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「豊田市の産業立地適正化計画」を聞いて

2017-03-24 | 都市計画・まちづくり

 年度内は無いと先回の会議で言っていたが、たまたま見た広報に掲載があったので、321日午後3時という中途半端な「豊田市都市計画マスタープラン策定」会議を傍聴した。年度末のせいか、欠席者が15人中6名と多かった。傍聴は「普通の市民」私1名と、バッジを付けた人が3名であった。まずは、立地適正化計画の背景と豊田市の都市構造を整理しておこう。

 テーマは「立地適正化計画」であった。豊田市は総合計画が今年度策定され、それを受けて都市計画マスタープランが来年度までに策定される。今年度は地元説明会も地域自治区単位に行われたが、動員支持もされなかったのでどこの会場もガラガラであった。市民の関心がないのか主催者のPR不足かである。私は主催者の資料不足とトップダウンの方針説明が無関心に繋がってると思う。日常的に地域会議やコミュニティ会議では、防災、防犯、交通、環境問題しか取り組んでなく、都市計画やまちづくりは話題もされない。住民参加の制度設計から見直しが求められている。

 立地適正化計画は都市再生特別措置法の改正に基づくものである。人口の減少が予測され高齢社会に対応する、財政が厳しくなり公共投資を減らしたいことなどを理由に、都市構造を「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」の考えでつくろうとするものである。都市計画マスタープランの基本的な思想に位置づけられることを、国から誘導される。

 豊田市の都市構造はどうなっているか、この分析が充分されず共通認識になっていない。豊田市は、①トヨタという1大企業があり工場が先にできた都市、②合併による市街地と農村の混在する広域都市、③急速に人口が増加し、車社会で低密度の分散型市街地を形成、があげられる。社会的には人口は車産業の景気に左右され、現在は社会増がなく停滞である。周辺都市よりも地価が高く、中堅層の市外転出が続いている。男性比率や男性の独身率が高い。04年の派遣法改悪により非正規社員が増加した。08年のリーマンショックでは人口の社会減が著しかった。これは定職につかなければ定住できないという証明であろう。

 豊田市では市街化区域の面積が大きく、区画整理も整備率が低く、市街化区域の「空洞化」状態である。線引き後も、既存の権利、沿道サービス、農家の分家、大規模開発など調整区域での開発・建築が多かった。地価の安い所を求め、旧下山村や旧藤岡町にも住宅が建築された。大規模団地では保見団地がある。さらには大型店の郊外化、コンビニの流行、幹線道路の沿道店舗が市街地を特徴づけている。鉄道は名鉄と愛知環状鉄道がある。鉄道駅を中心に市街地を形成したい行政の思惑は有っても、地価が高いので市民は郊外を選択せざるを得ない。豊田市では駅周辺の開発を助成するが、住宅購入者への直接補助がないので効果が見込めない。市駅の北地区再開発で85mの超高層マンション161戸が建設中であるが、最低でも4000万円のものが直ぐに完売された。委員の意見では、購入者の6割が市外だという。これを喜ぶべきだろうか。市営住宅の入居待ちが300世帯もあるのに、民間の再開発事業費の72%が国・県・市の補助金である。開発利益を得たのは誰か、調べてみたい。(次回は「豊田市における立地適正化計画」の考え方と委員の質疑を書く予定である)

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