ピカソ、モディリアーニ、シャガール、フジタから現代作家まで
異邦人(エトランジェ)たちのパリ
国立新美術館開館記念 ポンピドー・センター所蔵作品展 1900-2005
2007年2月7日から5月7日
国立新美術館
開館したばかりの国立新美術館を訪れた。乃木坂の駅から直結しているが、乃木坂の駅はちょっとさえない。もう少し気分を盛り上げてもいいのでは。黒川紀章氏の曲線美を生かした建物は印象的。通路の採光が明るい。展示室も白い壁と点光源に近い照明で、絵が明るく見えるのはなかなかよい。ただ、広いのが売りの展示室も人が溢れてしまい、パリのポンピドー・センターのようにゆったりという気分ではなかった。特に問題は、導線が一方通行になっていて、二度と戻れないこと。やはり、もう一度見たいと思うとぐるぐると戻るしかない。展示面積が広くなったので、もうすこし、観客に自由に見させてもいいのではない。セクション3や4の鑑賞をすべての人に押しつけることもないと思うのだが。わざわざ壁の間のところを通り抜け禁止にしているが、大地震とか起こったら大丈夫でしょうか? やはり、120点ぐらいの展示でゆったりと見たいですね。
さて、肝心の展覧会です。日曜日の15時過ぎに入りましたが、かなりの混雑。
Section 1
モンマルトルからモンパルナスへ:
キュビスム、エコール・ド・パリ、シュルレアリスム
De Montmartre à Montparnasse :
Cubisme, Ecole de Paris, Surréalisme
このセクションは83点。絵画、彫刻、写真など多彩な作品が展示されているが、エコール・ド・パリの作品が多く楽しめた。
レオナール・フジタ(藤田嗣治)Léonard Foujita 1886(日本)-1968(スイス)
藤田嗣治 Léonard Foujita パリの私の部屋 Mon intérieur à Paris 1921
藤田嗣治 Léonard Foujita パリの私の部屋 Mon intérieur à Paris 1922
友情 L’amitié 1924
画家の肖像 Portrait de l’artiste 1928
パブロ・ピカソ Pablo Picasso 1881(スペイン)-1973(フランス)
ピカソは4点。「座せる裸婦」の来日に感動。
パブロ・ピカソ 座せる裸婦 Nu assis 1905;パリのピカソ美術館の図録に収録されている。国立近代美術館からピカソ美術館に寄託されている作品。米国人作家ガートルド・スタインを描いている。ピンクの時代の作品だが、青の時代の雰囲気を残す。 パブロ・ピカソ 輪を持つ少女 Fillette au cerceau 1919;可愛い雰囲気のただようキュビズム
パブロ・ピカソ 青の女性 Femme en bleu 1944
パブロ・ピカソトルコ帽の裸婦 Femme nue au bonnet turc 1955
コンスタンティン・ブランクーシ Constantin Brancusi 1876(ルーマニア)-1957(フランス)
コンスタンティン・ブランクーシ 眠れるミューズ Muse endormie1910年 ブロンズ
キース・ヴァン・ドンゲン Kees Van Dongen 1877(オランダ)-1968(モナコ)
1913年当時もセンセーショナルだったといいますが
キース・ヴァン・ドンゲン スペインのショール Le châle espagnol 1913年
アメデオ・モディリアーニAmedeo Modigliani 1884(イタリア)-1920(フランス)
アメデオ・モディリアーニ 赤い頭部 Huile sur carton, 1915
アメデオ・モディリアーニ ロロットLolotte, 1916
アメデオ・モディリアーニ デディーの肖像(オデット・ヘイデン)Portrait de Dédie (Odette Hayden)1918年頃
この《デディーの肖像》は1917年から19年の間に描かれた3枚の中の1枚である。写実的に描かれている他の作品と異なり、1918年頃のこの作品はモディリアーニの典型的なスタイルで描かれており、曲線を帯び軸のずれたモデルの姿勢が独特の憂いを醸し出している。とのこと。
キスリング Kisling 1891(ポーランド)-1953(フランス)
キスリング 若いポーランド女性(ショールを纏う女)Jeune Polonaise (Femme au châle) 1928
ジュール・パスキン Jules Pascin 1885(ブルガリア)-1930(フランス)
ジュール・パスキン 美しいイギリス女性 La belle anglaise 1916
ジュール・パスキン 庭の中のエルミーヌ・ダヴィッドの肖像 Portrait d’Hermine David 1918
ジュール・パスキン 闘牛士姿のアルフレッド・フレヒトハイム Alfred Flechtheim en toréador 1927
荻須高徳 Takanori Oguiss 1901(日本)-1986(フランス)
荻須高徳 ドレ地区 Cité dorée 1936
荻須高徳 サン=タンドレ・デ・ザール広場 Place Saint-André des Arts 1936
マルク・シャガール Marc Chagall1887(ロシア/現ベラルーシ)-1985(フランス)
「墓地の門」は、シャガールがパリに出てきたばかりの頃の作品。《エッフェル塔の新郎新婦》は、シャガールとベラとヴィテブスクの街並みを描いた作品。
マルク・シャガール 墓地の門 Les portes du cimetière 1917
マルク・シャガール エッフェル塔の新郎新婦 Les mariés de la Tour Eiffel 1938–1939
《エッフェル塔の新郎新婦》の主人公は、シャガール自身と妻のベラ。画面右下にシャガールの生まれ故郷であるヴィテブスクの街並み、左下にはヴィテブスクでの二人のユダヤ式結婚式の様子が描かれている。第二次世界大戦勃発の年に描かれたこの作品は、時代に翻ろうされながらも変わることのない夫婦の愛をテーマにしている。
マルク・シャガール 戦争 La guerre 1943
アルベルト・ジャコメッティ Alberto Giacometti 1901(スイス)-1966(スイス)
アルベルト・ジャコメッティ テーブル Table 1933/1969 ブロンズ
ディエゴの胸像 Buste de Diego 1954 ブロンズ
ディエゴ Diego 1954 ブロンズ
マックス・エルンスト Max Ernst 1891(ドイツ)-1976(アメリカ)
フランスの庭園 Le jardin de la France 1962
マン・レイ Man Ray 1890(アメリカ)-1976(フランス)
マン・レイ 黒と白 Noire et blanche 1926 ゼラチン・シルバー・プリント
「黒と白」は、もともと雑誌『ヴォーグ』のために撮影されたもので、1926年5月1日号に《真珠の顔と黒檀のマスク》というタイトルで掲載され、アフリカのダンスの仮面とキキをモチーフにしている。キキは当時、レオナール・フジタ(藤田嗣治)やキスリングなどモンパルナスの画家たちのお気に入りのモデルであった。
ブラッサイ Brassaï 1899(ハンガリー/現ルーマニア)-1984(フランス)
ブラッサイ カンカンポワ通りの娼婦 Filles rue Quincampoix 1930-1932年頃 ゼラチン・シルバー・プリント
Section 2
外から来た抽象:
幾何学的抽象、叙情的抽象、キネティシズム
Abstractions venues d’ailleurs :
Abstraction géométrique, Abstraction lyrique, Cinétisme
抽象美術も並べてみるとお国柄が出るようで、面白かった。
ソニア・ドローネー Sonia Delaunay 1885(ロシア/現ウクライナ)-1979(フランス)
ソニア・ドローネー シベリア横断鉄道とフランスのプティット・ジュアンヌの散文詩 La prose du Transsibérien et de la petite Jehanne de France 1913
ソニア・ドローネー リズム Rythme 1938
ソニア・ドローネー コンポジション Composition 1955
ヴァシリー・カンディンスキー Vassily Kandinsky 1866(ロシア)-1944(フランス)
ヴァシリー・カンディンスキー 二つの緑色の点 Deux points verts 1935
ヴァシリー・カンディンスキー 相互和音 Accord réciproque 1942
アルベルト・マニェッリ Alberto Magnelli 1888(イタリア)-1971(フランス)
イタリア的な力強さを感じさせる抽象絵画。気に入りました。
アルベルト・マニェッリ 大西洋のロンド Ronde océanique 1937
ウィリー・マイワルド Willy Maywald 1907(ドイツ)-1985(フランス)
パリのモードのクリスチャン・ディオールの公式写真家がドイツ人だったというのが不思議。
ディオール Dior 1952
キネティシズムのコーナーは、皆歩いて見ながら、変化するイメージを楽しんでいました。今回の展示での収穫です。
ヴィクトール・ヴァザルリ Victor Vasarely 1908(ハンガリー)-1997(フランス)
ヴィクトール・ヴァザルリ 夢 Alom 1966年 コラージュ・合板
ヴィクトール・ヴァザルリ V ボグラー V boglar 1966
近づくと四角い画面の中央の部分の色がだんだん広がっていく。
アガム Agam 1928(イスラエル)-
アガム ダブル・メタモルフォーゼ III Double métamorphose III 1968-1969年 油彩・アルミニウムのレリーフ
左右に動くと色彩が変わる。
ルイス・トマセロ Luis Tomasello 1915(アルゼンチン)-
ルイス・トマセロ 色彩造形の雰囲気 No.287 Atmosphère chromoplastique no 287 1972年 油彩・ラッカー塗装した木 180,5×180,5×11,0cm
沢山の四角い箱が整列して、斜めに貼り付けてある。四角い箱は正面からみると白だが、正面から見えない部分に原色で色がつけてあり、その色の反射で淡い色が色彩造形として雰囲気を作っている。気に入りました。
Section 3
パリにおける具象革命
Révolutions figuratives à Paris
このパートは、ポップアートまではついていけましたが、、、。エロは衝撃的でした。
エロ Erró1932(アイスランド)-
エロ モンマルトル Montmartre 1974 油彩・カンヴァス 国立現代美術基金
エロ サン・マルコの毛沢東 Mao à San Marco 1975 油彩・カンヴァス
エロ モスクワの水彩画 Watercolors in Moscow 1975 油彩・カンヴァス
ヴァレーリオ・アダミValerio Adami 1935(イタリア)-
ヴァレーリオ・アダミ レーニンのベスト Il gile di Lenine 1972年 アクリル、カンヴァス
ウィリアム・クライン William Klein 1928(アメリカ)-
ウィリアム・クライン カフェのテラス、パリ Terrasse de café, Paris 1980年 ゼラチン・シルバー・プリント
Section 4
マルチカルチャーの都・パリ
Paris, capitale multiculturelle
全く理解できません。感性がないといえばそれまでですが。
なお、ポンピドー・センターのHPには所蔵作品の画像が掲載されていた。(こちら)なお、藤田嗣治はFujitaで検索してもだめでFoujitaで検索です。
異邦人(エトランジェ)たちのパリ
国立新美術館開館記念 ポンピドー・センター所蔵作品展 1900-2005
2007年2月7日から5月7日
国立新美術館
開館したばかりの国立新美術館を訪れた。乃木坂の駅から直結しているが、乃木坂の駅はちょっとさえない。もう少し気分を盛り上げてもいいのでは。黒川紀章氏の曲線美を生かした建物は印象的。通路の採光が明るい。展示室も白い壁と点光源に近い照明で、絵が明るく見えるのはなかなかよい。ただ、広いのが売りの展示室も人が溢れてしまい、パリのポンピドー・センターのようにゆったりという気分ではなかった。特に問題は、導線が一方通行になっていて、二度と戻れないこと。やはり、もう一度見たいと思うとぐるぐると戻るしかない。展示面積が広くなったので、もうすこし、観客に自由に見させてもいいのではない。セクション3や4の鑑賞をすべての人に押しつけることもないと思うのだが。わざわざ壁の間のところを通り抜け禁止にしているが、大地震とか起こったら大丈夫でしょうか? やはり、120点ぐらいの展示でゆったりと見たいですね。
さて、肝心の展覧会です。日曜日の15時過ぎに入りましたが、かなりの混雑。
Section 1
モンマルトルからモンパルナスへ:
キュビスム、エコール・ド・パリ、シュルレアリスム
De Montmartre à Montparnasse :
Cubisme, Ecole de Paris, Surréalisme
このセクションは83点。絵画、彫刻、写真など多彩な作品が展示されているが、エコール・ド・パリの作品が多く楽しめた。
レオナール・フジタ(藤田嗣治)Léonard Foujita 1886(日本)-1968(スイス)
パブロ・ピカソ Pablo Picasso 1881(スペイン)-1973(フランス)
ピカソは4点。「座せる裸婦」の来日に感動。
コンスタンティン・ブランクーシ Constantin Brancusi 1876(ルーマニア)-1957(フランス)
キース・ヴァン・ドンゲン Kees Van Dongen 1877(オランダ)-1968(モナコ)
1913年当時もセンセーショナルだったといいますが
アメデオ・モディリアーニAmedeo Modigliani 1884(イタリア)-1920(フランス)
この《デディーの肖像》は1917年から19年の間に描かれた3枚の中の1枚である。写実的に描かれている他の作品と異なり、1918年頃のこの作品はモディリアーニの典型的なスタイルで描かれており、曲線を帯び軸のずれたモデルの姿勢が独特の憂いを醸し出している。とのこと。
キスリング Kisling 1891(ポーランド)-1953(フランス)
ジュール・パスキン Jules Pascin 1885(ブルガリア)-1930(フランス)
荻須高徳 Takanori Oguiss 1901(日本)-1986(フランス)
マルク・シャガール Marc Chagall1887(ロシア/現ベラルーシ)-1985(フランス)
「墓地の門」は、シャガールがパリに出てきたばかりの頃の作品。《エッフェル塔の新郎新婦》は、シャガールとベラとヴィテブスクの街並みを描いた作品。
《エッフェル塔の新郎新婦》の主人公は、シャガール自身と妻のベラ。画面右下にシャガールの生まれ故郷であるヴィテブスクの街並み、左下にはヴィテブスクでの二人のユダヤ式結婚式の様子が描かれている。第二次世界大戦勃発の年に描かれたこの作品は、時代に翻ろうされながらも変わることのない夫婦の愛をテーマにしている。
アルベルト・ジャコメッティ Alberto Giacometti 1901(スイス)-1966(スイス)
マックス・エルンスト Max Ernst 1891(ドイツ)-1976(アメリカ)
マン・レイ Man Ray 1890(アメリカ)-1976(フランス)
「黒と白」は、もともと雑誌『ヴォーグ』のために撮影されたもので、1926年5月1日号に《真珠の顔と黒檀のマスク》というタイトルで掲載され、アフリカのダンスの仮面とキキをモチーフにしている。キキは当時、レオナール・フジタ(藤田嗣治)やキスリングなどモンパルナスの画家たちのお気に入りのモデルであった。
ブラッサイ Brassaï 1899(ハンガリー/現ルーマニア)-1984(フランス)
Section 2
外から来た抽象:
幾何学的抽象、叙情的抽象、キネティシズム
Abstractions venues d’ailleurs :
Abstraction géométrique, Abstraction lyrique, Cinétisme
抽象美術も並べてみるとお国柄が出るようで、面白かった。
ソニア・ドローネー Sonia Delaunay 1885(ロシア/現ウクライナ)-1979(フランス)
ヴァシリー・カンディンスキー Vassily Kandinsky 1866(ロシア)-1944(フランス)
アルベルト・マニェッリ Alberto Magnelli 1888(イタリア)-1971(フランス)
イタリア的な力強さを感じさせる抽象絵画。気に入りました。
ウィリー・マイワルド Willy Maywald 1907(ドイツ)-1985(フランス)
パリのモードのクリスチャン・ディオールの公式写真家がドイツ人だったというのが不思議。
キネティシズムのコーナーは、皆歩いて見ながら、変化するイメージを楽しんでいました。今回の展示での収穫です。
ヴィクトール・ヴァザルリ Victor Vasarely 1908(ハンガリー)-1997(フランス)
近づくと四角い画面の中央の部分の色がだんだん広がっていく。
アガム Agam 1928(イスラエル)-
左右に動くと色彩が変わる。
ルイス・トマセロ Luis Tomasello 1915(アルゼンチン)-
沢山の四角い箱が整列して、斜めに貼り付けてある。四角い箱は正面からみると白だが、正面から見えない部分に原色で色がつけてあり、その色の反射で淡い色が色彩造形として雰囲気を作っている。気に入りました。
Section 3
パリにおける具象革命
Révolutions figuratives à Paris
このパートは、ポップアートまではついていけましたが、、、。エロは衝撃的でした。
エロ Erró1932(アイスランド)-
ヴァレーリオ・アダミValerio Adami 1935(イタリア)-
ウィリアム・クライン William Klein 1928(アメリカ)-
Section 4
マルチカルチャーの都・パリ
Paris, capitale multiculturelle
全く理解できません。感性がないといえばそれまでですが。
なお、ポンピドー・センターのHPには所蔵作品の画像が掲載されていた。(こちら)なお、藤田嗣治はFujitaで検索してもだめでFoujitaで検索です。