雨宮智彦のブログ 古代・原発・人間・宇宙・日記 

遠州・静岡県浜松市の1市民として、地域の歴史・古代史・遺跡から人間や哲学、地球・宇宙までを調べ考えるブログです

新・本と映像の森 72 筒井康隆『エディプスの恋人』新潮文庫、1981年

2017年06月15日 15時56分43秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 72 筒井康隆『エディプスの恋人』新潮文庫、1981年

 (SF13)新潮社、286ページ、定価本体438円

 筒井康隆さんは日本のSF界でも最長寿の長老で今も現役、いまでも事件をまきおこす「退屈しない」人、いや我々を「退屈させない人」である。

 この作品は、著者の代表作のひとつ、「七瀨(ななせ)」三部作の最終編。「最終編」といっても全てが解決されて事件はめでたしめでたしで終わるというわけではない。

 注意!警告!

 ネタバレがあるので、未読の人は、まずこの小説を実際に読んでから、ここを見てください。





 20代の美女、主人公の七瀨、彼女はその能力を他人には隠しているが、テレパスで他人の心がまるごと読めてしまう。

 七瀨が勤務する、ある町のある私立高校の職員室。そこで放課後、その事件は起きる。

 グラウンドで練習していた野球部の硬球が、下校途中の男子生徒を直撃しかけて、その直前で、きゅうに飛散してしまう。

 以下は、小説の出だし、七瀨の心のなかに流れ込んでくる野球部員の驚きの反応である。

「(何)
 (何)
 (何)
 (何)
 (硬球が)
 (硬球が)
 (硬球が)
 (割れた)
 (割れた)
 (そんな)

 (誰)
 (誰)
 (誰が)
 (誰がそんな)
 (誰がそんなことを)

 (あいつだ)
 (あいつだ)
 (あいつだ)」

 以上、p1からp2の半分までの引用でした。

 この渦の中心にいる男子生徒・香川智宏、小説中の「彼」は、小説の登場人物ではない。登場人物というより単なる「背景」である。

 ほんとうの主要な登場人物は、七瀨と香川智宏の父と母、そして「前の神さま」の4人であろう、たぶんそう思う。

 七瀨は、その事件以来、「彼」とその周辺のことを調べ始める。そして、香川智宏の故郷へと、たどりつく。そこで七瀨は・・・・・・。



 この世界を支配する全能の神が「生きている個人」だったら、というアイデアは、フィイリップ・K・ディックの「宇宙の眼」で使ったものだ。

 『エディプスの恋人』でも、「テーマ(?)」は十二分に語り尽くされたのではない。「テーマ」が「宇宙の至高意思」と「1個人」との矛盾であるならば、だが。


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