Avaloncity Central Park

不肖「信頼出来ない語り手」明智紫苑の我楽多ブログです。主に自作小説とカスタマイズドールを扱いますが、エッセイもあります。

『Fortune』アスターティ・フォーチュンの周辺

2017-12-15 12:00:00 | Fortune ―ファウストの聖杯―
《年齢は物語開始のアヴァロン連邦暦345年の時点です》

 アスターティ・フォーチュン(Astarte Fortune)…ミュージシャンデビューを目指す少女。14歳。7月7日生まれ。フォースタスの婚約者。実は人造人間「バール(baal)」であり、人類とバールたちとの「融合」のために、二人の縁組が決められた。

 フォースタス・ショウタ・チャオ(Faustus Shota Chao)…新進気鋭の小説家。24歳。恩師アーサー・ユエの妻ライラと不倫関係に陥ってしまう。

 グウィディオン・チャオ・フォーチュン(Gwydion Chao Fortune)…フォースタスとアスターティの長男。354年生まれ。

 イオストリー・チャオ・フォーチュン(Eostre Chao Fortune)…フォースタスとアスターティの長女。356年生まれ。

 ニース・チャオ・フォーチュン(Neith Chao Fortune)…フォースタスとアスターティの次女。レシェフの双子の姉。360年生まれ。

 レシェフ・チャオ・フォーチュン(Resheph Chao Fortune)…フォースタスとアスターティの次男。ニースの双子の弟。360年生まれ。

 ポーモーナ・チャオ・フォーチュン(Pomona Chao Fortune)…フォースタスとアスターティの三女(末っ子)。364年生まれ。

 メフィスト(Mephisto)…〈アガルタ〉のサイボーグ犬。オスのミニチュアブルテリア。フォースタスとアスターティのお目付け役。

 ヴィクター・アーヴィング・チャオ(Victor Irving "Vic" Chao)…フォースタスの弟。放送作家志望の大学生。22歳。愛称はヴィック。後の「 邯鄲 ハンタン ドリーム」社長。

 アイヴァン・ブラッドリー・ヴィスコンティ・チャオ(Ivan Bradley Visconti Chao)…ヴィクターとミナの息子。347年10月生まれ。

 アーサー・ナサニエル・ユエ(Arthur Nathaniel "Art" Yue)…大学教授。フォースタスの恩師。54歳。愛称はアート。フォースタスを赤ん坊の頃から見守っていた。ライラの死後、フォースタスの元恋人リジー・バーデンと再婚する。

 シリル・ハーキュリーズ・チャオ(Cyril Hercules Chao)…邯鄲ホールディングスの会長。62歳。ミサトの夫で、フォースタス・チャオの父親。

 ミサト・カグラザカ・チャオ(Misato Kagurazaka "Misa" Chao)…フォースタスとヴィクターの母。54歳。理学博士。〈アガルタ〉の科学者の一人。アスターティが人工子宮の中にいた頃から、彼女を見守っていた。

 ルシール・アイシャ・チャオ(Lucille Aisha "Lu" Chao)…フォースタスの姉。26歳。産婦人科医。母ミサトと共に〈アガルタ〉に所属する。愛称はルー。後にケイティと同じく、人工授精でアスタロスの子を生む。

 ヒナ・アスターティ・チャオ(Hina Astarte Chao)…アスタロスとルーの娘。フォースタスとアスターティの姪。

 ケイトリン・オコナー・チャオ(Caitlin O'Connor Chao)…大御所作家。シリルの母で、フォースタスとヴィクターの祖母。90歳。

 ライラ・ハッチェンス(Lailah Hutchence)…アーサー・ユエの妻。画家。45歳。妖艶な黒髪美女。夫の教え子フォースタスを誘惑し、不倫関係になる。

 マーカス・アレクシス・ユエ(Marcus Alexis "Marc" Yue)…アーサーとライラの息子。14歳。愛称はマーク。アスターティのクラスメイト。母とフォースタスの関係に憤る。

 フォースタス・ヒサヒデ・マツナガ(Faustus Hisahide "Hisa" Matsunaga)…〈アガルタ〉の研究者の一人。実年齢は78歳だが、ずっと若々しい(50歳近くに見える)。同じ名前のフォースタス・チャオを「坊主(lad)」と呼ぶ。実は、宇宙移民船アヴァロン号に搭載されていたスーパーコンピューターの中の人工知能の一部を「人格」として移植されたバール。愛称は「ヒサ」または「ダンジョー(弾正)」。かつてはアヴァロン連邦宇宙軍の軍医として外界にいた。

 リチャード・ガレス・タヌキコウジ(Richard Gareth "Ritchie" Tanukikoji)…愛称はリッチー。〈アガルタ〉の実験動物棟に勤務する日系人獣医師。

 マーシャ・ロザリー・ウキタ(Mercia Rosalie Ukita)…〈アガルタ〉の所長。理学博士。ウキタ(宇喜多)家の長女は代々「Mercia」というファーストネームを名乗る。

 マーシャ・カトリーナ・ウキタ(Mercia Katrina "Katy" Ukita)…ロザリー・ウキタの娘。医学博士。〈アガルタ〉の研究者の一人。母と同じファーストネームゆえに、ミドルネームの愛称形「ケイティ」と呼ばれる。

 フォースタス・ナオイエ・ウキタ(Faustus Naoie "Nao" Ukita)…ケイティとアスタロスの息子。「新人類」。愛称は「ナオ」。

 ミヨン・ムーン・ヴィスコンティ(Miyoung Moon Visconti)…芸能事務所「邯鄲ドリーム」の社長(後に社長の地位をヴィクターに譲り、アスターティのマネジメントに専念する)。55歳。アスターティの里親。ヴィクターの親友ブライアンの母。ミサトの幼なじみで親友。

 カーミナ・ステラ・ヴィスコンティ(Carmina Stella "Mina" Visconti)…愛称はミナ。ミヨンの娘で、ブライアンの姉。ヴィクターの恋人で、後に彼と結婚し、「邯鄲ドリーム」の副社長となる。ヴィクターより4歳(フォースタスより2歳)年上(318年生まれ)。26歳。

 ブライアン・ルーク・ヴィスコンティ(Bryan Luke Visconti)…ミヨンの息子。ミナの弟。22歳。フォースタスとヴィクターの幼なじみ。ヴィクターと同じ大学に通っている。

 ヘレナ・ウォーターズ(Helena Waters)…フォースタスの初恋相手の少女。14歳で大事故に巻き込まれて亡くなったが、アスターティによく似た美少女だった。

 マンフレッド・フォーチュン(Manfred Fortune)…アスターティの2歳下の弟「アスタロス(Astaroth)」。12歳。アスターティと同じ人工子宮「アシェラ(Asherah)」から生まれたバール(遺伝子上も姉弟である)。フォースタス・ウキタとヒナ・チャオの父。

 ゴールディ・ベル(Goldie Bell)…女性型バール「コヨルシャウキ(Coyolxauhqui)」。アスターティより2歳、アスタロスより4歳年上。16歳。

 タリエシン・トラロック(Taliesin Tlaloc)…〈アガルタ〉のバール。若く見えるが、350年の時点で40歳前後。実は『Avaloncity Stories』第一部の韓海(文淵、タリエシン)の生まれ変わり。ゴールディの兄(同じ人工子宮から生まれた)。

 シャン・ヤン/ヤン・ライカーガス・シャン(Shang Yang / Yang Lycurgus Shang)…漢字表記は「商鞅」。大統領のSP。東アジア系男性型バール。身長180cm。二丁拳銃の使い手。

 シャンゴ・ジェローム(Shango Jerome)…大統領のSP。アフリカ系(黒人)男性型バール。身長200cm。柔道の黒帯所持者。

 ショチピリ(Xochipilli)…〈アガルタ〉のバール。愛称はロジエ(Rosier)。ショチケツァルの双子の兄。トラロックやゴールディの弟。11歳(333年生まれ)。

 ショチケツァル(Xochiquetzal)…〈アガルタ〉のバール。愛称はロージー(Rosie)。ショチピリの双子の妹。トラロックやゴールディの妹。11歳(333年生まれ)。

 ヒルダ・マーズ(Hilda Mars)…ギタリスト志望の少女。10歳(334年生まれ)。アスターティに憧れる。燃えるような赤毛。

 ジェラルディン・ローズ・ゲイナー(Geraldine Rose "Jerrie" Gaynor)…女性内科医。アヴァロン大学医学部卒業。父親から受け継いだクリニックの院長となる。三姉妹の長女。318年生まれ、27歳。フォースタス・マツナガと恋仲になる。

 マリリン・リリー・ゲイナー(Marilyn Lily Gaynor)…ロック歌手。バンド「フローピンク・アップルズ(Fluopink Apples)」のリーダーでヴォーカリスト。ゲイナー三姉妹の次女。322年生まれ、23歳。

 フォースティン・デイジー・ゲイナー(Faustine Daisy Gaynor)…ゲイナー三姉妹の末娘。13歳。内気な草食系女子。331年生まれ(アスターティより一学年下)。

 ルシール・ララ・ランスロット(Lucille Lara Lancelot)…フォースティンの幼なじみ。13歳。校内の軽音楽部でロックバンド「アヴァロンシティ・ドールズ(Avaloncity Dolls)」のリーダー(ヴォーカルとギター)。日系8世の強気なオテンバ。331年生まれ(アスターティより一学年下)。

 ベリンダ・アニータ・モンマス(Belinda Anita Monmouth)…アスターティの高校時代のクラスメイト。330年生まれ。

 ロクサーヌ・ゴールド・ダイアモンド(Roxanne Gold Diamond / Roxy)…愛称はロクシーまたはRGD。シルヴァーからは「ゴールド」と呼ばれる。大人気の女優兼歌手。アスターティをライバル視する。「不遇な環境で育った人間女性」という偽の記憶と人格を植え付けられた民間企業製バール。

 ロクサーヌ・シルヴァー・ダイアモンド(Roxanne Silver Diamond)…ロクサーヌ・ゴールドの付き人の黒人女性。ロクシーからは「シルヴァー」と呼ばれる。実は、彼女こそが「ゴールド」ロクシーの「歌声」であり、唯一の親友である…という事になっている。

 グロリアーナ・デ・コンポステーラ(Gloriana de Compostela)…ベテラン名司会者。愛称はマダム・コンピー(Madame Compee)ドラァグクイーンのような装いの女性。猫好きで甘党。

 ランスロット・アラスター・ファルケンバーグ(Lancelot Alastor "Lance" Falkenburg)…愛称はランス。フォースタスの幼なじみで親友。22歳。法科大学院生。七人兄弟の長男。父親は大学教授で、母親は居酒屋の女将。

 スコット・ギャヴィン・ガルヴァーニ(Scott Gavin Galvani)…フォースタスとランスの同年輩の友人。劇団「シャーウッド・フォレスト」の主催者。フォースティンの恋人。いわゆる肉食系男子。

 ジェラルディン・マリリン・ガルヴァーニ(Geraldine Marilyn Galvani)…スコットとフォースティンの娘。アスターティとフォースタス・チャオの長男グウィディオンの妻。

 ナターシャ・ダイナ・パーシヴァル(Natasha Dinah "Nat" Perceval)…シャーウッド・フォレストの看板女優にして演出家。黒人女性。フォースタスとスコットとは大学の同期で、友人。基本的に聡明な女性だが、策士策に溺れる面もあるテキトー人間。

 マイケル・クリシュナ・ランバート(Michael Krishna "Mick" Lambert)…愛称はミック。フォースタス・チャオの大学時代からの友人で人気ミステリー作家。

 アレクサンドラ・イングリッド・スチュワート(Alexandra Ingrid "Sasha" Stewart)…愛称はサーシャ。アスターティのバックバンドのドラマー。サバサバした姉御肌。345年の時点で20歳。

 ジェイムズ・フォスファー/ジェイムズ・ウォーレン・モーゲンスターン(James Phosphor / James Warren "Jimmy" Morgenstern)…愛称はジミー。アスターティのバックバンドのキーボーディスト。345年の時点で27歳。赤毛短髪の白人メガネ男子。

 グレアム・パトリック・ボース(Graham Patrick Bose)…アスターティのバンドのギタリスト。345年の時点で30歳。インド系の血を引いているらしい。

 トニー・ヴァージル・アレン(Tony Vergil Allen)…アスターティのバンドのベーシスト。345年の時点で28歳。黒人。

 ステファニー・シェンカー(Stephanie Schenker)…写真家・映像作家。旧名、スティーヴン・シェンカー(Steven Schenker)。トランスジェンダー女性。

 リンジー・シェンカー(Lindsey Schenker)…音楽プロデューサー。ステファニーの妹。ただし、姉リンジーとは違って、生まれついての「普通の女性」である。

 アデル・ミシェル・グウィン(Adele Michelle Gwyn)…ダンスユニット「ダンシング・デヴィル・キャッツ」の一方。黒人女性。

 ウィニフレッド・アイリーン・グエン(Winifred Irene "Winnie" Nguyen)…愛称はウィニー。ダンスユニット「ダンシング・デヴィル・キャッツ」の一方。ベトナム系女性。苗字は「ニューエン」と発音される事もある。

 ネミッサ・ブランシュ・ハラウェイ(Nemissa Blanche "Nemi" Haraway / Nemissa Fortune)…アスターティと同い年のモデル。11月9日生まれ。「ネミ」という芸名で芸能活動をしている。黒髪、色白の肌に鋭い紫の目で中性的な雰囲気の美少女。ロクシーと同じ事務所に所属しており、ロクシーはアスターティだけでなく彼女に対しても反感を抱く。
 後に人工授精でフォースタス・チャオの子を生む無性愛者。さらに「フォーチュン」姓を名乗る。

 アーサー・フォースタス・フォーチュン(Arthur Faustus Fortune)…ネミッサ・ハラウェイ・フォーチュンが人工授精で産んだ息子。アヴァロン連邦初代大統領と同姓同名。遺伝子上の父親はフォースタス・チャオ。

 シャホウ・レイ/アイヴァン・レイ・シャホウ(Xiahou Lei / Ivan Lei Xiahou)…漢字表記は「夏侯雷」。アヴァロン大学医学部の学生。24歳。フォースタス・チャオの中学時代のクラスメイト。実はマフィア〈聖杯幇(せいはいほう/シェンペイパン)〉の御曹司で、後の「リリス・グレイル」社の社長。

 プレスター・ジョン・ホリデイ(Prester John Holliday)…ソーニア(Thornia)州知事。カルト教団〈ジ・オ〉並びにその政治部門である政党〈神の塔〉を後ろ盾とする人物。元弁護士。一見精力的な男前の人物である。

 コートニー・ヴィヴィアン・サトクリフ(Courtney Vivian Sutcliff)…アヴァロン連邦大統領。元弁護士であり、ホリデイとは大学時代からのライバルである。女性であるゆえに、ミソジニストのホリデイにとっては目の上のたんこぶである。

 ヒナ・アスターティ・マツナガ(Hina Astarte Matsunaga)…フォースタス・マツナガの初恋相手の女性。フォースタスとは同姓だが、バールであるフォースタスとの血縁関係はない孤児。フォースタスの医学生時代の一年先輩の日系人。艶やかな黒髪となめらかな白い肌が可憐で蠱惑的な美女。フォースタスと同棲していたが、デート中に、海で溺れる子供を助けようとして溺死した。

 アーサー・フォースタス・フォーチュン(Arthur Faustus Fortune)…アヴァロン連邦初代大統領。地球連邦の圧政から植民惑星アヴァロンを解放した英雄にして清廉なる「国父」。捨て子から大統領に成り上がった「アヴァロン史上最も出世した人物」であり、果心居士と松永緋奈の息子である。

 エスター・ナナ・フォーチュン(Esther Nana Fortune)…アーサー・フォーチュンの妻。初代大統領夫人。元看護師だが、実はバールだったという説がある。その説によると、彼女の本名は「アスターティ」だったとされる。

 ルシール・ヒルダ・フォーチュン(Lucille Hilda Fortune)…アスターティ・フォーチュンとフォースタス・チャオの曾孫。グウィディオンの孫娘。曾祖母アスターティの遺作『Beyond The Heaven』で歌手デビューする。

《未来編…約三千年後》
 アスターティ・フォーチュン(Astarte Fortune)…三代目アスターティ。天空都市〈ヒメルシュタット〉で生まれた二代目アスターティのクローン。『Avaloncity Stories』第三部のメインヒロイン。アヴァロン帝国の女性宰相オースリンの養女となり、アヴァロン大学に進学する。後に「聖杯の騎士」となる魔法戦士。

 フォースタス・チャオ/趙翔(Faustus Chao / Chao Hsiang)…字は子鳳。〈緑の大陸〉東部の大国 泰夏 タイシャ の四王家の一つ趙氏(北家)の公子。三代目アスターティの婚約者。四王家から選ばれた他の王族と共に帝位継承者候補として育てられていたが、自ら拒否し、フリーランスの魔法戦士として世界を旅する。

 ランスロット・ファルケンバーグ/趙蘭(Lancelot Falkenburg / Chao Lan)…字は文卿。フォースタス(子鳳)の異父兄。泰夏王朝に仕える将軍にして魔法戦士。元はアヴァロン帝国の「東方十二諸侯」の一人の遺児だったが、母親が泰夏の北王の側室になったので、準宗室扱いされるようになった。東王家の王女を正妻とする。

 オースリン・フォーチュン(Ausrine Fortune)…『Avaloncity Stories』第三部の〈緑の大陸〉西部の大国アヴァロン帝国の女性宰相にして筆頭剣士。三代目アスターティ・フォーチュンの養母。

 フォースタス・マツナガ(Faustus Matsunaga)…天空都市〈ヒメルシュタット〉に住む科学者。果心と緋奈にアスターティを託す。

 果心居士/カシン・フォースタス(Kashin-Koji / Kashin Faustus)… 蓬莱 ホウライ 人(?)の魔法戦士。緋奈と共にアスターティを預かる。フォースタスとアスターティの師匠の一人。

 松永緋奈/ヒナ・アスターティ(Hina Astarte Matsunaga)…果心の妻。蓬莱人の魔法戦士。果心と共にアスターティを預かる。フォースタスとアスターティの師匠の一人。

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『Fortune』30.新生

2017-12-14 12:00:00 | Fortune ―ファウストの聖杯―
  泰夏 タイシャ の北王は、いや、北王の側室の一人である元公妃は、私をフォースタスの 許嫁 いいなずけ にした。
 確かに私はフォースタスが好きだ。しかし、泰夏の王家が正体不明の孤児を婚姻関係で取り込むのは奇妙だった。
 北王家の公子であるフォースタスは皇帝候補者の立場を自らドブに捨てていたので、半ば実家から勘当同然の身だった。そんな彼を庇護しているのは、異父兄の趙蘭将軍…ランスロット 義兄 あに 上だった。
 私は15歳になっていた。
「アスターティ、お客様よ」
  義姉 あね 上が呼んでいる。
 ランスロット義兄上の妻である義姉上は泰夏の東王家の公女で、本名は 田琳 でん りん という。義姉上も義兄上と同じく、優れた魔法戦士の資質を持っている。
「はーい」
 私は返事をする。
「お客様?」
 私と同い年の女の子が訊く。赤い目に白い髪と白い肌の女の子だ。この子は病弱な体なので、あまり外には出られない。
「誰だろう?」
 私は客間に行った。
  義母 はは 上が客人に私を紹介する。そこには果心と緋奈もいる。私の養父母であり、師匠でもある二人は、いつまでも若い姿だ。私が物心がつく頃から、二人は変わらない。
「オースリン様、この子がアスターティです」
 そこには、黒髪の西域人女性がいた。年はおそらく四十前後、理知的な美人だが、私はこの人が強力な魔法戦士であるのを感じ取った。
「アスターティ殿、初めまして。私はアヴァロン帝国の宰相、オースリン・フォーチュン(Ausrine Fortune)です」

「アスターティ、行っちゃうの?」
「ごめんね、 清香 サヤカ
「あのオースリン様というお方、私のお父さんと知り合いらしいけど、お父さんは今どこにいるのかな?」

 私はレディ・オースリンの養女として、アヴァロンへの旅に出た。フォースタスとの婚約はそのままで、私は泰夏から出て行った。
 フォースタスは息子グウィディオン(Gwydion Chao)と一緒に、私たちとは別に武者修行の旅に出た。宰相オースリン一行は衛兵たちに守られていたが、フォースタス親子は従者を一人連れただけだった。
 レディ・オースリン…母上は帝国の宰相であると同時に帝国の「筆頭剣士」である。魔法戦士の大半は剣を武器にするが、アヴァロン帝国の魔法戦士たちの頂点とされる者こそが筆頭剣士だ。
「アスターティ」
「は、はい」
「私もあなたと同じく孤児だったのよ」
 私は目を見開いた。大国の宰相が孤児だったとは、驚くべき身の上話だった。
天女船 フーリーシップ 。あなたも聞いた事があるでしょう? 私はあの船から逃げ出してきたの」
 天女船とは、「天女」と呼ばれる神秘的な美女たちを乗せて空を飛ぶ帆船である。この空中帆船は数年に一度、地上に降りて、天女たちが男性たちとの間に子供を作ると言われている。男の子は地上の人間に預けられ、女の子は新たな天女として船内で育てられる。
「つまり、私は天女のなり損ないなのよ」
 母上は自嘲する。
 四輪馬車の窓の向こうに世界樹が見える。大体、大陸の真ん中辺りだ。あの世界樹には巫女たちがおり、人々に予言や預言をする。その周りは聖地として集落が出来ていた。
「なぜあなたが私の養女になったのか。それは、泰夏とアヴァロンの友好関係のためなの。アヴァロン王家の養女になった私の、さらに養女になったあなたがフォースタスと結婚する事が、二つの国の架け橋となるのよ」



 私たちは大陸から船に乗り、島に渡る。緑の島アヴァロンだ。アヴァロン帝国の領地は大陸の西部まであるが、この島こそが帝国発祥の地だった。
 アヴァロン帝国の首都アヴァロンシティは、西域の大国にふさわしい繁栄がある。私は、その豊かさに圧倒された。
 母上…アヴァロン帝国宰相にして筆頭剣士であるレディ・オースリンの屋敷は、書生などの食客たちが養われていた。そして、母上の夫である父上はアヴァロン大学の学長だが、この世界最古の大学は帝国そのものよりも歴史が古いという。
 私は、その最古の大学を目指す。魔法戦士たちの最高学府だ。
 そして、母上の実の息子であるニケ…イクティニケ・フォーチュン(Iktinike Fortune)と彼の妹ナンナ・フォーチュン(Nanna Fortune)がいた。ニケは私と同い年であり、ナンナは二歳下だった。
 私はこの国の皇帝と面会した。
「君が噂のアスターティだね。よろしく」
 現皇帝べレナス(Belenus)陛下はまだ22歳、威厳よりも親しみやすさを感じさせるお方だ。陛下は先帝である父君を亡くしたばかりの新米皇帝だった。
 ちなみに先帝の即位には不思議な事情がある。先帝の兄であるお方が突然弟に譲位し、自ら大船団を率いて大航海に出たのだ。
「伯父上は父上の葬儀が終わってからまたいなくなったけどね」
 陛下は苦笑いした。


 桜吹雪の中、私はアヴァロン大学の練兵場を見学する。魔法戦士たちが「マスコット」を訓練しているが、マスコットとは魔法戦士たちの補助をする動物たちであり、人の言葉を話す。主に犬や猫であり、他の動物たちもいるが、犬や猫の方が多く、犬は「化け犬」カバル(cabal)、猫は「化け猫」キャスパルグ(cathpalug)と呼ばれる。マスコットたちは魔法戦士ほどではないが、ある程度の魔法を使える。
 そこに一人の男性魔法戦士が一匹の犬を連れていた。愛嬌のある卵型の顔をした白い犬、そして、懐かしい人。東方の人間に多い黒髪と黒い目の人は微笑む。
 私の愛しい人。
「フォースタス!」
「アスターティ?」
「久しぶりね」
「元気か?」
「ええ、ここの暮らしにはまだまだ慣れないけどね」
 私たちは桜並木を見渡す。それぞれが体験した事を話しながら、私たちは並木道を歩く。
 フォースタスは言う。
「この世界には三種の神器がある。一つは東の果ての島国 蓬莱 ホウライ にある〈聖鏡〉、もう一つは世界樹の巫女たちが護る〈聖剣〉、そして、常にどこかをさまよい続ける〈聖杯〉だ」
「聖杯?」
「その聖杯とは、三種の神器の中で最も神聖な奇跡の力を持っている。ただ、その実態は誰も知らない」
 聖杯。それは〈聖なる星〉から伝わった宝だという。私たち人間は〈聖なる星〉からこの大地に降りた神々に作られたと言われている。
「そうだ、ちょうど良かった。以前の仕事の報酬のオマケとしてもらったのだけど…」
 私たちは立ち止まる。フォースタスは腰のポーチから小さな巾着袋を取り出し、私に中身を手渡した。金色の鎖に、金色の星型の飾り。
「この首飾りは?」
「魔除けのお守りらしいんだ。お前にやる。多分、似合うよ。お前は『フォーチュン』だから」
 私は星型の飾りを見る。表は何もなくつやつやしているが、裏を返すと文字がある。
「FORTUNA IMPERATRIX MUNDI」
 運命の女神、世界の支配者。星形のペンダントトップの裏面には、そう刻印されている。

「ありがとう、フォースタス」

 私の愛しい人、フォースタス。多分、私は生まれる前からあの人を知っていた。
 私は自室の窓から夜空を眺める。私たち人間や他の生き物たちを生み出した神々がいたという〈聖なる星〉。その星はどこにあるのだろう?
 流れ星が視界を横切る。

 武器ではなく花を。平和の果実を食べに行こう。

 あの天の向こうへ。

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『Fortune』29.Beyond The Heaven

2017-12-13 12:00:00 | Fortune ―ファウストの聖杯―
 私はフォースタスの墓の前に立つ。曾孫のルシールと一緒だ。この娘の名前は私の今は亡き親友に、そして、フォースタスの実の姉に由来する。
「ひいばあちゃん、この犬どこから来たの?」
 そこに、一匹の白いミニチュアブルテリアがいた。今は亡き愛犬メフィストに似た、雄のミニチュアブルテリアだ。
《アスターティ》
「え!?」
 私は幻聴だと思った。犬がしゃべったのだ。
《初めまして、アスターティ。僕はあの大震災から生まれた者たちの子孫のひとりです》
 間違いない。犬が話している。サイボーグ犬だったメフィストのように。
「あなた、人間の言葉を話せるの? アガルタのサイボーグ犬みたいに?」
 犬は微笑む。
果心 カシン 緋奈 ヒナ …あなたとフォースタスを見守っていた人たちが、大震災の前に軌道エレベーターの周辺に石の卵を埋め込みました。あの二人は、地球人の末裔であるあなたたちを護る精霊たちです。僕らはあの二人が生み出した石の卵から生まれました》
 何もかも信じられない。私は自分の頭がおかしくなったのかと思った。ルシールも呆然としている。
「なぜ? あなたたちは何のためにいるの?」
《今のアヴァロンは乱世になりました。アヴァロン連邦の崩壊も時間の問題です。ソーニアを始めとして、中央政府からの独立宣言をした州は事実上の独立国家になりました》
 犬は語る。
《この 惑星 ほし の文明は退行しつつあります。今あるインフラ整備もやがては不可能になるでしょう。しかし、〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉で生み出された新人類たちが世界中に広まり、混沌の世界から人々を導き、救うでしょう》
 犬の姿が徐々に消えていく。
《アスターティ。あなたの名前はこの世界を守護する『女神』として語り継がれていくでしょう。さようなら。 また ・・ いつか会いましょう》

 私も、いなくなる。

 430年、7月7日。今日は私の百歳の誕生日だが、同時に最後の誕生日でもある。
 私のベッドの周りには家族一同が集まっているが、私はもう動けず、目を開けられず、言葉を発せない。
 遺言はすでに残している。遺産相続などの話はまだ足腰が自由だった頃に済ましている。後は、みんなで助け合って生きていってほしい。
 誰かが私の右手を握っている。長男のグウィディオンだろう。この子もすでに何人かの孫たちがいる。ルシールもその一人だ。
 一世紀、生きてきた。悔いはない。
 きっとまた、私はフォースタスに会える。私は思う。またいつか、桜吹雪の中で手を取り合って。

『Beyond The Heaven』、それがミュージシャンとしての私の遺作であり、歌手ルシール・フォーチュン(Lucille Hilda Fortune)のデビュー曲だ。

 私は、アヴァロンの大気に融け込んでいく。



 歴史は生き物だ。私たちは、巨大な龍と共に生きていく。
 ティアマット。
 海は切り裂かれ、新たな世界が生まれる。
 創造し、維持し、破壊する女神。私の名前にはそのような意味があったという。
 今の私は「個人」ではない。
 私は世界樹を眺めながら天に昇る。古き神々の遺産だという世界樹を超え、大気圏外に抜けた。
 何て美しいのだろう。
「地球は青かった」
 かつての地球の宇宙飛行士の言葉を思い出す。私も、その宇宙飛行士と同じく、母なる 惑星 ほし の美しさに見とれる。

 長い、夢を見た。



「委員会の連中が騒ぎ出す前にサッサと降りるんだ」
「もちろんだ」
「後は俺が何とか奴らを言いくるめよう。気をつけて行け、果心、緋奈」
「了解した、フォースタス。いや、 久秀 ・・

 石の卵が天から水に落ちる。

蓬莱 ホウライ は内乱の真っ只中だから、 泰夏 タイシャ に頼るしかない」
「どの王家に頼るの?」
子鳳 しほう …もう一人のフォースタスの実家…。あいつの種違いの兄貴に頼もう」
 私は 果心 カシン 緋奈 ヒナ と一緒に四輪馬車に乗って旅をしていた。この二人は魔法戦士の夫婦だけど、私の実の両親ではない。
 私、この二人の子供だったら良かったのに…。何度かそう思った。果心と緋奈は黒目黒髪だけど、私は二人とは違って青い目に淡い金色の髪を持っている。私は正体不明の孤児だった。
 私たちは〈緑の大陸〉東方の大国・泰夏に来た。この国には東西南北四つの王家があり、その四王家の男性王族たちの中から泰夏皇帝が選ばれる。ただ、皇帝に選ばれるためには厳しい修行に耐えなければならない上に、生涯独身の純潔の身でなければならないという。
 フォースタス、またの名を 趙翔 ちょう しょう あざな は子鳳は、皇帝候補者の立場を捨てた人だった。
 この人は独身だけど、子供がいる。フォースタスは14歳の若さで一児の父になったが、この人は「泰夏皇帝は純潔の身でなければならない」という掟を逆手に取り、父「北王」の後宮の女性に頼み込んで それ ・・ を捨てたのだ。そして、その結果生まれた男の子は私とフォースタスと一緒に、フォースタスの種違いの兄である「ランスロット」こと 趙蘭 ちょう らん 将軍の屋敷で暮らしている。
 趙蘭将軍ことランスロット・ファルケンバーグは、元々〈緑の大陸〉西方の大国アヴァロン帝国の「東方十二諸侯」の一つファルケンバーグ家の一員だったが、お家騒動により国を追われ、母親の公妃と共に泰夏に亡命し、公妃は北王の側室になり、ランスロットの異父弟フォースタスを産んだ。フォースタスが泰夏の王族でありながらも西域風の名前を持ち、ランスロット 義兄 あに 上が泰夏風の名を持つのはそういう事情があるからだ。
 果心と緋奈は、フォースタスと私の師匠だった。剣術と魔術、さらには様々な言語や学問。私たちは貪欲にそれらを学んでいった。
 多分、それが自分が何者かを知る鍵となる。幼い私は直感的にそう思った。

「ねえ、果心」
「何だ、アスターティ?」
「大昔は動く紙芝居があったって本当なの?」
 私たちは果心と緋奈に太古の話について尋ねる。果心たちは、太古の驚異的な文明について語る。
「今では失われた 技術 テクノロジー が不可能を可能にしていたんだ。〈聖なる星〉から来た人たちがこの世界を開拓して、人々が住みやすくしたんだよ」
「その人たちって神様?」
 果心はしばらく首を傾げてから言う。
「まあ、今の世の中なら神様だろうね」

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『Fortune』28.眠り

2017-12-12 12:00:00 | Fortune ―ファウストの聖杯―
 365年、9月。私たちはフォースタス・マツナガ博士の葬儀に参列した。
 私たち夫婦には五人の子供たちがいる。
 長男、グウィディオン・チャオ・フォーチュン(Gwydion Chao Fortune)、354年生まれ。
 長女、イオストリー・チャオ・フォーチュン(Eostre Chao Fortune)、356年生まれ。
 次女、ニース・チャオ・フォーチュン(Neith Chao Fortune)、レシェフの双子の姉で360年生まれ。
 次男、レシェフ・チャオ・フォーチュン(Resheph Chao Fortune)、ニースの双子の弟で360年生まれ。
 そして、三女で末っ子のポーモーナ・チャオ・フォーチュン(Pomona Chao Fortune)、364年生まれ。
 マツナガ博士は99歳で天寿を全うした。私たちは博士の最後を看取ったが、認知症を発症せず、最後まで意識はクリアだった。博士の最後の言葉は「ようやっと会えるかな?」だったが、その誰かが最初の恋人なのか、最後の恋人なのかは分からない。
 葬儀場には一組の親子がいる。母親は私と同い年、息子は私たちの長男グウィディオンより一つ下。ネミ…ネミッサ・ハラウェイ改めネミッサ・フォーチュンと息子アーサーだ。
 私たち夫婦はフォースタスの苗字「チャオ(趙)」を子供たちにミドルネームとして名付けたが、ネミは私の「フォーチュン」姓に改名した。そして、彼女の一人息子はこの 惑星 ほし の初代大統領と同姓同名だ。
 アーサーは私たちの子供たちの腹違いの兄弟だ。
 無性愛者であるネミにはパートナーがいない。彼女の子供は人工授精で産んだアーサー一人だけだ。彼女はモデルを引退し、介護士の資格を取得し、アガルタの職員になっている。
 フォースタスは文壇に復帰し、私はミュージシャンとしてはほぼ裏方に徹している。私たちが所属する芸能事務所邯鄲ドリームは企業としては立ち直ったが、それでもデヴィル・キャッツなどの所属タレントらを失った穴は大きかった。
「あれ?」
 参列者たちの中に一組の見覚えがある男女がいる。一方は、どことなく若い頃のフォースタスに似た男性、もう一方は黒髪をシンプルに結っている細身で色白の女性だ。そう、あの大震災があった際に出会った、そして、私が何度か見た夢に出てきた人たちにそっくりだ。
「フォースタス、あの人たち…」
「…どこかで見たような?」
 しかし、私たちは問題の二人を呼び止めなかった。もしかすると人違いかもしれない。いや、きっと人違いだろう。あの二人は会場を出て行った。

「父さん。俺、映画監督になるよ」
 グウィディオンは言う。
「父さんの小説を映画化するんだ」
「そうか…」
「母さんの曲を使いたいんだ。『Flowers rather than weapons(武器ではなく花を)』。今のソーニアとかの紛争があるから、平和を取り戻すためにも」
 フォースタスはグウィディオンの頭を撫でて微笑んだ。
 ソーニアの「王」プレスター・ジョン・ホリデイはクーデターで たお れた。彼の愛人だったロクシー…ロクサーヌ・ゴールド・ダイアモンドは行方不明になったが、新たに台頭したいくつかの軍閥のうちの一つのトップの愛人になったという噂がある。さらに信じられない噂として、彼女は海賊の「女王」として君臨しているという。
 生前のマツナガ博士が語ったアヴァロン号の大気圏内降下は実現し、地上3000メーターを静止衛星のように周っている。そのアヴァロン号には新たに、ドイツ語で空中都市を意味する〈ヒメルシュタット(Himmelstadt)〉と名づけられた。
 地球文明から受け継がれた科学的遺産を保つという点で、アガルタとヒメルシュタットは兄弟姉妹の関係だった。
 ヒメルシュタットはソーニアの南の海のはるか上から、ソーニアを監視している。そして、いざという時には上空からソーニアを攻撃出来るだけの軍備がある。
 ソーニア独立のあおりを受け、中央政府から離れたいくつかの州の独立宣言が相次ぎ、中央政府の影響力の弱体化が目立ち始めた。サトクリフ大統領は任期を満了して政界を引退したが、後継者たちにはサトクリフ前大統領ほどの力量はなかった。
〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉で生まれた子供たちは世界中に広まっていく。私たちの子供たちもそうだ。今もなおバールたちに対して偏見を抱く人間たちは少なくないが、それでも徐々に「融和」は進んでいる。

 武器ではなく花を。平和の果実を食べに行こう。
 どうか、かつての平和と自由を取り戻せるように。



「アスターティ、子供を五人も産んでいるのに、変わらないわね」
「フォースタスも若々しいな」
 また夢を見た。一組の男女が夜のアヴァロンシティを闊歩する。そう、何度か夢や現実で見かけたあの二人だ。
「この街もかなり蘇ったな。まるで奇跡だ」
「この国のみんなの願いが奇跡を起こしたのよ」
この国 ・・・ …ねぇ…?」
 灰色だったアヴァロンシティは再び極彩色のきらめきを取り戻していた。
「ねえ、 果心 カシン
「何だ、 緋奈 ヒナ ?」
「やはりあの二人、 地球にいた ・・・・・ あの二人の生まれ変わりかしら?」
 果心と呼ばれた男性は首を傾げる。
「俺たちは 久秀 ・・ から受け取ったあの二人の魂を解き放った。 今の ・・ フォースタスとアスターティがあの二人の生まれ変わりだとしてもおかしくない」
「現に、もう一人のフォースタスも あの人 ・・・ の生まれ変わりだったのだから…」
 果心と緋奈は繁華街の中に消えていった。

 生まれ変わり? 何だろう? 私は目を覚ます。



 子供たちはすっかり成長し、私たち夫婦はアガルタで余生を過ごしている。グウィディオンは映画監督として成功し、他の子供たちもそれぞれの道を歩み、幸せに暮らしている。私たちは多くの孫たちのみならず、曾孫たちにも恵まれていた。
 私とネミは同年代の人間女性たちよりは若々しい外見だったが、それでもじっくりと歳を重ねている。かつてのネミの艶やかな黒髪は、今は私と同じくすっかり白くなっていた。
「ねえ、アスターティ」
「なぁに、ネミ?」
「天国ってあると思う?」
「天国…ヒメルシュタットの事?」
 ネミは私のトンチンカンな答えに吹き出した。
「色々な宗教で語られている天国よ」
 私は考え込む。
「うーん。私はむしろ、生まれ変わりを信じたいの。この世こそが天国だと信じたいから」
「なるほどね。この世こそが天国であり、地獄でもある。だけど、私たち生ある者たちはただ生きていくだけ」
 アガルタの職員たちはすっかり世代交代していた。ミサト母さんもマーシャ・ウキタ元所長も亡くなった。私たちは古きアガルタの生き証人だった。
 アガルタの外にいた親友の最後の生き残りだったヒルダは生涯独身のままだった。彼女はアガルタから〈ソロモン・プロジェクト〉への参加(すなわち、人工授精で新人類を産む)を打診されたが、彼女はそれを断った。そのヒルダももういない。
 私の幼馴染みゴールディ、そして私の弟アスタロスは、ソーニア独立の混乱により行方不明になった。
「秋の空はどこまでも遠く」
 この遠い青空の向こうに、私の大切な人たちは去って行った。いや、もしかすると、またこの世に別の肉体を持って生まれ変わっているのかもしれない。

 そして、私の最愛の人も。

「アスターティ、ありがとう。お前に会えて良かった」
 私と同じ総白髪のフォースタスは私の手を握り、永遠の眠りについた。
 私たちの子供たち、孫たち、曾孫たち。家族たちに見守られ、私のフォースタスは死んだ。私はこの人の手を握り、涙を流す。
 フォースタスの葬式は、アガルタの葬儀場で行われる。享年98歳。同じくらいの歳で亡くなったマツナガ博士の時と同じ葬儀場だ。
「若い頃のじいちゃんってカッコ良かったんだね」
「何しろ、俳優さんとしても活躍したし」
 孫たちがフォースタスの遺影を見て故人の思い出話をする。
 喪主は私たちの長男グウィディオンだ。各メディアからの取材があり、フォースタスの死はトップニュース扱いされたが、おおむね好意的な報道だった。
 私はフォースタスの恩師アーサー・ユエ先生を思い出した。
 ユエ先生はあの大震災後、瓦礫の中から遺体を発見されたが、そばには刑務所から戻っていた息子マークの遺体もあった。マークの手にはナイフが握られており、ユエ先生の胸には刺し傷があった。父親を恨むマークはナイフでユエ先生を刺殺し、その直後に被災して死んだのだ。
 スコットとフォースティンの娘ジェラルディン(Geraldine Marilyn Galvani)はグウィディオンの妻である。彼女は父親と同じく役者の道を進み、私たちの息子を選んだ。
 ネミとアーサーも参列している。この二人も私の家族だ。アーサーも自身の家庭を持っており、何人かの子供や孫を連れている。

 遺産相続手続きは特に問題はなかった。ネミとアーサーにもある程度の遺産を相続する権利はあった。そのネミも亡くなった。

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『Fortune』27.世界樹

2017-12-11 12:00:00 | Fortune ―ファウストの聖杯―
「アスターティ!」
「ネミ?」
 ネミッサ・ハラウェイがいた。
「良かった…」
 私たちは抱き合って泣いた。
「他のみんなは無事かしら?」
「災害掲示板サイトを診ても分からないね」
 ネミも私と同じく、無期限休業中だった。彼女は〈ソロモン・プロジェクト〉のためにアガルタに戻っていた。以前の相談とは、彼女の人工授精に使う精子のドナーについての事だった。
 彼女はフォースタスをドナーに指名した。
 私とフォースタスは同意した。あくまでも人工授精なのだ。
 アガルタの外の様子は悲惨な状況だった。アヴァロンシティの都心部は大火災に包まれ、沿岸部は大津波で多くの人々や建物などが流された。地球史博物館は破壊され、大陸にあるアヴァロン連邦第二の都市アレクサンドリアにある連邦最大の図書館〈アレクサンドリア図書館〉も破壊された。
 人類の歴史の結晶がテロリストたちに、そして母なる大地に破壊された。〈ジ・オ〉並びに〈神の塔〉のテロリストたちは「 茨の国 ソーニア 」で犯行声明を発表し、アヴァロン連邦からの独立宣言をした。
「ロクシーはあの男のそばにいるよ」
「あの男?」
「マッチョマン、プレスター・ジョン・ホリデイ。前々から噂だったでしょ? あの二人の関係」
「ロクシーとマッチョマンの不倫の噂って本当だったのか…」
「あの人は自分から積極的に男性の有力者相手に近づいていたのよ。あの人のバックにはマフィアの有力者がついていたし、そいつらが〈ジ・オ〉と癒着していた。そして、連邦軍の一部の派閥と…」
「ちょっと待って!」
「え?」
「アスタロスとゴールディが配属された師団は〈ジ・オ〉の陰謀に巻き込まれたの!? あの二人の行方が分からないけど」
「ソーニア師団は分裂したのよ」
「そ、そんな…」

「中央政府はソーニアに 交渉人 ネゴシエイター を送り込むだろうが、ソーニアの奴らは大統領府に生首を送り返すだろうさ」
 マツナガ博士は物騒な事を言う。
 御年87歳。髪やヒゲはすっかり真っ白になったが、まだまだ現役バリバリだ。ひょっとしてこの人、不老不死ではないのか? そう疑いたくなる。
「さらに物騒な事態がある。宇宙軍が不測の事態のために〈アヴァロン号〉を大気圏内に降ろす事にした。あれは今も要塞としての、そして空中都市としての機能を保っている」
 超巨大宇宙移民船アヴァロン号。かつての地球人の末裔たちをこの 惑星 ほし に導いた「ノアの方舟」だ。それは数百年も改修を繰り返しながら宇宙空間にある。若い頃のマツナガ博士は宇宙軍の軍医だったが、その宇宙軍の任務の一つに、このノアの方舟の維持がある。
 いわば、この惑星における最大級の「伝家の宝刀」だ。
 惑星アヴァロンの周辺には、他にも同様の宇宙船が何隻かある。
「な、内戦が始まるのでしょうか? 地球連邦からの独立戦争以来、戦争などなかったこの 惑星 ほし で?」
 私は寒気を感じつつ博士に訊く。歴史上の出来事である「戦争」が、私たちが生きている時代で起きてしまうなんて。博士はため息をつく。
「内戦…確かに 今の ・・ 時代なら 内戦 ・・ だな。ソーニアがあくまでもアヴァロン連邦の一州である限りは」
「そんな…!」
「ソーニアはここから遠いが、奴らの好き勝手を止めなければならん。あのカルト連中はかつての地球の終末思想に取り憑かれている。アーサー・フォーチュンは功労者たちの粛清はしなかったが、それでも民間の獅子身中の虫を無視したのはまずかった」

 私は研究所の敷地内をブラブラ歩く。研究所の正門にはロダンの『考える人』のレプリカがあるが、飛行機テロの犠牲になった地球史博物館やアレクサンドリア図書館の正門にもそれはあった。
 アガルタは瑞々しい緑に覆われているが、アヴァロンシティの都心部や沿岸部は大震災の後始末で混乱している。中央政府がソーニア対策で後手に回るのは必然だった。
「アスターティ!」
 フォースタスだ。
「これを見てくれ」
 私は差し出されたタブレット端末を手に取る。ディスプレイに映し出される被災者名簿が続く。
「先生が…ユエ先生が…!」
 フォースタスは私を背中から抱きしめる。その声は涙で濡れていた。



 私たちはアガルタを仮の住まいとしながら、毎日被災者掲示板サイトを検索していた。街のインフラ修復は進んでいるが、犠牲者名簿の更新はそれ以上に進んでいた。
 ミサト母さんはシリル父さんの家に戻っていたが、無事だという連絡があった。ルーは幼いヒナを抱いて安堵の涙を流す。ミヨンママやヴィクター、ミナ、ブライアン、ヒルダらも無事に避難していた。
 しかし、ベリンダ、ルシール、ゲイナー姉妹一家やサーシャらバックバンドメンバーたち、デヴィル・キャッツやその他仕事関係者は行方不明だ。フォースタスの友人知人たちの消息も分からない。
 ロビーにあるスクリーンでは、ジャーナリストたちがソーニアの様子を伝えている。遠隔操作のロボット兵器たちが街中を破壊している。
 私はフォースタスと一緒に実験動物棟に行く。メフィストはそこで再び犬仲間たちと暮らしている。
「アスターティ! フォースタス!」
「元気か?」
 フォースタスは、サイボーグ犬たちの頭を撫でる。
「うん、元気だよ」
 言葉を得た犬たちは言う。
「フォースタス、これからも俺たちと一緒にアガルタで暮らそうよ」
「ここにいれば安全だよ。あの悪い奴らだって、ここにいれば手が出せないよ」
 メフィストは前に出る。
「こいつらの言う通りだ。少なくとも、街の復興がある程度のレベルになるまではここにいるべきだ」
「メフィスト…?」
「このフロアでも色々とニュースは見られる。真偽のほどは怪しいニュースもあるけどな。大陸にある軌道エレベーターが〈世界樹〉になっただなんて、いかにもフェイクニュース臭いが」
「世界樹?」

 私たちは自分らに割り当てられた部屋に戻り、リビングルームのディスプレイを見た。地球の神話に出てくるような〈世界樹〉…どこまでも延びる巨大な樹がある。
 軌道エレベーターが、大地震が起こった途端に、周囲から生えた蔓草が急激に伸び、からみつかれて大木のようになる。どうしても信じられない事態だ。しかも、フォーチュン大統領夫妻の墓も謎の植物に覆われているらしい。その周りには、犬や猫たちがいるという。
 サトクリフ大統領の演説が映し出される。今は震災からの復興を優先し、ソーニアへの制裁は後回しにする。あのソーニアの事実上の王になった「マッチョマン」プレスター・ジョン・ホリデイは、愛人(いや、「寵姫」と呼ぶべきか)ロクサーヌ・ゴールド・ダイアモンドと共にほくそ笑んでいるだろう。
「邯鄲グループ各社は業務を再開しているし、他の企業もだ。マスメディアも色々と報道している」
「あの世界樹は本当に本物なの?」
「あの辺を取材しているジャーナリストたちが色々と伝えているけど、他にも信じられない事が色々とあるな」
 あの日、私たちを助けてくれた人たちがいる。
 フォースタスは言う。
「俺は『ファウストの聖杯』のアイディアを夢から得たけど、俺たちが出会った果心と緋奈は夢に出てきた二人にそっくりだった」
「夢の中の二人は本当にいたのかしら?」
「分からん…。科学が極限まで発達した現代でさえも、まだまだ謎はある。この世には無神論や唯物論では測り切れないような事が少なからずあるだろうな」
 フォースタスはため息をつく。
「それにしても、保険に入ってて良かった。我が家を立て直さないとな」

 しばらく経ってから、私たちの大切な人たちの消息が分かってきた。フォースティンとスコットとナターシャは瓦礫に埋もれているのを救助されたが、フォースティンのお姉さんたちと姪っ子たち、ルシール、ベリンダ、私のバックバンドのみんな、デヴィル・キャッツの二人は亡くなっていた。
 私たちはマツナガ博士の部屋には行かなかった。
 博士の恋人だったジェラルディン、すなわちフォースティンの上のお姉さんが亡くなったのが確認されたからだ。
 博士は一人、泣いているだろう。多分、あの人にとっては最後の恋だろうから。

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