Curse priest

Trigger Happy 出張所。D.Gray-manとシャドーハウスのネタバレ感想、アニメ感想を書いてます。

青の祓魔師 第36話「青い波ゆれてどこまで」

2012-06-07 22:43:05 | 青の祓魔師

神田、誕生日おめでとう!!
遅れてすまない。
昨日、半分まで青エクの感想書いて、またもや見事に消してしまい
完全に心折れたのさ(笑)
レイ=ブラッドベリが亡くなった。
こんな綺麗な文章と話を書く人はそういないが、最近の若い人って古典SFは読まないんだろうな。もったいない。

青の祓魔師 第36話「青い波ゆれてどこまで」

なので、今回はザックリ感想。
クラーケンの攻撃で海に投げ出された燐達は、クラーケンと対抗するくじらの海神に
導かれて、とある小島へ。

けれど、1500年前から忘れられっ放しだったので、すっかり力が衰えていて、このままでは
勝てない。
そこで海神を接待する事に。
大量の食事と祝詞でくじらを元気づけ、クラーケンと一緒に戦う力を与える。
ところが燐と雪男がケンカしてる間に、忍び込んだクラーケンの脚がしえみを捕まえてしまう。
力を取り戻したくじらと共に、しえみを取り戻す為、クラーケンと戦う事に。


人間に祭られてないから荒らぶるのでなく、力をなくすってどーなんだ(^▽^;)
人間がどうだろーと神は神ではないのか?
力の強弱って、神が人間に手を貸す気がどんだけあるか、だと思ってたんだが。
このクジラの目は何だか人体模型みたいでコワイのだが(汗)、人間の太古の祈りが
死んだくじらを媒介にして、この付近を守ってる、みたいなのかね?

今回は不浄王戦を経て、大きく燐が成長したなぁと感じた。
まず、ヘリの人を助けようとして、独断で動いた理由。
以前なら、ただ「危ねぇ! 助けなきゃ!」だけで動いた燐が、今回は

「俺はこれ以上、状況が悪くなる事ねーじゃん。
 他の皆はそんな勝手できねーだろうけど。
 俺が動けば、丸くおさまると思ったんだよ!」

処刑はされないとギリギリ踏んだ故に、命令違反の出来ない皆の代わりに動いた燐。
ちゃんと考えて動くようになった。
修羅場を越えて、皆の信頼を得たからこそ、余裕を持てるようになったんだね。
エライね。
まぁ、雪男にしてみれば、薄氷の上を歩いてるように見えて、胃が痛むのも仕方ない。
だが、燐は「殺されない」とそこに胡坐をかけるようになった。
一皮剥けたよ。

そんな燐を勝呂達も「ようやった!」と認めるようになってきたし。
(ホントは命令違反はイカンのだけどね。そこを飛び越えちゃう燐がかっこいい)
絆がすっかり深まったね。

けれど、今回唯一一緒に戦わなかった雪男だけが、燐と擦れ違ったまま。
藤堂の毒が効いてるんだろうけど。(藤堂は太陽系から出てけ)
シュラさんが何も言わなかったせいもあるけどさ。

シュラはまさかこんなに拗れるとか思ってないからだろうけど。
元々、生真面目な雪男をからかうのが面白くて仕方ないから、そのノリなんだろうけど、
雪男が身内の事で「ビビる」のは当たり前だ。
今や、唯一の肉親なんだし。
絶対に割り切ったり、譲れないほど、心に食い込んでるものがあるのも。
それが容易に心をむしばみ、壊してしまうことも。

一人で生きてきたシュラはそこんとこがよく解んないのかも知れない。
まぁ、雪男とシュラはまるでソリが合わないからどーしょーもないんだが。
「楽に生きろよ」とほぐしてやってるつもりが、まるで逆効果だし。

て訳で、雪男は不浄王戦以来ずーーーーーーっと怒ったまんま。
雪男が必死で獅朗になぞらえて、武術や薬学を高めようと努力したのに、
何もしてない燐の方が「獅朗に似てますね」と言われちゃうし。
勝呂達も燐を認めて、輪になって、雪男だけ蚊帳の外。
(教師という立場上、仕方ねぇし)

燐がいつもの調子で話しかけても、自分から距離を取ってしまう。
藤堂に認めさせられた「燐が好きで嫌い」という感情に嫉妬や心配や義務や
色んな事が入り混じってグチャグチャ。

しえみの前でも燐に向かって突っかかるのも、無理して真面目な自分を演じようとするのも、
「僕は兄さんとは違う」と言い放つのも、揺れてる自我を何とか保とうと必死に足掻いてるようで
痛ましい。
まるで余裕がない。

「…お前、やっぱりまだ怒ってんだろ?」
「怒ってない。呆れてるだけだよ。
 自分を怖れないのか!?
 僕が兄さんの立場だったら発狂してる」

雪男は藤堂の闘いの中で「青い焔」を少しだけ経験した。
それだけでこんなに怯えてるのに、何故兄はむしろ進んで覚醒するような事をしてるのか。
無論、雪男は自分に何があったか、誰にも話していない。

なのに、兄は言う。
「俺は発狂するくらいなら、バカになるね!」
「それでどれだけの人を巻き込むと思ってる!」
「発狂した方が迷惑だろ。
 俺はこの力を役立てたいだけなんだよ!」

それが自殺してまで自分を助けた父への恩返しだ。
彼がやった事が無駄でないように。

だけど、それは燐が少しづつ悪魔へ近づいていく事。
¥自分から離れていく事。
だから、どうしても雪男はそれを認める事が出来ない。

「さっきから、よくそんな事…。
 兄さんは不浄王を倒して、調子に乗ってるんだ」
「調子に乗ってる!?
 俺が!?
 ふざけんな!!」

だが、雪男はつらそうにそれを否定した。
サタンの力を侮ってはいけない。
その力に燐が呑み込まれたら、二度と兄を取り戻せないのではないのか。
それが雪男の根底にあって、錆付き、染みついた恐怖だ。
兄に手が届かなくなること。
遠くなること。
兄を失うこと。
雪男は何よりそれを怖れている。

だが、燐も譲れない。
燐は丈夫過ぎる故に、常に自分の身より他人を無意識に優先する。
父の遺志を、自分の存在理由を持って、前に進まねばならない。
恐怖に目を背けてでも。
自分がビビったせいで、一度は不浄王に皆を殺されかけるところだったのだから。

「今は運がいいだけだ!
 それは魔神(サタン)の力だぞ!
 神父さん(とうさん)を殺した…!!」
「んな事…ッ、お前に言われんでも…俺が一番よく知ってんだ!!
 何なんだよ、お前は!
 俺の何が気に入らねーんだ!!」
「全部だ!」
 

「やめて!!! ケンカしないで!!」

しえみの一喝で、最終的破局が過ぎ、我に返る二人。
しえみ、GJ!

「あ…す、すいません」
「すまん…」

雪男は頭を抱えて溜息をつき、燐も頭を冷やしてくると、その場を離れる。
雪男は言い過ぎた事を後悔しているのだろう。
口を押えて、青い顔をしている。

その顔を見ながら、しえみは思う。
今まで自分以外の人は全部完璧で、早く追いつきたいと思っていた。
でも、違った。
みんな完璧じゃない。
雪男も…きっと何かに追いつきたいんだ。
それがしえみを安心させる。
遠い憧れの人が自分と近づいた気がして。


初期のしえみなら、そんな考え方したと思うけど、召喚士の技を使いこなし、
何度もみんなに認められたしえみが、まだこんな考え方してんのかなー?
もっと自信がついたと思ってたけど?

「私、今まで雪ちゃんは怒ったりしない人だと思ってた」
「…! すいません。
 見苦しいところをお見せして」
「ううん、二人ともあんまり自分の話をしないから、きっとこんがらがっちゃったんだね。
 雪ちゃん、燐とちゃんと話しして」

しえみは立ち上がる。

「よ…余計なお世話だと思うんだけど…今のままはよくないと思うから。
 私! あっちに行ってるね…!」

うーん、しえみは恋人というポジションよか、二人のお母さんて感じだなぁ。
二人に母親がいないから、余計に。
シュラより余程二人の事解ってるみたいだし。

しえみと入れ違いに戻ってきた燐。

「話がある」

立ってる燐と体育座りの雪男の後姿。
子供の頃の二人の姿と重なるなぁ。
一皮剥けば、余り立ち位置は変わってない。

燐は切り出す。

「悪かった。
 お前はジジイが死んでからもずっと俺の事、心配してくれてたんだもんな。
 俺も炎が暴走してからは、内心不安でしょうがなかったよ。
 …でも不浄王と戦って、やっと覚悟が決まった!」

燐は剣を抜き、青い焔に包まれる。

「これが俺だ!」

燐は雪男に自分を見せつける。
雪男が蒼白になるが、燐はそれでも剣を納めない。
現実に目を背けていた。
二人で「そのこと」は話さないようにしていた。
上滑りの言い争いでお茶を濁してきた。
だが、それが二人の距離を作るなら、腕を掴んで手繰り寄せてでも解ってもらわねばならない。
一番、理解して欲しい弟に。

「これも俺なんだ! 雪男!」

燐は重ねた。

「この炎を認めない限り、俺は前に進めない。
 だから、これからはこの姿で戦うこともためらわない…!
 雪男。
 お前も俺のこの炎を認めてくれ!!」
「に、兄さん…!」

雪男は顔を歪ませる。
認める事は兄が本当に「人間でない」と認めること。
遠くに去ってしまうのを許す事。
そして、いずれ自分が兄を残して去ってしまう人間でしかないということも。
兄を一人にしてしまうということも。

恐らく、雪男が誰よりも燐が人間であるのを望んでるんだと思う。
まぁ、庇護とか兄を守る実感とか色々あるけど、燐には出来る限り人間寄りで
いて欲しかったんだろう。

勝呂やしえみ達はその点、「燐はこういう人」と危険はあるけど、大きくひっくるめて
認めてしまえば、気にしない。

だが、雪男はそうはいかない。
雪男は双子の兄弟だから、燐が完全に自分と双子というアイデンテティが揺らいでしまう。
体を切り離される恐怖に等しい。
「赤の他人」という「異種族」であるのを認めたら、一緒の子宮で育った同居人だった事になってしまう。

燐と雪男がこの件から、遠回りしていたのは、彼ら自身がその恐怖から出来るだけ目をそらしたかったんだと思う。
兄弟で双子である事は、他人からすれば変わらないのだけど、彼ら自身の精神がその事実を
認める事に対して悲鳴を上げてんだと思う。
だから、雪男は不安定になり、燐は剣を一時的に抜けなくなった。

燐は皆を救うという理由を得て、覚悟を決められたが、雪男は「燐を守る」事が最優先事項なだけに、それを「皆を救う為に兄が人間でなくなるのを許す」なんて、擦り替えるなど、死んでも認められないだろう。

しえみが危機に陥った事で、一旦は雪男も燐が力を開放する事に同意するだろう。
だが、根底はこの矛盾を処理する事はどうにも出来ないのじゃないか?

藤堂はきっかけを作ったが、いずれはやはり向かい合わないといけない問題な訳で、
果たして雪男が自分自身を納得できる理由を得られるかどうかにかかっている。

とはいえ、そんな割り切った雪男なんか、俺はちっとも好きじゃないし、
恐らく表面は出来ても、やっぱ「兄さんが大好きーー!離れられないよ。やだよ!」の
駄々っ子が雪男の本質だけに、その矛盾でグチャグチャになって、藤堂からカモーンされるんだろうね。

まぁ、クズで下っ端の藤堂など、雪男が覚醒したら用無しで、敵じゃないから、
迦楼羅でも全然アカン最上位の焔で灰も残さず焼いたって下さい、ハハハ。



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