単結晶からモノづくりを創造するAKTサイエンスブログ

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ベンチャー支援・イノベーター支援というもの

2015年07月03日 | ベンチャー
こんにちは、単結晶からものづくりを創造するAKTサイエンスの阿久津です。

AKT技術研究所が入居しているインキュベーション施設、BusiNestでは、7月17日(金)の定例交流会(3金会)で墨田区の株式会社浜野製作所の代表取締役、浜野慶一様のご講演があります。

今回は、入居者の身でありながら、私が勝手に浜野様に相談してご了承をいただき、BusiNestのスタッフに招聘の依頼をしました。
まず、関係各位へのお礼を申し上げます。

個人的には浜野様のご講演を何度か拝聴しています。
とても興味深く、引き込まれるお話を伺い、浜野様への敬意を深めるとともに、イノベーターとして同じ時を過ごしている“仲間”たちと共有したい感動の時間であることを、常々思っていました。
そこで、それを実現させたいと思い、浜野様のビジネストでのご講演を実現させたくお願いをした、というのが経緯です。

最初に浜野様にお目にかかったのは、江東区にあるコワーキングスペース、MONOで開かれた創業塾のときでした。

ゲストスピーカーに来られていて、墨田区でのお取り組みについてお話をされていました。
第一印象は、『これがウワサに聞く下町の町工場のオヤジか!』といった感じでしたが(失礼!!)、お話の中身が非常に興味深く、正直な感想が「墨田区羨ましい!」でした。
私の住む多摩地域には同じようなパッションのイノベーター支援が無かったから、墨田区はずいぶん遠い世界に感じました。

同じイベントでゲストスピーカーにこられていたのが、株式会社リバネスの高橋COOでした。

研究畑出身の私としては、まずは近いのはリバネスということで、ゲストとの交流の時間のほとんどを、高橋COOを捕まえて話をするのみでした。
それが数ヶ月の後、リバネス主催のテックプラングランプリへの出場、審査委員としての浜野様のご列席という形で、しかもグランプリで入賞という、両社にずいぶん近づけた形でのセカンドコンタクトができました。
その後は主にリバネスのイベントを介して墨田区に度々お邪魔することになり、顔や名前を覚えて頂けるようになった、という具合でした。

ですから、浜野様とお話をさせて頂くときには、事業計画書もプロダクトの企画書や設計書も持ったことがありません。ビールか、先日のガレージスミダイベントではワインもでしたか、あとはおつまみも、な具合です。
浜野様は常に「うんうん。まずは話しましょうよ。」から始まります。そして、「うちでできない事でも、この周りにはいっぱい仲間がいるから」
できない、やらない という話はまず出てきません。 できるのが最初の答えなんです。

ビジネスとしてはどうなんでしょう。 ガレージスミダがペイしているかどうかは置いといて、来る人を全員受け入れていたらとても仕事は回りません。
では、やるべきでない仕事はどうやって回避されているのか。
ここからは想像です。
まず、やる気のない人は浜野様の門を叩かないのではないでしょうか。 そして、仮に門を叩いたとしても、工場やガレージスミダに置いてあるプロダクトを目の当たりにしてシッポを巻いて逃げ出すのではないか。
と、勝手に想像しています。
決して、浜野様の目が怖いとか(実際やさしい目をしていらっしゃる)、浜野製作所のプロダクトのハードルが高くて気圧されるとか、そういうことではありません。
現場の社員さんの想いとか意気込みとか、ガレージに並んでいるベンチャーのプロダクトから滲む想いとか、そういうものに圧倒されるのではないかと思っています。

ものづくりイノベーターにとって重要なことはなんでしょう。
世界にひとつしかない技術ですか?
それは確実に違います。
世界的なイノベーターの作品は理論的あるいは技術的には他の誰かに作る事ができます。
逆の見方をします。
ベンチャー起業家ごときが、世界一のプロダクトを見分ける審美眼を持っているか、ベンチャーの新技術ごときが、世界一の技術の粋を集めたプロダクトであるわけがない。
ベンチャーやイノベーションとはそういうものです。

だから、自社の強みを活かしたというのはイノベーションにはそれほど響きません。シナジー効果などと言うのが流行っていますが、先行企業がイノベーターにそんなものを求めて、仮にうまくいったように見えても、
一時しのぎにすらなりません。
よほどエッジの効いた事業だって、20年もしないで廃れる時代です。
ベンチャーの助けを借りた本業の亜流が成功すると考えるのは、かなりご都合主義でしょう。
ベンチャーの立場から見てみれば、自社の事業に必要な技術を、得意分野として喜んで手伝ってくれる会社から、いったい何を学ぶことになるのか? ということです。

結局、ベンチャーが周囲との間にかけることができる橋というのは、想いだけなんです。
想いがつながったとき、初めて実現するための努力が行われ、そこから得られるものはベンチャーにとっても、ベンチャー支援にとっても、おそらくかけがえのないものになるのではないでしょうか。
その橋を自然とかけようとしているのが浜野様、橋をかけたくてベンチャーが集まる先なのが、ガレージスミダなのではないかと思うのです。
これ、浜野さんの技術とどう結びつくんだろう?と思わず首をかしげるようなベンチャーもガレージスミダには集まってきています。
みんな想いの橋をかけに来ている。
そんな気がしています。
この橋から、何か新しい、世界を変えるようなイノベーションが起きるのではないか。
イノベーションとは、そういう明日を作ろうとしている人たちのつながりの中から沸き立ってくるものではないのでしょうか。

もちろん、結局プロダクトを実現してしまう浜野製作所の技術力には疑いの余地もありません。

さて、想いを繋ぐ橋といっても、その橋にかかる道が無ければ、我々は行き着くことができません。
それが、株式会社リバネスの活躍です。
聞くところによると、リバネスの若い人たちが、自転車に乗って墨田区中の工場を回ったそうです。
そして墨田区の工場の想いを吸い上げ、ベンチャーの想いと結びつけたのが、ガレージスミダなんだそうです。

技術でもものづくりでも、一番の核はそれぞれの想いの重なり合い。そのためには出会い。出会いは一期一会です。
こうやって浜野様のご講演を中心に“仲間”たちが集まり、共感することから、新たな出会いに結びつくことが起こるかもしれません。
それが、このBusiNesut3金会の会場から始まれば、それは素晴らしいことです。

今から楽しみです。


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