新・本と映像の森 39(文学2) 石川啄木『新編 啄木歌集』岩波文庫、1993年
岩波書店、440ページ、定価本体800円。
『一握の砂』551首と『悲しき玩具』194首、ほか補遺の啄木の短歌を集めている。ちょっと全首は多すぎて、読み切れない。
啄木の歌は、ボクはかなり好きな歌が多い。なぜだろう。
啄木の作る短歌が名歌だからが、そろともボクと近い位置にいるから共感するからか。
☆
ここでは好きな短歌のうち、ほんの一部を上げておく。
夜寝ても口笛吹きぬ
口笛は
十五の我の歌にしありけり 60ページ
世のはじめ
まづ森ありて
半神の人そが中に火や守りけむ 97ページ
あたらしき洋書の紙の
香(か)をかぎて
一途(いちづ)に金を欲しと思ひしが 103ページ
こころよく春のねむりを
むさぼれる
目にやはらかき庭の草かな 139ページ
つね日頃好みて言ひし革命の
語をつつしみて
秋に入れりけり 321ページ、1910年
地図の上朝鮮国に
くろぐろと
墨をぬりつつ秋風を聴く 321ページ、1910年