わたしの散歩道

ブログを始めました。

白い雲がわきたつ緑の草原

2015-08-05 09:04:26 | Weblog
 夏が来ると、草原を黄色く埋め尽くす霧ヶ峰を思い出す。
ニッコウキスゲが大乱舞し白い雲がわきたつ草原を散策する
爽快さは忘れがたい。

7月15日(水)、台風11号を気にしながら霧ヶ峰へ向か
う。白樺湖も過ぎ霧ヶ峰高原のビーナスラインを走るバスの
車窓から緑の草原を眺めているうちに車山肩(1817m)
の駐車場に着いた。

コロポックル・ヒュッテの周辺はニッコウキスゲが黄色く埋
め尽くし見事な美しさだ…。見上げると、広い登山道が車山
の山腹を屈曲し延びていく。


       車山の登山口にある「車輪」

真っ青な空にもくもくわきたつ白い雲を眺めながらゆっくり
と登って行く。登るにしたがい、ハクサンフウロウやニッコ
ウキスゲなどの高山植物がちらほらと咲き高原らしい。

ゆるい登りながら強い夏の日差しに汗がしたたる。真っ白な
ドームが見えてきた。山頂はもう近い…。やがて、広々とし
た霧ヶ峰の最高峰車山(1925m)の山頂だ。

山頂には車山気象レーダー観測所があり、車山神社が祀られ
ている。山頂から眺める360度の山岳風景がすばらしい。


        白い雲がわきたつ山頂

すぐ真向かいに蓼科山が迫り、八ヶ岳連峰のなだらかな裾野
のに優美な富士山を映す。遥か彼方に御岳山が、その右に乗
鞍岳や北アルプスの山並みが望まれる。美ヶ原高原のテレビ
の中継塔も見える。

すばらしい絶景を堪能し、初めての山彦谷南の耳、北の耳を
目指す。山の稜線が動物の耳の形によく似ているからという。

山頂から白樺湖方面へ進み北東側の急斜面を下る。長い石段
は滑りやすい。慎重に下り広い砂利道をたどる。白樺湖への
道を分け車山乗越へ。


       高原の風に揺らぐニッコウキスゲ

登山道の周辺は7月らしくニッコウキスゲが美しく咲き乱れ
すばらしい。見上げれば、山の斜面はニッコウキスゲの大群
落だ! わきたつ白い雲に、黄色いニッコウキスゲが緑の草
原に映えて美しい。

この大群落の花は朝ひらいて夕方しぼむ1日花。けなげに1
日を惜しむかのように夏の日に輝く…。


   斜面を黄色く埋め尽くすニッコウキスゲ

夫婦岩から、蝶々深山への道を分け山彦尾根へ。人影もない
静かな山道を花を探しながら行くと殿城分岐だ。草むらに可
愛らしい黄色いニガナがひっそりと咲く。

ここから南の耳へはなだらかな長い登りが50分ほどつづく。
緑の風が渡る登山道はイブキトラノオやキバナノヤマオダマ
キ、ウスユキソウなどが咲きすばらしい。

最後の急なガレ場を登ると南の耳(1838m)の山頂だ。
見渡す限り果てしなく緑の草原が広がる。右手はエコーバレ
ースキー場だ。


        山彦谷南の耳の山頂

振り向けば夏空に真っ白な気象ドームが聳え、間近に蝶々深
山(1836m)の緑が目に染みるように美しい…。

南の耳の急斜面を下り北の耳へ。起伏のある山道は見通しが
よく北の耳の山頂がよく見える。登山道沿いには紫色のウツ
ボグサや珍しいグンナイフウロウ、ヨツバヒヨドリなどが見
られ花の道。

やがて、山頂直下の急なガレ場を登れば北の耳(1829m
)の山頂だ。真っ青な空に真綿のような白い雲が流れ緑の草
原は牧歌的な詩情にあふれる。


        緑の草原に咲くウスユキソウ

山頂から緑の草原を堪能しゼブラ山へ向かう。滑りやすいガ
レ場を下る。最後のゼブラ山まで20分ほどの道のり。高原
の外周を巡る山彦尾根は清涼な風が渡り空中庭園を散策して
いるような快適さだ。

ほどなくゼブラ山(1776m)の山頂だ。眼下に、鎌ヶ池
がきらめく八島ヶ原湿原を俯瞰し、近くに聳える鷲ヶ峰を仰ぐ。
草原に寝ころび雲を眺め清々しい大自然に浸る。


       ゼブラ山から望む八島ヶ原湿原

いよいよ高山植物の宝庫である八島ヶ原湿原へ。高原を吹く
爽やかな風を切りながらどんどんくだる。樹林帯に入ると風
がひんやりとし生気が蘇るような清々しさだ。


ほどなく物見石からの道が合流する広場だ。沢渡への道を分
け八島ヶ原湿原(1630m)の木道に入る。

鎌ヶ池のほとりの木道にはアヤメやニッコウキスゲ、エゾボ
ウフウが夏の日に輝く。木道を歩くとそこかしこに身の丈ほ
どのシシウドが白い花を咲かせ湿原らしい夏の風情だ。


          池の畔のシシウド

八島ヶ池に近づくとニッコウキスゲが黄色く彩り木道沿いに
咲く赤紫色のノアザミが美しい。

八島ヶ原湿原の彼方に豆粒のように車山のドームが見える。
緑の草原の散策もフィナーレを迎えた。
八島湿原をのぞむ広場に「あざみの歌」の歌碑がある。作者
の横井弘が終戦直後八島湿原を訪れた時に作詞したという。

叙情あふれる愛唱歌にはそれぞれの思いが刻まれていよう…。