第1回 / 第2回
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【Dear工藤かおり様】
(うあー“Dear”だって“Dear”。“親愛なるもの”だよ)
【こんにちは。いや、こんばんはかな?それともおはようかな?ま、そんなことはさておき】
(どんな文だよ)
【突然の手紙驚かれたとは思いますが】
(そりゃそうだろ、異世界の男に手紙もらったんだもん)
【僕は君の事が好きだ】
(もう、それ言うんだ)
【だからこないだ体育館でやったコンサートのとき、隣にいた君の手を握ろうとしてたんだ】
(そんなことやっちゃだめでしょ)
……そうこうしているうちにかおりんは校門を出ていた。“窓側の後ろから2番目の”女子とは反対方向に向かって歩いていた。今のところ作戦は成功しているように思える。
「市民グラウンド」という名を持つ、篠塚も来た野球場の横にある路地を抜けたときにはちょうど4枚目を読み始めたところだった。
【ってね。僕らもそんな風になれるといいね】
(何かこの人の文、もう付き合ってる気になってるな)
床屋の前の踏み切りを横断したときには、6枚目に入っていた。
【僕は自分のことを呼ぶときに、普段しゃべってるときは“俺”を、頭の中で考えてるときは“僕”を、文章を書くときは“私”を使ってるんだ。知ってた?】
(知らないよ。…もーどうでもいい話ばっかりよくこんなに書けたな。こんなラブレターもらっても『かおりん』喜ばなかっただろうな)
サッシ屋の看板のところを右に折れときには、もう2枚しか残っていなかった。
【じゃあ君のために書いた詩を読んで下さい】
(うあー男のくせに詩だって)
【告白】
(そのままだ)
【君のことが好きだ
僕のことより好きだ
どのくらいI LOVE YOU?】
(なぜいきなり英語?)
【ムツゴロウさんの動物に対する気持ちと同じくらい、いやそれ以上に好きだ
でも、ムツゴロウさんだとうそ臭いから
遠い空の神話さえ信じられぬほど好きだ】
(どういう意味?)
【僕が君に恋をした夜
気づかずに眠ったんだろう
星に願いをピノキオさん
どこへ向かうの流れ星
僕と君のように
好きですか
好きですよ
その一言が聞きたくて】
(なんだコリャやばいよ)
【どうも下手な文ですいません。でもこれが僕の気持ちですわかってくれました?】
(どうやってわかればいいの?)
青い屋根の家の前を通り過ぎたときには、最後の2行になっていた
【さい。もしOKならば今度の日曜日にでもどっか行きませんか?映画とか動物園とかともかくどっか行きましょう。それじゃあ、また。SeeYa!】
(はー、やっと読み終わった。それにしてもこの男すごいな。よくこんなにどうでもいい事を書けるものだ。)
かおりんは白い壁に黒い屋根の家の前でちょうど読み終えた。そこには「KUDO」というアルファベットが貼られた表札がかかっていた。
―MISSION COMPLETE―
(やった。ここがかおりんの家か。うちらの世界と同じだな。)
かおりんは手紙を左手で制服の左ポケットにしまい、右手でドアを開けた。カバンは足元だ。
「ただいま」
(あ、やべ異世界だった。あいさつとか違うのか?)
「おかえり」
(ふーよかった同じか。あ、そうだ。かおりんの部屋って何処なんだ。母親に聞くわけにもいかないし。…まあ全部屋まわってみればいいか)
かおりんは「おかえり」の部屋へ入った。
「かおり、今日は早かったわね」
(この女性は『かおりん』の母親だな)
「あ、うん。ちょっと部活が早く終わったから」
(こう言えば心配しないよな)
「そう」
(ほらね)
「あ、この洗濯物上持ってきなさい」
(上?上ってことは『かおりん』の部屋は二階にあるのか。…ありがとう、ママ)
かおりんは学生カバンを賞状を受け取ったときのように持ち、その上に洗濯物をのせ、階段を上がった。二階には3つのドアがあった。そのうちの1つは一目見ただけでトイレとわかるものであった。残るドアは引き戸式とノブ式の2つだ。
(どっちだろう。でも自分の家なんだからどの部屋開けても大丈夫だよね)
かおりんは左手だけで“賞状”を持ち、近い距離にある引き戸式の方を右手で開けた。
「なんだよ、姉ちゃん」
その部屋には、ぶ厚いけどサイズの小さい漫画雑誌を読む男の子がいた。
「あ、いや別に用はないけど」
(まずいなミスったよ)
「じゃあ、出てってよ」
「はいはい」
(やっぱ女で引き戸はないよな)
かおりんはドアノブ式の部屋に入った。
(あーなんか女の子の部屋の匂いがする)
“賞状”を学習机の上に置き、それに付随している椅子に座った。
(はー疲れた。あ、これは)
本立ての一番端に立っていたアルバムを抜き出し、開いた。たくさんの写真。それぞれの下に一緒に写っている人の名前が書いてあった。
(あ、これさっき私にラブレター渡した女子だ)
【天川とツーショット!!inディズニーランド】
(あの女の子の名前「天川」って言うんだ。『かおりん』の顔ってこんなのか…あ、この写真はさっきの母親と男の子が写ってる)
【お母さん、隆司とin熱海】
(お母さんって呼び方でいいんだ…。それであの男の子は「隆司」か。…うあこの女の子めちゃくちゃかわいい)
【裕子&天川とin吹奏楽コンクール】
(へー「裕子」さんか。でも、こんなかわいい子がお友達なんだ)
かおりんはそれを読み終わると、アルバムを元の場所に戻し、立ち上がりながらその3つ隣にあった保健体育の教科書を取って、ベッドに倒れこみ、それを読んだ。
「…ナプキン、か」
かおりんは胸の膨らみの確認、膨らみのない股の確認、そしてセーラー服を着替えることもなく、一時の眠りについた。
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第4回
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『手紙』
文 字 を 集 め れ ば
星 空 に 見 え る
そ ん な 古 い 言 い 伝 え
信 じ て い た か ら
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第3回あとがき
[当時]
この作品の中で書きたかった台詞の一つが出てきました。
今までの男女入れ変わり作品だと
胸と股間の膨らみにしか興味がいかなかったけど、
男にとって本当に謎で、興味があって、不安なものっていうのは
このことだと思うんです。
だから、別に変態的な意味ではなく、
リアリティーを追求した結果の台詞なんです。
昔、ある人に自分が書いた文の意味を説明するのは最低だ。
って言われたんだけど、
この場合は自分の尊厳を守るためだから、
しょうがないですよね。
[現在]
痛々しいのを楽しんでくださいという感じです。
たまごっちとかポケベルとかあったね、
みたいな温かな目で読んであげてください。
笑えない笑いほど辛いものはないですが。。。
というか、あとがきの言い訳長過ぎ。
さすが勘違いインタビュー好きらしく、
りありてぃーとか言って、
いい痛さの演技してますね、この人は。
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【Dear工藤かおり様】
(うあー“Dear”だって“Dear”。“親愛なるもの”だよ)
【こんにちは。いや、こんばんはかな?それともおはようかな?ま、そんなことはさておき】
(どんな文だよ)
【突然の手紙驚かれたとは思いますが】
(そりゃそうだろ、異世界の男に手紙もらったんだもん)
【僕は君の事が好きだ】
(もう、それ言うんだ)
【だからこないだ体育館でやったコンサートのとき、隣にいた君の手を握ろうとしてたんだ】
(そんなことやっちゃだめでしょ)
……そうこうしているうちにかおりんは校門を出ていた。“窓側の後ろから2番目の”女子とは反対方向に向かって歩いていた。今のところ作戦は成功しているように思える。
「市民グラウンド」という名を持つ、篠塚も来た野球場の横にある路地を抜けたときにはちょうど4枚目を読み始めたところだった。
【ってね。僕らもそんな風になれるといいね】
(何かこの人の文、もう付き合ってる気になってるな)
床屋の前の踏み切りを横断したときには、6枚目に入っていた。
【僕は自分のことを呼ぶときに、普段しゃべってるときは“俺”を、頭の中で考えてるときは“僕”を、文章を書くときは“私”を使ってるんだ。知ってた?】
(知らないよ。…もーどうでもいい話ばっかりよくこんなに書けたな。こんなラブレターもらっても『かおりん』喜ばなかっただろうな)
サッシ屋の看板のところを右に折れときには、もう2枚しか残っていなかった。
【じゃあ君のために書いた詩を読んで下さい】
(うあー男のくせに詩だって)
【告白】
(そのままだ)
【君のことが好きだ
僕のことより好きだ
どのくらいI LOVE YOU?】
(なぜいきなり英語?)
【ムツゴロウさんの動物に対する気持ちと同じくらい、いやそれ以上に好きだ
でも、ムツゴロウさんだとうそ臭いから
遠い空の神話さえ信じられぬほど好きだ】
(どういう意味?)
【僕が君に恋をした夜
気づかずに眠ったんだろう
星に願いをピノキオさん
どこへ向かうの流れ星
僕と君のように
好きですか
好きですよ
その一言が聞きたくて】
(なんだコリャやばいよ)
【どうも下手な文ですいません。でもこれが僕の気持ちですわかってくれました?】
(どうやってわかればいいの?)
青い屋根の家の前を通り過ぎたときには、最後の2行になっていた
【さい。もしOKならば今度の日曜日にでもどっか行きませんか?映画とか動物園とかともかくどっか行きましょう。それじゃあ、また。SeeYa!】
(はー、やっと読み終わった。それにしてもこの男すごいな。よくこんなにどうでもいい事を書けるものだ。)
かおりんは白い壁に黒い屋根の家の前でちょうど読み終えた。そこには「KUDO」というアルファベットが貼られた表札がかかっていた。
―MISSION COMPLETE―
(やった。ここがかおりんの家か。うちらの世界と同じだな。)
かおりんは手紙を左手で制服の左ポケットにしまい、右手でドアを開けた。カバンは足元だ。
「ただいま」
(あ、やべ異世界だった。あいさつとか違うのか?)
「おかえり」
(ふーよかった同じか。あ、そうだ。かおりんの部屋って何処なんだ。母親に聞くわけにもいかないし。…まあ全部屋まわってみればいいか)
かおりんは「おかえり」の部屋へ入った。
「かおり、今日は早かったわね」
(この女性は『かおりん』の母親だな)
「あ、うん。ちょっと部活が早く終わったから」
(こう言えば心配しないよな)
「そう」
(ほらね)
「あ、この洗濯物上持ってきなさい」
(上?上ってことは『かおりん』の部屋は二階にあるのか。…ありがとう、ママ)
かおりんは学生カバンを賞状を受け取ったときのように持ち、その上に洗濯物をのせ、階段を上がった。二階には3つのドアがあった。そのうちの1つは一目見ただけでトイレとわかるものであった。残るドアは引き戸式とノブ式の2つだ。
(どっちだろう。でも自分の家なんだからどの部屋開けても大丈夫だよね)
かおりんは左手だけで“賞状”を持ち、近い距離にある引き戸式の方を右手で開けた。
「なんだよ、姉ちゃん」
その部屋には、ぶ厚いけどサイズの小さい漫画雑誌を読む男の子がいた。
「あ、いや別に用はないけど」
(まずいなミスったよ)
「じゃあ、出てってよ」
「はいはい」
(やっぱ女で引き戸はないよな)
かおりんはドアノブ式の部屋に入った。
(あーなんか女の子の部屋の匂いがする)
“賞状”を学習机の上に置き、それに付随している椅子に座った。
(はー疲れた。あ、これは)
本立ての一番端に立っていたアルバムを抜き出し、開いた。たくさんの写真。それぞれの下に一緒に写っている人の名前が書いてあった。
(あ、これさっき私にラブレター渡した女子だ)
【天川とツーショット!!inディズニーランド】
(あの女の子の名前「天川」って言うんだ。『かおりん』の顔ってこんなのか…あ、この写真はさっきの母親と男の子が写ってる)
【お母さん、隆司とin熱海】
(お母さんって呼び方でいいんだ…。それであの男の子は「隆司」か。…うあこの女の子めちゃくちゃかわいい)
【裕子&天川とin吹奏楽コンクール】
(へー「裕子」さんか。でも、こんなかわいい子がお友達なんだ)
かおりんはそれを読み終わると、アルバムを元の場所に戻し、立ち上がりながらその3つ隣にあった保健体育の教科書を取って、ベッドに倒れこみ、それを読んだ。
「…ナプキン、か」
かおりんは胸の膨らみの確認、膨らみのない股の確認、そしてセーラー服を着替えることもなく、一時の眠りについた。
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第4回
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『手紙』
文 字 を 集 め れ ば
星 空 に 見 え る
そ ん な 古 い 言 い 伝 え
信 じ て い た か ら
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第3回あとがき
[当時]
この作品の中で書きたかった台詞の一つが出てきました。
今までの男女入れ変わり作品だと
胸と股間の膨らみにしか興味がいかなかったけど、
男にとって本当に謎で、興味があって、不安なものっていうのは
このことだと思うんです。
だから、別に変態的な意味ではなく、
リアリティーを追求した結果の台詞なんです。
昔、ある人に自分が書いた文の意味を説明するのは最低だ。
って言われたんだけど、
この場合は自分の尊厳を守るためだから、
しょうがないですよね。
[現在]
痛々しいのを楽しんでくださいという感じです。
たまごっちとかポケベルとかあったね、
みたいな温かな目で読んであげてください。
笑えない笑いほど辛いものはないですが。。。
というか、あとがきの言い訳長過ぎ。
さすが勘違いインタビュー好きらしく、
りありてぃーとか言って、
いい痛さの演技してますね、この人は。
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