赤ひげのこころ

お客様の遺伝子(潜在意識)と対話しながら施術法を決めていく、いわばオーダーメイドの無痛療法です。

菅家ヒストリア・第十代 市三郎のシベリア抑留記13

2017-07-01 10:00:53 | 菅家ヒストリア


シベリア抑留
人生の空白
          菅 市三郎 著
(平成5年7月1日発行)

*12よりの続き 

仕事のうちでも大工仕事が一番であった。
シベリア大工は斧「タポール」、鋸「ピラー」、それに金槌が主なもの。
つるはしとシャベルがあれば整地が出来て、建物が建つ。
木材だけは豊富なシベリアは、丸太をタポールで溝を彫り、
井桁に積み重ね、隙間に苔を敷いて坐りよくする(据わりよくする)、
それで出来上がり。
三月ごろまで大工仕事が続いた。
子供用玩具などもつくった。

いよいよ一冬あけて、作業は本格的になってきた。
鉄道線路工事の新設作業に廻された。
二人で枕木運搬。日本のより大きくて長い。
それにコールタールがついているのを肩に担いで運ぶ。
日本に比べて倍近く重量がある。
長いレールは、貨車が下した場所より、十八人で現場まで肩に担いで、
下すときは、一二三(いちにのさん)の合図で逃げるので実に危険である。

レールの長いところを切るのにも、
「タガネ」と大ハンマーで裏側に傷をつけて、下に一本しいて、
みんなで担いで一二三で落とすと実によく切れるもんだ。
穴をあけるのもすべて手作業である。
線路をつなぐ作業は実に重労働であった。

収容所に帰っても、いつも食事の事。
塩鮭が一切れの時が一週間位も続くこともある。
また、とろろ昆布が一つまみ位の日も続いた。
あとは、何にも食べ物の無い冬期は困った。
煙草は道で「吸い殻」を拾い集めて紙に丸めて出来上がり。
何しろ千人もの人が拾うのだから、そうは無い。
吸っては皆に廻す。何ともさびしい気持ちだ。
誰も口をきかない。何の話もない。食べ物の話だけ。

中でも捕虜たちが悩まされたのに、南京虫虱(しらみ)、ダニがいた。
一日の仕事が終わってようやく眠りについた頃、
柱の割れ目や板の隙間などに隠れていて
侵入してくるのにはまったく閉口をした。

    *編者注
・南京虫:  トコジラミ。刺されると強いかゆみが出る。
・虱(しらみ): 人に寄生するのは主にアタマジラミとケジラミ。
      アタマジラミは頭髪に寄生し頭皮から吸血。
      かゆみや湿疹などを引き起こす。
      ケジラミは陰毛などに寄生し、猛烈なかゆみを引き起こす。

*14へ続く

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