美保の厨房日記

アルバトロスの日常に起こる小さな変化

予約の理由

2007-02-26 00:35:09 | アルバトロスの説明
コースの理由をもう少し書こうと思ったけれど

予約の理由と同じと言う事に気づいたので。


さて、予約の理由は、簡単。

私一人だから。
前もって、分かっている事ならばいくらでも対応できる。(はず)
でも、通常のスタッフが数人いる店のように
突然、数組来たら多少の時間がかかる。
私一人で、コーヒー入れながら、パスタは作れないもの。
料理だけだったら、いくらでも作る事は出来るけど。
お客様のタイミングを見計らってお出ししてあげられないし、と
色んな不都合が発生します。
当然、お客様にもお待たせする事になる。
予約の方が要らしたら、そちらが絶対に優先されますし。

スタッフを揃えれば、と言う考えにもなるけど
それは、、、、難しいと言う事で終わらせてください。
一つ言えるのは、この内容では運営できなくなると言う事。

コースも予約も、お客様の為だと思っている。
コースだったら、その時に一番のお勧めで構成できるし
バランスも考えられるし、ワインに合わせて作れる。
もちろん、お客様の好き嫌いも考慮するし
失礼な言い方かもしれないけど、年齢も考慮してる。
20代の食欲と好みが、70代の方とは違いますから。

付き合いが長くなれば、好みが分かってるし、食べられる量も分かる。
もちろん、これは始めからは、分からないけど。

予約も同じ。
来て頂く時間に合わせて、野菜をカットする。
普通、トマトのコンカッセは、作って置いて
手間と時間を省くんですけど
(「チュウボウですよ」で未来の巨匠が一生懸命やってる野菜切りとか
  下準備。アレの事です。)
私達は、カットして時間が経って、水分が出たり崩れたり
したものは使いたくない。味に影響が出るから。
全て、その時に美味しいものを美味しい状態で出したいのです。

お皿を温めて置くとか冷やしておくと言う事ではなくて
料理自体をそうしたいのです。

良いお肉が入ったから、ローストビーフにしようと思っても
冷蔵庫から出したての肉のかたまりを
焼いたら中が冷たいと言う事になる。
大きい固まりで焼いてこそ、美味しいものだから
大きく焼くのですが、そうなればそうなるほど、
冷蔵庫から出して、お肉を常温に戻しておく時間が必要なのです。
ステーキだって同じ。鴨も豚も何もかも。
美味しく作る為にね。

どこまで、仕込みをすればいいのか
時々悩む事がある。
美味しく出す為と飛び込みのお客様に対応できる為との狭間ですね。
でも最終的には、大きな仕込み以外はその場になるのです。

ヨーロッパの食事って、3時間はかかる。
料理が出てくるまでに、最低30分かかるから
スタッフが多くても、かかる。
料理を食べるのは、普通だけど、料理が終わって
次が出てくるまでに、時間がかかる。
その代わり、テーブルで一緒に食べている人の料理が
バラバラでも絶対に同時に出てくる。
だから、時間かかるんですよね。
一緒に食事する人の皿数は同じにしなければならない。
無言の常識。
おしゃべりして一緒に食事すると言う事が、大事なんですね。

ヨーロッパとは同じに出来ないですよね。
うちは、大体コース1時間。
ゆっくり食べる方で1時間半。
早い方だとコーヒーまで45分。

一人で対応できるように、作っておく
けど、美味しく食べて頂くには、作っておけない。

と言う事なのです。

ご予約があれば、それに合わせていい状態でお出しできる。

お客様の為なんです。







コースの理由

2007-02-20 01:59:31 | アルバトロスの説明
さて、書きましょうか。
どこから、書き始めればいいのか、
どのように書けば上手に伝わるのか、、
ま、思いを綴っていきましょうか。

私も、もちろんマスターも、
スナックのマスターでなく、飲み屋の姉ちゃんでもなく
喫茶店のマスターでもなく、ウエイトレスでもなく
ロックハウスでも、軽食屋でもない。
ファミリーレストラン(チェーン店)でもなく

イタリアレストランのコック兼経営者とコックと言うプライドがあります。
居酒屋メニューを作りたいわけでなく
イタリアの料理を作りたいのです。
イタリアで料理と言えば、パスタでもなくリゾットでもなく
メイン(セコンドピアット)を指します。
それはそうです。メインですから。花方なわけですよ。

単品でね。メニューを作っていたときにね。

私達の理想の、と言うか、本来のレストランの形式とは
実際の所、違ってしまうのです。

喫茶店、居酒屋、パスタ専門店、となってしまうのです。

それでも、それで喜んでくれるのなら、構わないと思うのです。

しかしそのうちに、サンドイッチはないのか、
焼酎はないのか、烏論茶など要望が違う方向へいきました。

ランチのサーヴィスサラダに、ズッキーニやチコリ、エンダイブなど、
サーヴィスだからって、ありきたりの冴えないサラダじゃなく、
毎日手を代え品を代え作っても
オリーブだけ残って帰ってきたりして。
悲しい思いをしましたね。
なんだか、普通に作ればいいのかなぁって、カフェ飯でいいのかなぁ
或いは業務用の冷凍で良いのかなぁって。

だからといって、
本来の都会のレストランのように
単品¥2000~にしてもね。
きっちとしたサーヴィスマンを用意してサーヴィス料を頂く
などと言う事は、無理な事。
土地柄のせいには、したくはないけど、それが現実。

そして、決断したのです。
コース料理のみ、に。

純粋にイタリア料理を食べたい方を対象にしてしまいました。

喫茶も一杯飲むのも、お断り。

こちらとしても、非常に痛い決断なのです。

生意気だと、批判される事も当然、覚悟の上です。

始めから、このスタイルではないのです。
約30年営んだ経験の上の考えです。

このスタイルでしかないと、思っています。

それに、現実問題、今となっては私一人。
どんなに私のスピードが速いとしても
こなせる範囲の仕事は限られています。

朝8時から昼休みなく深夜2時まで
単品メニューを作り続けたマスター。
彼の病気は、このハードな仕事にあると思っています。
だって、お店で生活していた時期もあったもの。
営業時間を除いた時間で仕込みをして
帰る時間なく、営業時間。
しかも、年中無休。

前に、帆立のことを書いたときでお分かりのように
利益率の低い仕事の上に、このハードな仕事。

・・・じゃ、なんでコックやるの?
って聞かれるかもしれませんね。
答えは、私もマスターも、きっと全てのコックが同じ。
この仕事が好きだから。
お客様の喜ぶ顔を見る事が、全てだから。

と、ちょっとずれたかな。。

そんなマスターがこなした仕事を私には難しいし、
もう、マスターもサラリーマン一生分働いた。
だから、続ける事は困難なのです。
じゃあ、私一人で出来る仕事というと、
一人一人のお客様を大事にする事。
そして、きっちとした美味しい料理を作る事。
しか、ないと思っています。

本当はね。単品やもっと手軽なセットメニューにした方が
少ない利益率ではありながらも、今現在のコースよりは、利益は高いんです。
こんな、うちの一方的なスタイルに合わせてくださるから。
コースはもっと、お得な内容にしているはずです。

なのに、コースにこだわる理由のもう一つは。
始めに話したコックのプライドでしょうか。
これも食べて欲しい、アレも食べて欲しいと
色々と食べてもらいたいのです。
いつも同じパスタでなくて、これも美味しいよって
食べてもらいたいのです。

料理を作るのが仕事ですから。

いや~、本当に長くなる。

何部かに分けようと思ったけど
やっぱり一気に書いちゃうな。
でも驚く事に、コースの理由で、書きたい事はまだ2,3ある。

どうしよう。

じゃ、明日にするか。

テーマは、「お客様の事を考えたコースなんです。」





注文の多いレストラン

2006-01-25 03:18:26 | アルバトロスの説明
コース料理のみ、出来れば予約で。
当店は、わがままなスタイルなのかも知れない。
もちろん、このスタイルに合わない方がいらっしゃるのも、分かっています。

この小さなお店で、私一人できりもりしていくには、
このスタイルしかないと思っています。

突然、3組も来たらやっぱりパニックです。
サーヴィスしながら、パスタの茹で上がりのタイミングはみられません。
雑な仕事は、私も嫌ですし、お客様もうどんスパゲッティーは嫌ですよね。
イタリアでオーダーしてから、1時間弱待ったことがあります。
ヨーロッパでは、たいしたことではないようですが、
ここは日本です。まず、お待たせすることは無理ですよね。

予約があれば、対応できるんです。
クリスマスは、4組一人でこなせました。

単品がなく、メニューがないのも、理由はあるんです。
生意気な変な店かも知れません。
でも、常に美味しいものを提供すること。
これが、当店の全てです。

でも、暇な店ですから、お気軽にどうぞ。