「憂鬱な朝」日高ショーコ先生

日高ショーコ作 「憂鬱な朝」に惑溺して抜け出せなくなったblog。

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その51 言語からみる明治時代 -「憂鬱な朝」 日高ショーコ先生-

2017-04-04 22:28:45 | 憂鬱な朝
ご来訪いただきありがとうございます。

今回は、明治時代の言葉について。

以下、ネタバレ含みます。(既刊7巻まで)
なお、年齢は、作品内の数え方をそのまま採用しています。

以降、よろしくお付き合いください。

*********************************

御一新(明治維新)後、近代化・西洋化が急ピッチで進められてきました。
その過程から、明治時代には多くの造語が生み出されることになります。

例えば、「愛」という言葉。
以前の記事で、なぜ「愛してる」と言わないのかという疑問をちょっと書いたのですが、「愛」という言葉は、当時できたばかりの、あまり使われることのない言葉だったそうです。
(知らなかった…。)

それを裏付ける論文がありましたので、ご紹介します。

ーーー例えば、日本には仏教用語の「愛」はあった。
しかし「恋」、「色恋」はあったが、いわゆる西洋的な意味での愛はなかった。
恋愛という言葉、日本語では比較的新しい言葉である。
二葉亭四迷は、当初その小説『浮雲』(明治 20 年―22 年,1887-89)の中で、「ラヴ」と表記した。そしてその後、「愛」と書いた。
二葉亭四迷は、翻訳中にふと出会った一節に苦渋して、ついに「死んでもいい」と訳した。その原文が[I love you.]である。
漱石は、それを「月が奇麗ですね」と訳したとされる。
それゆえに、「君を愛している」と言う言葉は、今日でさえ日本人の心性になお馴染まない。
~中略~
今、比較的新しい言葉(造語)としての「恋愛」を、「情」・「色」・「恋」などの語感と比べてみるとどうだろうか。
「恋愛」の方がより洗練されていて、洋風で、より高級、より新鮮、より重要な語感を得ることだろう。
そのことは、明治時代の方が、今日よりももっと強烈に感じられたはずである。
しかし、同時に、新しく馴染まない言葉であるゆえに、その心理も徹頭徹尾理解できるまでにはなかなか至らなかったに違いない。
そして、今日でさえなお「あなたを愛する」という表現は、完全な市民権を得た訳ではない。ーーー
(福田眞人著 「明治翻訳語のおもしろさ」より抜粋)

明治時代の男子にとって、愛という言葉は、あまりピンとこないものだったようです。
暁人様が「愛してる」ではなく、「好き」という言葉を選ぶのもこういうわけなんですね。
智之が暁人様に言った「あなたのお側に」という言葉も、思えば、「愛している」と限りなく同義であったのかも知れません。

明治時代は、親が決めた相手と結婚することが常識でした。(※)
養育係である智之から結婚相手を選定されることも、暁人様にとってはある意味当然のことだったわけです。
ですから、暁人様自身が結婚相手を決めて、しかも勝手に破談にするなんてことは、本来ありえないことでした。
家令とはいえ、智之は養育者の立場でもあるのですから、勝手なことをしでかした暁人様をもっと叱ってもいいはず。
ですが、ものすごく腹を立ててはいながらも、抱かれて何も言えなくなってしまう智之…。

智之にしても、もし出生の秘密がバレなければ、暁直様から早々に婚約者を決められていた可能性があったわけです。
ま、智之はどんな縁組であっても無感動に承諾しそうですが。

じつは、この後大正にかけて、これまでの結婚観と異なり、恋愛結婚が理想の結婚であるという風潮が広まっていきます。
それゆえ、中には、意に沿わぬ結婚を嫌って親と軋轢が生じるケースも。
総一郎はまさに時代を先取りしていたとも言えますね。

(※)江戸時代までは、庶民は自由恋愛の末に結婚するのが普通でした。久世家のような大名家では政略結婚が普通でした。
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