見えない恐怖に囚われて。
「怖いと感じることが怖い」。主人公マーゴが劇中前半で口にする言葉である。
客観的に見れば特に不足のない生活。でも何かが足りない。何かが間違っているんじゃないか。
目に見えないからこそ怖い。理解できないものだから怖い。これは恐怖の真理として正しい。
しかし、存在しないかもしれない恐怖にまで振り回されてしまうようになると、もはやそこに幸せへの出口はない。
マーゴはよく笑う。結構大げさに。しかし数分も経たないうちにその顔は曇る。彼女の心に開いた穴が笑い続けることを許さない。
夫のせいじゃない。他の誰かのせいでもない。自分で作った穴、いや、穴があると思い込んでいるだけ。
感覚のみに存在する穴はパートナーを替えれば埋まるものじゃない。自分を変えない限り、彼女は回転木馬のようにいつまでもひとところを回り続ける。
M.ウィリアムスの野暮ったい顔は、このどよんとしたマーゴにぴったりだった。
一方で夫役のS.ローゲンは妙にかっこよかった気がする。
夫が唯一犯した過ちは、妻の繊細な意識の変化に対応できなかったことだが、長い目で見れば、彼にとってはその方がよかったのかもしれない。
人生は少し足りないくらいが当たり前。少なくとも、残された夫の周りの人たちは、そこで折り合いをつけながら生きていた。
(75点)
「怖いと感じることが怖い」。主人公マーゴが劇中前半で口にする言葉である。
客観的に見れば特に不足のない生活。でも何かが足りない。何かが間違っているんじゃないか。
目に見えないからこそ怖い。理解できないものだから怖い。これは恐怖の真理として正しい。
しかし、存在しないかもしれない恐怖にまで振り回されてしまうようになると、もはやそこに幸せへの出口はない。
マーゴはよく笑う。結構大げさに。しかし数分も経たないうちにその顔は曇る。彼女の心に開いた穴が笑い続けることを許さない。
夫のせいじゃない。他の誰かのせいでもない。自分で作った穴、いや、穴があると思い込んでいるだけ。
感覚のみに存在する穴はパートナーを替えれば埋まるものじゃない。自分を変えない限り、彼女は回転木馬のようにいつまでもひとところを回り続ける。
M.ウィリアムスの野暮ったい顔は、このどよんとしたマーゴにぴったりだった。
一方で夫役のS.ローゲンは妙にかっこよかった気がする。
夫が唯一犯した過ちは、妻の繊細な意識の変化に対応できなかったことだが、長い目で見れば、彼にとってはその方がよかったのかもしれない。
人生は少し足りないくらいが当たり前。少なくとも、残された夫の周りの人たちは、そこで折り合いをつけながら生きていた。
(75点)