の比ではないかもしれません。というのも、家族や恋人間に限らず、アメリカではクリスマス・プレゼントを広くやりとりする習慣があるからです。これは、日本のお中元やお歳暮並みの規模だと思うのですが、意味合いはもっと異なります。ビジネスや仕事でお世話になった人というよりは、家族や友達など、個人的に親しい人々に宛てて広く贈り物をやりとりするからです。親戚の子供達にも配るという意味では、お年玉にちょっと似ているところもあるかもしれませんが、無論目上の人や同年輩の人にも贈りますから、一概には言えません。そして、アメリカ人というのは、どうも「夏休みの宿題を最後まで取っておく」タイプの人が多いと見える。今週後半から来週いっぱいが恐らくクリスマス・ショッピングのピークで、ショッピング・モールの前は、駐車場の順番待ちをする車で渋滞は最寄の高速道路の出口にまで及び、デパートのレジの前には、お会計で並ぶ人たちが何重にも蛇行して列を作り。。。というとんでもない光景が展開されることになります。駐車場もレジも1時間待ちなんて、序の口です。ビッグサンダ―マウンテンじゃないんだから。毎年繰り返されることなのだから、もっと考えればいいのに。もっとも私も日本で年賀状を毎年暮れが押し詰まってから慌てて殴り書きしていたタイプなので、他人のことはあまり言えないのですが(笑)。

それにしても、ぎりぎりになってからのこのクリスマス・ショッピングのストレスは大変なもので、私は2001年に初めてアメリカでクリスマスを迎えた時の煩わしさ、大変さに一度で懲りてしまった。なので、クリスマス・ショッピングは早め早めに済ますようにしています。冗談抜きで、「クリスマス・ショッピング・メルト・ダウン」と呼ばれるのですが、クリスマス・ショッピングのストレスと重圧でおかしくなってしまって、この時期、精神科にかかる主婦がアメリカにはたくさんいるそうですよ。

もっともアメリカのクリスマス間際のショッピングの凄絶さは、必ずしも無計画な人々のせいばかりではないかもしれない。クリスマスの直前は、お店の方も売り切ってしまいたい思惑があるので、かなり劇的な大セールを開催するのです。だから、同じ商品を買うにしても、少しでも安く買いたい人は、わざわざ直前まで待っているようです。中にはプレゼントだけでなく、この時期に家族や自分に必要な全てのものを安く買い揃えてしまう、というツワモノもたくさんいるようです。これは、日本のバーゲンでもそうなのですが、私には社会人になりたての頃に母に言われた言葉のおかげで、そういうものにあまり惑わされなくなりました。その言葉というのは、「バーゲンとかセールで、定価の20%とか30%引きで、欲しかったものが安く買えるというのは、それは魅力かもしれない。でもバーゲンに出かけて、会計や試着室のために列を作って並ぶ長い長い待ち時間、欲しいものがバーゲンになるかどうか定期的にチェックするエネルギー、もみくちゃにされてへとへとになったりイライラさせられること、それから安さに踊らされていらないものまで買ってしまうことの、全てに値段があると思いなさい。自分の時間やエネルギーというのは、お金に換えられないくらい大事なもの。それを無駄に消費してまで行く価値のあるバーゲンかどうか、よく考えてから行きなさい。」

この言葉のおかげで、私はバーゲン会場には余程のことがない限り出向かないし、例えば自分がシーズンの初めに定価で買ったものが例えバーゲンで安くなっていた、というような話を聞いても、そんなに悔しくはありません。結局欲しいものがバーゲンになるかどうかは結果論で、売れてしまって残っていない場合だって大いにあり得る。自分はシーズンの最初に買ったから、ゆっくりあれこれ試着して本当に気に入ったものに決められたし、会計もスムーズで、そのシーズンの間、買ったものはフル活用できた。そのゆったり感、フル活用分、ストレス・フリーの精神状態のお値段が、商品の20%や30%だと思えば決して高くないのではないでしょうか?それと同じ理由で、アメリカでのクリスマス・プレゼントの買い物は、少々価格設定が高めだろうが、私は忙しくない時期に少しずつ買うようにしています。セールに出かけることで、例え我が家でのクリスマス・プレゼント関係の出費が3分の2程度に抑えられたって、丸1-2日を人ごみの中や車の中や順番待ちの中でへとへとになって費やして、せっかく来たし安いからとリストにないものまで買ってしまい、疲れてイライラした挙句にうちのフランス人と喧嘩、食事の支度だって疲れてやる気がなくて二人で美味しくもない外食にお金を払い、なんてことになったら、何を節約して何を失うのか、すっかり本末転倒だもの。

ちなみにクリスマス・プレゼントを毎年決めてしまうのもいいアイディアです。我が家では、家族や親しい親戚には、女性にはベーシックなカシミアのセーター、男性にはシルク100%のトランクス(これはうちのフランス人のアイディアで、彼が毎年選んで買う)と2年前から決めてしまった。おかげでショッピングの楽なこと。しかもこれをEbayやbananarepublic.comなどのオンライン・ショッピングで済ませてしまうのですから、こんなに楽なことはありません。家にいながら選んで注文して支払いをし、あとは玄関まで届けられるのを待つだけ。受け取る方ももう何が来るかわかっているので、あてにして待っていてくれます。親戚の子供達には、日本に帰った時に見かけると買っておく民芸品やアクセサリー、人形など。私がちなみに毎年もらって嬉しいものは、Chuckという友達から送られてくる「Chuck Mix」という、彼が自分で編集したクリスマス音楽のCD。毎年趣向が変わっていて、それなのに彼らしいテイストが満載で、とても楽しみなんです。

皆さんはお歳暮の準備やクリスマス・プレゼント、お年賀のショッピングなど、もう済まされたのでしょうか?だんだん慌しくなってくる時期ですが、素敵なものが見つかるといいですね!!!

ところ変われば。。。

2004-12-10 08:55:28 | 異文化あれこれ
昨日の話の続きというわけでもないんですが、アメリカ資本の外食産業というのは、マクドナルドやケンタッキーに限らず結構日本に参入しているものです。でも日本のイメージとアメリカのイメージがかなり違う場合があって、驚くことがあります。
例えばデニーズ。日本では子供連れで気軽に行けそうなファミリー・レストランで、食べ物もまあ可もなく不可もなくといった感じですが、アメリカのデニーズは、正直、かなり雰囲気が違います。信号待ちの折に覗いてみると、トラックの運ちゃんっぽい人がたむろしていたり、ドラム缶のように太った白人夫婦が陰気に向かい合って食事をしていたり、あまり子供連れの家族が楽しげに食事に行くような雰囲気ではありません。メニューもファミリー・レストランというよりは、もっと大衆食堂っぽいような。。。

アウトバック・ステーキ・ハウスやTGIフライデーズなども、品川などにあるあの雰囲気を想像すると驚きます。前述のデニーズとあまり雰囲気は変わらず、女性同士とか女性一人では行く場所じゃないという感じだし、恋人同士のデートはおろか、かなり年季の入ったカップルでも、うーん。お勧めはしないな。それでいてそれならそれなりの客層向けに特別価格設定が安いかと言うと、そうでもないので、イマイチ謎です。

スターバックスも超庶民的。私は特に都心のオフィス街のスタバと比較するからいけないのかもしれないけど、平日の朝のラッシュ時や昼時を除けば、アメリカのスタバでスーツ姿の人なんてまず見かけません。老夫婦とか、Tシャツとジーンズのツナギの人とか、宿題をしている高校生とか、客層はとてもフツー。日本ではスタバに入って「本日のコーヒー」以外のメニューをその日の自分の好みに応じてサイズまできちんと言って買えるかどうかが、オヤジかどうかの判断基準になると聞いたことがあるのですが(現にうちの父親は、スタバで自宅の朝食用にコーヒー豆を買ってくるくせに、コーヒーは訳がわからないので店内で注文したことがなく、わざわざ遠くのルノアールまで足を延ばして注文して飲んでいるそうだ。カッコ悪すぎだよ、パパ)アメリカでは、80歳を優に超えていると思われるおじいちゃんが、「キャ、キャ、キャラメル・フラペチーノのヴェンティ(日本のトールサイズよりもずっと大きいアメリカのLサイズ)、エキストラ・ホイップクリーム添え!」などと当たり前のように注文しながら震える手でポケットの小銭を探っていたりして、夏でも冷え性で冷たいものがあまり飲めない私はおののいてしまって、「お、おじいさん、そんな大甘な冷たいものをたくさん飲んで、心臓止まりませんか?!」みたいに声をかけそうになってしまうのであった。店員さんだって、その辺の肝っ玉母さんみたいな人が「私、パートです!!」という雰囲気丸出しで、ラテとかカフェ・モカとか作ってますからね。

とまあ、この程度ならただ面白いだけでどうってことないのですが、一度恐ろしい思いをしたのが、10年近く前のアメリカ出張中に入ったセブン・イレブン。日本にもあるあの気軽なコンビニですが、ある時、宿泊先のホテルで時差もあって、朝の5時過ぎに喉がカラカラになって目が覚めてしまった。宿泊していたのはビジネス客向けの安ホテルで、冷蔵庫はないし、廊下の自動販売機はファンタやスプライト、コーラのみ。寝起きにそんなものを飲みたくなかったので、眠い目を擦りながら着替えて(しかもスーツ。出張の場合はカジュアルな洋服なんて荷物に詰めないので)ホテルの向かいのセブン・イレブンへ、ミネラル・ウォーターを買いに行ったら。。。場所と時間も悪かったのでしょうが、店内にはそれこそ長距離トラックの運転手や道路工事の土方のような人々、及び徹夜でトランプか何かしてぶらぶらしていたような人たちがたむろしていた。私が入るなり、「ピュ―ッ!」という口笛があちこちで上がり、にやにや笑いで上から下までゆっくり値踏みするように見られ、「おねーちゃん、こんなに早くから何買いに来たんだーい?」というような声があちこちからかかる。こういう時に回れ右してお店を走り出るのも、追いかけてこられそうで怖くて出来ないもの。仕方が無いので、真っ直ぐ飲み物のコーナーまで歩いていって、ミネラル・ウォーターのペットボトルを取り、レジまで持って行って支払った。それから入り口まで戻る距離が、まるで永遠のように感じられました。「何とか言えよ、英語わかんないのかい?」みたいな声にも動じていないふりで、急ぎもせず、普通のペースでゆっくりと歩く。でも心の中では、「無事にホテルまで戻れないかもしれないなー」などと諦め半分で考えながら。。。幸い、誰も追いかけてくるようなことはなく、無事に目の前のホテルに戻れました。もしかして、気のいいただのおにーちゃん達だったのかもしれません。でも慣れない海外で、何の気なしに立ち寄ったお店の中で味わったあの恐怖感と、絶望感みたいなものは忘れられません。それ以来、それがレストランであってもスーパーであってもコンビニであっても、客層を外からさりげなく確認してから入るようにしています。

ところ変われば場所変わる、というのは本来こういう意味ではないのでしょうが、馴れない海外では、お店やレストランの事前の客層確認は、必須だと思います。と言っても、先日、知り合いの知り合いが高級スーパーでの発砲事件で亡くなったので、客層がどうでも運が悪い時は駄目みたいですけどね。

大熊猫的急行

2004-12-09 05:53:30 | 異文化あれこれ
先日、珍しく外出しての打ち合わせが2件も入っていた日があって、余裕を見て昼食時を挟んで午前中に一件、午後に一件、というスケジュールを組んだのですが、午前中の打ち合わせが長引いて、次の打ち合わせまで30分しか時間がなくなってしまった。打ち合わせの場所までは車で10分くらいかかるので、とてもレストランに入って昼食を取っている時間はありません。久しぶりの外食で、昼食に何を食べようかけっこう楽しみにしていたのに。。。ともあれ、まずは次の打ち合わせ場所に移動し、余った20分前後で何を食べようか、周囲を見回して検討。(ちなみにこういう時に、昼食を抜くという選択肢は、食い意地の張っている私にはない)。マクドナルドは論外。ケンタッキーも嫌。サブウェイもパス。TacoBellもバツ。というわけで、不覚にも、普段は名前を横目で見て通り過ぎるだけで絶対に入るもんか、と思っていた中華料理のテイクアウトに落ち着いてしまった。。。何が嫌って、店の名前がすごーく嫌なんです。私の美意識が許せない。その名も「パンダ・エクスプレス」。

えーー?別に構わない?そうですか?!私はどうも変な店名に異常に神経質に反応してしまうキライがあって、他にも幾つか絶対に許せない名前の(従って絶対に入りたくない)レストランが存在します。一つは結構地元では人気のあるファミリー・レストラン、IHOP(アイホップ)。この店の名前のフルネームが「インターナショナル・ハウス・オブ・パンケーキ(IHOP)」というのが、嫌。側に寄ったこともないので、どんなメニューがあるのかは知りませんが、恐らく名前の通りワッフルやパンケーキがメインで、加えて簡単なサンドイッチなんかも食べられるのであろう、と踏んでいる。

もう一軒は、NINJYA SUSHI。言わずと知れた寿司屋ですが、どういう感覚の人がこんな名前を付けるのであろうと私はセンスを疑ってしまい、食べ物だって美味しい筈がない!!と独断と偏見で断定してしまう。「話のタネに入ってみようよ」とうちのフランス人などは言うのですが、もしも、もしもですよ。ウエイターが忍者の装束で出てきて、手裏剣をかたどったコースターなんか出してきたら、私は即座に席を立ってしまうであろう。百歩譲って、この寿司屋のオーナーが「赤影」のようなハンサムだったと過程してもですよ(うわ!古すぎ)。「ニンジャ」と来たら、最後の「スシ」は「ズシ」と濁るもんだ。従って正しい表記は「NINJYA ZUSHI」であるべきで、断じて「NINJYA SUSHI」となってはならないのだ!!!あ、駄目。やっぱりこういう基本的なことも抑えないで営業している外国の寿司屋なんか、行きたくない。ごめんなさい、狭量で。

で、それと全く同列に「PANDA EXPRESS」も存在していたわけなんですが、背に腹は変えられず、すきっ腹には逆らえず。。。というわけで、恐る恐る足を踏み入れてみた。基本的にテイクアウトなので(横っちょに小さなテーブルと椅子があって、食べるスペースもないわけではないのですが)、ガラスケースの向こうに既に出来合いのものが並べられていて、選べるようになっています。ところで私は海外で中華を注文するのが苦手。英語とかフランス語のメニューでは、料理が何だかよくわからないんですもの。中国語なんて「ニイハオ」と「シェ―シェ」くらいしかしゃべれないけど、思わず中国語のメニュー下さい、とか言っちゃう。”shredded beef and green pepper, bamboo shoot, and chinese mushroom stir fry, oyster sauce flavor”みたいなものを必死こいて読み込まなくたって、ビジュアル的に、「青椒肉絲」というのを指差してオーダーする方がはるかに簡単じゃありませんか。「回鍋肉」「麻婆豆腐」などのメニューについても然り。「焼き餃子」が英語で「Pot Stickers」と言うなんて、こっちに来て半年以上知らなかったもの。そりゃあ、紅虎餃子房などでは「鍋貼餃子」などと表記されていますが、いくら何でも「鍋貼」の直訳だなんてあんまりな。。。今回は一応目の前に料理が見えるからよさそうなものの、私の目には、「マンダリン・チキン」も「パンダ・エクスプレス・シグネチャ―・チキン」も同じ鶏肉の細切りあんかけのように見える。どちらかがスパイシーでどちらかが甘酢なのかも、などとしばし想像するけれども、時間もないし、”Beef and Broccoli”という名前的にもビジュアル的にも絶対に間違いが起こり得なさそうなものを注文。これにチャーハンと八宝菜のような炒め野菜がついて、5ドル99セント。味の方は、そう悪くは無かったですよ。意外に。オイスター・ソースの味が利いていたし。

でもこの「パンダ・エクスプレス」が意外に悪くなかった、ということを得意げにうちのフランス人に吹聴したのが間違いだった。今日、待ち合わせか何かで場所を説明しているうちのフランス人の電話を小耳に挟んだら、「そうそう。例の「パンダ・エクスプレス」のある交差点のところを左に曲がって。。。ちなみに「パンダ・エクスプレス」って、うちの奥さんの最近のお気に入りのレストランなんだけどさ」なーんて言っているではありませんか!!!

お願いだ、フランス人。その冗談だけは。でも「パンダ・エクスプレス」。。。漢字で書いたって「大熊猫的急行」。。。
だあーーーーっ、駄目駄目、やっぱり!!センスも品も全くなし!!!

クリスマスの飾りつけ―ご近所編

2004-12-01 13:38:40 | 異文化あれこれ
我が家のはす向かいに、毎年気が違ったかのようにクリスマスの飾り付けをする家があります。このクリスマスの飾りつけというものは、日本ではどの位一般的なものなのでしょう?家の中にツリーを飾って、窓に雪化粧をさせて、リースを部屋に飾って。。。というセンスのいい家は、きっとそれなりにあるのでしょうが、アメリカでは家の外の飾りつけも半端ではありません。そして、センスもへったくれもない、派手なら派手であるほどよいとされるお国柄。おまけに一軒がやり出すと、その近所も対抗意識を燃やしてがぜん張り切るという具合なので、相乗効果で地域一帯、ものすごい景色が展開される、ということも珍しくはありません。

けれども我が家のはす向かいの家は、とにかく群を抜いている。この家の飾り付けを見るのはもう4年目になりますが、動く電光のトナカイ、蛍光色のマフラーがなびく雪だるま、そしてまるでぐるぐる回るように点滅し続ける家の周囲のライティング。。。日本人が見たら、思わず軍艦マーチをがんがん鳴らしたくなってしまうのではないかという風情です。ほんとに、パチンコ屋じゃないんだから。
二階の出窓には等身大のサンタの蝋人形が据えられ、御丁寧にも回転盤の上に載ってゆっくりと回っていました。もっとも去年から回転盤が壊れたらしく、しかも交換していないようなので、今は等身大のサンタはのっそりと静止しています。これはちょっと怖い。しかも家人が眠りにつく時は飾りつけの電気を消すので、真っ暗な中、出窓に等身大の人影がぬーっと立っているというのは、かなり不気味な光景です。

それにしても昼間はライトが消えているので忘れていますが、夜暗くなってから帰宅する折など、本当にこの家の前を通る度に、文字通り「わーはははは!」と指差して笑ってしまうほどのものすごさです。

さすがアメリカ人、このド派手ぶりは、舐めたらいかんぜよ。

*11月29日のBlogに、七面鳥の丸焼きの写真をアップしました。是非ご覧になってみてください!

感謝祭からクリスマスへ

2004-11-30 11:09:00 | 異文化あれこれ
日本に先週までいた際に、日本のデパートなどが既にクリスマス商戦に突入しているのを目の当たりにして少々驚いたのですが、アメリカでは去る11月25日が感謝祭だったため、デパートなどは11月の24日までは感謝祭のディナー・パーティーなどを想定した、オシャレなインテリア用品や食器、調理器具などの大セールが開催されていて、クリスマスの「ク」の字(というか、英語では「クリスマスの"C" の字も"X"の字も」と言うべきかもしれないが)も見かけませんでした。

感謝祭向けと銘打った製品で、私が一番度肝を抜かれたものは、何と言っても「ターキー・フライヤー」という、奥田瑛二、じゃなかった、七面鳥を丸揚げにする装置であろう。見た目はそうですね、ドラム缶に温度計がついたものに限りなく近い。これに大量の油をなみなみと注いで加熱し、出し入れ簡単なように棒と針金で吊り下げた丸ごとの七面鳥を沈め(勿論生きたままではなくて、調理用に処理済みのものですよ)、フライにするわけです。ちなみにこれを家の中でやると危ないので、自宅の庭など、野外での使用を想定した器材らしい。アメリカの家がいくら日本に比べて広いってったって、10キロ前後の七面鳥相手に、そんな無謀な行為に及ぶわけだから、そりゃあそうだろう。と言ってもフライド・チキンならぬフライド・ターキーという形態で食べるわけではなく、七面鳥の表面を高温の油でさっと揚げるだけで、後はオーブンで焼き上げることには変わりないらしいです。ただ、こうしてさっと揚げておくと肉の表面から肉汁の蒸発が防げるので、ただでさえパサつきやすい七面鳥のローストがジューシーに仕上がるんだそうだ。どうでもいいけど、一年に一回使うか使わないかなのに、この奥田瑛二向け五衛門風呂なるものが、アメリカではかなり売れているらしいですぜ。やはり私にはよくわからない、アメリカ人のこういう感覚。そんなものを買っているから、家に作りつけになっている屋根つきの車庫(しかも2-3台入るような大きさ)が物置状態になって、豪勢なBMWやベンツを自宅前に路駐するハメになる家庭が多いのです。一年中ほとんど使わないもので車庫は満杯、毎日使う車が野ざらしなんて、本末転倒もいいところだと私などは思ってしまうのですが。

そして感謝祭が終わった11月26日からは、一気に世間はクリスマス気分です。我が家の近くの家々も、クリスマス向けの飾り付けを始めました。見るたびに「わははは。。。」と笑うしかないほど狂ったように飾り付ける家が我が家のはす向かいにありますので、明日はその家のレポートをお届けいたします。
それでは皆様よい一日を!!

奥田瑛二の丸焼きを食べました

2004-11-29 11:23:48 | 異文化あれこれ
いやー、ごめんなさい、いきなり訳のわからないタイトルで。

早速これを解説させて頂きますとですね、私の大好きなエッセイストで、俳優奥田瑛二氏の奥様でもある安藤和津さんの本で、「愛すること愛されること」というのがあるのですが、その本の中に、こういうエピソードがあるのです。「奥田瑛二氏の本名は、下の名前が「豊明(とよあき)」というのだが、彼の若い頃のあだ名は「ターキー」であった。その由来は、名古屋に住む彼のご両親が、「とよあきー」と彼を呼ぶ時の発音が、普通の人には全くもって「ターキー」としか聞こえないからだった」と。
アメリカの感謝祭で無残な丸焼きにされる七面鳥は、勿論英語で「Turkey(ターキー)」と言うのですが、この安藤和津さんのエッセイでの逸話のインパクトがあまりにも大きかったので、私はアメリカのスーパーなどで七面鳥の肉を見かける度に、密かに「あっ、奥田瑛二だ!そりゃターキーだっちゅーの!」という訳のわからない一人ボケと突っ込みを心の中で呟く怪しい女になっていたのであった。うちのフランス人には決して説明できないこのギャグ。国際結婚の断絶感に涙を流す時というのは、こういう瞬間かもしれない(どこがだ)。

話を戻しますとですね、楽しかったですよ、感謝祭!!フランス系イラン人のご家族の家に呼ばれて、見事な七面鳥の丸焼きをご馳走になりました。うちのフランス人は、「七面鳥のロースト、ペルシア風」などと感謝祭の数日前から呟いていましたが、どうしてどうして、セロリやにんじんなどの香味野菜にちぎったパン、パルメザン・チーズを混ぜた詰め物をしたターキーに、クランベリー・ソースを添えた、立派なアメリカン・スタイルのローストでした。もっとも皆で食卓で手をつないでお祈りをするシーンでは、家長のダンナ様がどういうお祈りをしていいかわからず、苦笑いしながら「神様仏様キリスト様アラー様、美味しい食事とワインをありがとうございます」なんて適当にごにょごにょ呟いた後は、一気に皆でご馳走に突入した、という感じ。仕事を持っている奥様は、ターキーを買っておくタイミングが遅れて、巨大なターキーしか残っていなかったのよ、と同じく苦笑いしながら(やはり小さいものからどんどん売れていくらしい)18ポンド(9キロ弱!!)のターキーの丸焼きを出してきて、4人家族プラス招かれた我々を含めた6人は、目を点にしてしばしその巨大なトリを見つめることしかできないのであった。。。子供達が小声で、「あーあ、2週間は毎日残り物の七面鳥を食べさせられるな」と呟いていたのが、何とも可笑しかったです。

それにしても家族同様に親しくして頂いているご家族との、感謝祭のディナー。我々の誰もが生粋のアメリカ人ではないというのに、アメリカという国に同じ時期に住んでいるが故に出会い、友情が育ち、アメリカの習慣に則って食卓を囲むことの不思議さ、そしてご縁のありがたさ。。。色々なことに思いを馳せながら食べた巨大な奥田瑛二の丸焼きは、どえりゃー美味しかっただがや!!