歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

井坂信彦 2015.7.1 衆院厚生労働委員会

2015年07月01日 | 国会議事録
第189回国会 厚生労働委員会 第27号
平成二十七年七月一日(水曜日)
    午前九時三十分開議

○井坂委員 時間がありますので、今は答弁をいただくのみにとどめて、また次回以降させていただきたいというふうに思います。
 続きまして、本日二点目は、歯科技工士さんの問題であります。
 歯科技工士の方は、先日、歯科技工士の方々から直接お話を伺う機会がありましたが、五年以内の離職率が八割とも言われている、こういう大変離職率の高い仕事というふうに今なってしまっているようであります。
 一問質問を飛ばしますが、実際、厚労省の調査でも、仕事の時間が非常に長い、平均で週六十二・二時間働いておられるんだ、にもかかわらず、収入は、一番多い価格帯が年収三百万円台である、こういうことであります。これですと、なかなか大変な仕事だな、割に合わないな、幾ら志、思いがあってもそういうふうになってしまうことにつながっているのではないかなというふうに思います。
 大臣にお伺いをしたいと思います。
 私は離職率の高い原因になっていると思いますが、この歯科技工士の長時間労働あるいは年収の伸び悩みについてどう捉え、まず改善が必要だと考えておられるのかどうか、またその方策などがあればお伺いをしたいと思います。
○塩崎国務大臣 今先生がお触れをいただきましたことを含めて、厚生労働省では、日本歯科技工士会が三年ごとに実施しております歯科技工士実態調査というものを見ているわけでありますけれども、技工士の皆さん方の現状を見ると、今お話がありましたように、労働時間については、平成二十四年で一週間当たりの平均六十二・二時間、前回調査と比べて約九時間も長くなっているということで、歯科技工士の働く環境というのはなかなか厳しくなっているということを我々も承知をしているわけであります。
 御指摘の長時間労働などの背景には、さまざまな原因があると考えられますけれども、例えば、小規模な、私の地元でも、見ていると、一人で御自宅でやっていらっしゃる方もたくさんおられます。歯科技工所、小規模なものですね、それから、一人の歯科技工士がさまざまな事務的な業務を行っていて、こうした業務形態のあり方などが長時間労働につながってしまっていて、それが必ずしも給与に反映されないがゆえに離職をしたいというこのアンケート調査を見ても、一番はやはり給与というところにあらわれてきておりますので、こういった点をどう解決するのかということについて考えていかなきゃいけないなというふうに思うところでございます。
○井坂委員 考えていかなければいけないなという御答弁でありますが、これは別に、ここ最近急にこうなったわけではなくて、随分昔から、歯科技工士さんは非常に長時間働かなければ、そして、働いたにもかかわらず、なかなかお給料が得られない、三百万円台だ、こういう状況が続いてきているというふうに思うんですね。
 週六十二・二時間といいますと、これは、残業ベースで直せば、月百時間残業に当たるペースだというふうに思います。平均でこれということは、歯科技工士さんの約半数は百時間を超える残業をしている、そういうぐらい猛烈な時間数を働いているということではないかというふうに思うわけであります。
 せっかく厚生省と労働省がくっついて、医療の側面からもそれから労働の側面からも、この問題は両面から対処できるはずでありますから、長時間労働、また、構造的な問題だと思いますけれども、これだけたくさん働いてもなお年収が最頻値で三百万円台にとどまってしまう。このあたりは構造的な何か手だてが必要だというふうに思うわけでありますが、この間何も改善策を打ってこなかったのか、また、今後改善策をどのような方向性で考えておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○塩崎国務大臣 歯科医療における歯科技工士の役割が大事であり、なおかつ問題を抱えているということは、私どもも前々からもちろん認識をしているところであって、良質な歯科医療をするためには、良質な歯科技工物を提供する歯科技工士の皆さん方がいていただかなきゃいけないということであるわけでありますが、もちろん、歯科医師との連携がしっかりととれていないといけないということもあるわけであります。
 勤務環境について今御指摘でございますけれども、これまで、昨年の通常国会で医療法などの改正を行う一環として、歯科技工士法の改正も行いました。これは、御案内のように、各都道府県で行っていた歯科技工士の国家試験を全国統一化いたしまして、質の向上を図るということ、この質を向上させることがやはり、最終的には報酬にもつながってくる話であろうかというふうに思います。
 それから、国家公務員の中にも歯科技工士がおられて、その初任給基準表というものの改正を人事院に働きかけて、今年度から改正が行われるなどの政府としての対応も行ってきて、歯科技工士の全体の評価の引き上げにつながるような国家公務員の中での位置づけというものも行ってきたところでございます。
 さらに、今年度から、厚生労働科学研究において、歯科技工業の実態について情報収集を行った上で、その方向性について検証を行うということになっておりまして、あわせて関係団体や現場の御意見もこの際伺っていかなきゃいけないなというふうに思います。
 報酬という意味においては、やはり診療報酬が大事で、歯科医療の中での、言ってみれば口腔機能の維持とか向上の取り組み、それから歯の喪失リスクの増大とか、こういうようなものに深く歯科技工士のお仕事がかかわってくるわけで、義歯などの製作に係る診療報酬の点数についても、これまで引き上げを行ってきております。
 この改定については、もちろん、二十八年度、この年末にかけてございますので、必要な要素に十分な配慮をしながら、今申し上げたような、歯科医療の質を向上するためにどうしていくのかという中での、言ってみれば、歯科技工士がかかわる仕事の評価を上げるための診療報酬にも配慮をしていかなければならないというふうに思います。
○井坂委員 過去の議事録もずっと見てきたんですが、歯科技工士のこの問題を過去何回か各党の議員がお尋ねをすると、必ず質の問題に最後は答弁がすりかえられてしまってきています。何か歯科技工士の仕事の質が低いから給料が三百万円台なのか。私は、どうも問題の立て方が違うのではないかなと。
 これだけ、月百時間残業が平均で、資格物のこういう仕事でですよ、それなのに年収三百万円台が中心だと。これはちょっと構造的に異常ではないかなというふうに、これは質の問題とはまた違う、正面から別のアプローチが必要ではないかなと思いますから、これは申し上げておきたいというふうに思います。
 最後に、学童保育料における母子家庭、父子家庭の減免についてお伺いをしたいと思います。
 昨年、母子寡婦福祉法が改正をされました。その中で、放課後児童健全育成事業その他でも母子家庭の福祉が増進されるような特別の配慮が求められるようになりました。
 学童保育、私も子供がずっと学童保育でお世話になってまいりましたが、この学童保育においても、もちろん収入要件は必要だと思います、年収要件は必要だと思いますが、母子家庭、父子家庭について学童保育料の減免を国としても行うべきではないかと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
○塩崎国務大臣 放課後児童クラブにつきましては、安倍内閣としても、これを平成三十一年度末までに、五年間で約三十万人分の受け皿を新たにつくっていこうということで、力を入れていこうということに私ども取り組んでいるわけであります。
 今御指摘のあった利用料の問題でありますが、母子家庭、父子家庭、それぞれ放課後に子供たちの安全な、安心できる遊び場や学びの場というものが必要であることは当然であります。
 今、運営費の二分の一相当を保護者から徴収するというのが基本でございます。市町村が自由に設定をする仕組みとなっているわけでありまして、経済的に厳しい環境の家庭については、保護者の所得の状況に鑑みて減免措置を講ずるということも市町村の判断で行えるということに今なっているわけでございます。
 全国に約二万二千カ所あると聞いておりますが、実際に、放課後児童クラブの事業内容等については、地域の実情に応じてさまざまな創意工夫を図っていただいており、また、裏返して見ると、地域でそれぞれいろいろな問題を抱えているということでもあって、私も地元で、ミニ集会などでPTAのお母さん方からも随分いろいろと御要望をいただきますが、利用料の設定についても、運営実態に応じて自治体が柔軟な対応が適切に行われるようにしていかなければならないと思いますけれども、そういう実態については、私たちとしてもしっかりと目配りをしていかなきゃならないというふうに思っております。
○井坂委員 ちょっと最後の方がよくわかりませんでしたが、市町村はいろいろやっているんです。昨年、国の法律が、この部分が変わったものですから、それをしっかり受けとめて、そろそろ母子家庭、父子家庭の学童保育料減免が国の制度として必要ではないですかということを、国の法律との関係でお尋ねしておりますから、お伺いをいたします。
○塩崎国務大臣 国で一律の仕組みをつくるかどうかということについては、さまざまな御意見があるのではないかなと。
 今の仕組みは、先ほど申し上げたように、実施主体である市町村が判断をして、所得に応じた配慮をするということになっているわけでありまして、また、今お話がありましたように、地方でそれぞれいろいろな工夫をしていて、事業もさまざまなことをやっていらっしゃいますので、そういったときの人件費などの見方というのをどうするのかということをそれぞれやっていただかなきゃいけないので、どこまで国がメニューを固定的に決めてしまうかということについては、御議論を賜っていくことではないのかなというふうに思います。

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