トウキョウ◎アワー

ふるさとの自然が、愛しい。
懐かしいとよく似てるけど、ちょっと違う。
帰りたいと思うか、思わないかだ。

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ばあちゃん

2016-09-03 16:12:24 | Weblog


祖母が亡くなった。

あぶないと電話があって、相当走って空港へ行って故郷へ帰ったのに、
そんなの全然待っていなかったというように、実家はすっかり死者がいる場所になっていた。

98だったこともあって、
両親も親戚たちもどちらかというと大往生だったね、
という雰囲気で和やかにそこここで会話がされていた。

祖母は相変わらずの小さな体で、
でもいつもになく血の気のない顔で、
手に数珠なんかにぎって横たわっていた。

まぎれもなくばあちゃんだ。
でも、まぎれもなくばあちゃんではない。



3日経って、葬式の日。
私が嫁ぐ時に母が仕立ててくれた礼服に初めて袖を通した。
40くらいまでは着られるように、と腰回りを大きくとったのだが、
結婚時よりやせた私には少しガバガバしていた。

ばあちゃんの顔はこの3日ほど、毎日変わった。
死ぬと顔の肉が重力で落ちていくのだ。
なので、まん丸の顔だったばあちゃんは
葬式の日には女優のようなシャープな輪郭になって、口もとに微笑みを浮かべていた。
多分98年生きていてこれが最初で最後だろう、色とりどりの花に囲まれて、静かに静かにそこにあった。


最近の葬式では思い出写真をスライドしてくれるらしい。
私が本棚をひっくり返して見つけてきた祖母の写真が12枚、父の会社の人も親戚も関係なく鑑賞させられた。

まだじいちゃんと結婚したてのころの2ショット。
親戚たちと談話している若い頃のショット。
じいちゃんと餅つきをしているショット。
私たちの小さいころの家族旅行のショット。

美空ひばりの「川の流れのように」をバックミュージックにそれを眺めていたら、
ばあちゃんの人生ってどんなものだったんだろう。と思った。
私の知っている「ばあちゃん」はほんの一部で、私と出会う前の彼女はどんな人生を送っていたのだろう。
幸せなことはあったのだろうか。
いやなことばかりではなかっただろうか。
じいちゃんといて楽しかっただろうか。
お父さんやおばちゃんを産んでどれだけ愛しかっただろうか。


それはもうわからないこと。
このしずかでつめたい微笑みを浮かべているモノは、ばあちゃんではない。

人が心の中で生き続ける、というのは
死んだ人は人ではなくなるから。

肉でできた物体と対峙すると、「人はどこにいたのだろう、そうか、記憶にいるのだ」と思うのだ。
というより、思い込むことで整理をつけるのだ。


いずれにせよ、私のばあちゃんは死んだ。
いないけど、彼女のあたたかな血は、確実に私に流れている。








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だいすき、おやすみ。

2016-09-03 16:07:54 | Weblog


最近体調がすぐれず、寝込んでいる私。
娘が心配してくれます。

寝室にそうっと入ってきて、

「だいじょうぶ?
 あかるくしてごめんね。
 明日もお仕事がんばってね。
 だいすきだよ。
 おかあさんがね。
 おやすみ。」

それから一時間ほどして

「とちゅうでごめんね。
 お手紙かいたよ。
 じゃあね、おやすみ。」

と枕元にかわいくキツネの形に折った紙を置いていってくれました。

無性にこころがあったかくなって、
これを幸せと呼ばずなんと呼ぶのだろうか、なんて考えて
なかなか寝付けない夜になりました。

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うれしいこと

2016-06-23 23:08:04 | Weblog

妹が、私にはいない。
兄と弟がいるんだけど、妹がいたらきっとこんな感じなんだろう、と
一回り近く年下の彼女といるとそう思う。

まっすぐに、よれることなく、へこたれずに、
それでも時々お腹を壊したりする子。
土鈴のように心地よい声でよく笑う子。

今年の春から社会人になり、ようやっと3ヶ月が過ぎようとしていた。
久しぶりに連絡が入り、お昼を食べることになった。

オンタイムでお店についたら、ちゃんとそこに、満面の笑顔で座っていた。
元気?と声をかけたら、
私の名前をいつもの調子で、でもとても嬉しそうに呼んで、
両手をハグしようとするようにパッとひらいた。
笑ったと思ったら、大きな目が見る見る間にウルウルして、
それを恥ずかしいというふうにはにかんでまた笑った。

ああ、少しでも必要とされている、もしくは
会いたかったと思われる人間に
私はなれているのかなあと。

社会人になりたての頃は、毎日気を張り詰めてがむしゃらに仕事をしていた。
母へ電話したら緊張が一気にとけて大泣きしたのを覚えている。

がんばってるんだな、この子。
応援してるよ、がんばれ。


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しかりすぎた

2016-05-25 21:53:19 | Weblog


しかりすぎた、大人気なく。
とっくにイヤイヤ期は終わってるはずなのに、
食べ物のこととなると、娘はゆずらない。
要はくいしんぼうなのだ。

で、夕飯の前にラムネが食べたいと言い出した。
それまでオトモダチと飽きるまで食べていたはずのおやつは、もう消化したのか?
わたしもゆずらなかった。
いつもなら、「じゃあ一粒だけね」って言えるところだったのに。

娘はヒートアップして大泣きして、こちらも声がどんどん大きくなっちゃって。

わざと嫌なことを言ってることもわかってた。
これを言うとさらに泣くってわかってても。

母やってるけど、小さな人間です。

今日は眠りに落ちるとき、手をつないでくれなかったね。
「だいすきだよ」って、今言わないといけないと思って。
おでこのあたりにささやくと、ぱっと目を開けてにこっと笑った。
こんなに愛おしいものは他にはないのに。

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母のウインナー

2016-04-26 09:42:16 | Weblog


みなさん、ゴールデンウィークです。
サラリーマン戦士の夫なんかは12時間以上も、妻の実家で眠っています。
いかがお過ごしですか?

石川県の今朝は快晴で、青い空の下、青々とした植物たちが風にそよいでいます。
娘なんかはばあちゃん家に来たのが嬉しすぎて、昨日もよく分からないダンスをしていました。
今はばあちゃんと歯医者へおでかけしています。歯医者?

そうそう、朝ごはんは母が超簡単に作ってくれました。
目玉焼きとウインナーと食パン。
隣で世間話をしながら立っていると、大量にサラダ油を引いてジューッといためる音。
切れ目がやや深く入った熱々のウインナーをお皿に転がしていました。

ああ、これこれ。
母のウインナーはいつもこれだった!

私はほぼボイルにしちゃうウインナー。
母が作るとギトッとカリッとしたウインナー。

たまーに、食べたくなるけどね。
みなさん、よい連休をお過ごし下さい!

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