aki ~ 歌舞伎☆だいあり

歌舞伎・・・カブキ・・・かぶき・・・

7/21(月・祝)新橋演舞場 「大銀座落語祭」グランドフィナーレ

2008年07月21日 23時42分00秒 | 舞台(歌舞伎以外)

私にとって最初で最後の「大銀座落語祭」。新橋演舞場のグランドフィナーレに行ってきました。

第一部 『勧進帳』

武蔵坊弁慶:林家正蔵
源義経:林家いっ平
亀井六郎:春風亭一之輔
片岡八郎:林家たけ平
駿河次郎:古今亭菊六
常陸坊海尊:入船亭扇遊
番卒:柳亭小燕枝/柳家小里ん/林家錦平
太刀持:林家小ぶた
富樫左衛門:桂小米朝

※後見:新蔵、大和、八大

噺家さんによる鹿芝居。とにかく小米朝さんの富樫を見たくてチケット取ったようなもの。小米朝さんの「七段目」が最高に好きなので、歌舞伎を演ってくれるなんて願ったり叶ったり。十八番の『勧進帳』。期待が高まります。しかも三津五郎さん指導と聞けば、なおさら。今日の席は2階の東。たまたま取れたこの席だけれど、よくよく考えたら、『勧進帳』を見るには特等席。本物の歌舞伎の『勧進帳』でさえ、こんなにちゃんと花道が見える席で見たことないかもとビックリ。

幕が開くと、まさに歌舞伎そのもの!舞台から長唄から衣装まで。ワクワク、そしてニヤニヤ。下手のお幕が上がり富樫さん御一行様のお入~り~。小米朝さんの白塗り富樫。良い!良いぃ!セリフも巧いし、すごぉい。かっこい~い。名乗りを終えて上手に移動。後見は大和さん。なるほど。三津さん絡みね。

(余談①三津さんの富樫は見たことないけれど、4年前の海老蔵襲名の時に成田屋さんに代わって勉めた弁慶さんが忘れられない。あの時、午前中から夜の部の幕見に並んでいたら、幕見売場のお兄さんが、「團十郎さん病気のため、三津五郎さんの代役となります」とアナウンス。すごぉくショックだったけれど、あの日の三津さんはすごかった。今でも鮮明に覚えています!)

花道から、義経さん。とても幼い顔に見えましたが、声がキレイ。七三のキマリもたっぷりと。四天王の中で目をひいたのが菊六さん。普段のお顔は存じませんが・・・錦弥さんを思わせるキリリ顔。かっこいい~。お名前も歌舞伎向き?!

そして弁慶さん、堂々の登場。
(余談②わたくし、正蔵さんの落語は、生も映像でも聞いたことがないのです。だから、昔はよくテレビに出てたなぁ、このお兄さんというのが素直なイメージ。最近は歌舞伎チャンネルのトーク番組でもお馴染み。確か、三津さんがゲストで出た回もあったから、もしかしたらそのご縁で今回の指導役?正蔵という大名跡を襲名されてからは1度は聞いてみたいと思いつつ、まだチャンスがやってきません。先に弁慶を拝見することになるとは、意外ですね~。)

かなり、力が入っているようです。でも、まず見た目は立派!セリフは頑張って覚えたことを喋っている感はあるけれど、がんばれ~!本舞台に来てから、後見さんが2人。八大さんと新蔵さん!新蔵さんといえば昨年夏の稚魚の会での弁慶は素晴らしかったぁ~。今日は後見として舞台を支えてくれます。うん、頼もしい。

小米朝さんの爽やかな声は富樫にピッタリ。ニンですな、これ。本当に、歌舞伎の世界へようこそ~と言いたいです。本人も気持ち良さそう♪他の役も見てみたいなぁ。やっぱり白塗りの若旦那系が良いかしら~。意外と荒事もいけそぉ。これに味をしめて、またお芝居してくださいね~。声がとにかく良かったです。「小米朝っ!」や、早くも「米團治っ!」なんて声もかかりました。

1時間の『勧進帳』。もっと省略バージョンかと思いきや、しっかりたっぷり最後まで。富樫 VS 弁慶の問答に始まり、義経への折檻(しっかり棒が笠にあたり痛かったそうです)、チーム富樫 VS チーム弁慶の攻めぎあい、判官御手を~の件、お酒を飲んでの延年の舞、最後は六方まで!あれだけのセリフを覚えるだけ言うだけすごい、そしてちゃんとお芝居になっているからもっとすごい。もちろん歌舞伎役者さんの舞台とは緩急のつけかた、間合いなど比べてはいけないと思うけれど、そんなの全てを差し引いても、大熱演の素晴らしい、楽しい舞台でした~。


ここまで書いておいてナンですが、今日1番の注目は後見の新蔵さんでしたっ。おそらく新蔵さんがいなかったら大変なことになっていたんじゃないかしら。成り立っていなかったんじゃないかしら。2階からの拝見だったので、新蔵さんの動きや表情がよ~~く見えました。最初は弁慶さんの後ろのほうへ控え、時々口がパクパクしているように見えたので、あぁ去年の舞台を思い出して自然にそうなるのかなぁと思っていたら、だんだん弁慶さんに近づき・・・おそらくセリフや動きのキッカケを全て伝えていたようです。

そのうち弁慶さんだけではなく、富樫さん、四天王、番卒、義経さん、太刀持ちまで、全ての指示を全身で!心配そうに見守ったり、頷いたり、とにかく大活躍で目が話せなくなりました。普段の勧進帳の後見と違い素顔(鬘なし)だったので、余計に表情など分かりやすかったせいもあったかもしれませんね~。だんだん成田屋さんの弁慶かと思うくらいのお世話ぶりでした。ほんと、おつかれさまでした&ありがとうございました!

幕外、花道の引っ込み、すごい拍手。「正蔵っ!」「たっぷり!」「大当たり!」と、たくさんの大向こうもかかりました。六方がスキップに見えなくもなかったけれど、とにかく最後まで演じきり素晴らしかったです。勧進帳で、こんなに笑ったのは初めて。あぁ~おもしろかった。


20分の仲入り。


第二部 『桂三枝・笑福亭鶴瓶  二人会』
ここからやっと落語で~す。

三遊亭金時 「紙屑屋 」
金時さん、若草色の着付けに玉子色の羽織。表情豊かで惹き付けられました。東京外国語大学と東京農業大学出身のお弟子がいらっしゃるとのお話。農大出の方は、さすがに植木が上手ということで、園芸と演芸を間違えたんじゃないか~なんていう枕で笑わせていただきました。小さん(5代目)さんと花緑さんと3人でラーメン屋さんに行った時に、1番安いラーメンを頼もうとしたら、師匠はチャーシューも乗っけよう、チャーハンも餃子もと言うことで、チャーシュー麺3つ、チャーハン3つ、餃子3つを注文することに。しかし当人はラーメンだけでお腹いっぱいに。こうゆう時は1番若い者が全部食べる決まりになっているそうで、花緑さんに食べるよう勧めた。ここで花緑さん、いつもは師匠と呼ぶのに急に孫に戻り、おじいちゃん、僕お腹いっぱいで食べられないよ、と。すると師匠も、そうだよな、無理して食べてお腹こわしたら大変だもんな、じゃ、お前食えと金時さんが食べる羽目に。それ以来、花緑さんの顔を見る度に思い出すとか。。。

さてと紙屑屋です。これ、むか~し昔、テレビで見たことあります、たぶん。「白紙は白紙、カラスはカラス」のところで気がつきました。義太夫の本なんかが出てきて、役者になりきり演じる姿が様になっていました。六方で引っ込みをされてました。

笑福亭鶴瓶 「死神」
ベージュの着付けに黒い羽織。「六人の会」は実は「金髪王子と5人の子どもたち」だそうで・・・。(そういえば、王子さま、勧進帳の時には客席にいらっしゃいました。金髪に赤いメガネ、目立ちますよ~。)圓朝さんのお墓に行った時に、ちいさな「ぽんた」というお墓があったので、犬かと思うたら、お弟子さんと聞いてびっくり。死んでまで師匠と一緒なんて嫌やぁと仰ってました。

鶴瓶さんの落語も初めて。いやいやさすがにお上手でした。話に入る間も絶妙で、素晴らしかった。笑わせつつ最後はホロリとくる良いお話でした。(圓朝さんのとは少し違うとご本人談。)


<仲入り>


柳家花緑 「不動坊」
この時点で20:20。21:00終演は厳しい・・・?花緑さんは今年1月の「桂小米朝と柳家花緑  二人会@浅草公会堂」に続いて2度目。(おぉ。この日のブログ、アップされてない。。。)紺の薄物の着付けにベージュの羽織、ブルーの半襟が個性的。自分は白塗りして見得をしたいとは思わない。羨ましいなとは思わない。自分は自己主張がはっきりしているから、食べたくないものは食べないと、勧進帳や金時さんの話に絡めて笑わせてくれました。

花緑さんのお話は安心して聞いていられます。途中で話を中断しての「引窓」の説明がおもしろかったぁ。これが分からないと面白くないからと仰ってました。ご親切に~おありがとうございます。歌舞伎ファンにはお馴染みの引窓ですね。お話の中にショウタさんなる登場人物が。メガネを外すと鼻も取れるアレじゃないですよ~とフォローに爆笑です。アルコールがアンコロになって喧嘩になっちゃったり、とにかくドタバタに笑いっぱなし。いやぁ~おもしろかった。

桂三枝 「誕生日」
えっと、20:50をまわってますよ~。緑の着付けに黄緑の羽織、縞の袴できりっと。演舞場は楽屋がたくさんあるのに、なぜか鶴瓶さんと同室だとか。ご自身が司会の「新婚さんいらっしゃい」は39年目だそうです。すごいですね~。

そのお話から、結婚して何年も経つと夫婦は変わるものという内容に流れ、後半は米寿を迎えたお父さんと、それを祝う子どもたちの話へ。テンポが良いので、あっという間に最後まで。さすがベテラン、聞き入りました。


一度幕が降り、すぐにオープン。
六人の会メンバーの春風亭小朝さん、笑福亭鶴瓶さん、林家正蔵さん、立川志の輔さん、春風亭昇太さん、柳家花緑さんにプラスして、桂三枝さん、桂小米朝さん、林家いっ平さんが登場。わ~い♪演舞場に出ていないメンバーまで拝見できてラッキィです。今年で銀座はファイナルですが、来年はなんと宮崎で!ということで、スクリーンに東国原知事が登場。知事も落語しちゃうのでしょうか。

21:30終演!おつかれさまでした~。


<追記>
春風亭小朝さんのブログには当日の各会場の様子が写真つきで紹介されています。拵えをした小米朝さん、ほんと、染高麗そっくり!(ですねっ?!)二枚目ですね。かっこいい!!

三遊亭金時さんのブログも拝見。なななんと、三津五郎さんが黒子として出ていたそうです。さらに、ツケも打っていたとか。えぇ~見逃した。というより、私の席からツケ打ちさん見えなかったです。。。会場のどこかにいるとは思っていましたが、まさか舞台上とは。。。


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4 コメント

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グランド・グランド・フィナーレ! (はなみずき)
2008-07-22 19:26:52
早速、「大銀座」グランドフィナーレ@演舞場の詳しいレポを、ありがとうございました! 「待ってました~!」(笑) 分身の術を使いたかったです、この日は(って、分身の術なんか使えないんですが)。

小朝さんのブログの写真、まるで染さんですよね~。普段のお顔だちも、似ていらっしゃるかも。少なくとも、同じ系統ですよね。少なくとも、正蔵師よりは(笑)。

鶴瓶師匠、「死神」でしたか~。ん~、聞きたかったな~。サゲはどんな風にされたんだろう…。

三枝師匠。いいな~。いいな~。いいですよね~。師匠。三枝師匠の落語を聴いて、落語を楽しいと思わない人は、居ないと思う。

花緑さんの「不動坊」、聴きたかった~。ショウタさんは、どんな登場の仕方だったんだろ(笑)。いつまでも結婚できない、「仲間たち」のほうかしら? 六人の会の皆さんは、仲が本当に良さそうで、いいですね!

akiさまの記事で、私も、想像して楽しむことができました。「大銀座」の思い出が更に深くなりました。ありがとうございます
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>グランド・グランド・フィナーレ! (aki)
2008-07-22 19:50:18
はなみずきさま、こんばんは~。コメントありがとうございます。

分身の術、今度ぜひ見せてください。そして教えてください。あ、その前に習得してください、ね。小米朝さん、本当にそっくりですよね~。あの写真だけ見せられて染さんだって言われたら何の疑いもなく信じますね。しかも富樫だし~。いつぞやの巡業で見た染富樫さん、かっこよかったなぁ~。

「死神」のサゲはですね~、やっと幸せになれるのねという感じでした。ちょっとしんみり。三枝師匠は、ほんと、これぞ落語といった感じでした。さすがの芸でした。素晴らしかったです。ショウタさんは、ショウゾウさんという噺家さんのお弟子さんで、幽霊が得意とか。で、大活躍のショウタさんでした~。

>六人の会の皆さんは、仲が本当に良さそうで、いいですね!
ほんとですね。皆さん個性豊かな方々ですけれど、「落語の明日」のために一つになっている姿が、とても良いなぁと思いました。楽しかったなぁ。もっと銀座でやってほしいというのが本音ですけれど、これからも色々な噺家さんの落語を勉強したいです。
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勧進帳 (maroon6)
2008-07-23 20:45:55
akiさま、はじめまして。maroon6と申します。
はなみずきさまのところから、来させていただきました。グランドフィナーレのレポを楽しく拝見させていただきました。どんな勧進帳なのかしらと興味しんしんでしたので、観たような気分になりました。私は博品館(喬太郎さんの会)におりましたもので。

新蔵さんがご活躍とのこと。実はその日午後、時事通信ホールでの落語会(らくだを聴く会)
が終わってホール1階のスタバでお茶していると、ふとどこかで見たお顔の男性がおりました。だれだっけ?とすぐにわかりませんでしたが、新蔵さんだったです。かっこがあまりにラフだったもので(Tシャツに短パン姿、まるでリゾート)海尊をされた入船亭扇遊さんやお若い方たちとお茶されていました。あれから楽屋入りされたのですね。 しかし、スポーツ刈りの男性が5,6人固まっているとめだちますね。失礼いたしました。
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>勧進帳 (aki)
2008-07-23 22:07:44
maroon6さま、こんばんは。はじめまして。ようこそお越しくださいました。

はなみずきさんのところで、お名前は、ちょくちょく拝見させていただいております。

新蔵さんと仲間たちの目撃情報、ありがとうございます!舞台前のリラックスタイムだったのでしょうね。

どうぞまた遊びにきてくださいませ。

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