怒りのブログ

社会批判を深める

政権党による教科書書き換えを合理化する読売新聞社説

2007-10-05 01:54:54 | 戦争と平和
沖縄県民大会をうけ、文部科学省が集団自決の教科書検定見直しの検討に入ったと報じられている。こうした事態に対し、読売新聞の10/3付け社説は"沖縄集団自決 検定への不可解な政治介入"と批判している。
読売社説は
集団自決の際に軍の「強制」があったか否かが、必ずしも明らかではないことが検定意見の付いた理由だった。
と書いているが、検定前の教科書の記述は、集団自決を強制された住民もいた、というもので、すべてに軍命があったと書いているわけではない。軍命があったという証言の蓄積もあるなかで、「強制」を削除するというのは、悲惨な地上戦に傷ついた当時の住民や、彼らが話すのもいやであろう話を聞かされてきた多くの県民にとって、耐え難いこだったに違いない。

ところが社説は、町村官房長官などの「沖縄の皆さん方の気持ちを何らかの方法で受け止めて、訂正できるものかどうか」という発言をとらえ、
史実に基づいて執筆されるべき歴史教科書の内容が、「気持ち」への配慮や、国会対策などによって左右されることがあってはならない。
 時の政治状況によって教科書の内容、記述が変わるのであれば、中立公正であるべき教科書検定の制度が、その根底から揺らぐことにもなりかねない。
と指摘している。当然ながら教科書の記述は、学問的な蓄積と教育への配慮などを反映するべきもので、検定の是非はともかくとして、"「気持ち」への配慮や、国会対策などによって左右されることがあってはならない。"だろう。その意味では町村氏らのいいかたは適切でないところがある。うがった見方をすれば、沖縄県民などの世論に譲歩したという形を作って、落としどころとして、あいまいな記述をねらっているのではないか、とも言える。

しかし、順番は逆なのではないだろうか。
今回の検定意見の根拠の一つとされているのは「沖縄戦集団自決訴訟」と言われている。大江健三郎氏の書いた「沖縄ノート」で自決命令を出したとされている元隊長と遺族が軍命はなかったと主張しているものだが、裁判は継続中であり、日本軍の強制はあったという証言も現れており、この裁判を根拠とするのには無理がある。また、この裁判の支援には日本会議の議員や「新しい歴史教科書をつくる会」副会長などが名を連ねている。「つくる会」は日本軍の集団自決強制などの教科書記述を変えさせることを目標にしていた。
政府閣僚らは教科書の検定は審議会が判断することだから政治は口を出せないなどとよく言うが、実際には文科省の調査官が案を作成しているのでこちらのほうが影響力はおおきい。安倍前政権”靖国派”はこの調査官に「つくる会」系の学者を送り込んでいたのだ。この辺のところは「なごなぐ雑記」などにも書かれている。
こうした背景がわかってみれば、今回の沖縄県民の動きは、「美しい国」を掲げて日本のおこした戦争の醜さを否定しようとした安倍政権、”靖国派”の歴史の書き換えを許さないという強い意志を示したものと言えるだろう。

ブログの中には県民大会の11万人という数を"ねつ造"と言い、県内のバスの台数までその根拠にしているものがある。私に正しい人数をいうことはできないが、バスはピストン輸送したのであり、満員のバスに乗れずに会場に行けなかった人も多かった、という報道もあることは指摘しておきたい。
渡海文科省も、県民大会について「あらゆる党派、階層が参加したことは、従来と違ったものがある」と言わざるをえなかったように"島ぐるみ"の運動となったことをこそ見るべきだ。

日本の教科書の検定は、常に政権党の政治的圧力にゆがめられてきたが、読売新聞社説にたいしては、"中立公正であるべき教科書検定の制度"を名乗って政権党の教科書書き換えを合理化するのはやめてもらいたい、と言いたい。
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6 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-10-05 15:51:02
>>ブログの中には県民大会の11万人という数を"ねつ造"とけちを付けているものがあり、県内のバスの台数までその根拠にしているは笑わせる。

会場を空から写した写真も有りますな。
実数は2万ぐらいのようですな。
Unknownさん (アンドレ・アカシ)
2007-10-05 17:06:21
私の言いたいことは本文の通りです。
ちょっと修正 (アンドレ・アカシ)
2007-10-10 12:45:50
読み返してみたら、集会の人数のところで感情的な表現があったので修正しました。Unknownさんの引用は修正前のものです。
間違いあり、修正 (アンドレ・アカシ)
2007-12-28 03:55:00
検定意見の案を作った文科省の調査官は安倍政権誕生前に就任していることがわかりました。大変遅くなりましたが、修正します。
守ってくれなかったくれなかった日本兵 (新垣)
2008-09-22 03:06:43
『守ってくれなかった日本兵』の証言者の孫です。 
僕も日本兵についてはヒドイ話をたくさん聞いてきました。『教科書書き換え問題』のニュースなどをみてて特に納得がいきません。『日本人に過大な罪を着せたがっている』とか私たちウチナンチュが被害妄想扱いされたりするのはとても嫌な気持ちになります。 
いろんな証言があるなかで戦争経験者が少なくなってきた今、教科書を書き換えたり当時の話を一つにまとめてしまうことは次の世代にとって一番よくないことだと思います。
 今現在沖縄戦についてコツコツ調べてる人がいて、いろんな証言をたどってたくさんの人といろんな意見を交せる日本になるような教科書を作っていかなくてはいけないと僕はおもいます。 
あれだけ複雑な時を、今どうして一つにまとめることができるのでしょうか・・・。  ここでまとめてはいけない、ここで止まってはいけない、もっと証言を検索したり戦争についてたくさんの意見を交わしていくことが犠牲になった日本人や沖縄人、将来の日本や次の世代につながるのではないでしょうか。 
『守ってくれなかった日本兵』の証言者である僕のオバァは、無口な人で僕は孫なのにオバァと会話をした記憶はありません。そんなオバァの証言の重さははかり知れません。会話は無いけどいつも笑顔でそばにいたオバァは今年の春新しい世界へ旅立ちました。 僕は、今教科書を書き換え一まとめにすることは絶対日本の将来に悪影響だとおもいます
時代 (新垣)
2008-09-22 04:05:21
後世のことをかんがえたら、教科書書き換えなんてできるはずありません。  沖縄は本当は日本でもアメリカでもない!  今教科書に一まとめにされたくもない! 沖縄戦が始まる前にアメリカ軍の空からの手紙、今でも記憶に残ってる人はいるでしょう。 『沖縄は日本ではない!』という手紙がアメリカ軍によってたくさん空からばらまかれたということをテレビで見たことがあります。  実際に沖縄は日本ではない、言葉も完全日本とは違う。  元々は琉球王国であり貿易外交が盛んで特に中国との取引が盛んだったため、今でも中国を真似た建築物や言葉がたくさん残っています。 ウチナンチュの苦しみは教科書にのるまでもないのでしょうか? 僕は戦争はわからないけど、オバァに変わっていいたい! なぜ沖縄を巻き込んだ? 沖縄だけでわない!  何がなんだかいろんな証言や説があるなかで確実に言えることは、教科書書き換えは完全完璧に間違えであるというとです。 
     

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