「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

豊丘村・電磁波学習会

2015年08月23日 | リニア新幹線
 昨日は、お隣の豊丘村で行われた電磁波についての学習会「電磁波ってなぁに?」に行ってきた。豊丘村ではリニア新幹線のために50万ボルトの南信幹線から15万4000ボルトに変換する新たな変電所が設置され、そこから大鹿村と豊丘村にできる予定のJRの変電所まで鉄塔が建ち並んで15万4000ボルトの高圧送電線が引かれる計画であることが、この6月に明らかにされた。そこで、最近できた豊丘村リニアを心配する会の皆さんがジャーナリストの天笠啓祐さんを講師に学習会を企画された。
 大鹿村も変電所に送電線が引かれることは想定できていたわけだけど、村が地中化を求めていたこともあって、あるいは残土運搬に伴う工事車両の問題や水の問題が大きすぎて、電磁波の問題は気にはなっていたけど、難しくてよく分からないままになっていた。先日の対策委員会では、実際に委員から高圧線下の電磁波の影響を問う質問があり、それに対して、国の基準である200マイクロテスラの10分の1程度なので問題ないという回答だった。しかし、以前にリニアの学習会で4ミリガウスで小児白血病が倍増すると聞いた記憶がある。4ミリガウスが何テスラかという基本的な知識もすっかり忘れていたので、ちゃんと勉強しなくてはと思った。
 講師の天笠さんは以前『技術と人間』という雑誌をずっと作っていたジャーナリストの方で、難しくなりがちな電磁波について、電磁波とは何かという基本的なところから、生体の働きと電気、電磁波の健康への影響、いろいろな研究事例など、時にやや脱線するような話も交えながら、とても興味深く分かりやすく説明していただいた。
 
 送電線と小児白血病の関連については、いろいろな疫学調査があり、スウェーデンの研究で0.1μTに比べて、0.3μT以上で3.8倍とか、疫学調査を再評価した論文で0.3~0.4μTで2倍程度、日本の兜さんという方の研究では0.4μTで4.63倍など、いずれも2~4倍に増えるとされているそうだ。(1μT=10mGなので、先ほどの4ミリガウスは0.4マイクロテスラ)それからすると、中部電力の言っていた20マイクロテスラなどという数字では、子供たちへの影響はとても心配だ。ただ、電磁波は電流に規定されるそうで、実際に送電線の下でどれくらいの数値になるかは、時間帯によっても違うし、実際に測ってみてくださいと言われた。あるいは、送電線からどれくらい離れたら大丈夫なのかについても。
 
 よく電磁波が問題というと、携帯電話や電子レンジなども使っているくせにという言い方をされる場合があるけど、携帯電話や電子レンジなどは使用することによるメリットがあるわけで、そのメリットとデメリットを比較考量して使う人は使うわけだ。しかし、住居の近くに送電線が通るとなったらメリットは何もなくて無差別に24時間被曝することになるわけで、そうした批判はおかしいというお話も、質疑の中であった。
 現実に電磁波から身を守るには、距離と時間が重要で、いかに離れるか、被曝時間を少なくするかということだそうだ。

 岐阜県恵那市にも同様の変電所が計画されているそうで、東濃リニアを考える会の方も見えていた。東濃リニア通信に天笠さんの資料などもアップされている。

第9回リニア対策委員会

2015年08月19日 | リニア新幹線
 大鹿村では毎月リニア対策委員会が開催されている。昨日は9回目の対策委員会があり、前回の委員会で委員から出された質問や意見に対するJR東海や県、中電の回答を聞いて、それについての質疑などが行われた。
 最初にJR東海から、山梨実験線の水枯れについての説明と、8月3日に始まった契約手続き(工事公募)についての説明があった。水については、山梨実験線における水資源対策についてという形で評価書資料編に出ている内容の説明があった。事前の影響予測で、例えば天川については、「この区間の地質は、基盤層に亀裂が発達しており、地下水位下の施工となるため、地下水位の低下が予想され、路線周辺の井戸等の一部に影響があることが予測される」、無生野地区の棚ノ入沢についても「この区間の地質は全体的に良好である。しかし、付近の断層の影響により一部基盤が風化していることも考えられ、棚ノ入沢が影響を受けることが予測される」とされていて、実際に川がかれる事態が生じている。これらについて、どのような環境保全対策(防水対策)を施したのかという質問をしたところ、薬液注入は行っていないとの回答だった。水資源への影響が予測されていながら、薬液注入までは行わなかったということらしい。(では、薬液注入をしていれば減渇水は生じなかったのかどうかは不明) 
 工事公募については、「本工事は、施工方法等の技術提案を受け付け、価格以外の要素と価格を総合的に評価して価格協議先を選定」するので、一般の競争入札のように価格が安ければよいという選び方をしないということ等を強調していた。これについて、残土置き場、ストックヤードも決まっていないのにどうして見積が可能なのかという質問をしたところ、現在の候補地が使えるという前提で、それも現場から何十キロ程度の場所といった大ざっぱな形で出してもらうということだった。今回公募された工事の中にどこまで含まれるのかという質問については、残土を置くところはもちろん、運搬ルートの道路改良や代替ルートの整備、変電所敷地の造成なども含むということだった。ただし、青木地区の国道152号線の改良については、伊那山地トンネル工事の一部になり、今回の工事には含まれないそうだ。また小渋線の改良については、まだ県の発注になるか、JRの発注になるのかも決まっていないとのこと。小渋川橋梁についても別工事らしい。伊那山地トンネルについては、どういう工区割りにするかもまだ決まっていないと言っていた。とにかく難工事が予想される南アルプストンネルについて、できるだけ早期に着手したいということで、まだまだ住民の理解も同意も全然進んでいないし、未定のことだらけのまま工事公募に踏み切ったということだ。
 契約に関するスケジュールについては、来年の1月15日が最終的な見積書の提出日で、その後、価格協議、社内手続きを経て、早くて1か月後くらいに契約とのこと。
 小渋線の道路改良については、県の関与を求める意見が出ていたので、県の回答も聞いたが、前回とほとんど変わらない回答。発生土運搬が始まってから、やはり渋滞が多数発生して一般車の通行に支障を来すとなって、新たな改良が必要となったら、そんな交通量の中で道路改良ができるのかという質問が出ていたが、それについては、場合によっては工事車両の通行規制をすることも考えられるという回答があった。小渋線については、新たなトンネルを二つ掘削するという改良期間中の交通状況も懸念されるのに、具体的な道路改良計画の説明がいつになるのか全く分からないまま、JRのスケジュールばかりがどんどん進んでいく。
 中部電力からは、送電線と鉄塔について、ルート幅の中で二つの案が示され、それぞれの場合の景観のフォトモンタージュが示された。大西公園や小渋橋からの景観は、離れた方が目立たなくなるものの、付近の集落からの景観も気になるところ。あと景観対策で低光沢処理したものは山を背景にした場合は目立たなくなるけど、空が背景だとかえって目立つ。また、委員から電磁波についての質問も出た。国の基準は地上1m以下のところで200マイクロテスラ以下で、送電線の直下でもその10分の1くらいなので、直下で一日作業していても問題ないという回答だった。(しかし、0.4マイクロテスラで小児白血病が増えるという話も聞いたことがある)
 今後の現地調査について、なるべく早い時期に地元説明に入っていきたいという話があった。

 今の対策委員会になってから、2月以降、毎回JRや県などを交えての会議となっているが、そうではなくて、対策委員会の中で話し合う必要があるという委員からの提案を受け、次回9月は対策委員会のみの会合とすることになった。
 

リニア南アトンネル「契約早くて来年2月」 大鹿の対策委でJR(中日新聞)

大鹿リニア対策委 県道改良で県側の積極対応求める(南信州新聞)