あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

『食戟のソーマ』四週年記念考察(小説版『食戟のソーマ ~a la carte~ Ⅲ』感想)

2016-12-19 00:40:00 | その他感想・考察

 ちょっとご無沙汰してしまいすみませんでした。
 「夢の国」は大変楽しかったです。
 次回からそれについての旅行記事をUPしていこうと思っています。

 さてさて。
 そんな前置きはほどほどにしておいて・・・、と。



 早くも四周年目を迎えた『食戟のソーマ』!!
 その記念記事として、今回は
 小説版第三弾『食戟のソーマ ~a la carte~ 
 の感想を述べてみたいと思います。

 因みに、過去の作品の感想記事はコチラにて。
 『食戟のソーマ ~a la carte~ 感想
 『食戟のソーマ ~a la carte~ 』感想

 いやはや・・・いずれ必ずUPしようと思いながらも、あっという間に月日は流れ、気付いたら発売から1年以上も経ってしまいました★
 誠に申し訳なく思います。
 四周年を機に書き上げようと準備を進めていたところ、現在の本編の展開にビックリ。
 まさかこのタイミングで、今回の小説版にも登場しているあの重要人物が現れるとは!
 なんとも奇遇。
 だからこそ、語り甲斐があるというものです♪

 さあ、それではいってみましょうー!





 遂に三冊目となる今回の小説版が発売されたのは2015年4月3日。
 今回も前回の第二弾と同様に、本編の単行本(第12巻)との同時発売でした。
 そして。
 アニメ版『食戟のソーマ』もこの日に放送開始となったんですよね。
 単行本、小説、そしてアニメと『食戟のソーマ』尽くしだったこの日。
 これで創真の誕生日も4月3日ですと附田先生が仰ったりしたらどうしよう。  



扉絵
 今回の表紙は日常の一コマを切り取ったイラストになっています。
 まだ創真が遠月学園へ編入する前の一場面でしょうか。
 実家の『ゆきひら』にて、幸平家のトレードマークである七輪とスルメを囲んでいる幸平親子。
 第42話の扉絵を見た時も思ったものでしたが・・・
 やっぱり創真を見守る城一郎の眼差しは温かいですね。(^^)



裏表紙
 表紙にも描かれていた城一郎がここでもご登場。
 そんな城一郎のエピソードも収録されている今回の小説版第三弾は「海外グルメ編」とのことです。

 片や裏側では、第43話ラスト近くの幸平親子のカットを再利用した二人のやり取りが。
 大丈夫だよ創真!!!主人公は間違いなくキミだから!!!(熱弁)



附田先生&佐伯先生コメント
 『食戟のソーマ』のお陰で、二回も海外に行けたと仰られている附田先生。
 その経験がきちんと作品に反映されていることに感謝。
 お陰で私も楽しく料理の世界の広大さを学ばさせて頂いてます。(^^)

 一方の佐伯先生も“食戟”ワールドの広がりについて述べておられますが・・・
 よっしゃ証言得たり!!
 佐伯先生は一応「かも」と仰られていますが、私はきっと実現すると確信していますよ!!



伊藤先生コメント
 前回のコメントにて仰られていた、フランス語の検定試験。
 その結果は・・・
 ああ~~~!!それは悔しい!!(><)
 たった1点!ほんの1点!
 本当に些細な差だからこそ、尚更悔しい事でしょう。
 でもファイトですよ伊藤先生!
 次こそは必ずや合格できるよう祈ってます!



特別付録
 表面は第一弾に引き続き、またしても『番外編 夏休みのエリナ』のイラストがカラーとなって再登場。
 今回もえりなは欠片も登場していませんが、この場合はアリスを目当てとしているのでしょうね。

 そして裏面は第43話の際のカラー扉絵を再収録。
 幸平創真と才波城一郎。時を超えた共演。
 こういった本編では臨むことの叶わない共演は、まさにイラストならではの特典ですね♪
 それにしてもこういう風に描かれると、創真と城一郎は本当に対照的に見えます。



≪本編≫

 【1.ユキヒラ・イン・ニューヨーク】

  •  一行目から分かります。良いキャラしてるぜマクフリー☆

  • 伊藤先生も書いてて楽しかったに違いない。

  • あんでぃ・うぉーほる???のシルクスクリーン???なにそれおいしいの?料理漫画だけに。(←おい)

  • それぐらい稼いでいるのに、城一郎はタクシーやホテルの使用を嫌っている模様。
    何故なのでしょう・・・?
    定食屋として、一般庶民としての感覚を保っていたいから・・・とか?

  • 次から次へと放たれるマクフリーのアメリカンジョーク。面白いかはさておくとして。

  • まさかこの作品で「そっち」の話題が出るとは★
    マクフリー、勘違いにもホドがあるぞ。

  • う~ん。
    精神科医という、心理の専門職から見ても城一郎の人格は把握するのが難しいとは・・・。
    やはりというか、さすがというか。

  • まさかこの作品で下ネタが投下されるとは★★★
    城一郎、爆弾発言にもホドがあるぞ。

  • ジェニファーの偏食&生活習慣には私もびっくり。てかドン引き。
    小一時間ほど栄養指導してやりたい。

  • 創真の才能について歯切れ悪く話す城一郎。
    そうですね。
    創真は一般的な定義における「才能」は持っていないかもしれません。
    でも・・・。

  • 城一郎が作った、その人だけの特別な「最高のひと皿」。
    マクフリーはそんな「最高のひと皿」を作ることにかけて城一郎は天才だと思っていますが・・・。
    違うと思います。
    城一郎は教わったのでしょう。
    きっと、あの人から。

  • 城一郎の創真への愛情にほっこり。(^^)

  • やはり。
    城一郎も察知していましたか。
    創真がいずれ「世界」に踏み出すのを。 




 【2.グッドモーニング・ベトナム】

  • なんと。まさか吉野にそんな意外なコネクションがあったとは☆

  • ええ!?
    榊が○○○○○だったなんて!!
    ということは、何らかの機会で榊も新戸やえりなのように●●●姿が披露されるかも・・・?

    (ためしに榊の秘書&教師コスプレを想像してみた)

    うっわ滅茶苦茶似合いそう~~~。

  • 飛行機内での出来事や時間の対応など、極星ガールズの三者三様の行動が見ていて楽しい♪

  • 流石は人をよく見ている榊。
    恵の実力に前々から気付いていましたか。

  • 出た。『夏休みのエリナ』でも扱われていた「恋バナ」。
    どうして女の子ってこうも「恋バナ」が好きなんでしょうね~?(※栗うさぎの前世はきっと男)

  • 話すことによって変わってしまう、周囲の目と自分の意識。
    口に出した言葉は決して取り消せないこともありますし、榊が躊躇するのも当然でしょう。

    だからこそ、私も榊のこの判断は正解だったと思います。
    “想い”というのは無理やり引き出したり、周囲に合わせたり、背伸びしたりするものではありません。
    榊にはゆっくり、大切に、その想いを育んでいってもらいたいです。

  • そして明かされる、榊の想いの切っ掛け。
    なるほどね~。
    自分と同じという共感性と、自分と違うという対照性に惹かれた、と。
    相似性と相違性。それはほぼ全てのキャラクターの関係性に用いられているんですよね。
    特に主人公を柱として。

  • 民族衣装の試着によって露わになる、極星ガールズのスタイル事情。
    取り敢えず恵は牛乳を、吉野は豆乳を頑張って飲みましょう。

  • 「アジアンビューティー」
    あ~!!まさしく!!
    榊の綺麗さを表現するのに相応しい言葉が今までずっと見つからなかったのですが、確かにその言葉がピッタリ!!

  • そんな榊ら極星ガールズの様子が挿絵として描かれているわけですが・・・。
    明らかに 榊>恵>吉野 となっている佐伯先生の気合の入れよう。
    そこらへん佐伯先生ってホント分かりやすいな~~~(苦笑)。

  • 国内だろうが国外だろうが知らない人には絶対付いて行ってはいけません!!!

  • 榊は気付いていないでしょうが、ホアンが心を動かされたのは料理だけでなく榊自身の魅力も大きかったと思いますよ、きっと。(^m^)
    なにげに罪な子かもしれない、榊も。




 【3.ウ゛ァイキングの国のアリス】

  • 「イミテーションピーナッツ」って何ぞや???と思い、調べてみました。
    それでもよく分かりませんでした(爆)。

  • 本編でははっきりと描かれてませんでしたが、やはりアリスとの出会いによって、黒木場に対する周囲の目は軟化してくれていた模様ですね。(^^)

  • アリスにここまで付き合わされる黒木場がちょっと不憫(苦笑)。

  • ジェットコースターにも淡々と乗る黒木場すごい。
    私だったら気絶だよ。(←絶叫マシーン超苦手人間)

  • ・・・!確かに日本で魚の料理といえば寿司だけど・・・。
    黒木場の料理スタイルと結びつかないジャンルだっただけに、この提示には少し驚かされました。
    本編で、今のところ「寿司」をスキルに持つ人物といえば・・・。

  • 差し出された料理に冷笑するアリスとレオノーラ。
    ・・・確かに彼女らほどの実力なら、見ただけで料理のレベルがある程度は分かるのかもしれないけど・・・。
    それでも一口も食べずに決めつけるのは傲慢なのでは?

  • だから一斉に非難する少年達も当然醜いけど、アリス達にも非はあると思う。

  • まあ、それでも身内が非難されるのは辛く思えるアリスは良い子だと思うけどね。レオノーラもね。

  • ラストの呟き。
    それは野獣のような黒木場が垣間見せた、「少年」の心。




 【4.美食の街】

  • 今回初登場。『アルベール・ルロワ』。
    その印象を一言で言うならば―――
    なにこの甚だしいまでの『早津田みつる』感。

  • とどのつまり、あまり好きじゃないタイプです。(※個人的感想です)

  • 榊編に引き続き、ここでも語られる日本の漫画のグローバルさ。

  • (内心描写とはいえ)四宮が優しい・・・!(驚)

  • 世界的料理コンクールである「ボキューズ・ドール」。
    日本においての知名度はまだまだ低いものの、最近少しずつニュースに取り上げられ始めてきたと思いますよ。

  • アルベールのせいでテレビ出演させられることになってしまった四宮。
    ・・・初めて思いました。
    四宮頑張れ。

  • 元々は自分が元凶のくせに、場に水を差しただけでなく平然と四宮を侮辱するという無神経で無礼な輩が登場。
    その名は『バンジャマン・コクトー』。
    うん、敵だ。

  • 「貴公子とフランケンシュタイン(モンスター)」といった感じのコンビである、コクトーと相棒のフロベール。
    ・・・なんだかタクミとイサミみたい。

  • 兄貴分と弟分。シェフとコミ。
    なんだかんだで四宮とアルベールの間には確かな絆が。(^^)




 【番外編 『倉瀬さんのドキドキ日記』】

  • 創真ちゃんの太陽の笑顔・・・ああ見たい。でもって頭ナデナデしたい。

  • 城一郎編でも書かれていたけど、馴染みの人々は創真や城一郎のゲテモノ新作料理を恐れる半面、心のどこかで期待も寄せている模様。
    ・・・幸平親子の料理は不思議ですね。(^^)

  • 創真はきっと、興味のある分野に関しては吸収が早いタイプでしょう。
    でもね創真?
    英語はきちんと勉強しておいた方が良いよ?
    これから絶対必要になってくるから。

  • 実家の定食屋だけでなく学校ででも、創真は昔から沢山の笑顔に囲まれていた模様。
    やっぱり創真は天然のカリスマ性がある子だと思います。

  • こうして創真をずっと見続けてきた倉瀬の想いは、倉瀬自らが幕を引くことに。
    ・・・切ない。(><。)

 

 

                                                                                     

 

 

<城一郎編>

 作中でも1・2を争うキーパーソンである、創真の父親『幸平 城一郎』。
 その重要な役どころ故に本編ではこれまであまり深く取り上げられてこなかった城一郎ですが、このお話では彼の人となりについてたっぷり知ることが出来ます。
 やはり創真の父親といったところ。
 「あ、こういうところ創真とそっくり」と思えるところがたくさんありました。
 鋭い洞察力とか。
 相手の言葉を逆手に取る口の達者さとか。
 懐の深さとか。
 空気に呑まれない剛胆さとか。
 おいしいところを持っていきつつも、肝心な部分は他者に華を持たせてくれる粋なところとか。
 同性でさえ震えさせるような色気とか(核爆)。



 しかしながら、今回のメインは城一郎ではなく、『マクフリー・マクラクラン』というモブキャラ城一郎の友人だったり。
 このお話に登場する城一郎は全てマクフリーの視点によるもの。
 そして肝心のストーリーはというと、患者の「治療」の為にマクフリーが奮闘し、そこに城一郎も肩を貸してくれるといった内容になっています。

 そんなマクフリーはどんな人物かというと、基本的にゴーイングマイウェイ(苦笑)。
 精神科医という職業なこともあり、他人の個人的な事情や過去について聞くのは食傷気味。 
 そのため、人のプライべートにはあまり触れようとしません。
 そんな風に人の目を気にしないところ、あまり他者に深く立ち入らないところが城一郎と気が合った一因だったのかもしれませんね。
 ちなみにこの人、実は原作第一話に登場していたりします。
 興味が向かれましたら単行本第一巻53ページをご覧くださいませ。

 そういうこともあって・・・
 マクフリーは城一郎の「友人」という立場ではあるものの、城一郎の過去や素性についてはほとんど知らなかったりします。
 そのため、読者が期待しているような“謎明かし”は今作には一切ありません。

 ですが。

 表面的には全く謎明かしはされていないように見えるものの、深読みしてみるとこのお話はかなり興味深い内容なんですよね。
 上記にも述べたように、それなりに長い付き合いであるにも関わらず城一郎の事を詳しく知らないマクフリー。
 ですが、その「理由」や彼の城一郎に対する印象について考察してみると、ある一つの事実が浮かび上がってきます。
 それは何かというと

 城一郎の知人達は、「城一郎そのもの」よりも城一郎の「料理」に心を奪われているということ。

 今知っている城一郎のことだけで充分。城一郎の料理から分かることだけで充分。 
 作中でそう語っていたマクフリー。
 その言葉に特に反論するつもりはありません。
 でも・・・
 やっぱり私としては
 料理あってのその人
 ではなく
 その人あってこその料理
 だと思うんですよ。

 その人物が過去にどう歩んできたのか。
 どんな思いでこの料理を創ったのか。
 料理だけでなく料理人に向き合うこともまた大切な事なのではないでしょうか。

 [神の舌]という才能ばかりを求め続けられているえりな。
 そして城一郎もまた、抜きん出た「料理の腕」という才能ばかりを求められてしまっているのかもしれません。



 患者であるジェニファーという女優の治療のために、そして一個人として親しくなるために、彼女に向き合おうとするマクフリー。
 そうした展開の中でもう一つ、個人的に見逃せない事実が綴られていました。
 それはの、心と体への関連性。
 マクフリーの職業を「精神科医」とすることによって、「医者」と「患者」という関係性と共に食と心と体の繋がりに対する医学的アプローチも提示していたというわけです。

 そんなマクフリーでしたが、ひょんな事から城一郎の息子である創真の存在を知ることになります。
 その「親子の絆」というものが鍵となってマクフリーを、城一郎を動かしていくことに。
 
 そうして無事問題解決となるわけですが・・・
 ラストに、マクフリーに僅かな“変化”が生じます。
 冒頭では「自分の生きたいように生きて死ぬ」と断言していたマクフリー。
 ですが、彼は少しだけ思うようになるのでした。
 「誰かのために生きるのもいい」と。
 
 それは、私達読者が知りたがっている城一郎の過去と重なる変化に違いないでしょう。きっと。

 

 

<榊編>

 これまで吉野、伊武崎と、極星メンバーが続けて抜擢されたこともあって、今回は榊のお話が収録されるであろうことは予想済みでした。
 ・・・が、まさか榊の海外話を読むことになろうとは☆
 人選は予想の範疇だった分、内容に意外性がありましたね。

 中等部の卒業旅行として、極星ガールズ三人で初めての海外旅行に出かけることに。
 ですがその旅行は予期せぬトラブルによって、ちょっとした冒険旅行へ・・・というのが榊編のお話です。

 ちなみに前回の小説版第二弾の伊武崎編にて榊が伊武崎に好意を寄せているのを窺わせる描写がありましたが、今回でそれが確定されます。
 榊が伊武崎を意識するようになった切っ掛けのエピソードも明かされていますので、このペアがお好きな方は是非♪



 さて、このお話のメインは榊なわけですが、私にとって『榊涼子』というキャラクターは作品中でも1・2を争うくらい「完璧」な女の子です。
 器量良し性格良し。おまけに料理の腕も確か。スタイルなんて言わずもがな。
 欠点らしい欠点なんて見つからないような子じゃないですか榊って。
 「完璧」というと某お嬢様がそれをモットーとしているわけですが、榊はそんなお嬢様とは逆ベクトルで「完璧」なキャラクターだと思うんですよね。

 そう思っていただけに、このお話は私にとって非常に新鮮でした。

 人物紹介などでもそう述べられているように、榊は「大人っぽい」「しっかり者」と評価されている子です。
 なのに榊自身は己の事をかなり過小評価していることが判明。
 この作品の登場人物達は自信家が多い中、榊は確かに控えめな子だとは私も思っていました。
 ですが、その理由もまた彼女が「大人」だからこそだったという。 

 あまり動揺を見せず、いつも落ち着いた佇まいの榊。
 ですが、それは常に物事を俯瞰的に見ているが故でした。
 冷静に見えるのも、感情の動きを恵や吉野と違ってあまり表に出さないだけ。ただそれだけの違い。
 ですがそういう「反応の少なさ」が、周囲には「しっかり者」として解釈されているという結果に。
 周囲のイメージと本来の自分のくい違い。
 それが榊の悩みでした。
 加えて、常に物事を客観視し、冷静に分析する自分に対しても榊は不満があったという。

 榊がこんな考えを抱いていた事は結構意外でしたが・・・。
 改めてよくよく考えてみると、確かに共感できる部分があったんです。
 漫画や映画など、この世に溢れるエンターテイメント。
 それらに対して、私も幼い頃はただひたすら無心に没頭して楽しんだものでした。
 でも・・・。
 社会人となった今では、例えどんなに良質な作品に巡り合えても、どこか冷めた目で見てしまう自分になってしまっているんですよね。
 「この作品はこういうジャンルなのだから、主人公は多分こう行動するだろう」とか、「ストーリーの辻褄を合わせるとしたら、そんなオチにはまずならないだろう」といったような、つまらない理屈で見てしまっている自分に。
 もっと純粋に物事に向き合いたい、楽しみたい、という気持ちは確かに私も抱いています。

 人によっては、そんな榊の考え方は理解し辛いかもしれません。
 それは言わば贅沢な悩みでしょうから。
 ですが、「贅沢」なのは某お嬢様だって一緒。
 いいえ、そもそも人間なんてそのほとんどが贅沢な生き物だと思います。
 やはり傍から見ればどんなに「完璧」に見えようとも、本人からしてみればまだまだ「足りないもの」があるんですね。
 人間ってホント貪欲☆



 「周囲のイメージと本来の自分とのギャップ」というと、今のところ作中でそれが最も如実に描かれているのはえりなでしょう。
 ですが榊がえりなと決定的に違うのは、無理して周囲のイメージに自分を合わせているわけではなく、ごく自然体で行動しているということ。
 自分を偽っていないということなんですよね。
 榊本人は自分を過小評価していますが、実際は周囲の評価と本来の榊とのズレはさほど大きくありません。
 そのズレが大きいのはえりなの方。
 そして多分・・・。
 創真もきっと・・・。


 榊のギャップ性については前回も番外編にてギャグチックに書かれていましたが、あの時と違って今回は非常に納得できるものがありました。
 
前回は彼女のギャップ性、そして創真との共通点として「江戸っ子気質」というファクターを榊に持たせていたわけですが、個人的にそれは「違和感」というマイナスな印象にしか思えなかったんですよね。
 ですが今回は見事にそれを払拭。
 むしろ。
 創真との共通性を考えるにあたり、今回の榊の内面は『幸平創真』という人物を深く考えるうえで欠かせない内容になっていたと個人的に捉えています。

 常に客観的で冷静な視点で物事を見ていること。
 それを「大人」とするならば。
 榊だけでなく、創真もまた「大人」と言えましょう。

 

 

<黒木場&アリス編>

 黒木場ファンの方にとっては、このお話は要チェックかもしれません。
 何故なら本編でもまだ明かされていない黒木場の謎が、彼の記憶という形で断片的にですが明かされているのですから。
 許嫁を無理矢理決めさせられそうになっているアリスに代わって黒木場が花婿候補達と料理対決するというストーリーも、黒木場&アリスペアがお好きな方からしたら堪らなかったかもしれませんね。(^m^)


 この話の裏テーマは「夢」。
 「夢」というものに対しての黒木場とアリスの見解の違いが書かれています。

 過酷な環境の中、たった一人で調理場という“戦場”を生き抜いてきた黒木場。
 幼い頃から「現実」というものを嫌なほど思い知らされてきたが故に、リアリストで冷めている彼の思考は、作中でもしっかり綴られています。
 料理に己の魂を燃焼させることだけが、人生の全て。
 それ以外の事には全く興味関心という“熱”を持てず、ただ流されるままに。
 そんな料理以外の「世界」と「自己」との解離性を持つ黒木場。

 置かれた環境の影響によって子供らしからぬ人格となってしまったが故に、「夢」というものに対して「儚い幻」というネガティブなイメージを持っている黒木場。
 ですが。
 我が儘に、自由に、そして無邪気に人を振り回すアリスが連れて行く世界は、黒木場にとっての「夢」の世界を現実のものにしているのかもしれません。



 一方、黒木場とは反対に「夢」に対してロマンや希望といったポジティブなイメージを持っているアリス。
 ですが、アリスは「夢」にも思っていなかった存在と出会うことになったわけです。

 アリスが黒木場を自分の側近にしようとしたのは、最初は単純なえりなへの対抗心からでした。
 ですが、何度も勝負を繰り広げているうちに対等な絆が生まれていくことに。
 そして黒木場は、なんと「食のエリート」である自分を超えんばかりに腕前を上げてきたという。
 これはアリスが予想だにしていなかったことに違いありません。
 自分の目論見を遥かに超えて、黒木場は料理面でも、それ以外の面でも大きな存在になってしまったわけです。

 ですが、黒木場の成長は自分との研鑽の賜物。
 その事実と「主従」という関係から、黒木場の活躍をアリスは我がことのように誇りに思っています。
 でもそれは二人の“絆”である半面、私には“束縛”のようにも見えるんですよね。
 「主従」という関係を保持し続けていることで、アリスは黒木場を繋ぎ留めているのではないのでしょうか。
 料理で自分より上に行かれないように。関係性でも自分より上になってしまわないように。


 黒木場が花婿選びの勝負に勝った事。
 それが何を意味するか―――
 そこでアリスは思考を停止させました。
 黒木場&アリス派の読者からしたら、このアリスの判断はさぞ残念に思われたことでしょう。
 ですが、それは一種の防衛本能のようなものなのでは。
 アリスにとって黒木場は数少ない友人であり、存分に甘えられる側近であり、信頼できる存在。
 そんな今の関係が本当に気に入っているからこそ、“異性”として黒木場を意識するという変化を恐れているのでしょう。
 思考を停止させたのは、「怖い」という自覚すらも恐れたという反射的な逃避。
 思った事を遠慮無く口にし、誰に対しても、何に対しても一切物怖じしないアリス。
 ですが・・・。
 日本にいる従姉妹と同様に、彼女もまた臆病な部分があるということです。

 当時はまだ心身ともに子供でした。
 ですが、人はいつまでも「子供」のままではいられません。
 「子供」は日本にいる従姉妹も同様ですが、果たしてアリスはどういった形で「子供」から卒業していくのでしょうか。

 「アリス」という不思議の国の少女は、いずれ黒木場という「野獣(ジャバウォック)」によって現実の世界の住人になるのかもしれませんね。

 

 

<四宮編>

 小説版第一弾に引き続き、今回もまた四宮の過去話が掲載です。
 まったく、随分と優遇されていますよね~四宮は。
 スピンオフという形で彼が主役のお話も「ジャンプ+」で連載されていますし、やはり四宮は「遠月学園という舞台を去った、かつての主人公」とみて間違いないでしょう。

 そんな今回は、四宮がフランスに旅立って一年ほど経った頃のお話です。
 アルベールという(勝手に付いてきた)後輩と一緒に、「食のワールドカップ」と言われる『ボキューズ・ドール』という料理大会に見学に来た四宮。
 そこで、コクトーという同世代でありながら自分より腕の立つ、しかも自分と同じ目標を持つ料理人と出会う事に。
 ちなみにこのお話では、附田先生(&担当編集さん)と一緒に行かれたという、伊藤先生のフランス取材の体験が存分に盛り込まれています。


 今回の見どころはやはり、四宮を慕うアルベール、そして外国での初めてのライバルとなったコクトーという、新たなキャラと四宮のやり取りでしょう。
 彼らを見ていると連想させられるのが創真達。
 四宮を創真に、そしてアルベールを早津田に、コクトーをタクミとして当て嵌めてみると、結構関係図としてしっくりくるんですよこれが。
 まあ創真の方が素直だけどね。
 タクミの方が良い奴だけどね。
 早津田は料理人とは言えないけどね。(←コラ)

 創真はタクミと出会ったことで自分の世界の狭さに気付いたわけですが、四宮もまたコクトーとの出会いによって思い知らされました。
 世界の壁の高さを。
 遠月学園という日本最高峰の料理学校のトップだったとしても、世界には自分より上の料理人なんて山ほどいるというわけです。
 四宮が味わったこの悔しさはいずれ創真も味わうのかなあ・・・なんて思ったり。
 まあ、その頃には創真の傍には「彼ら」も一緒にいるでしょうけども。


 フランスに来たばかりの頃は良い意味で青臭さが感じられた四宮でしたが、この頃になると大分落ち着いた感が。
 でも、本編のような「本物」感はまだ無いという感じでもありました。
 そういった年齢による絶妙な違いを、よくぞ文章で表現できるなあ・・・と感心させられます。
 伊藤先生凄い。

 そして出会い頭からいきなり四宮に酷い嫌味を放ってきたコクトー。
 もう本当に、全力でぶん殴れぶっ飛ばせと言い切れるほどの嫌な態度でしたが、あれは多分・・・。
 嫉妬したのでしょう、四宮に。
 本来なら自分が居た筈の舞台に立って、自分が受けていた筈の称賛を四宮が浴びていたこと。それが不愉快だったのでは。(そもそもの落ち度は自分のせいなのに)
 そして試合後、自分の方が「上」だと見せつけることができたからこそ余裕が持ててああいう態度だったというわけです。
 この事から考えてみると、コクトーは料理人としては物凄い実力者なものの、人としてはかなり器の小さい人物な事が窺えます。
 その点においては、コクトーはタクミというより某お嬢様に近いキャラと言えるかもしれませんね。

 こうして因縁が出来た四宮とコクトー。
 創真とタクミは非常に良好なライバル関係を築いていますが、果たして彼らはどんなライバル関係を築いていくのでしょうか。
 この続きはきっと、『食戟のソーマ L’etoile -エトワール-』にて描かれていくことでしょう。


 ただ・・・。


 気になる点が一つ。


 今作は過去話だったわけですが、
 “今現在”のアルベールは一体どうしているのでしょう?
 作中ではあれほど四宮を慕って常に傍にいたというのに、“現在”にあたる本編では一コマも登場していないどころか名前さえ出てきていません。
 四宮がプルスポール勲章を獲得する頃、アルベールは傍にいなかったのでしょうか?そのこともあって四宮は歪んでしまったのでしょうか?
 
 これらを考えると、本編、もしくはスピンオフで語られるであろう四宮の物語はまだまだたくさん用意されていそうですね。



 ラストで、四宮に「ある宣言」を告げたアルベール。
 何の因果か、その時の会話から丁度十年後、四宮は出会うわけです。

 当時のアルベールと同じ年齢で。
 アルベールのように「何か」を持っていて。
 アルベールと同様に、四宮を「師匠」と呼ぶ少年に。




<倉瀬さんのドキドキ日記>

 これまでの番外編は完全なパラレルワールドでしたが、今回は本編に沿った、正当な意味での番外編です。
 そのこともあって、個人的にこのお話はただの小話としてではなく、結構本気で読み甲斐のある内容でした。

 創真の幼馴染という、まさにヒロインとしてうってつけの立場でありながら、惜しくもステージの違いから出番がとても少ない倉瀬。
 この番外編ではそんな彼女から見た、創真の幼稚園から中学卒業までの姿が語られます。


 ・・・実は。


 以前書き上げた創真とヒロイン達との恋模様について考察した際、このお話も一つの参考にしていたのでした。

 周囲の人々を惹き付ける魅力や料理に対する真っ直ぐな情熱、そして太陽のような笑顔という、創真の眩しさにずっと惹かれていた倉瀬。
 ですが、そんな憧憬が逆に創真への“距離感”も生んでしまっていたという。
 創真に対する引け目という“距離”。それに加えて学校の違いという“距離”も開いてしまった末に・・・
 
倉瀬は創真への想いを諦めてしまいました。

 ですが・・・。
 それって、完全に倉瀬一人による「思い込み」ですよね。

 創真はどんな相手に対しても正面から向き合ってくれる子ですよ。
 想いが成就するかどうかは別としても、きっと倉瀬の思いを受け止めてくれていたでしょうに・・・。
 そう思うだけに、なんとも残念かつ切ないものがありました。


 倉瀬のこの想い方を見ていると、ある作品が思い出されます。
 それは佐伯先生のデビュー作である『キミと私の恋愛相談』。
 この作品は単行本第三巻に同時掲載されていますが、あの話も憧憬故の「一方的な思い込み」がすれ違いを生んでしまっていました。
 ひょっとしたら・・・。
 附田&佐伯先生は『食戟のソーマ』というこの作品全体を通して、思い込みや偏見といった「一方的な決めつけ」に物申したいのかもしれませんね。
 料理面においても。
 恋愛面においても。 


 そして。
 倉瀬のこの想いを考えるうえで、外せない人物がいるわけで。
 それは倉瀬と同タイプで、今現在創真の傍にいる「あの子」。
 果たしてその子は創真との“距離”に踏み込むことが出来るのでしょうか。それとも、倉瀬のように踏みとどまってしまうのでしょうか。

 運命のあの日、創真から背中を押されて踏み出したあの一歩。
 それを今度は創真に向かって踏み出してくれることを・・・切に願っています。

 

 

<総評>

 そういうわけで、この度の小説版第三弾にピックアップされたのは城一郎、榊、黒木場&アリス、そして四宮という面子でした。
 「海外」というテーマにのっとり、ニューヨーク、ベトナム、デンマーク、フランスとまさに古今東西のお国柄が紹介されていて、その特色の豊かさも面白かったです。
 至る箇所で見受けられる、深読みを促すような表現も相変わらず健在。
 まったく伊藤先生は附田先生に負けず劣らずニクイお方です☆

 今回のテーマであった「海外」。
 それを「世界」と置き換えて今回の収録作を読み解いていくと、 
 相手を知ることによって変わる「世界」。
 初めて実際の「世界」を知った者。
 違う「世界」にいるのに一緒にいる者達。
 「世界」のレベルに直面した者。
 という風に、単なる海外話というわけではなくそれぞれのキャラの「世界観」にも関わる話だったというのが分かります。
 そういった各々の世界観も交えながら、城一郎編と四宮編はこの作品のステージの拡大、そして榊編とアリス&黒木場編はキャラクターの掘り下げに焦点が当たった内容になっていました。
 特に、城一郎編でのラストシーンで城一郎がマクフリーに頼んでいたこと、そして四宮編で語られていた「世界大会」は今後の本編の展開を示唆しているかもしれません。
 そんな「世界」をテーマとして掲げていた中で、裏テーマとして書かれていたのが「旅」「冒険」。
 これらも今後の展開におけるキーワードになっていくような気がします。



 各話毎にそれぞれの面白味があった今作ですが、 個人的に一番印象に残ったのは榊編です。
 榊の考え方には、「ああ、こういう考えもあるんだ・・・」と、目から鱗が落ちたような気持ちになりました。
 お陰で今まで気付かなかった視野が拓けたような気さえします。

 それと・・・。
 榊編で、そして城一郎編で共通して述べられていた事は、個人的に初心に帰らされたような大きな感銘を受けました。
 それはきっと、この『食戟のソーマ』という料理漫画の最大のメッセージ。


 料理は、人の心を動かすことが出来ること。



 音楽やスポーツなど、国境を超えて人と人が分かち合える手段は幾つかありますが、料理もその一つ。

 ならば。

 その意味においても、これから先創真達が「世界」へと舞台を広げる可能性は充分にあります。

 『幸平創真』という料理人の分け隔ての無さは、それこそ「世界」に必要なものでしょうから。(^^)





 そういうわけで、この小説版第三弾はこれまでの中でもとりわけ重要と思える一冊でした。
 読み返せば読み返すほど述べたい事がどんどん出てきてしまい、サーバーの規定文字数内(三万字)に収めるのに一苦労でしたよ。
 ちなみに今回の総文字数は二万九千九百九十七文字でーす★(ここまで読んでくださった方に心から感謝!!)

 
・・・さて!
 残す小説版はあと一冊!
 その感想記事は来年の始め頃に訪れる、「あの記念」の時にUPしたいと計画中です。
 なにわともあれ、どうもご馳走様でした!

 

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