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常識とは何?何気なく使う言葉の危うさ。噛みつき亀風味でもの申す。脱線ご容赦。あくまでもお馬鹿な私の私論です。

2017-4 世にも微妙な物語  牧師に  短編小説

2017年05月02日 20時39分19秒 | 小説

アーメンソーメンヒヤソーメン これは戦後の日本で海外の宗教を信じる人に対する

質の悪いおちょくりである。晃が通っている大學はミッション系で関西の慶應と

呼ばれている同志社大学だ。新島襄が開いたプロテスタント系の大学なのだが、

なんと、京都御所のまん前にあるのだ。言い方を変えれば、道一本挟んで並んでいる

ここには神学部というのもあり、プロテスタント系の牧師の何割かはこの学部出身

とも言われている。自由な校風と授業料が安いので、晃はとても気に入っている。

といっても、入学してから半年を過ぎたあたりから、仲間たちの集合場所になり

夜な夜な焼酎を飲んで むさくるしい男5~6人が集まり、哲学とか宗教とか、

無限等について語りあかしていた。〆のラーメンを食べに行くのは決まって深夜

2時半過ぎだった。半年が経った頃、いくつものグループに分かれて晃の知識を

吸収しにくる仲間の一人だけが来た。雨が降る日の事で普段は余りしゃべらない

引っ込み思案の男が相談があるので、できれば相対して話せないかと言われていた。

「晃さん、 おれ牧師になりたい と思うんだけど」学校のチャペルに一人で

礼拝に通い洗礼を受けたばかりだそうだ。「で、なんで俺に相談があるん?」

「晃さんって何でも知っているし友人も多いし、説得力があるから・・牧師に

なるという選択が自分に向いているのかなぁと思って」

「でもさー、自分の道は自分で決めれば良いし、決めた道でも向き不向きがある」

「それが・・」彼が言うのには将来結婚をと約束した女性の実家が牧師なので、

キリスト教徒ではなくて牧師でなければ駄目だといわれたそうだ。

「なるほど、主体性はないけれどっていうことか」彼は小さく頷いた。取りあえずは

神学部に転入して、2年間あるじゃん。彼女とも相談しながらまずは立派なキリスト

者になる事が大事だと思う。ちょっと動機が不純だけど・・。俺が思うのは期間

じゃなくて深化の度合いが大事だと。2年間時間があれば、2年後に答えを出せばいい

事だし・・・それよりもというかアーメンの話は置いといてラーメン食べよう。

「心も温まるラーメン。」

「雨とアーメンとラーメンかぁ・・」と言ったら彼は笑っていた。女を加えると

「オーメン。こわっ」ラーメンを食べて彼と別れた。学部が違うので殆ど没交渉に

なっていた。大学を卒業する年の瀬に彼から手紙が来た。そこにはお礼が書かれていた

そして・・・彼が自死したと聞いたのはそのあとだった。やはりそっちかぁと思った

「牧師になりたい」この言葉が引っ掛かっていた。それは「ぼくしにたい」という

事かもしれないと気が付いていたから。

お礼の手紙なんかかきやがって・・・。

          お終い

 

ジャンル:
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