射るような光

心の澱を捨てながら時々音楽話 特にヘヴィ・メタルとプログレの日々

一年の計

2017年05月16日 | 多次元な恋人(ほぼノンフィクション)
★お目にとめて頂きありがとうございます。
これは続きものになっておりますので興味を持って頂けたら
「多次元な恋人(ほぼノンフィクション)」カテゴリ―から順番どおりに見てやって下さい。お願いします★

目的の場所へは日の出時間の1時間ちょっと前についた
渋滞はそれほどしていなかった
それでも平日の夜中に比べたら 日中のような賑わいであった

車を目的の場所へは停められたので
あなたは一度車から降りた
それぞれの車からドライバーだけが降りて打ち合わせをしていた

私はその時あなたに車から降りていいと伝えた

あなたはとても驚いた表情をしたが
すぐに普通に戻って言った

― 外で見ないことになったんだよ

― ? そうなの?言ってくれなかったじゃん

― どうせ俺達は最初から降りないんだからどうでもいいじゃん

そう言うとそのまま行ってしまった

私は一瞬にしてもやもやした気持ちになってしまった
あなたが車に戻る間 どうやってこの気持ちを立て直そうか
もっとその事について話すべきか このままスルーしてしまうのか
ずっと考えていた

そしてぼーっとドライバー4人が話しているのを眺めていた
元彼のSは昔の面影はすっかり無くなっていた
普通の会社に勤めているので
長い髪の毛はばっさり切ってファションも普通の青年と言うよりは
おじさんのような格好をしていた
会社勤めをしているからと言って
そんな格好をわざわざしているのは何故だろうと不思議に思った
連れている彼女は同じ会社の先輩だとAが言っていたので
だからそんな格好をしているのか・・・
いえいえ私がその女性だったら逆に嫌だなと思った

Sはバンドを辞めた後 高校も辞めバイトをしながらサーファーになって生活をしていたそうだ
その後それでは後々困る事もあるだろうという事で
何か資格をとった後に大手の電機系の会社の下請けに入社し 私と別れたときに連れていた女性とは
その後数ヶ月して別れたそうだ
その後に 私の幼馴染E子の所へ何度もデートの誘いの電話をしてきたそうだ
私がAと付き合いだしたのを噂で聞き それをA本人から直接聞いても半信半疑だったそうで
幼馴染のE子のところへ電話で真偽を確かめたのが
電話をするきっかけになたそうだ
しかし E子は欧米人のような顔立ちでかつ背の高い人が好みだったので
私の元彼Sには興味を持つことはなかったそうだ
SはAほどではなかったが標準よりは少し小柄で顔立ちはまさに日本人顔だった
Aとは真逆の顔立ちだった
しかし鼻だけは高く 横顔は鼻ばかりが目立つ顔で
シルエットだけでもよくわかった

そんな事をぼんやりと思い出しながら
片方ではAに気持ちを伝えるべきかスルーすべきかずっと考えていた

Aが戻ってきた

― 女性陣はみんな車から出たくないって言っているから
  車の中から見ることになったから

― Kくん達も?

― あいつらはケースバイケースにするって

― AもKくん達が外で見るってなったら一緒に行っていいよ

― えー Tさんどうするの?

― 一緒に行っていいなら私も行っていい?

― いいよ 一緒に見よう

― 他の女性陣だって出てくるかもしれないじゃん

― それはないんじゃない Wの彼女だって頑固じゃん
  よく知っているでしょ Tさんの方が

― そうか Mちゃん人に合わせないもんね 凄く優しいけれどそういう事はしないもんね
  でもSの彼女は?

― 年上なの気にしてるから嫌だって

― 子供は相手にできないってことか
  いくつ上なの?

― 3歳

― なんだ もっと上かと思った
  年上大好きじゃん Sは
  私に会わせた彼女だって一つ上だったよね

― そんな事どうでもいいじゃん
  ところで今日は俺のリクエストで来てくれて嬉しい

― こういうの私だって好きだもの
  でもAの格好に合わないじゃん 
  もっと過激じゃないと

― そうだけれどいつも合わせなくていいよ
  どうせ大抵は脱いちゃうんだから

― ???何言ってるの!

― 今更何照れてるんだろうね にこちゃんでしょ本当は

あなたは嬉しそうに声をあげて笑っていた
私はますますさっきの話を言うべきかどうか迷っていた
この雰囲気を壊すのは嫌だった
しかしあなたは初日の出を見たら
私を送ってそのまま遊びに行ってしまう
どうしよう
送ってもらう時の方がいいかな

ー ねぇねぇ

あなたはまだにこにこしながら 呼びかけてきた

ー なぁに?

ー 今度はさ 聖子ちゃんヘアでぶりっ子してよ

ー はっ?そんな服持ってるわけないじゃん

ー 白いビヨロンのブラウス持ってるでしょ?

ー スカートと靴はどうするの?

ー 靴は俺があげたピンクの靴があるでしょ

ー スカートないもん

ー フレアスカート持ってるじゃん

ー それいつするの?

ー いつでもいいから

あなたからの考えもしない申し出に私は狼狽えたが
あなたが機嫌が良い方が大事だった
そして次のリクエストをしてきてくれた事に
安堵していた

ー じゃあコーディネート決まったらね

ー うん 楽しみぃー♪

前からあなたの好きな松田聖子のようなスタイルをしてほしいと言われていたが
こんなにはっきり頼まれたのは初めてだった

ー でも今日だって何でこの格好なの?

ー Wの彼女が全くスカート履いてくれないって結構困っていたからTさんが履いてるのを見たら少しはその気になるんじゃないかって思って

ー なんだ そんな事だったの?
彼女スカート持ってないから買ってあげればいいじんじゃないの?
それに卒業したら嫌でも履くことあるでしょ 彼女も専門に行くんだから

ー 俺はねTさんのスタイル見たらその気になるって思ったんだよね
彼女も細いしスタイルいいじゃん

ー 私は細いだけだけど彼女は本当にスタイルいいもんね
確かに勿体ない
でも車から降りなかったらお互い会うこともないじゃん

ー そうなんだよな だからまた着てきてよ

ー 別にいいけど彼女そんなことじゃ影響されないよ だって頑固じゃん

ー そうだった

たわいもない会話で時間は過ぎて行った
作ってきたサンドイッチを食べながら話した
話しは尽きなかった

ー 俺って幸せだな
してほしい格好してくれてサンドイッチ作ってくれる彼女がいて

ー 大袈裟じゃない?

ー だってみんな彼女にそんなことしてもらってないって言ってるぜ

ー お弁当が必要な所に行かないからでしょ
洋服だってみんなサラリーマンみたいに髪切ってそういうスーツ着てって言われたら嫌でしょ?そういう事じゃん

ー またそんな事いうー

ー そういう事だよ

ー そうかもしれないけれど俺がそう思うんだからそれでいいじゃん ねっ

そう言いながらあなたは スカートの上から私の太ももを撫で始めた
ー 馬鹿じゃないの?
バックミラーで前の車から見えちゃう

ー いいんだよ どうせこれ以上出来ないんだから

ー 当たり前じゃない 大体普通に歩いてる人から見えちゃうしね
この手は悪い子だよね

そういって私はあなたの手を叩きながらも違うことを考えていた
あなたの動作やいう事がいつもと違ってわざとらしい
何か隠しているんだな
そう思った

日の出の時間になった
揉めてここまで来たのにその甲斐もなく雲が出てしまい
太陽は見えなかった
その影は見えるのに本体には会えなかった

私は太陽に願い事をした
私たちにあなたがこの先見えますように
そしてどんなに暗くなってもまた照らして下さい


その後すぐに頭に過ったのは
今度は悲しい想いはしない
すぐに切り替える
だった

そんな事を元旦から思いたくないのに
自然と決意をしてしまった

あなたは横でずっと

ー なんだよー期待してたのに
出し惜しみだな
もうー折角Tさんがサンドイッチ作って来てくれたのに
スカートも履いてるのに

と 訳のわからない愚痴をこぼしていた
それもかなりのテンションで
それを聞きながらため息が出た
普段口数は多いが 比較的おっとり話す人が
早口で私を持ち上げるような事ばかりを言う
可愛いとか大好きとかいう事はあっても
私のしてあげた事に対していちいち話題に出すなどという事は
ほぼしない人だった
感謝の気持ちなどが会話に自然に出る事は普通にあるが
何かにかこつけて言う事は
大体人に私を紹介した時に
私のいいところを挙げ連ねて自慢する時ぐらいだ
それだってネタでやっているような事だ
その相手に笑って欲しくて言うのだ
お前ら馬鹿だな と

しかし今は車の中に二人以外誰もいない

私はただ呆れてあなたの横顔を見ていた
そして 本当に何か隠しているんだなと確信した


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