射るような光

心の澱を捨てながら時々音楽話 特にヘヴィ・メタルとプログレの日々

監禁

2017年06月20日 | 多次元な恋人(ほぼノンフィクション)
★お目にとめて頂きありがとうございます。
これは続きものになっておりますので興味を持って頂けたら
「多次元な恋人(ほぼノンフィクション)」カテゴリ―から順番どおりに見てやって下さい。お願いします★

専門学校で知り合った彼との別れ話で
それがきっかけとなって
より気待ちの結びつきが強くなった
彼の束縛はそのままだったが
私に対しての不安の裏返しなのだと想い
私から離れないからと
口に出すようにした

それ以降、彼は自分の不安な気待ちを
口にする様になってきた
彼は別れ話の後、私の住む町に越してきた
専門学校への入学を機に
一人暮らしを始めていた彼は
その時住んでいた場所よりも
私の自宅近くの方が家賃が安かった事と
結婚の約束しているのだから近くにいたい
その2つの理由から越してきた

その直後だった
前日、彼は学校近くでアルバイトをしていたが、終電に間に合わず同じクラスの友人宅へ泊まった
私は一人で登校する事となり、最寄りのバス停でバスが来るのを待っていた
その時、1台の黒い車が私の前に停まった
窓が開き
ーTさん!
と声をかけられた

驚いてそちらを覗き込むと
あなたの友人のWくんだった

ー久しぶり!学校へ行くの?

ーあっ!久しぶり!そう、これから

ーじゃあ、俺さ駅の方へ行くから乗って行けば?
どうぞ

ーMちゃんは?

ー今からMの家に行くところなんだよ
今日はさ、Mのご両親とMと出かけるの
仕事休んでね

ーえー、Mちゃんに怒られるからいいよ
バスに乗って行くから
Mちゃんによろしく言って

ー大丈夫だから乗りなよ

そう言って運転席から助手席のドアを少し開けてくれた
私は有難く乗せてもらうことにした

ーありがとう、ごめんね、急いでるところ
助かります。

ーいいよ、大丈夫だから。
ところでさぁ、なんか綺麗になったんじゃない?やっぱり渋谷方面に行くと変わるのかなぁ
違うなぁ、こんな事を言ったら失礼だけど顔の艶が違うよ
キラキラしてる

ー実はね、今の彼氏と学校を卒業して1年以上経ったら結婚する約束してるの

ーえー!うそぉ!いつかまたAとTさんはヨリが戻ると思っていたのに

ーそれはAに悪いよ、他に好きな子がいるんだから。その子と仲良いでしょ?

ーうん、まぁね

ーいいよ、本当の事を言ってくれて
バレンタインの時の事、感謝してます、今でも
でもさ、頑張れなかった
Aの事を縛りたくなかったの、いつまでも

ーあいつさ、仲はいいんだけど、相手が高1だからね
まだ子供みたいでさぁ、でもAが夢中になってる感じなんだけれど、今でもTさんの事は言ってるよ、嫌いになったわけじゃなかったって

ーへぇー、そうなんだ
まぁ、お互いに今は幸せだからいいんじゃない?

ー俺はなんか腑に落ちないけどね
でも、幸せになってね
俺たちは結婚はもう少し先になりそう
Mが仕事に夢中なんだよ
でもその方が良かったよ
あいつも、社会知らないで結婚しても面白くないだろうし

ー相変わらず、仲がいいね、二人とも
嬉しいな、仲を取り持った身としては

ーそうだよね、Tさんが説得してくれなかったら今の状況ないもんなぁ
ありがとう

ーううん、こちらこそ
ありがとう、送ってくれて

ーいえいえ、気をつけてね、行ってらっしゃい!

ーMちゃんによろしくね!

ーうん、またね

ーまたね

思いがけない再会だった
あなたと3月の卒業式の日に別れて
専門学校を行ったのを機に
一度だけ、借りているものを学校の帰りにあなたのバイト先に持って行きたいと電話したきりだった
その時は都合が合わずに、会う事はなく借りていたものはずっとうちにあった
もう今となっては、彼があなたと会うと知ったらと思うと、会う気にもなれなかった
今日も、彼が居なくて良かった時つくづく思った

学校に行くと、彼はすでに席に着いていた
その時、あまり親しくはないクラスメートから、昨日彼は友人宅に泊まったのではなく、女性と、しかも同じクラスの女性と一緒だった事を知った
わざわざ私にそれを言ってきた女性も、彼と浮気をした女性も、私と付き合っている事は
全く分かっていなかった

ーなんかね、バイト帰りでお互い終電待ちをしていたら話の流れでホテルへ行ったらしいよ

そのクラスメートは、まるで芸能人のスキャンダラスな噂話をするように言った

ーあの子、ラッキーだよね、きっと付き合いよ、彼と

ーえ?そうなんた

私はそのクラスメートの話に、作り笑いをした

私は、彼が夕べ寝たと思われる女性があまり男性経験がないと聞いていたので、まずいことにならなければいいなと心配した

彼の夕べの所業を知った仲間達が
お昼休みに彼に話しをした

ーおまえさぁ、同じクラスの女とやっちゃいかんだろう
おまけに口の軽いだろう、あの女の子

ー何でダメなの?
別に俺は悪い事はしていないだろう ?

ーTさんていう彼女が、しかも同じクラスに彼女いながら別の女に手を出しちゃダメだろう

それを受けて、仲間の中で一番年長のDくんが口を開いた

ーYくんさぁ、Tさんの気持ち考えた事ある?
TさんYくんの女遊びに寛大だからって、何も感じない訳でも認めてる訳でもないんだぜ
そこわかってないでしょ?

彼は、Dくんには答えないで、急に私に話しかけてきた

ーお前さぁDさんに何か言ったのかよ

ーえ?言ったっていうか愚痴を零しただけ

ー何でだよ、何でそんな事言うんだよ

ーおい、YくんはTさんが話したくても俺らか他の女と出かけて、Tさんの事二の次にしただろう
そんな君がTさんに何か言えないだろう

他の仲間も口々にDくんに賛同し始めた
私は黙ってそれを見ていた
自分の感情さえも
何処か他から見ているようだった

その日から3日後の朝、合鍵で彼の部屋に入った
いつものように登校前に彼を起こすためだ
学校のある日は、朝が弱い彼の為に彼の部屋へ寄って支度を手伝っていた
時に、共に朝食を食べて登校する事もあった

部屋に入ると珍しく起きて着替えを終えていた
しかし、普段着だった

ーどうしたの?それ部屋着じゃん

ー今日は休み

ー具合いでも悪いの?

ー何ともないよ
おまえも行くなよ

ーどうして?何で行っちゃいけないの?

ーおまえは今日からここへ住むんだよ

ーえ?同棲?
そんな事を急にしたら、親が心配するから出来ないって
まず話をしないと

ー出来ないなら一歩もここから出さない
おまえに決定権ないから

ー何で?

ーおまえは信用出来ない、俺がこんなに想っているのにおまえはちっともわかってない
Dさんに話したんだろう、俺への気持ち
何で俺に話す前Dさんに言うんだよ
俺はさぁ、Dさんも信用してないんだぞ
前からな
あんな元族野郎なんか信用するはずないだろう
もっと若い頃散々していたくせに、俺に説教出来る立場か?

ーDくんはいい人だよ
それに皆んなで飲んでた時に何となく相談みたいな、そんな話しになったんだもん
その時、あなたは他の女の子と出かけていなかったじゃん
それなのに、そんなことを言うの?
そもそも、当たり前に浮気したり他の女と出かけるあなたが悪い

ー俺は悪いなんて思ってないから
大事なのも愛しているのもおまえだけなのに
他の女と寝ちゃいけないって意味がわからない
誰と寝ようと出かけようと俺の勝手だろう

ーじゃあ 私が浮気したっていいわけだよね?

ーおまえはだめ
おまえは俺だけ
話すのも見るのもだめ

ーそれじゃ何処にもいけないじゃん

ー行かなくていい
ここから一歩も出るな

ー何で?どうしてなの?バイトはどうしたらいいの?

ー学校も行くな、当然バイトにも行くなよ
おまえはな、自分でわかってない
男好きするんだよ
危なくて仕方ないんだ

ー何?それ
どうしてそんな事を言うの?

ーおまえが好きだからに決まってるだろう

ー好きなら信用するのが当たり前だよね

ー信用出来ないのはおまえが俺より先に他の奴に相談とかするからだ
おまえが悪い

私は混乱してきた
段々その状況がわからなくなり、息苦しくなってきた
彼は私の目の前で、能面のような顔で私を罵倒し続けていた
他の男に頼ったと言うのが、引き金になって彼の私への気持ちは疑心暗鬼で一杯になっていた
この目の前で感情を淡々と話す男は何者なんだろう
私が愛してる彼なのだろうか?
そもそも何でこんなに私が悪いと言うのだろう
いいえ、私が悪いのかもしれない
そうだ、私が悪いんだ
謝ろう、とにかく謝ろう、もう二度と振られたくない
ねぇあなたもそう思う?
あなたがそう思うならきっとそうなんだと思う
ねぇ、答えてよ
ここから助けて、お願い
二人とも幸せなんて、本当は嘘だよ
いつもずっと寂しいの、私
お願い、助けて

私はいつの間にかあなたに、心の中で話しかけていた

彼の言う事が正しいの?

ーわかった、私ここにいるから
でも、学校とバイトには行かせて、お願い
入学金とかお金がないのに出してくれたの、母が
だから学校へ行かなきゃいけないの
お金も稼がないとだめなの
自分で月謝払ってるから
知ってるでしょ?
お願いします

ーよし、じゃあ許してやる

ーなら、学校へ休むって電話してきていい?
今日はあなたと一緒にいるから

ーいいよ、その代わりとりあえずおまえの荷物持ってこい

ーわかりました
行ってきます

ーすぐ戻れよ

ーわかった

私はうちへ戻った
学校へ電話して担任へ欠席したいと伝え、荷物を纏めていた
あなたからもらったカセットは2本だけ持って行こう
他の荷物と一緒に入れた

頭の何処かで
おまえのしてる事はおかしいぞ
あの男がおかしいんだから
戻るな

そう言っている私がいた
それなのに、家を後にして彼の待つ部屋に戻った

その後、彼は当たり前のように私を散々抱いた
抱かれると
彼の言うことを全て受け入れたくなった
彼との行為は寂しさを埋めるのには、十分だった

私は彼を好きなのではなくて、彼との行為を愛しているのかもしれない
そんな想いが心に浮かんだ
しかし、私は相手を好きでないとそういう事は全く出来なかった
私は段々惨めになり、泣き出した
彼と付き合い出してから
既に数回彼の前で泣いていた
抱かれている最中に泣いたのは初めてだった
彼といると、惨めで寂しくてどうしようもなくなる事があった
そうなると自然と涙出た
時にそれは嗚咽になり、止まらなくなった
泣く事が負けのように感じていた私は、その事で更に自分を追い込んだ
悔しくて悲しくて寂しくて涙が出るのに
そんな風にさせる相手から離れられない自分が、ただの依存でしかないのだろうかと余計に惨めになった

あー、私は何をしているんだろう
あなたと会いたい

抱かれているのに、身体が反応しているのにどうして泣いているの?
もう、とうに壊れ始めていた

ーあれ?何処か痛い?ごめんね

ー違う、気持ち良すぎて涙が出てきたの

ー本当?やった!

私は嘘をついて彼をやり過ごした
そして、もうどうでもよくなっていた
行くところまで行けばいい
もう、戻れない

心と身体が分離していく音がどんどん大きくなっていった




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