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「集団的自衛権と安全保障」その2

2017-03-05 | 気になる本

2章「歴史問題」と集団的自衛権

アベ首相らは、客観情勢のリアルな分析に基づく「戦略性」がない。領土問題で千島、竹島、尖閣で最も重要なのは竹島である。韓国とは国家制度も似ている、仮に北朝鮮、中国と敵対するなら韓国との連携は必要である。韓国にとって竹島は「植民地問題」であり、「民族の象徴」である。日本政府が帰属問題を前面に出せば、韓国が反発するのは必至であり、米国の地名委員会でさえ韓国領と記している(『尖閣問題とは何か』)。

アベの「戦後レジームからの脱却」は、憲法9条からの脱却と、「東京裁判史観」の脱却である。アベの主張は、日本の青年も「血を流すべきである」(『この国を守る決意』)。アベの言葉に従うならば、国家のために血を流すべきである。アベの「歴史修正主義は断じて許さない」のがオバマ宣言である。ビンの蓋はソ連、中国の共産主義を抑えることと、日本の軍国化を許さないという二重の意味がある。

日本の原発は空からの攻撃に耐えられるか?経産省の報告書によれば、「弾道ミサイルに有効に対処しうるシステムは未整備」としている。日本の原発はミサイル攻撃に無防備である。「理性なき国家」が現れ「核の脅し」は通用しない。ミサイル防衛の論理と核抑止の論理が根本的に矛盾している。

4章中国の脅威と「尖閣問題」

中国漁船が尖閣の領海侵犯をしたのは、野田政権が国有化を決定してから、年3日から63日に急増した。石原は2014年、尖閣を都が買うと発言したのが分岐点である。石原はヘリテージ財団で、「国が買い上げると支那が怒る」と述べた。尖閣諸島に米軍の射爆撃場があっても、アメリカは中立と言っている。オバマも安保法5条の適用をいうが、尖閣諸島の主権については中立である。日本が「領土問題は存在しない」というだけで、中国と話し合いをしなければ、米国は「5条適用」をしない。

第Ⅱ部 憲法改正と安全保障

憲法は米国が「押し付けた」というが、原案はGHQが作った。当時2大保守政党の自由、進歩両党は反対しなかった。ヨーロッパのように「征服戦争の禁止」など限定的でなく、徹底的な平和憲法としたのはなぜか?それは、戦争責任があると多くの連合国が考えていた天皇と天皇制を護るためには、「世界に類例のない平和主義」、「戦争の放棄」と「戦力の不保持」の憲法が必要であった。マッカーサーの三原則は、①天皇は最高位にある、②戦争は放棄する、③封建制は廃止するである。それに対し、私たちの憲法三原則は、①国民主権、②人権尊重、③戦争放棄である。この落差を考える必要がある。憲法をどう評価するか、戦争や侵略戦争の責任を、日本を豊かにした高度成長政策と公害をいかに総括するのか。「美しい日本」と「和の精神」という子どもじみた観念論。自由民主党として、日本の近代を必死に生きてきた先代の苦労に報いることができるのだろうか。平和憲法を単に「誇り」としてのみ認識するのではなく、徹底した平和主義を掲げることによって天皇の地位が守られ、沖縄の基地があったと認識すべきではないだろうか。

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