前回は痛みの東洋医学、特に漢方の診断、治療方針について説明しましたが、
今回は鍼灸治療の痛みの診断、治療法について説明します。
◇診断法は、前回の内容も当然含まれますが、その他の診断法をご紹介します。
☆痛む場所がどこか? どの経絡に関連があるか?を診ます。
例えば、頭痛は・肝経、 腰痛は・腎経。・などの経絡に変動があると考えます。 また、頭痛でも痛む場所によって関連経絡があります。
例えば、こめかみ辺りが痛いなら・・胆経、 後頭部なら膀胱経。・・・などおおよそどの経絡の変動なのか、見当をつけます。
次に ☆脉がどのようになっているか?を診ます。
・比較脉診といって、どの経絡が一番弱っているのか? また強すぎるのか?を診ます。
それから・脉状診といって、脉の流れ方を診ます。
痛みの脉というと、弦によりを強くかけたような脉・・これを緊(きん)脉といいます。
脉状には何十種類もあるのですが、主な脉状には、
・浮(ふ)脉・・・・・浮いている脉・・病浅く、表病
・沈(ちん)脉・・・・沈んでいる脉・・病深く、陰病
・遅(ち)脉・・・・・遅い脉・・・・・冷えを現す
・数(さく)脉・・・・速い脉・・・・・熱を現す・虚(きょ)脉・・・・弱い脉・・・・・生気が損なわれている
・実(じつ)脉・・・・強い脉・・・・・生気満ち溢れているか、邪気が多い
以上六祖脉があります。これらを総合判断して、証をたて、どの経絡のツボを使うか、また鍼灸の手技を決めます。
◇治療法
まず、経絡の一番弱かったところを補います。(本治法)
この時、脉状により鍼の刺し方を変えます。
・浮(ふ)脉・・・・病浅く、表病・・・浅く刺します。
・沈(ちん)脉・・病深く、陰病・・・・深めに刺します。
・遅(ち)脉・・・冷えを現す・・・・・刺して少しとどめておきます。
・数(さく)脉・・熱を現す・・・・・・刺したら速めに抜きます。
・虚(きょ)脉・・生気が損なわれている・充分補い、鍼を抜き素早く閉じる。
・実(じつ)脉・・生気満ち溢れているか、邪気多い・・邪を集め、鍼を抜き閉じない。
これらの脉の組合せで手技が決まり、治療し経絡を整え、自然治癒力を引出します。
次に痛い部位、または関連するツボに治療いたします。(標治法)
例えば・熱をもち腫れている場合・・・・瀉の手法で浅めに刺し、熱を散らします。
・冷えによる痛みの場合・・・・・若干深めに刺入し、じっくり補い温めます。
大まかに、痛みの治療はこのようにしています。