「憂鬱な朝」日高ショーコ先生

日高ショーコ作 「憂鬱な朝」に惑溺して抜け出せなくなったblog。

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その30 マイ・フェア・レディ -「憂鬱な朝」 日高ショーコ先生-

2017-03-12 20:38:25 | 憂鬱な朝
ご来訪いただきありがとうございます。

今回は、暁人様について。

※各記事のタイトルの構造を少し変えました。
UXを無視したせいで、自ら使いづらいと感じたからです。
ご不便をおかけします。

以下、ネタバレ含みます。(既刊7巻まで)
なお、年齢は、作品内の数え方をそのまま採用しています。

以降、よろしくお付き合いください。

*********************************

久世家に来てからの暁人様はさぞ大変だっただろうと思います。

何も知らない状態で連れてこられ、当主として子爵としての心得、作法、学ばなくてはならない数々の知識。そして見知らぬ大人達とのお付き合い。

智之が暁人様を理想の当主にお育てする、いわば、戯曲ピグマリオン(マイ・フェア・レディの原作)の状況なわけです。
教師の期待が生徒の学習能力を向上させるという点もまさにそれ。

暁人様の周りにいるのは、結果しか求めない智之、どことなく冷淡な女中頭、智之に心酔する華族や大臣、大人の汚さを垣間見せる重之様と嘉世子様、「家格」がすべての鼻もちならないご学友、馴染めない社交会の面々、と見事に仮想敵だらけ。
その上、暁人様の味方になってくれるような人(書生とか)は、智之が傍に置きませんでした。
雨宮は「当主が若すぎると周りが大変なんだ」と言っていますが、この件に関しては暁人様も充分大変だったと思います。

分不相応な邸ということでも周囲から文句を言われたりして(1巻5話)、暁人様もやってられないといったところでしょう。
智之に何とか気に入られたい、認められたいという気持ちのみで、よくぞあんなに素直に育ったものです。
まあその智之も、あからさまな憎しみを現すことは滅多になく、暁人様と信頼関係を保つことに成功しています。
それにつけても、暁人様が学院中等科で石崎総一郎という味方に出逢えたことは、本当に幸運であったと思います。

桂木高之は「年若いご当主は周囲からも軽んじられる さぞ御苦労されたことでしょう」と、暁人様のことを慮っています。
(そんな高之も、初対面での対応はなかなか手厳しいものでしたが)

子爵とはいえ、10歳の子供に過ぎない暁人様が、華族の社交場に無理やり参加させられ(智之が独断で参加の返事を出していた)、居心地は良くなかったでしょう。
最初の食事会の「クスクス…」という雰囲気がすべてであると思います。

「周囲にどんなに嫌われても憎まれてもそれに耐えてきたのはお前に応えたかったからだ」
うーん、”嫌われても憎まれても”という台詞は穏やかではありませんね。
いったい、暁人様は我々の知らないところで、どれほど嫌な思いをされてきたのでしょう。
なのに、智之に苛立つとまで言われてしまうのですから救いがない。

あの運命の夜、暁人様が”智之の気持ちを諦める”まで、暁人様は様々な感情に耐えてきました。
14歳の時分にも「いつかお前にもわかってもらう ぜったいに わかってもらう」と見上げた根性を見せています。

さて、冒頭の戯曲ピグマリオン(マイ・フェア・レディの原作)に話を戻します。
主人公イライザは、ヒギンスの厳しい教育が利己的なものであったと知り、ヒギンスに激しい怒りを抱きます。
ヒギンスは成長著しいイライザに惹かれながらも素直になれず。
イライザはヒギンスに愛着を感じていながら彼を許すことができず、最後は他の男性と結ばれてしまいます。
(舞台や映画のマイ・フェア・レディとは結末が異なります)
ピグマリオンは1912年の話です。
もろに「憂鬱な朝」と時代が被っているのも、偶然とはいえ興味深いところです。

暁人様もイライザよろしく、智之の策略を知って深く傷つくのですが、智之は身体を張って二心のない事を訴えます。
暁人様は智之を許さないどころか、わだかまりもなくそんな智之を受けいれます。
さらに、智之を苦しみから救うべく行動する暁人様。
本人達にしてみれば、最悪な局面であったかもしれませんが、傍からみれば、ふたりの愛情と信頼関係を確認できた重要な局面でもありました。
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