射るような光

心の澱を捨てながら時々音楽話 特にヘヴィ・メタルとプログレの日々

束縛

2017年06月22日 | 多次元な恋人(ほぼノンフィクション)
★お目にとめて頂きありがとうございます。
これは続きものになっておりますので興味を持って頂けたら「多次元な恋人(ほぼノンフィクション)」カテゴリ―から順番どおりに見てやって下さい。お願いします★

彼から彼の部屋から出るなと言われそこで過ごす様になってから6日間が過ぎた
最初の3日間程は出るなと言いながらも
それほど縛られなかった
しかし3日目の夜、バイトから帰ってきた彼に

ーDさんに何を言った?

私はその日学校でDくんとは話してもいなかったので、何も思い当たらなかった

ー何も言ってないよ

ー今日じゃないからな
前だよ
Jんちで飲んだだろう、あんたら

彼は私の事をあんたと呼んだ
その3文字をいう声に力が入っていた
私は怖くなってきた

Jは、仲間の中で学校に一番近い所へ住んでいた
よくJの家で飲んだりご飯を食べたり、終点に間に合わないと泊まったりしていた
常に誰かがいた
それは男女問わずだったが、私以外の女子は全員その仲間の誰かの彼女だった
私はそのグループが出来る前から、既に彼と付き合っていたがJとは席が近かったので
自然時にその仲間になっていた

そのよくある飲み会での事を彼は言っていた

また、誰か彼にお説教したんだなと思い

ー何を聞いたの?
私は関係ないもん、何もD君に頼んでないし
愚痴はこぼす事あるよ、他の女と寝ることは
もう諦めたとか
でも、それってみんな知ってるでしょ
私が言わなくてもわかってるよ、みんな
あなたも隠さないでしょ、他の女と出かけるのを
学校からだって平気で出ていくじゃん
みんな心配もしてくれるし、聞きたい事だらけだよ、私に
だからって私は話さないけれどね

ーまた言われたんだよ、Tさんを泣かせるなって

ーDさんの彼女のKちゃんが羨ましいって言った時に、何で?って聞かれたから、あなたの素行が悪くていつも心で泣いているって言ったからじゃないのかな

ー余計な事言うな
やっぱりお前学校行っちゃだめ
家に戻るのも禁止

ー何で?そんなに私の事を信用できないの?

ー出来ない、ここへ越してからあんたが遠くなってるんだよ
だからだめ、外へ出ちゃ

ーまるで子供みたいな事言わないでよ

ー子供で結構
俺がさぁあんたが前の彼氏を忘れられないのをわからないとでも思ってるの?

私はびっくりした
Dくんの事で絡まれると思っていたので、動きが止まってしまった

ー何、固まってるんだよ
図星だろ、俺の方があんたに片思いしてるんだよ、いつも

ーそんな事あるわけないじゃん
大体、地元の友達の事だって紹介したけど、昔の男の話は一度しかしてないじゃん

ー手首の男の事は聞いたけれど、前の男の話は少ししか聞いてないよ
俺が気分悪いからするなって言ったけれど、今でも好きですって聞かされてるように感じたからだよ
ここへ越してきてさ、実感した
いつも夜のある時間になると何となくソワソワすんだよ、あんたは
それで思い出したんだよ、毎日同じ時間に電話してたって

ーそんなの誰でもあるじゃん
何でそれが今でも好きになっちゃうの?

ー前の男との癖が抜けないなんて、俺の事を心底思ってない証拠だろう

確かに、何故かあなたと電話をしていた時間が近づくと時計を気にしてしまう癖が抜けなかった
別れる3カ月程前から電話で話す事はなくなっていたのに
習慣とは恐ろしいものだ
それ以上にあなたを恋しがっている気持ちを見透かされていたのかと思うと、申し訳なかったり怖かったりと複雑な心境になった
そして、彼と別れたら行き場がないと思ってるいる自分が一番怖かった

ーごめんなさい、帰らせて

思わず口をついて出た
彼と別れると行き場がないと思いながらも、一緒にいると自分が壊れてしまうのではと、恐怖を感じて来た

ーだめ!
ここから出られると思うな
俺の気持ちを引っ掻き回しておいて
あんたとこの前別れ話をした時に心からあんたに悪かったって思ったし、あんたしかいないって思ったからここへ越して来たのに、あんたはまだ前の男が好きだなんてバカにするのも程がある!

ー私が好きなのは今一緒にいるあなただけだから
何で信じないの?私を
自分があちこちで私以外の女と寝るからそんな事を思うんじゃないの?

ー俺は俺の行動と彼女への信頼を比べた事なんかないから

ー私の気持ちもわからないから、今誰を想っているのかもわからないんじゃないの?

ーあんたが俺に素直じゃないからだよ

ー話をする時間もあまりないのにそんな事を言うんだ

ー時間の問題じゃないだろうが

ーあまりにも少ないじゃん

ー俺はさ二人でどこかへ出かけるのが好きじゃないんだから仕方ないだろう

ーじゃあ部屋で二人で過ごせばいいんじゃないの?

ー沢山話したからって分かり合えるのか?

ー確かにそうだけれど、分かり合えている確信さえもてないよ、あなたをもっと知りたいのに、何も話してくれないじゃん
話したと思えば他の女と寝た時の感想とかじゃん
彼女にそんな事を話す人いないよね?普通

ーあんただから話すんだろう、あんたの事は誰にも話さない、それが俺のルールなの
本命は誰にも話さない、段々あんたが彼女なんだってわからせていくのが俺のやり方なの

ー全く!わからないから

ー俺さぁ、今はバンドしてないからあまり女が周りにいないけれど、今でも活動してたらどうするんだ?あんたみたいじゃ生きていられないよ

ーうーん、何様ですか?あなたがモテるのとそう言うのは違うよね?

ーとにかくここから出さないから
出たら何をするかわからないからな

私は段々疲れてきてしまった
彼の俺様ワールドには彼が私を入れようとしても、なかなか定住する気にはなれなかった
プロポーズしてくれる前は、こんな風ではなかったのに何でだろう
もう嫌になってきたが、変な感情も生まれてきた
彼が 駄々をこねる子供のようにも思えた

しかし、私は今度は本意気に閉じ込められようとしている
何とかしなければ・・・

ーもう言うことを聞くから

ーおっ素直じゃん

ーだってさ、あなたの事が好きだもん

ーそれだけか?

ー愛してるから

ーあんたは嘘つきだから態度で表してもらおう

何を言われるのかと身体を固くした

ーそこから1時間動くな
ずっと体育座りしていろ

ーえ?何それ
わかりました

私は書道を小学生から9年間していたお陰で、座っていられるなら 変な格好をさせられているのでなければ全く苦ではなかった
彼はそんな事とは知らず、とても満足気だった

その日から3日間、家から出してもらえなかった
それでも、何とかいない時間に一度だけ抜けだしてうちに戻りまた部屋へ戻った
今度こそ、私や家族に何をするか また されるかわからない恐怖があったからだ
3日目の金曜日、
突然彼が今から帰れと言い出した

ー何で?

ー明日から姉貴と姉貴の友達が泊まりに来るのを忘れてたから

ーわかった

ーあのさぁーごめんな

ー何、今頃

ーでもさ、あんたの心はわからんかった

ーそれ何?
でも、もういいよ
私もよくわからなくなった

ー何で?そんな事言うなよ

ーとにかく帰ります

ー荷物持ってく、うちまで

ーありがとう

私の心は一部分が麻痺したようになっていた
ゆるく閉じ込められたような3日間の後に鶏小屋に入っていろと、閉じ込められた3日間
何も危害も与えられた訳でもなく、食事もしたし内緒で数時間だけ抜け出したが、精神的なダメージは大きかった
学校は10日間の秋休みに入っていた
その時に来年度の新入生の面接をするのだ
結果的に、私は1日だけの欠席で済んだ

11月も2週目に入り、夜は肌寒くなってきていた

彼と肩を並べて歩く夜道は、いつもと違って寂しさなど微塵もなかった
うちに帰れる安堵感と、やはり彼が何かをする程おかしな人ではなかったという安堵感で数日ぶりに息をする事が出来たからだ

彼が口を開いた

ー俺から離れないで、お願いだから

胸がキュンとした
私って馬鹿だなと心底思った

こんな恋愛 あなたに何処かで会ったら話せない
あなたに話せる恋愛じゃなきゃダメなのに

私の中で、あなたが常に基準になっている事に気がつきとても驚いた

こうして過ぎた束縛の日々、ゆるい監禁の6日間は終わった




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