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総帥ブラジルの悩み

2017-07-07 06:25:45 | 日記
輝かしい戦歴
 ボボ・ブラジルは道を切り開いて来ました。
黒人であるが故の差別に抗い、白人レスラー相手にファンを熱狂させる試合を演じ、富を稼いで、
プロレス界に金字塔を打ち立てました。
黒人レスラーの総帥と称されながら、しかしその人生の後半にブラジルは深刻な悩みを抱いて
いました。

 毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」です。
先週から始まった新シリーズでは、日米の有名プロレス団体に君臨した歴代チャンピオンから
3人を選び出してその足跡を振り返っています。
 先ずは1960年代にロサンゼルスを中心に栄えたWWAです。
登場する二人目のチャンピオンは「黒い魔人ボボ・ブラジル」です。

 異論もありますが、ブラジルは黒人として初めて世界王座に就いたと言われています。
力道山全盛時代に日本プロレスに初登場、高くジャンプして頭を打ち付けるココバットを得意技
としていました。
ジャイアント馬場からインターシングルベルトを奪う快挙も成し遂げています。
WWAチャンピオンには第20代と27代の2回も就いています。

 そんな輝かしい戦歴を誇りながら、ブラジルは突然正統派レスラーの道から逸脱を始めました。
それを最も感じさせたのは試合前のセレモニーでした。
 当時はメインイベント前に、女性がリングに上がってレスラーに花束を贈呈するのが慣例
でした。
ブラジルはそれをムシャムシャと食べてしまったのです。
 紳士的な振る舞いで評判だった男が豹変したのには、深い訳がありました。
弟を何とか一人前のレスラーに育て上げようと必死だったのです。

無茶苦茶な技

 1970年1月の日プロ新春チャンピオンシリーズで行われたインタータッグ戦は異様でした。
当時馬場猪木の王座組に挑戦するのはそのシリーズのエース格2名と決まっていました。
それがこの時の挑戦者はブラジルと初来日の実弟ハンス・ジェームス組です。
 全くの無名ながらインター戦に起用されただから、相当な実力者だとファンは期待しました。
しかしそれは試合が始まってすぐに打ち消されました。
ジェームスはプロレスの基本さえ習得していない未熟者だったのです。
 馬場猪木を攻撃するなど論外、まともに技を受け切る事もできません。
挑戦者の常識外れの不甲斐なさに、腹を立てた猪木は試合を盛り上げる為に特別な技を爆発
させました。
ジェームスを得意技コブラツイストで捕らえると、右足一本でブリッジして後ろに投げ
捨てたのです。

 意表を突いた技にジェームスは戦意喪失。
そのままブラジル組のストレート負けとなりました。
専門誌はこぞって「猪木の新兵器」と報じましたが、こんなのは素人同然の相手だから
決められた技、それが証拠に以後二度と披露されてはいません。
 ブラジルが花を貪り食う怪奇派レスラーに変身したのは、愚弟ジェームスを正統派レスラー
として目立たせる為でした。
それだけの愛情を注がれながら、実力が無いのかセンスが無いのか或いは両方とも無いのか、
その後ジェームスの活躍が聞かれる事は全くありませんでした。

コメント
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