スペインサラマンカ・あるばの日々

スペイン語留学の街、サラマンカの生活情報をお届けします。

「リモン・セラーノ」~山間村で生まれた、奇跡の“甘じょっぱ味”グルメ

2017-06-15 01:06:47 | サラマンカのタベモノ・バル情報

甘辛というのか、甘じょっぱ味というのか。

甘さとしょっぱさのコラボ。

賛否両論ありつつも、この麻薬的な味トーンに惑わされぬ人は無し。

我ら日本に至っては、そもそも伝統的に砂糖を調理に使うことから、
醤油+砂糖、味噌+砂糖からはじまる、目くるめく甘辛ワールドを広げている。
みたらし団子のたれ、田楽味噌…また照焼ソースに至っては海外にて、大人気を誇るジャパニーズソースとなった。
http://cdn4.cocinista.es/download/bancorecursos/productos/10435-salsa-teriyaki-y-yakitori-kikkoman-250-ml.jpg

世界あちこちのグルメワールドを見てみても、
この魔法の味は、どこにいっても愛されてる感あり。

米国なぞ、かのBBQソースの発明のみにとどまらず、ベーコン+ドーナツだの、
ワッフル+フライドチキンなど、破壊力満タンの甘辛味が人気と聞く。
…しまいにはお鮨に照焼ソースだの、うなぎのタレをぶっかけてうまい、うまい、という国なんだ。
↑この味蕾を爆撃するような、乱暴マリアージュ(?)流行も、まあそれらしいといえばそうだが…たはは…

●スペインの甘じょっぱ事情は?

この国においても、伝統的に愛された甘辛味、というのは多々ある。

ベーコンとなつめやしのピンチョ、というのは、昔“ちょっと気の効いたおつまみ”として
流行っていたような気がするが、最近あまりみない…すでに昭和のオカズになったのかな?

生ハム+メロンは未だに不動の人気。ここでは、メロンは季節になるとやっすい値段で出回るので、
実は日本ほど高級感なし。昼定食メニューにも出る、庶民の味方。

メンブリージョ(カリンの実)を煮詰めて作った固めのジャム+チーズは…
嫌いなスペイン人はいるんだろうか?という位の人気。

チーズの質もタイプも問わず、安物でよし。
この2つをグイっとパンに挟み込んだものを、オヤツとして渡された子供時代を懐かしむ人、多し。

 (プラスくるみもいけます!)

ナスのフライにさとうきびの糖蜜をかけまわしたもの、というマラガ付近南部の代表的甘辛オカズもあり。

あとはシビエ(狩猟による野生鳥獣の肉)の付け合せソースにベリーソース
なんてのは結構クラシックなレシピに入ると思われる。


思いつくままに上げてみたけど…
近年流行のヌエバ・コシナ(新創作スペイン料理)に辿り着くまでもなく、
甘辛味-主に果物の甘みを添えるものが多いが-は伝統料理の中にも結構あることがわかる。

●そして出遭う、謎のマリアージュ?(かき混ぜ)料理

サラマンカ市から南の方に下っていくと、イベリア半島中部を東西に走る、セントラル山系にぶつかる。
ここいらになると、乾いた平地とはうってかわり、緑豊かな山地が広がる。フランス山地(アスティアーラ峰1,735m)、
べハル山地(カンチャル・デ・ラ・セハ峰2,430m)が連なり、現在ではアウトドアスポーツ、狩猟で人気の地域。

http://www.casalaartesana.com/img/mapa.jpg

この地方の村々は美しい。
石や粘板岩を重ねて素朴、しかし頑丈に作り上げた古い田舎屋が寄り添うように集結し、
山間に張り付くように、静かに沈んでいる。

…しかしながら、朝晩の寒暖の差は激しく、夏はまだしも、冬は骨身に染みる寒風が走り、
村間の距離も遠く、昔は相当に厳しい暮らしを強いられたかと思われる…

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/dd/La_Alberca_-_Plaza_Mayor.jpg/266px-La_Alberca_-_Plaza_Mayor.jpghttp://2.bp.blogspot.com/-2l3Fm0yB8XM/VXCLfTCBigI/AAAAAAAAUlU/rZ7EtrFgW9E/s1600/marcelino4.jpg1955年の名画「汚れなき悪戯」に“出演”のアルベルカ村

と、まあNHKなんとか紀行トーンで続けたいとこなんだけど、
ようは、厳しい暮らし→ゼイタクゼロ、食べ物にも困る→もうあるもんで頑張る!
という流れで生まれたと思われる逸品がここにはあるのだ。

それが「リモン・セラーノ」。直訳“山レモン”。
この地方の郷土料理のナンバーワン!

原材料

▼卵(ゆで卵もしくは目玉焼き。ここでどっちが正しいか、で激しく小一時間議論要)
▼レモン
▼オレンジ*果実は皮を剥いて輪切り、もしくは櫛切り
▼にんにくのみじんぎり
▼チョリソを軽くソテーしたもの。
▼生ハム(レベル不問、切残し歓迎)、その他に家に残る腸詰類、焼肉の残り等
▼塩、ワイン少々またオリーブオイルやビネガーなどはお好みで。

調理法
上記のものをボールに入れてわさわさ激しくかき混ぜる。
終了。
パンですくってガツガツ食べる。

もとは羊飼いのごはんだったという説もあるが…どうみても
「とりあえず手元にあったものを放り込んで混ぜたら奇跡の光が!」
的なレシピにしかみえない。(ワイン酒蔵にてわいわいする時に供されるともいう)

そこで笑ってるあなた。
特に酢豚にパインが入ってるのが許せないあなた(←自分)。
…気持ちはわかります。チョリソ、生ハムに柑橘類!

現地ネット民でさえ「いやないし!」「何が嬉しくて…」などとコメントする始末。
しかし食べた結果。

(まあこれはレストランのハイレベルの山レモンですが)

いやこれありです!
ううん~あれ?あれ?といううちに箸がすすむレベル。
いやほんとに美味しい!さっぱりしてて…でもいろんな味のコラボで…妙にあと引く!
サラダではない…野菜料理でもなし、肉でもなし、位置不明。
チョリソや肉類の塩味+オレンジの甘味+レモンのすっぱ味。

ようは、「甘味+辛味+酸っぱ味」の黄金比率を完璧に完成させているという…

なんなんだ?この完成度!

ちなみにTVE(スペイン国営放送)の番組はこの山レモンレポートを放映したのでココみてね。
(どーやっても貼れんかった…)

そしてこの山レモンなるもの、どこでも食べれます~というわけでは
ないんだけど…自分が美味しく頂いたお店はサラマンカ郊外の「トラスオゲロ」
薪火焼のお肉を提供するレストラン。

…まああまりにも郷土オカズ的なもんでもあり、どこかでいつも売ってるもんでもなし、
でもね、なんかこの「山レモン」のような黄金レシピというか、

「貧困極めて、無い所からひねり出したレシピ」
「もうこれしかないから、何とかできないか?からできたレシピ」
「でもやってみたらすごいのができて、今では誇る伝統料理」

というのが、自分が今住んでるスペインに多く散見される。
(もちろんスペインだけではないよ。日本の地方をみても同様)

有名パエリヤ、ガスパチョしかり、
にんにくスープ、
トリッパを始めとする数々のスペイン臓物料理。
名物ミガスなんぞ、“古パンとラードとかにんにくしかねぇ!”から生まれた極貧料理。

「貧しては鈍する」やってる場合じゃない!
「もう貧はわかったから、そっからなんか生み出すのっ!!」の情熱パワー。

私はこんな感じで生まれたこの国の伝統レシピをこよなく愛す。
…そんな感じでブログをこつこつ続けております~

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