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ゾンバルト著 『ユダヤ人と経済生活』

2009-07-04 12:37:51 | 歴史

阿修羅 推奨図書:ゾンバルト著『ユダヤ人と経済生活』 より
http://www.asyura.com/2002/war14/msg/209.html

投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 28 日 14:20:14:
(回答先: 我々は 投稿者 ひもろぎ 日時 2002 年 7 月 27 日 07:50:32)


ひもろぎさん、こんにちわ。

考えられている趣旨の資料であれば、ゾンバルトの『ユダヤ人と経済生活』(邦訳書:金森誠也監修・訳/安藤勉訳:荒地出版社:6,800円)をお勧めします。

原著は、ナチスドイツという歴史過程以前の1911年に発行されたものですから、以降のような“政治性”はありません。
600頁を超える大著ですが、具体的な記述も多く面白い本です。

ヴェルナー・ゾンバルトはドイツ人で、マックス・ヴェーバーと同時代の経済学者です。
マックス・ヴェーバーは資本主義の精神をプロテスタンティズムに求めましたが、ヴェルナー・ゾンバルトは、資本主義の精神はユダヤ教に由来するところが多いと主張しています。
(『ユダヤ人と経済生活』そのものが、マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』に触発されて書かれたものです)

個人的な簡単な感想を述べると、マックス・ヴェーバーは産業資本主義の側面に、ヴェルナー・ゾンバルトは金融資本主義の側面に、それぞれ焦点を当てたと思っています。

ヴェルナー・ゾンバルトは、『恋愛と贅沢と資本主義』や『近代資本主義』など優れた論文を書き、ベルリン大学の教授まで務め、1941年に死去しています。

そうでありながら、マックス・ヴェーバーの論文があれほど普及している一方で、ヴェルナー・ゾンバルトの論文は片隅に追いやられています。
そうなった大きな要因は、反ユダヤ主義の支えともなりかねない『ユダヤ人と経済生活』という論文を発行したことだと考えています。

私としては、マックス・ヴェーバーよりもヴェルナー・ゾンバルトのほうが、分析力や総合力で優れていると判断しています。

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【私のコメント】

ゾンバルトはM・ウェーバーとならぶ、ドイツ社会学の大家でしたが、
その後ナチスドイツによるユダヤ人虐殺が起こり、
ユダヤ人に関するゾンバルトの主張はなかば封印されたようです。

戦後はユダヤ人と資本主義との関係は語られることなく、プロテスタントと資本主義の関係のみが定説化していったようです。

このことによってユダヤ人による資本主義への関与は闇の部分としてが語られなくなりました。

しかし、ゾンバルトの主張は純粋に学問的なものです。

ゾンバルトは、マックス・ウェーバーの理論をさらに発展させたのだと思います。
ウェーバーの理論が海の表面を描いたものだとすれば、ゾンバルトは海の底にあるものを描いたのだと思います。

山ではなく、どちらも海を描いたという点は同じです。
その海とは何だったのかというと一神教という深い海だったのです。

マックス・ウェーバーの描いたプロテスタンティズはキリスト教という一神教の原点回帰だったのです。
ではその原点に何があるかと問うたのがゾンバルトです。
いうまでもなくキリスト教はユダヤ教から発展したものです。
徹底した一神教という点ではユダヤ教のほうが勝っています。
ゾンバルトはウェーバーの本を読んでそのことに気づいたのです。

今でもキリスト教は時々原点回帰を起こします。
最近流行った『ダヴィンチコード』という映画は、私にはより徹底した一神教としてのキリスト教を志向しているように思われます。

いや、もしかしたら、ハリウッド映画には強力なユダヤ資本が入っていますから、この『ダヴィンチコード』には、ユダヤ人の強烈なメッセージが入っているのかもしれません。



ゾンバルトの本は、『恋愛と贅沢と資本主義』(講談社学術文庫)、
『戦争と資本主義』(論創社)が刊行されていますが、
肝心の『ユダヤ人と経済生活』は絶版になっていて、なかなか手に入りません。
アマゾンで古本市場を見てみるとかなり高いプレミアがついています。

この本が手ごろな値段で手に入らないことは残念なことです。

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