いつも誰かを気にしてる---いつ誰

新しくしました。
マンガのネームにも使えるようにしてありますので、読みにくかったらゴメンさい!!

いつも誰かを気にしてる---㉒

2017年04月21日 14時36分07秒 | 小説

Lunch is a BBQ【お昼はBBQ】続き

 

 

 

農家の畑に到着したA班の女子は、ズラリと並んだビニールハウスの一つに入ってみた。

ムッとする熱気と青い植物の香りが鼻をくすぐる。

 

「あのぅ、天路高校の者なんですがァ・・・。何かお手伝いさせていただけませんかァ?」

なっちゃんが、ハウスの中に居た初老の男性に声をかける。

 

人の良さそうな笑顔でこちらを向いた男性は、ゆっくり近づいてきた。

「ああ、はいはい。聞いておるよ。何が要りようかね?欲しい作物の収穫を手伝ってくれりゃぁええよ!」

 

A班の女子たちはワイワイと相談し、レタスとキャベツ、タマネギとトマトを手伝わせてもらう事にした。

他のクラスの女子もやって来て、まるでお祭りのような賑やかさに農家の人もご機嫌である。

孫くらいの歳の生徒に、レタスの収穫方法を教えたり熟したトマトを説明したりと大忙しであった。

 

A班の女子たちが約束どうりレタスとキャベツ、タマネギとトマトを大きなカゴや袋に入れてもらい帰ろうとした時、手伝った農家のおじさんに呼び止められた。

 

「こんな可愛いお嬢ちゃんに手伝ってもらったんだ。おまけせんでなんとするか!」

そう言って、大きなメロンと大量の苺を持たせてくれた。

「うわー、ありがとうございまーす!持ちきれないよー!」

ミカが、ぺこんと頭を下げた。

 

 

その頃、牧場に向かったケイ一行は乳搾りにいそしんでいた。

一人1頭の牛に対峙して、懸命に手を動かしている。

 

「あれま、この生徒さんだけは別格だな!」

牧場主に褒められているのは、ケイだった。

 

リズミカルに指を動かしているケイの周りに牧場の人たちが集まってきた。

「たいしたもんだ!コツを掴んどる!」「牛もウットリしてら。」「柔らこう動かすのがうれしいんだがよ。」「うちの婿に欲しいもんだな!」

 

他の生徒の倍くらいの量の牛乳を手に入れたケイは、乳搾りマイスターの称号とこれまた大量のチーズとヨーグルトも褒美として手に入れた。

 

清流で釣りをしていたA班の男子たちは、残念なことに小さな2匹の魚しか獲れなかった。

ションボリと戻ってきたところに、B班のカタブツとイチがバケツいっぱいのアマゴとヤマメを持って帰ってくる。

 

イチとカタブツをうらやましそうに見ているA班の男子の為に、ミカがひと肌脱いだ。

ミカがイチに近付いてバケツをのぞきこむ。

 

「スゴイねぇ!山盛りってこの事だよ。」

 

パッと顔をあげて、ニカッとイチの顔を見上げた。

 

「あのさぁ、苺欲しくない?」

 

イチは自分の班のテーブルの上にある収穫を振り返って、果物が無いのを確認した。

 

「苺くれ!」

即答!

 

「ものは相談なんだけど、魚と物々交換でどう?」

 

「全部はダメだけど、3分の1くらいならOKだ。」

イチが取引に応じた。

 

A班、B班の見守る中、歓声と共に苺と魚は交換された。

 

 

さぁ、BBQの用意だ!!

 

 

それぞれで役目を決め、大騒ぎで準備が進む。

 

その中でひときわ鮮やかな手つきで野菜を刻む女子が居た。

サーヤである。

言葉を発さず作業に打ち込む姿には、料理人の威厳すら感じられた。

 

キャベツがザクザクと刻まれ、トマトは皮を火炙りでむいてくし切りに、ちぎりレタスは冷水に浸けられてシャキッとさせられている。

タマネギはBBQ用と、超薄切りにして冷水にさらしたサラダ用に作り分ける。

コンソメと残った野菜の部分で、サッパリしたスープもこしらえた。

 

B班・C班の男子がうらやましそうにのぞきにくる。

お手製のヨーグルト風ドレッシングをかけたサラダを、イチがシャクッと口に入れて美味に驚くのをなぜかケイがドヤ顔で見ていた。

 

「すげぇな!魔法使いじゃねぇの!ウマすぎるんだけど!!」

 

イチの賞賛の言葉で、サーヤはこっそり嬉しさに頬染めていた。

 

ケイが見逃すはずが無い。

「A班は幸せ者だろ?うらやましかろ?」

そう言いながら、イチとサーヤの間に割り込んでいく。

 

ミカはその3人を見ながら取り残されたような気持ちになり、ちょっと切なくなってメロンと格闘しているなっちゃんに近付いた。

なっちゃんは、メロンをくり抜いてソーダと果実部分を注ぎ『メロンポンチ』なる物を作ろうとしていた。

「オッ!いいとこにミカ殿が現れたな!ささ、手伝ってくだされ!」

なっちゃんは、満面の笑みでミカを誘った。

 

「何すればいいの?中身をくり抜く?」

なっちゃんの屈託のない笑顔を見てたら、全てが自分の考えすぎのような気になってきた。

ミカは、せっせとメロンをくり抜き始める。

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