いつも誰かを気にしてる---いつ誰

新しくしました。
マンガのネームにも使えるようにしてありますので、読みにくかったらゴメンさい!!

いつも誰かを気にしてる---㉓

2017年04月22日 01時02分40秒 | 小説

Their identity【彼らの素性】

 

 

BBQでお昼を済ませた後は、このオリエンテーションのガイダンスが1時間ほど行われた。

天路高校の成り立ち・理事校長の生い立ち?・日程の発表などを知らされる。

その後、進学校らしく2時間の苦手科目克服授業。

科目ごとにテーブルに着き、同じコースの生徒がクラス関係なく勉強する。

 

勉強が終われば、腹が減る。

お待ちかねの夕食は、ダイニングホールでのすき焼きであった。

グランシャリオのスタッフが愛情込めて作ったすき焼きは、あっという間に生徒たちが平らげてしまった。

その後満腹になって、心穏やかな生徒たちは担任を交えて自己紹介に移る。

それぞれの実家や住所、家庭環境に盛り上がる。

女子の注目株であるケイが自己紹介を始めると、よそのクラスの女子までがシンッと静まりかえる。

「やばいー!カフェバーってやばいー!」「お兄さんもかっこいいのかな?」「お父さん、見た事あるけど、鬼イケ!!」「知ってるー!入学式に来てた人でしょ!ヤバイよねー!」

 

ケイが自己紹介を終えて座った途端、女子がザワザワしだす。

ケイはサーヤの反応を見ようと横を向いたが、彼が見たのは緊張のあまり思考が停止している青い顔をした女子であった。

その反対に、頬を赤くしている女子がいる。

ミカだった。

 

(みんな そんなに騒いでも、ケイの裸を見たの きっとあたしだけだと思う・・・。)

ミカはケイの裸を見たのが良かったのか悪かったのか、分からなくなってきていた。

 

カタブツの番が廻ってきた。

以外にも素直に立ち上がり、包み隠さず『常陸屋書店』の次男であることを述べた。

一部の女子からラブコールが起こる。

「けっこう大きな本屋さんだよね?」「本屋さんの次男ってインテリっぽいー!」「セレブメガネ男子ぃ?」

 

「なんだ・・・?家庭環境でモテてんじゃねェよ・・・!」

ボソリとつぶやいたのは、イチである。

そして、イチの番。

 

「俺んち、南ヶ丘の駅前プラザで居酒屋やってる。父ちゃんと母ちゃんが『西王』って店やってて、時々手伝わされんのがうざいかなぁ。そんで、俺には嫁に行った姉ちゃんがいる。あと、中学からバンドやってっし!West Heroesよろしくゥ!!」

 

「うちのおやじ、よく西王に仕事帰りに寄って帰るぜ。」「うるせぇ大将なんだってな!」「おかみさんは熟女美人らしい!」「お姉さんはイチ似?」

 

賑やかなイチの自己紹介の後はクラスの反響も、やっぱり賑々しかった。

 

女子の出席番号1番はなっちゃんである。

「えーっと、朝山菜月です。お父さんは公務員です。お母さんは専業主婦でドジ女です。あと大学生のシスコン兄がいます。趣味はぁ、ワンちゃんのお洋服作るのが趣味かなぁ。手芸部に入ってたくさん作って、通販でガッポリ稼ぎたいです!」

なっちゃんらしい、可愛い仮面からチラホラ『自分』が見え隠れする自己紹介であった。

 

先程から青い顔で緊張しているサーヤの番が廻ってきた。

「あ、あの・・・、須田紗也乃です。父も母も・・・、えっと・・・出版関係の仕事をしています。中1の弟がいますが、反抗期でやっかいです。以上です・・・。」

 

ペコッとお辞儀をしてポスンッと椅子に座ったサーヤは、ほっと安堵のため息をついた。

緊張が解けて顔色がよくなってきた。

 

何人かの女子の自己紹介の後、ミカの番がやってきた。

「夏目美華といいます。両親共に海外勤務なので、今は叔母と暮らしています。住んでるお家はおばあちゃまの生家なので、物凄く古くてお化けが出そうですが、小さな庭の金木犀と沈丁花がすっごくいい香りを撒いてくれてて大好きです。いつか・・・・・・。いえ、なんでもないです・・・。これから、よろしくお願いします!」

 

ミカが、言葉に詰まった時に心に映った風景は満月の夜に庭の縁側に座って金木犀の香りに包まれている自分と・・・、ケイであった。

もう、考えているより心は正直だ。

ミカは自分がケイに恋している事を認めざるを得なくなった。

 

自己紹介の後は翌日行われるレクリエーションの出し物を決定する事だった。

生徒たちの人気投票で、順位が決められるらしい。

優勝クラスは来週行われる校外学習の『箱根ガラスの森』で、記念品を貰えるのだ。

 

まずは班ごとに題目を考えてゆくために、丸いテーブルに集まる。

ミカはサーヤの隣りに座ったのだが、ちょうどケイの真正面になってしまう。

 

(うわぁ・・・。これ、なんか困る・・・。)

ミカはずっとサーヤの方しか見られなかった。

みんなが何を話し合ってるのかさえ、分からなかった。

そんなミカに気付いたサーヤは、心配して小声で話しかけた。

「どした?具合悪い?熱あんのかな。顔赤いよ。」

 

サーヤの声を聴いた途端、ミカはサーヤの服に掴みかかった。

ミカに引っ張られて、顔がくっつきそうになる。

 

「サーヤ・・・。あたし、えらい事になってんのよ・・・!」

 

「なになに・・・?落ち着いて、ミカ。聞くから!」

 

サーヤはミカの手を掴んで、落ち着かせた。

 

「どしたの?えらい事って何?」

 

ミカのうろたえる目が辛そうだった。

小さな声で、サーヤだけに聞こえる声で・・・

 

「あたし・・・、ケイが好きなんだと思う・・・。」

 

「・・・・・・・。(でしょうね!)」

 

「あたし、裸見て好きになったのかなぁ?!変態かもしんない!でも、あたししかケイの裸を知らないってのが、ちょっと優越なんだよ・・・。」

 

「・・・・・・・。(色んな出会い方があるんだなぁ)」

 

ミカは、キッとサーヤを見て自分の恋が正しいのか判断を委ねた。

 

サーヤはミカを真面目な顔で見つめた。

「ケイは、クールだしイケてるし優しいし、文句ないよ!ライバルはちょっと多いけどね。ミカがケイの事好きなら、私も応援するよ!!」

「ほんと?超嬉しー!でも、サーヤ声おっきい・・・。」

「ごめん・・・。」

周りに聞こえていないか 当の本人のケイに聞こえていないか様子を窺ったが、ケイはなっちゃんが言い出した『見返り男子』の案についてB班の男子と話し合っていた。

 

まったく、この話し合いに参加出来ていなかったサーヤとミカはなっちゃんの『見返り男子』たるものが、理解できなかったが・・・。

 

(男子が振り向いて、何がうれしいのか?)

サーヤとミカは、満足そうななっちゃんを不思議そうにみつめた。

レクリエーションの話し合いと同時進行で、入浴も進められていた。

 

しかし、サーヤは【⑮入浴順が最終】というビンゴゲームの権利のおかげで一番最後に後回しされた。

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