火曜
帝国とは、一つの民族が他の民族を支配する国である。
古来、ローマ帝国やオスマン帝国のように、一つの民族が他の多くの民族を支配してきた。
しかし、コロンブスのアメリカ大陸発見以来、ヨーロッパが行った他民族支配はそれまでのような領域を接する異民族への支配ではなく、遠く海を隔てた異民族に対する支配を行った。
19世紀のヨーロッパ列強による帝国主義はここにルーツがある。
しかしこのことは従来の帝国が領域を制した異民族支配であったのに対し、遠く海を離れた異民族に対する支配であるという点で大きく異なっている。
いわば領域を接する帝国主義から、飛び地を支配する帝国主義へと変化した。
このことは今までの帝国に見られなかったことである。
このことが19世紀の帝国主義が植民地合戦となって、20世紀の第1次大戦や第2次大戦の悲劇となっていく。
この2度の大戦はどちらも列強による「内輪もめ」である。
日本もまたこの「内輪もめ」の参加者である。
植民地は、この列強による内輪もめによって、第2次世界大戦後に独立を勝ち取ることになるが、
そのきっかけが日本軍によって東南アジアを支配していたヨーロッパ列強の軍隊を追い払うことにあったにせよ、
列強による植民地支配がもともと力による支配であったことを考えると、いずれそのような植民地支配が限界を迎えることは自然の流れであった。
それは東南アジアからヨーロッパの軍隊を追い払った日本軍の功績によるものではない。
その証拠には、日本軍の進出の及ばなかったインドもイギリスから独立している。
16世紀に始まり19世紀に本格化したヨーロッパの帝国主義が、それまでの帝国による異民族支配とどのように違うのか、そのことを考えることは非常に大事なことである。