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阪神大震災22年 復興住宅「期限」に苦悩 転居迫られ

2017-01-13 | 日記

                阪神大震災22年 

            復興住宅「期限」に苦悩 転居迫られ  

阪神大震災22年 復興住宅「期限」に苦悩 転居迫られ
http://mainichi.jp/articles/20170112/k00/00m/040/091000c

 阪神大震災の発生から17日で丸22年を迎える今も、兵庫県と神戸市など6市の借り上げ復興住宅には約2800世帯が住んでいる。だが同住宅は入居から20年で原則、家主に返還される制度だ。昨年5月12日の神戸地裁203号法廷。明け渡すよう神戸市から訴えられた男性が証言台に立った。「この家で終身、生活できると信じてきた。被災した時、まさか21年後に神戸市に訴えられるとは夢にも思っていませんでした」

 この男性は神戸市兵庫区の借り上げ復興住宅「キャナルタウンウエスト」に住む元調理師、吉山隆生さん(66)。自宅が全壊し、仮設住宅を経て1999年12月に移った。周囲の環境に慣れ、落ち着いた日々を過ごしていた。20年で返還される制度と知ったのは6年前。「入居時には書面でも口頭でも説明はなかった」と訴える。その後、85歳以上や重度の身体障害者などの継続入居は認められたが、吉山さんは対象外だった。退去を拒むと昨年2月11日、訴状が届いた。

 訴状が届いてから、睡眠導入剤が欠かせなくなった。一からやり直す自分を想像する。「何か悪いことをしたのか」。何度も自問するが、答えは出ない。

 兵庫県宝塚、伊丹両市は計71世帯について無条件の継続入居を決断したが、それ以外は年齢などの条件を満たさなければ2022年までに次々と入居期限が訪れ、転居を迫られる。西宮市と大阪府豊中市は猶予期間を設けて原則転居を求めており、入居先によって格差が生じている。

 全壊だけでも18万世帯から住居を奪った阪神大震災。「一刻も早く住まいを」と懸命だった行政側に、「仮設住宅の次の住まいの20年後」を想像する余裕はなかった。

仙台市は全戸訪問 「将来退去」伝える

 この教訓に取り組んだのが東日本大震災の被災地・仙台市だ。ピーク時に約1万2000世帯が仮設で暮らした。8割は自治体が公営や民間住宅の空き部屋を借り上げ、無償提供する「みなし仮設住宅」に入居していた。
 仮設供与はいつか終わる。「追い出し」にならないよう次の住まいに移ってもらうことが至上命令だった。市は震災直後から全戸訪問を1年かけ実施。支援が必要な世帯への訪問を繰り返し「いつか出ていかなければならない」と伝えた。

 公的支援ですくいきれないニーズは民間支援団体と連携した。その一つ、一般社団法人「パーソナルサポートセンター」(PSC)=仙台市=は不動産業者と連携して連帯保証人不要の物件を紹介。転居費が用意できないケースは民間の貸付制度を活用した。

 PSCはこれまでに166件の転居に携わった。1世帯当たりの平均相談数は20回。「166通りの支援をした」という。PSC理事でもある「人と防災未来センター」(神戸市)の菅野拓研究員は「『ハコ』ではなく、『暮らし』を用意することを重視した」と強調する。【井上元宏、神足俊輔】


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