狭間に揺れて

どうか英雄とならぬように。英雄の志を起さぬように力のないわたしをお守りくださいまし。‪‬‬‬‪‬(芥川龍之介)

共謀罪成立の過程を憂う。(その3)

2017-06-19 | ふと感じるもの(所感)
第3回目は、まとめとして共謀罪の意味合いと影響、それによって想定される現政権の意義について考える。元々は、今日の内容を踏まえて第1回目・第2回目に書いたことを深めるのが自然な手順だったと思い、少しばかり後悔している。

あらかじめ提起するが、僕は決して感情が優先されたことを書く意志はない。感情は人それぞれに異なり、一致するのは理論的・数値的な議論がなされてこそである。『レッテル貼り』という言葉だけで議論から逃げようとする某政治家のような姿勢は取らないことを、ここに明記する。

まず、今回の共謀罪は、何を根拠として検討されたのかについて考えてみよう。新聞や雑誌、論文等を読んでいくと、『テロリズム集団その他の組織的犯罪集団』を強く意識したモノであることが分かる。そして、安倍首相は『国際組織犯罪防止条約(TOC条約、パレルモ条約)』を締結すべく、あくまでも条約締結の前提として共謀罪の成立を目指した。

では、『国際組織犯罪防止条約』とは何か。同条約の第3条『適用範囲(Scope of application)』によれば、『第5条「組織的な犯罪集団への参加の犯罪化(Criminalization of participation in an organized criminal group)」、第6条「犯罪収益の洗浄の犯罪化(Criminalization of laundering of proceeds of crime)」、第8条「腐敗行為に対する措置(Criminalization of corruption)」及び第23条「司法妨害の犯罪化(Criminalization of obstruction of justice)」の規定に従って定められる犯罪』を防止するための条約であると読み取れる。

このことから、この条約を締結するための日本における根拠が共謀罪であったならば、共謀罪も同条約に準拠すべきであり、資金力・組織力の乏しい人物・団体を念頭に置いた法案ではないことは言うまでもない。言い換えれば、この法案が政府の言う『一般人』を取り締まるために利用されることがあれば、共謀罪が国際組織犯罪防止条約を締結するための意味合いを持った法案ではなかったことの証明になる。故に、我々国民による国政への厳しい監視が不可欠だ。

次に、共謀罪が『守りうるモノ』と『侵しうるモノ』について考える。守りうるモノと言えば、ズバリ一般人が想起されよう。だが、その『一般人』とは誰なのかや定義づけ自体、定義づけを行う人物・団体・範囲が既に不明瞭である。個人攻撃で満足することはないが、金田法務大臣の答弁を聞く限り、定義は未だにできていないのではないだろうか。最悪の場合、法案が成立した一昨日以降、共謀罪の改正が恣意的に行われる余地が残されているというわけだ。

ならば、『侵しうるモノ』は何か。『侵』という漢字が意味するように、それはありとあらゆる自由・権利である。基本的人権、個人の自由、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、教育を受ける権利、勤労の権利・義務…。枚挙に暇がなく、それらを確実に担保し、国民だけでなく国際社会との円滑な協調ができてこそ、国民の後押しが得られるのだ。

最後に、今の政権に対する懐疑的な見方である。幾分か感傷的になりやすい部分であるため、細心の注意を払って書いてみたい。まず、安倍政権は旧民主党を叩くことによってしか存在意義を示すことができていない。事あるたびに前政権を含む政策を非難し、そして民主党政権が掲げていた教育の無償化を『憲法改正』という形をとることで志向する。

憲法は、日本国民が目指す究極の理想形である。それを国民ではなくただ一代の首相をはじめとする政府・与党(主張の近さから、あえて日本維新の会・日本のこころを含める)・支持団体(日本会議や創価学会)からの意向で憲法改正(改憲、一部では『加憲』という表現も)を押し進める姿勢は、些か国民の議論が未だ充分でないことを図らずも示しているのではないか。

国民の議論を活発にさせるのが政治の役割であり、そして政治に携わる政治家の役割だ。国民の代表者たる国会議員のみが熱弁し、国民が置いてけぼりになるようなことがないよう、超党派での工夫をすべき段階にあるのではないか。共謀罪が、共謀罪のみにとどまらず国際法や日本国憲法にも直接的・間接的に強い影響を与える点に、僕は強い不安を抱いているのだ。

またいつか、何回かに分けた記事を書いてみたい。現在は練習の段階なので、少しずつ長くかけるようになりたいと思う。
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