本能寺の変 「明智憲三郎的世界 天下布文!」

『本能寺の変 431年目の真実』著者の公式ブログです。
通説・俗説・虚説に惑わされない「真実」の世界を探究します。

『「本能寺の変」は変だ!』「そのリアリティって変だ!」

2017年01月17日 | 通説・俗説・虚説を斬る!
 『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』(明智憲三郎著・文芸社・2016年5月)の抜粋をこのブログで順次ご紹介しています。第1回から順に辿れるようにリンクを貼ってありますので、順にお読みください。
 >>> 第1回「はじめに」と「おわりに」

 第5回の今回は第3話「そのリアリティって変だ!」です。

第3話 そのリアリティって変だ!
  本能寺の変の半月前に徳川家康が重臣たちを引き連れて安土城を訪問しました。このとき家康一行の饗応(接待)役を命じられたのが光秀でした。通説では、この接待に問題があって信長が怒って光秀を折檻し、接待役を解任して羽柴秀吉の援軍として出陣するように命じたことを光秀が恨んだことになっています。
 どのような問題があったかというと、接待が華美過ぎるという話と用意した料理が腐っていたという話とがあります。華美過ぎたり、料理が腐ってたりって変ですね。
 どっちが本当なのか、それともどちらも嘘なのか捜査してみました。

(中略)

 【五人の重臣が召し寄せられ、この他にはあたりに一人もいない。日向守(光秀)殿は床几より下りて敷皮を調えさせ、その上にきちんと座って考えていることを語り出した。「(中略)老後の思い出に一夜なりとも天下の思い出を作りたいと、このほど光秀は思いつめている。おのおの方が同心してくれないならば、本能寺へ一人で乱入して腹を切ってしまおうと覚悟している。おのおの方いかに、いかに」と申された】
 このように物語然とした記述を「リアリティがある」と評価する研究者がいます。テレビの歴史討論番組で司会役の著名な若手歴史学者が「『川角太閤記』は二級史料ではあるが、この光秀の言葉にはリアリティを感じる」と発言しました。この歴史学者は史料の信憑性をきちんと評価する人と思っていたので、この発言には驚きました。出演していた漫画家の黒鉄ヒロシさんも驚いたようで即座に「『川角太閤記』は二級どころか三級ですよ。光秀の側近くにいてこの話を聞いて生き残った人物がいるんですか?」と反論していました。おっしゃる通りですね。
 

(中略)

 第一話の『稲葉家譜』の記述についても「信長が光秀の頭を叩いたら附け髪が落ちたという一節などは、いかにも見てきたような虚説とするか、あるいはリアリティは細部に宿るとみるか、評価が分かれるところではある」として、「リアリティあり」と判断している研究者がいます。どうも歴史研究者の感性と理系の感性とはかなり違いがあるようで驚かされます。私は「リアリティが細部に宿る」とも「評価が分かれる」とも思いません。
 信長が家康の接待に人一倍気を遣っていたことが『信長公記』に書かれています。この本は信長の側近くに仕えた太田牛一が日記の如くに書き溜めていたものから編纂したもので、本能寺の変の十六年後には完成しており、信長周辺の出来事の記述は信憑性が高いと評価できます。この本には「光秀が京都や堺で珍しい料理を調達して、おびただしき結構」とのみ書かれています。信長が「華美過ぎる」「料理が腐っている」と怒った形跡はまったく認められません。
 理系の感性ではこの『信長公記』の記述の方が「リアリティあり」と判断します。辞書には「リアリティとは現実、真実性、事実、本質などを意味する英単語」とあります。『信長公記』は事実のみを飾り抜きで書いています。前述の研究者は「情景や感情が生々しく表現されていること」がリアリティだと勘違いしているようです。昔の人は「講釈師見てきたような嘘を言い」といって、このような作り話を見抜いていたものなのですが。
(後略)

 >>> 第6回「恨んで謀反って変だ!」へ続く

【関連リンク】
 桐野作人氏の奇妙な論理:『稲葉家譜』の信憑性
 >>> もはや本能寺の変に謎は存在しない!利休・秀次切腹事件にも!

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 明智憲三郎著の第4作『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』文芸社
 「秀吉がねつ造し、軍記物に汚染された戦国史を、今一度洗濯いたし申し候」。40万部突破の『本能寺の変 431年目の真実』の著者、明智憲三郎がさらなる歴史捜査を通じて、より解り易く「本能寺の変」の真実を解説した歴史ドキュメント! 「ハゲだから謀反って変だ! 」「歴史の流れ無視って変だ! 」「信長の油断って変だ! 」等々、まだある驚愕の真実に迫る!

 本能寺の変研究の欠陥を暴き、「本当の歴史」を知る面白さを説く!
 「若い方々や歴史に興味のない方々に歴史を好きになってもらいたいと思って書きました」
 明智憲三郎

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